3通りのキャンプ炊飯、実践でコツを解説!
キャンプでお米を炊くのは難しいと思われるかもしれませんが、炊き方を知っていればとても簡単! ホカホカの美味しいご飯を炊くことができますと。まずは、ご飯を炊く前の準備をしていきましょう。
ご飯を炊く前に……必要な道具はこちら!
アウトドアでの炊飯には最低限これだけでOK。加えて軍手や耐熱の手袋があると安全です。
お米は事前に研いでおくと楽チン! 無洗米も活用しよう
お米は自宅で研いで乾燥させてポリ袋やジップロックに入れて持って行けば、現地では炊くだけとスムーズ。無洗米ならもっと手軽ですよ。
お米はあらかじめ浸水させると◯
お米を研いで水を入れてそのまま火にかけて炊飯! と行きたいところですが、研いでそのまま炊飯をすると芯が残りやすくなります。お米を浸水させることでお米の中に水分が入り込み、美味しいお米を炊くことができますよ。
冬→1時間くらい
とはいえキャンプは設営に忙しかったり、のんびりお酒を飲んだりしていてお米を浸水させることを忘れてしまうことも多いものです。
あらかじめお米を研いで水を入れてジップロックやケースに入れておくと、そのまま開けて火にかけるだけで炊飯できますが、、浸水させすぎはNG。
水に浸しすぎるとお米がもろくなり炊飯中に砕けてしまい、夏場は雑菌が繁殖する可能性もあるため浸水させて持っていく場合はクーラーボックスに入れておくようにしましょう。
水の量は「お米1:水1.2」
お米を炊くときによくわからなくなるのが、水の量。水が多いとベチャベチャに、少ないと硬いご飯になってしまいますが、基本はお米1合に対して水の量は1.2倍と覚えておきましょう。その上で好みの炊き上がりに合わせて水を加減することで硬さを調節できます。
基本 | 硬め | 柔らかめ | |
1合(150g) | 200cc | 180cc | 230cc |
2合(300g) | 400cc | 360cc | 465cc |
3合(450g) | 600cc | 540cc | 700cc |
それでも現地で「何合入れたか忘れた!」「水が量れない……」となってしまうことも。その際はお米を炊く容器に入れて、米から爪の根本までの高さまで水を入れる。この量で炊飯すると失敗なく炊けるので、覚えておくと良いでしょう。では早速お米を炊いていきます!
メスティンで炊いてみた
今回はトランギアのメスティンを使いますが、どのメスティンもサイズがそこまで大きくないので2合くらいの炊飯に最適。小さいためかさばらないのと調理器具として使うこともでき、焦げつきにくい素材でできたものもあるなど炊飯以外のメリットにも注目です。
使ったのはコレ!
数あるメスティンの中でも定番中の定番がトランギア。アルミ製で軽くスタッキングできるアイテムも豊富でかさばりにくく、これひとつで多彩なメニューをこなすまさに万能クッカーです。
風に強いと評判の「タフまる」のコンパクトタイプで、ソロ~デュオキャンプに最適のカセットコンロ。ダブル風防ユニット搭載で、外側風防と内側風防の2段階で風をさえぎるタフモデル!
▼メスティンについて詳しくはこちら!
▼タフまるJr.について詳しくはこちら!
いざ火入れ!
今回はガスで炊くため、火をつけるだけ。火加減は中火で熱していきます。メスティンで炊くコツはなるべく全体的に火を当てること。
細長い形のため全体に熱が伝わりにくいので、たまに動かして火の回りを良くします。時間はコトコト20分ほど。途中吹きこぼれもありましたが蓋は開けないようして待ちます。
出来栄えは……
20分経ったら火を止めてお米を蒸らします。蓋を開けてみると、ガスで炊いているので焦げもなく安心の出来栄え! しっかりと粒も立っていて美味しそうです。
メスティンは取っ手がついているため、炊いたご飯をそのまま器として食べることができるのが便利なポイント。洗い物も少なく、荷物もコンパクトになります。
デュオキャンプの場合は蓋にお米をよそって器代わりに使うこともできます。特にデメリットと感じることはないものの、アルミ製のメスティンには保温力はほとんどありません。冬になるとすぐに冷めてしまうため、炊けたらすぐに食べた方が美味しいお米を味わえます!
▼おすすめのメスティンはこちら!
●2合が炊けるちょうどいいサイズ感
●ハードアルマイト加工で傷がつきにくい
●カラーバリエーションが豊富でおしゃれに使える
▼メスティンの記事はこちらもチェック!
飯盒で炊いてみた
飯盒といえばキャンプでお馴染みの炊飯道具。無骨な見た目で、ワイルドなブッシュクラフトキャンプにピッタリのアイテムです。サイズはメスティンよりも大きものが多いため2合以上を炊くことができ、グループキャンプでも大活躍。その分1合炊きなど少量炊くことは難しくなります。
使ったのはコレ!
筆者が使っているのは、母親が子どもの頃ガールスカウトで購入した約50年前の年代物。逆に半世紀使っていてもまだまだ愛用できる頑丈さも飯盒の魅力です。煤(すす)もついていて底も変形していますがまだまだガンガン使うことができる一品です。
いざ火入れ!
今回は焚き火でお米を炊いていきます。小さい火から徐々に薪を追加して大きくしていき、少し落ち着いた中火くらいになってから飯盒を載せました。
火が弱くなってきたら少し薪を足しつつ、炊飯時間は約20分。途中で少し吹きこぼれることもあるため火が弱くなりすぎないようにしました。
15分くらい経ったら弱火(少し火が弱いところにずらす)にして、焦げ付かないように注意しながら炊き上がりを待ちます。
炊き上がりは…
20分経ったら火から外し、5分ほどお米を蒸らします。肝心の炊き上がりはこちらも大成功! ふっくらと炊けていて、底にはちょうどいいくらいのおこげがてきていていい感じ。香ばしくとても美味しいです。
焚き火で炊く際は、直火から飯盒を下ろす必要があるので手袋は必須。煤もつくため汚れてもいい手袋を使いましょう。ガスとは違い火加減に気を使う必要があるものの、キャンプの雰囲気も味わうことができ、2倍楽しむことがでます。
▼おすすめの飯盒はこちら!
●自衛隊が実際に使用してる飯盒と同規格
●水量線がついているので計量いらず
ライスクッカーで炊いてみた
ライスクッカーはお米を炊く専用の調理器具のため、キャンプ初心者でも失敗しにくいアイテム。形もメスティンや飯盒と違い炊飯器の内窯のような、ご飯を美味しく炊くことができる形状になっています。
使ったのはコレ!
ユニフレームのライスクッカーは定番アイテム。3〜5合炊きでグループキャンプに大活躍。お米の量や水の目安もついていて失敗が少なくなります。
いざ火入れ!
ガスで最初は強火にかけ、フタが”カタカタ”と鳴り出したら弱火に。湯気が出なくなったら火からおろすという、基本はこの3ステップです。5分ほどの蒸らし時間も入れると、所要時間は約20分で炊くことができますよ。
炊き上がりは……
水を気持ち多めにした分柔らかめではありますが、芯までふっくらしたご飯に。焦げもなく炊飯器での炊き上がりに一番近かった印象で、炊き上がりの安定感をとるならライスクッカー一択というのが感想です。
ただサイズが大きいものが多くかさばりやすいため、荷物が多くなりやすい点はデメリットでもあります。
▼fanライスクッカーDXについて詳しくはこちら!
▼その他おすすめはこちら!
●サイズ違いのクッカーがついているので凡庸性が高い
●OD缶がジャストフィットするちょうどいいサイズ感
●中蓋付きでお米を美味しく炊くことができる
大量に炊く場合はダッチオーブン・土鍋もアリ
メスティンや飯盒にライスクッカーの他、ダッチオーブンや土鍋でもお米を炊くことができますよ。どちらも大きさがあるためたくさんの量を炊くことができ、グループキャンプにピッタリです。
ダッチオーブン
ダッチオーブンは本来煮込み料理や大きい肉をオーブンで焼き上げる時に活躍しますが、基本は飯盒と同じ要領で炊飯も可能。キャンプでお米を炊く頻度はあまり多く無さそうなら、ダッチオーブンで賄うのも一案です。
●足付きなので火元に直置きも可能
●衝撃や温度変化に強く割れにくい
▼ダッチオーブンについて詳しくはこちら!
土鍋
土鍋は家でも鍋をするときに使うこともでき、遠赤外線効果で炊き上がりもふっくら。大きすぎると上手く炊けないため、ご飯を炊く場合はなるべく炊く量に合ったサイズを選ぶことがポイントです。
なお、陶器なので割れてしまうこともあるため取り扱いには注意しましょう。
●4つのお茶碗付きでグループキャンプにピッタリ
●吊り下げができるので火加減調節がしやすい
【裏技】キャンプで炊飯する方法は、まだまだある!
実は先ほど紹介した方法以外にも、キャンプで炊飯をする方法があるんです。汚れにくかったり少量でも炊けたり、まさかの同時調理などここからは裏技的な炊飯方法を紹介します!
ポリ袋で汚れ知らず
キャンプで炊飯する時に気になるのが、中にこびりついたりする汚れ。洗い場が遠いと洗うことも億劫になりますよね。
そんなときに役立つのが、ポリ袋。水を張った鍋の中にお米を入れて温めるだけで、お米が炊けちゃうんです! これなら汚れることも、鍋にこびりつくこともなくすこぶる快適。
ちなみにポリ袋は耐熱性のあるアイラップがオススメですよ。
▼アイラップについて詳しくはこちら!
飯盒の“中蓋炊飯”で焦げ知らず!
実は飯盒の中蓋でも炊飯できることはご存知でしたか? 水蒸気炊飯とも言い沸騰したお湯の蒸気でご飯を炊き上げるので、温度が上がりすぎず焦げる心配はゼロ。
しかも下のお湯の部分では湯煎や煮込み料理をしたり、同時に調理することもできるんです! ただし、炊けるお米の量は中蓋の大きさになるため1合ほど。量が多くないためソロキャンプ向けの方法になります。
ソロでも食べきれる量を炊飯したいなら、シェラカップを使おう
シェラカップなら少量から炊飯ができるので、ソロキャンプでも大活躍! コンパクトなシェラカップ一つで炊くことができるので荷物もかさばらずに済みますよ。
▼シェラカップ炊飯について、詳しくはこちら!
途中で開けたくなる気持ち、わかるけどダメなんです!
途中で蓋を開けると圧力・温度が下がり、上手く炊けないことも
「赤子泣くとも蓋取るな」と炊飯の極意にまつわる言い伝えがあるように、「焦げてないかな?」と確認したいところではありますが、蓋は絶対に開けないこと。
その理由は「内部の圧力を低くしないため」と、「内部温度を下げないため」。実は確認をして中の圧力や温度が下がることは、芯の残りにつながります。蓋を開けて確認して火に当てる時間を伸ばすと、底は焦げてるのに芯が残っている……という負の連鎖が起こってしまいます。
とはいえ失敗しないように確認したくなるのが人間。もし確認をするのであれば、なるべく回数は少なめ、時間は短めを心がけましょう。合わせて吹きこぼれて蓋が開いてしまわないよう、上に重石を置いておくと安心です。
もし芯が残っていたらお湯を入れて様子を見よう
しっかり浸水させて火加減の調節もしたのに、お米に芯が残っているなんていうことも。特に標高が高い場所では気圧が低くうまく炊けないこともあります。
もし芯が残っているかな? と感じたら、沸騰したお湯を少し釜に加えて最小火力で5分ほど熱しましょう。「炊き立ての美味しいお米!」とはいかないものの芯が残った状態は脱することができますよ。
炊飯の時の「火」はどれがいい?
ここまで炊飯の方法を紹介しましたが、炊飯の難易度は「火」で決まります。火加減が安定しているとその分失敗も少なく、美味しいお米が炊くことができます。
ただし安定している火はガスなどの燃料を使うため、雰囲気を味わいたい場合は不向きな場合も。ここからは、炊飯の熱源の選び方とおすすめをご紹介します。
火力安定で失敗しにくい「ガスコンロ・バーナー」
火力調節 | ◎ | 捻ってつけるだけ、消すのも簡単 |
熱源の調達しやすさ | ◯ | ガスボンベとコンロ(バーナー)があればOK |
コスパ | ◯ | コンロ(バーナー)を買う初期投資が必要なものの、ガス自体はそこまで高くない |
対応する調理器具 | ◎ | コンロやバーナーの大きさにもよるが、どんな調理器具にも対応可能 |
炊飯にかかる手間 | ◎ | ガスで米を炊くだけなので手間要らず |
雰囲気 | △ | ガスなので雰囲気では劣る場合も |
ガスコンロ・バーナーは火力調節もしやすく、燃料の調達も簡単で炊飯初心者にもオススメ。コンロやバーナーの大きさにもよりますが、調理器具が大きくてもお米を炊くことができるのでグループキャンプにもピッタリ。
カセットコンロやバーナーは上手な炊飯の肝である火加減は安定しますが、火口が小さく火が一点に当たると部分があるとその部分が焦げやすくなるので注意が必要。風に吹かれると火が消えてしまったり、思った部分に火が当たらないこともあるため風防があると火加減が安定しますよ。
▼ガスコンロ・バーナーについて、詳しくはこちら!
ほっておくだけでお米が炊ける!「固形燃料・アルコールバーナー」
火力調節 | ◯ | 火力調節はできないものの、火は安定 |
熱源の調達しやすさ | △ | 入手できる場所が限られる |
コスパ | ◎ | 燃料代はかかるが高くない |
対応する調理器具 | △ | 小さいものしか置けない |
炊飯にかかる手間 | ◎ | 放っておくだけでOKなので手間要らず |
雰囲気 | ◯ | 燃料を使用するもののアウトドア感が出る |
固形燃料やアルコールバーナーは燃料に火を点けるけるだけと簡単手間要らず。火力調節はできないものの炊飯にちょうどいいくらいの時間で燃料が燃え尽きれば火が消えるため、自動炊飯をすることもできます。
使う調理器具のサイズ的にも、ソロやデュオ向けにおすすめの炊飯方法です。
▼メスティンの自動炊飯について、詳しくはこちら!
▼固形燃料・アルコールバーナーについて、詳しくはこちら!
THEキャンプ!「薪・炭の直火炊飯」
火力調節 | △ | 調節がかなり難しい |
熱源の調達しやすさ | ◎ | キャンプ場で販売していることが多い |
コスパ | ◯ | 焚火台や焼き台が必要に、炊飯に使う薪、炭の量はそこまで必要ないがある程度まとめて買う必要がある |
対応する調理器具 | ◎ | 焚火台や焼き台の大きさにもよるが基本的にどんな調理器具にも対応可能 |
炊飯にかかる手間 | △ | 火を起こす必要があり、ススも調理器具につく、焚火台や焼き台も洗う必要あり |
雰囲気 | ◎ | 直火でお米を炊くとかなりアウトドア感が出る |
いかにもアウトドア感ある炊飯といえば、薪・炭の直火を使う方法。火力調節も難しく後片付けにも手間はかかりますが、なんと言っても「キャンプしてる」という雰囲気が最高! コツをつかむのに時間がかかるため中〜上級者向けですが、基本的にどんな調理器具でも載せることができるためグループキャンプでも大活躍です。
直火でお米を炊く場合は火加減を安定させるのが難しいポイント。ガンガンに燃え盛っている強火がいいと思いがちですが、炊飯には中火がベスト。強火になると吹きこぼれや焦げ付きの原因にもなるので、基本中火を保ち適宜薪を追加したり減らしたりして調節しましょう。
▼おすすめの焚き火台はこちら!
キャンプで美味しいお米を食べよう!
知れば知るほど奥が深い炊飯ですが、外で自分で炊いたお米は別格! おこげも自分で炊かないと味わうことはできません。コツを知って、あらかじめしっかりと準備することで失敗も防ぐことができますよ。
炊き方がわかったらあとは炊くだけ。キャンプで美味しいお米を味わってみてくださいね。