冬の車中泊は寒さ対策が重要!
車中泊は野外でのキャンプに比べて気軽に楽しみやすいのがメリットですが、気温が0度を下回るような環境では、車の中の温度もかなり低くなります。
内閣官房内閣広報室が発表している「防災の手引き」では、積雪地域での車中泊や仮眠について「エンジンを切って寝た場合は凍死する危険性もあります」と注意を呼びかけており、寒さ対策をしておくことは非常に重要といえるでしょう。
冬の車内温度は氷点下になる?
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)が実施したテストでは、冬(2月)の夜間に外気温−10.2度という条件下で車内温度を25度まで温めてからエンジンを停止すると、1時間後には車内温度が10度を下回り、3時間以上経過すると氷点下に達するという結果が出ています。
※参考:[Q] 厳冬期のクルマの室内はどのくらい温度が低くなりますか? 冬編 | JAF
上記のテストにおいて、毛布とカイロで寒さ対策をした人、冬山用の寝袋 を使用した人は、寒さを感じつつも朝まで車内で過ごすことができました。
一方で、寒さ対策をまったくしなかった人、エマージェンシーシート(軽くて薄い非常用のアルミ製防寒シート)のみを使用した人は、途中でギブアップするという結果に。冬の車中泊では、万全の装備が必要であることが分かります。
エンジンのつけっぱなしは危険性が高い!
エアコンで体を温めたいからといって、エンジンをつけっぱなしにしたまま車中泊をするのも避けましょう。
ガス欠のリスクがあるだけでなく、国土交通省北陸地方整備局長岡国道事務所のWebサイトに示されているように、降り積もった雪でマフラーがふさがれて排気ガスが車内に入り込んでしまうと、一酸化炭素中毒になる危険性もあります。
※参考:Q12. 駐車時にしなければいけないことは何?|国土交通省北陸地方整備局長岡国道事務所
そのため、冬に車中泊をするのであれば、車のエアコンに頼らなくても夜を乗り切れるように準備を整えておきましょう。
冬の車中泊における寒さ対策5つのポイント
冬の車中泊における寒さ対策のポイントとしては、主に以下の5つが挙げられます。
具体的な注意点やおすすめの寒さ対策グッズを、上記のポイントごとに紹介していきます。
1. 駐車時の場所選びに注意する
寒冷地で車中泊をする場合、サイドブレーキを引いたままにしておくと、凍結して解除できなくなるケースがあります。
AT(オートマ)車であればP(パーキング)、MT(マニュアル)車であれば1速もしくはバックにギアを入れて駐車できるように、平坦な場所を選ぶのがおすすめです。必要に応じてタイヤ止めを活用することも考えましょう。
大自工業 メルテック タイヤストッパー FT-20
RVパークの近くには24時間利用可能なトイレ、100Vの電源供給設備、ゴミ処理設備、入浴施設、食事処などが設けられているため、車中泊初心者であっても快適に過ごしやすいでしょう。
2. 車内に入る冷気を遮断する
車内の温度を下げないようにするためには、車の中に入ってくる冷気をできるだけ遮断するのがポイント。特に防寒対策が必要な場所としては、窓・床・ステップの3箇所が挙げられます。
窓
車窓にシェードやカーテンを取りつけると、冷気を遮断するのに効果的です。断熱効果の高いものを選ぶと良いでしょう。100均で購入した断熱シートを窓に貼ってシェード 代わりにするという方法もあります。
防水仕様のカーフロントカバーを使用すれば、寒さ対策と同時に雪対策ができるのがメリット。ドアミラーに結ぶためのベルトやボンネットに貼りつけるための磁石を用いて、フロントガラスを覆うように取りつけます。
QcoQce カーフロントカバー
床
窓だけでなく、床から入ってくる冷気への対策も必要です。特にシートの上ではなく荷室で寝る場合には、万全の底冷え対策が求められるでしょう。
100均の断熱シートでもある程度の冷気は防ぐことができますが、以下のように厚みのある断熱マット を用意しておくと安心です。
ユーザー 極厚15mmマット1000 U-P930
▼車中泊用マットのおすすめを紹介した記事はこちら!
ステップ
もうひとつ車内で注意したい場所がステップです。断熱シートを使って冷気を遮断する方法もありますが、ダウンジャケット や脱いだ衣類などをビニール袋に詰めてスペースを埋めるだけでも対策は可能です。
3. 保温グッズで体温低下を防ぐ
体温低下を防ぐには、必要に応じて以下のような保温グッズを用意しておくことが大切です。
続いて、各アイテムごとのおすすめ商品を紹介していきます!
寝袋(冬用シュラフ)
車中泊ならテント 泊のときほど防寒性能が高い寝袋は必要ないと感じるかもしれませんが、前述のとおりエンジンを止めて暖房を切った状態で時間が経つと、車内温度は外気温とそれほど変わらない水準まで下がってしまうので、冬用のシュラフ を用意しておきましょう。
一般的な寝袋には、主に人間の体のラインに沿った形の「マミー型」と、長方形の「封筒型」の2種類がありますが、冬の車中泊では保温性に優れたマミー型がおすすめです。
コールマン のエクストリームウェザーマミースリーピングバッグは、比較的手頃な価格帯でありながら−18度まで対応しており、人気が高いアイテムです。
コールマン エクストリームウェザー マミースリーピングバッグ
電気毛布
電気毛布は車中泊でも使い勝手の良い保温グッズです。ポータブル電源 につないで使うほか、USBで給電できるものや、充電して使用可能なものもあります。
DeliToo の電気ブランケットはパソコンやモバイルバッテリーにつないで使えるUSB給電式で、3段階の温度調節やタイマー機能が備えられています。
DeliToo 電気毛布
小型ヒーター
キャンプでの使用が想定されている持ち運び可能な小型ヒーター も、車中泊で活躍するアイテムのひとつ。一般的な家庭用のヒーターほどのパワーがなくても、車内を暖めるには十分でしょう。
レトロな味わいのあるデザインが特徴的なチュダのセラミックファンヒーター は、直火なしですぐに加熱できるPTCセラミック加熱の電熱転化技術を採用。
「自然風モード」「低温風モード」「高温風モード」という3つのモードがあり、スイッチで手軽に調節できます。
チュダ セラミックヒーター
カイロ
冬に役立つ定番の寒さ対策グッズであるカイロ は、首の後ろやお腹、背中、腰などに貼ると効果的に体を温められます。車中泊では、寝袋に入れて使うのもおすすめです。
寝るときに使う場合は、持続時間が長いものを選ぶと良いでしょう。興和の定番商品「ホッカイロ」は、適正温度(40度以上)が14時間続くので、車中泊でも問題なく使用できます。
興和 ホッカイロ 貼る レギュラー 30個入
湯たんぽ
カイロと同じく冬の保温グッズの定番である湯たんぽ は、注水式のもの、電子レンジで温めるものなどさまざまなタイプがあります。一般的な車中泊であれば、充電式の湯たんぽがあると便利でしょう。
Pousutongの充電式湯たんぽは、10分前後の充電で6〜7時間の保温が可能。お湯の入れ替えは不要で、6層構造になっているため水漏れしにくい点も特徴です。
Pousutong 充電式湯たんぽ
フリース
フリース とは、ポリエステルの一種であるPET(ポリエチレンテレフタラート)で作られたやわらかい起毛の生地のこと。保温性と通気性に優れているため、冬に車中泊をする際にはフリース素材のアイテムを持っておくと体を温めるのに役立ちます。
ザ・ノース・フェイス のジップインバーサミッドジャケットは、保温性と動きやすさの両方を考慮して作られたフリースジャケットです。カラーバリエーションが豊富で、タウンユースでも活躍するでしょう。
ザ・ノース・フェイス ジップインバーサミッドジャケット
インナーダウン
ダウンの魅力は、なんといっても保温性の高さ。インナーダウン は持ち運んでもかさばらず、アウターの下に着込むことができる便利なアイテムで、近年はさまざまなアウドドアブランドが薄くて軽い機能的なインナーダウンを発売しています。
モンベル のスペリオダウンラウンドネックジャケットは、フロントがごわつきにくいスナップボタン仕様になっていたり、襟元が丸首タイプになっていたりと、高い保湿性を持ちながらインナーとして着用しやすいデザインに仕立てられています。
モンベル スペリオダウンラウンドネックジャケット
●カラー:全4色
●サイズ:XS〜XL
●ダウン:800フィルパワー
靴下
足元は冷えやすいため、靴下 による防寒対策は重要です。冬の登山にも対応できるような厚手の靴下を用意しておくと安心ですが、それでも足先が寒いと感じたときは、カイロや湯たんぽも活用して保温に努めましょう。
ミズノ のブレスサーモウール極厚ソックスは、ミズノが開発した吸湿発熱素材「ブレスサーモ」とウール素材が使われており、非常に保温性に優れた靴下です。
ミズノ ブレスサーモウール 極厚ソックス
4. 体を温める食事をとる
体を温めるには食事も大切です。例えば、カブやしょうがなどの根菜類は、水分量が少なくビタミンC・E、ミネラルといった栄養素を豊富に含むため、体を温める効果があるとされています。
また、辛味成分として知られるカプサイシンが含まれる料理もおすすめ。農林水産省のWebサイトによれば、カプサイシンは消化管から吸収され血中に入ると、感覚神経から中枢神経系を介して副腎からのアドレナリン分泌を促進し、エネルギー代謝や発汗を促す効果があります。
その他、冬の登山にも対応した保温力を持つサーモス の「山専ボトル」に熱湯を入れて持ち運べば、車の中でカップラーメンやスープなどの温かい食事をとることができるでしょう。
サーモス 山専用ステンレスボトル 900ML
5. 結露対策を考えておく
冬の車中泊で防寒対策と合わせて考えておきたいのが、結露対策です。結露は車内と車外の温度・湿度の差によって生じます。
定期的に換気をする、水滴を拭き取るといった方法でも対処可能ですが、市販の結露対策グッズを活用するとより効果的でしょう。
スリーエスの結露防止剤 は、窓に1度スプレーして乾燥させると、外気温が氷点下の場合でも数日間結露を防止する効果が持続します。
スリーエス 結露防止剤 250ML
車内の保温効果が見込めるのもうれしいポイント。裏面が粘着加工になっているため、簡単に窓に貼ることができます。
コモライフ 窓ガラス 結露防止シート 水貼り
冬の車中泊は魅力もたくさん!
ここまで冬の車中泊における寒さ対策の重要性と、具体的な対策のポイントについて説明してきましたが、もちろんデメリットばかりではありません。
きれいな景色が見られるスポットを巡ったり、スキーやスノーボードといったウインタースポーツに励んだりしながら、冬に車中泊の旅を楽しんでいる人もたくさんいます。
車の中という“自分だけの空間”での過ごし方に工夫をこらしつつ、自由な旅を満喫できるのが車中泊の魅力です。自分に合った快適な車内環境を作ってみましょう。