工程2:ポケットになる素材の端(取り出し口)を処理する
素材が出揃ったところで、ポケットとなる生地(11×14cm)の取り出し口を補強していきます。
小さい生地を手に取り、そして裏返し、長辺一片の端を1cm手前に折ってアイロンで形づけていきます。
今回使用する素材はナイロン製のため、熱で溶けないよう当て布をしてアイロンをかけています。
綺麗に折り目がついたら、同様に、先ほど折り曲げた1cm幅をさらに手前に折り、再度アイロンをかけて折り目をつけていきます。
本返し縫い:ひと針ずつ返しながら針目の間を空けずに縫う手法。表からはミシンの針目のように見える丈夫な縫い方であるのが特徴。
1cm幅に折った取り出し口に、7mm幅のステッチを施していきます。ここでは『本返し縫い』によるステッチを施していますが、家庭用ミシンがある人は『直線縫い』でOKです。
工程3:ドリンクを入れる底部分=マチを作っていく
次はドリンクを入れる底部分にあたる、マチを作っていきます。
先ほど切り取った大きい方の生地(26×14cm)を裏返し、上写真のように中央部分にアイロンで折り目をつけます。
中央に十分な折り目がついたら、今度はその中央から3cmズラした位置に折り目をつけていきます。先ほどの折り目と逆向きに折り目をつけるのがポイントです。
同様に、反対側にも折り目をつけていきます。しっかりとアイロンをかけたら、生地を表に戻して見てください。中央に谷折、その左右3cmの位置に山折の折り線ができているかと思います。
外表:2枚の布を合わせるときに、それぞれの布の表と表を外側にして合わせること。
マチとなる部分に折り目をつけたら、「保冷シート」を『外表』で重ねます。そして、最初につけた中心の折り目に沿って、「保冷シート」ごと『本返し縫い』を施していきます。それが終われば、左隣の折り目も同様に『本返し縫い』を。
右の折り線だけ、まだ縫っていない状態です。
中表:2枚の布を合わせるときに、 それぞれの布の表と表を内側にして合わせること。
この折り目側にはポケットをつけたいので、先ほど用意したポケット生地を『中表』に、縫い代1cm分をズラして重ね、マチ部分と縫い合わせていきます。
縫うときのガイドラインとして、上に重ねたポケット生地に縫い代1cmの折り目(谷折り)をつけておくと、まっすぐ縫うことができます。
縫い付けたら、このような感じになるはずです。めくった状態が最終的なポケットの形を成します。
少しカタチになってきましたね!
工程4:バイアステープで縁取りを施す
バイアステープ:衣服や小物などの裾上げやふちを縫いとるために用いられるもの。
さて、ここからが気合の入れどころ。ドリンクポーチの縁(ふち)を「バイアステープ」で仕上げていきます。
まずは本体のサイドから縁取り。「バイアステープ」は、切りとった端がほつれないように最初に処理をする必要があるので、その分を考え、本体サイド(10cm)よりも少し長めにカットしていきましょう。私は、両端2cmずつ長めに、14cmのバイアステープを2本切り出しました。
カットした「バイアステープ」の端を処理していきます。余分にとった、両端の内側に「裁ほう上手」を塗り付け、本体サイドの長さに合うよう端を処理していきます。
2本とも端の処理した「バイアステープ」がこちら。仕上がりを大きく左右するので、「バイアステープ」の長さは施す箇所の長さにきちんと合わせると◎です。
さて、ここからが「バイアステープ」で縁取り! となるのですが、その前に、上のようにマチの端をあらかじめ「裁ほう上手」で仮止めしておくと後の作業が楽になります。
ボンドを塗りすぎると余計な箇所まで固まってしまうので、ボンドを塗る量は端から5mm程度に収まるように!
「裁ほう上手」を塗った箇所は、手芸クリップで圧着(写真で言うと下2つのクリップ)。
自然乾燥で完全に固まるには24時間必要とのことですが、どちらにせよ「バイアステープ」の上から手縫いを施すので、ここでは30分だけ時間を空けました。
まずは本体右サイドの下面(裏側)から「バイアステープ」を取り付けていきます。ここでも手縫いの補強として「裁ほう上手」を活用。
接着時にボンドがはみ出しさないよう、塗布する量は”多すぎず、少なすぎず”。
上面(表側)も同様に「裁ほう上手」を活用し、「バイアステープ」で縁を包んでいきます。
ボンドで固定されるまでの間、しばしクリップで圧着(30分ほど自然乾燥。同時進行で反対側の本体サイドも「バイアステープ」で縁取っていきます)。
本体の左右に「バイアステープ」を取り付けた状態がこちらになります。
では、次は本体上部を縁取り。同様に「バイアステープ」を2本活用し、ドリンクを入れる口を縁取っていきます。
要領は、基本的に同じ。「裁ほう上手」を塗布して、「バイアステープ」を圧着(30分乾燥)。この作業を繰り返します。
「バイアステープ」を固定できたら、その上を『本返し縫い』でとめていきます。まずは、ドリンクを入れる上部から手縫いをスタート。
「バイアステープ」のギリギリ(2mm幅)を縫うと、見た目も綺麗です!
本体サイドに取り付けた「バイアステープ」にも『本返し縫い』を施していきます。
生地が多く重なる場所は、当然ですが針の通りが悪くなります。少し力技ですがペンチなどを駆使しながら手縫いを攻略してください。
工程5:ポケット部分に両面ファスナーを取り付ける
ここまできたら、あとは細かな作業だけ! まずは、ポケット上部に「両面ファスナー」を取り付けていきます。
表面に見える四角いステッチが不恰好ですが、こちらは後ほど隠すのでOK。
工程6:ストラップを取り付け、ロゴを移植すれば完成!
次は、ストラップを装着する「Dカン」を取り付けていきます。用意するのは、「Dカン」を2つと、5cmの「バイアステープ」を2本。
「バイアステープ」の両端を1cmずつ内側に下り、先述同様”端の処理”を済ませたあと、「Dカン」をこのように中央まで通します。
中央部まで通したらそのギリギリを縫い、「Dカン」を固定します。
あとは、本体に縫い付けるだけ。ポケット面ではない、本体の裏面につけると見栄えがグッと良くなります!
ストラップ(「パラコード」の両端に「ナスカン」を取り付けたもの)を装着し、先ほど「両面ファスナー」を縫い付けた”不恰好なステッチ”上にブランドロゴを移植すれば、ドリンクポーチの完成です!
ドリンクポーチの出来上がり!
制作期間、半日。裁縫初心者の筆者でしたが、実際に作業に要した時間は約5時間ほど。
「ポケットをメッシュにしたらよかった」「バイアステープを緑やピンクにしたら、元のウェアの色味に近づけたのかな」「元のファスナーポケットをうまく活用できたら」など思うところは多々ありますが、まずまずの仕上がりに満足!
350mm缶もすぽっと収まり、吊り下げた状態でもしっかりと安定してくれます。(※首にかけたまま歩くと、当然ですがその振動で飲み物はこぼれてしまうので、その点は注意してください)
セブンイレブンのコーヒー(Lサイズ)もご覧の通り! ドリンクポーチにピッタリ収まります。
手前にあしらったポケットも、お金などを入れられて何かと便利です。
愛着たっぷりのドリンクポーチで、夏ドリンクを携帯してみては?
ぱっと見、「patagonia?!」のドリンクポーチが完成しました。馴染みのあるウェア、さらには半日かけて作ったと言うこともあり、愛着もひとしおです。
今回は、フェスシーズンということもありドリンクポーチを作ってみましたが、アイデア次第では不要なウェアが色々なものへと生まれ変わります。ぜひ皆さんもお試しください!
TEXT&PHOTO&EDIT:GGGC