カーサイドテントって、実際どうなの?
車と連結させて使うカーサイドテント。聞いたことはあるけど、どんなものなのかまでは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
かくいう筆者も一度も使ったことがなかったのですが、このところキャンプ場でもチラホラ見かけるようになりその使い勝手が気になってきました。
定番3種張り比べで、使い勝手を検証!
ということで今回実物を使ってみて、使用感やどんな場面で役に立つかなどを詳しくチェックしてみることに。しかしカーサイドテントと言っても種類は様々ですよね。
カーサイドテント自体のメリット・デメリットはもちろん数ある中での違いも知りたいところなので、しっかり検証するために3つのアイテムと車3台を用意。それぞれに取り付けてみて、オススメの選び方もまとめていきます!
張ってみるのは、定番人気のogawaのアイテム
今回の検証で使用するのは、ラインナップが豊富なogawaのカーサイドテント。大きさや形が異なる下記の3タイプのシェルターを、それぞれ車に設営しながらレビューしていきます。
カーサイドシェルター | カーサイドタープAL-Ⅱ | カーサイドリビングDX-Ⅱ | |
サイズ | 幅285×奥行247×高さ210cm | 幅250×奥行250×高さ220cm | 幅330×奥行320×高さ200cm |
収納時サイズ | 68×18×18cm | 58×13×13cm | 69×17.5×17.5cm |
重量 | 約4.2kg | 約2.3kg | 約5.7kg |
素材 | フライ:ポリエステル75d(耐水圧1,800mm) ポール:6061アルミ合金(φ13.0mm) | フライ:ポリエステル75d(耐水圧1,800mm) メッシュ:ポリエステル ポール:6061アルミ合金(Φ13mm) | フライ:ポリエステル75d(耐水圧1,800mm) メッシュ:ポリエステル 泥よけ:ポリエステル210d ポール:6061アルミ合金(Φ16mm) グラスファイバー(Φ8.5mm) |
付属品 | タープ用吸盤フック2個・アンカーバッグ2袋・ハンマー・スチールピン・収納袋 | タープ用吸盤フック2個・アンカーバッグ2袋・ピン・収納袋 | タープ用吸盤フック2個・ピン・張り綱・ハンマー・収納袋 |
価格 | 37,400円 | 25,300円 | 50,600円 |
ちなみに使う前に思い浮かぶカーサイドテントのメリットといえば、主にこんなところ。
使ったことがない方も、同じような印象をお持ちではないでしょうか? 果たして実際そうなのかどうか、使ってみて検証していきます!
「カーサイドシェルター」を使ってみた
ではまずトヨタのランドクルーザープラド(95プラド)に「カーサイドシェルター」を取り付けていきます。
買う前にチェック!推奨取付車高
カーサイドテントには“メーカー推奨の取付車高”というものがあり、このアイテムは約170〜200cmとなっています。プラドの車高は約185cmなので、推奨範囲内。取り付ける車と適合するかどうか、購入前にしっかり確認しておきましょう。
こちらが全パーツ。フライシートやポールなどテントの内容物と似通っていますが、一部見慣れないパーツもあり全体的に量は少なめ。「カーサイドシェルター」にはハンマーも付いているので、初めての方でも安心です。
今回試す3張の中では、価格的には中間といったところ。サイズ感は「カーサイドリビングDX-Ⅱ」よりひとまわり小さいモデルになりますが、実際はどうでしょうか?
さっそく取り付け開始!
設営方法は基本3つとも同じようなので、ここで詳しく紹介していきます。
まずフライシートを広げて、ポール2本をX字状にスリーブに差し込んでいきます。ポールは上下の区別があり、少しだけ曲がっている方が上側なので間違えないようにご注意を。
それほど複雑な設営方法ではないので、慣れていなくても簡単です。
上側はポケットにIN。この段階ではまだテンションがかかっていないので、抜けないように気をつけながら下側に回ります。
下側はピンをポールに差し込む構造。そこまで固くもなくスムーズに取り付けできました。パーツが少ないこともあり、ポールのセットまではものの2〜3分で終わってしまいます。
そしていよいよ車への取り付けです。まず個人的に気になっていた車に取り付けるパーツは、吸盤! これを車のボディに吸着させ、ピンのところにフライシートを通してネジで固定すれば完了です。
と思いきや、なんとここでトラブル発生!
あれ、付かない……!?
筆者の車はマット塗装という特殊なペイントを施してあるのですが、マット塗装はクリア塗装に比べて表面が凸凹しているため、密着することで機能する吸盤がうまく取り付けられませんでした。いきなり想定外の落とし穴が……。
もちろん通常のクリア塗装であれば問題なく密着します。
今回たまたま手元にフック付きのバンドがあったので、それを使ってルーフレールに引っ掛けて固定。状況によってはそういったことも起こり得るので、万一吸盤が機能しないときは、予備のロープなど何らか対応できるものがあった方が良さそうですね。
DaLaCa ストレッチコード
車への取り付けが終わったら、最後にボトム6ヶ所をペグダウンして完了。初めてなうえトラブルがあったため時間がかかってしまいましたが、扱いに慣れれば15分もあれば設営できそうです。
ちなみに付属品の中には、地面が硬かったり道路などでペグダウンできないときのために使うアンカーバッグというものが2つ。水を入れたペットボトルや石などを入れてポールの先に取り付れば、ペグの代わりになります。
ただ、強風だとバッグごと浮いてしまうこともあり得るので、使用状況によっては注意が必要かもしれません。
メッシュパネルで風通し◎
設営できたところで、キャンプ道具を中に入れて使い心地をチェックしていきます。
移動スペースなども考えると「カーサイドシェルター」ではこのぐらいが適量といったところ。ソロでゆったり使うか、カップルなどのデュオでの使用が良さそうなサイズ感でした。
側面にはメッシュパネルがあるため暑い時期でも風通しが良く、外の景色を楽しめるのも良かったです。
車高2mでかがまなくてOK!
車に近い側の高さは2m以上あり、成人男性でも直立可能。筆者のような中年男性は屈んでいると腰や背中が痛くなるので、身動きを取るときに中腰にならずに済むのは助かります。
巻き上げもフルクローズも可能
両サイドは巻き上げることができるため、天井を残して日除けとして開放的に過ごすこともできます。暑い時期は巻き上げて風通し良く、寒い時期はフルクローズして暖かく、という感じで季節問わず活躍してくれそうですね。
概ね使用感がわかったところで、ここまででちょっと気になったことを挙げてみます。
ルーフレールがあると屋根への設置が難しい
まず気になったのが、車への取り付けについて。さきほど挙げた吸盤もですが、ルーフの形状によっては取り付けが難しくなってしまいそうな印象です。
例えば筆者の車はルーフラックを積んでいるためフラットな屋根側には取り付けできず、設営できるのは側面のみ。
側面に吸盤を取り付けるスペースを確保できない場合はやはりロープなどが必要になるため、その場所があるかどうかは事前によく確認しておいた方が良さそうです。
スカート付きではあるが、冷気は完全には防げない
スカートが付いていますが、車の下は遮るものが無く風や冷気を防ぎにくくなっています。構造的に仕方がないところではありますが、気になる場合は車にそって道具を置くなどすると良いかもしれませんね。
ただ、車から荷物を取り出すためにドアを開けることもありますよね。そうなったとき車側に道具があるとわざわざ動かすことになり、使い勝手が悪くなってしまいそう……。
ドア付近はいつでも開けられるように、スペースを開けておいた方が良さそうですね。
ogawa カーサイドシェルター
商品詳細はこちら
「カーサイドタープAL-Ⅱ」を使ってみた
続いて、「カーサイドタープAL-Ⅱ」をトヨタのRAV-4に取り付けていきます。RAV-4の車高は約170cmで、こちらも推奨範囲内です。
3張のうち最もリーズナブルな「カーサイドタープAL-Ⅱ」。他2つと見比べると一番設営が簡単そうに見えますが、どうなのでしょうか?
シェルターとほぼ同じですが、こちらはハンマーは付属しておらずペグも2本だけ。内容物が少ないため、収納サイズも58x13x13cmととてもコンパクトです。
構造はシェルターと同じで、2本のポールをスリーブに通して上下を固定するだけなので、組み立ては数分で終わりました。
そして今回は吸盤はしっかりと吸着してくれました。正しく固定された状態の吸盤は思いのほか強度が高く、手で動かそうとしても動く気配はまったく無し。これなら安心です!
吸盤を取り付けた後はフライシートを固定します。吸盤を取り付けるとき車のボディが汚れていると強度が下がるだけでなく擦れてボディに細かい傷が付く恐れがあるため、汚れを落としてから作業を行いましょう。
「カーサイドタープタープAL-Ⅱ」は「カーサイドシェルター」と違い、ペグダウンがポール下部の2ヶ所のみ。おかげでシェルターよりさらに簡単に設営することができました!
ミニマムなソロキャンプに良さそうなサイズ感
「カーサイドタープAL-Ⅱ」にもギアを入れて使い勝手を確かめてみました。寸法はシェルターと比べて奥行はほぼ同じですが、幅が約35cm狭くなっています。
やはり幅が狭い分、テーブルを小さくしてもなおチェア2脚は若干収まりきっていない様子。というわけでソロでの使用がジャストサイズといった感じです。
「カーサイドタープAL-Ⅱ」にも大きなメッシュパネルがあり、オープンすれば開放感アップ! 開けた視界で心地良く過ごすことができそうです。
そして一目瞭然ですが「カーサイドタープAL-Ⅱ」にはスカートはもちろんサイドのパネルもありません。
日よけタープとして一時的に使うのが良さそう
このため防寒性は低く文字通りタープ(日除け)としての役割が主で、使えるのは春から秋までの3シーズン限定ということになりそう。デイキャンプなどで短時間だけ使いたい、というときに重宝しそうですね。
ogawa カーサイドタープAL-Ⅱ
商品詳細はこちら
「カーサイドリビングDX-Ⅱ」を使ってみた
最後は前2つと比べてサイズが大きい「カーサイドリビングDX-Ⅱ」。これを車中泊キャンパーなどに人気が高いハイエースに取り付けていきます。広々とした車内との組み合わせで、どのような空間ができあがるのでしょうか?
車高205cmと若干ですが推奨車高を越えているので、取り付け具合についても気になるところです。
ビジュアル的には最も「テント」に近い雰囲気で、安心感がありそう。価格的にも3張の中では一番高額です!
「カーサイドリビングDX-Ⅱ」は他の2つと比べてポールが多めで、アンカーバッグが付属していません。ハンマーと、他のタイプには無かったガイラインが2本付いています。
設営は吊り下げ式
前2つとはポールの構造が少し異なっており、X状ではなくH形になっています。また、スリーブを通すのではなく、ポールは全てフックに引っ掛ける仕様。
サイズが大きくポールも多いので、他の2つと比べて組み立てが大変そうに見えますが、スリーブを通さなくていいため、手間はさほど変わりませんでした。
少し大変だったのは車に取り付けるとき。さすがにルーフの上に手が届かず、足場を使っての取り付け作業。しっかり取り付けるためには足場があった方が良さそうです。
3つの中では一番広い!
まず注目したいのは、やはりその広さ! 「カーサイドシェルター」と比べて幅は45cm、奥行なんと約70cmも拡張されました。無駄にベンチ2脚とチェア2脚を並べてみましたが、キッチリ収まっています。
実際のキャンプ想定だと、例えばファミリーで4〜5人分のチェアの他にラックやクーラーボックスなど、さらには寒い時期だとストーブなども設置できそうですね。
ポール構造が他のタイプと異なり横に張り出しているうえ中央にポールも追加されているおかげで、頭上の空間にもとてもゆとりがあり広々。
メッシュパネルも他2つと比べて大きく、開けると外の景色を充分に堪能できます。細かいですが、ランタンを吊り下げるためのフックがあるのも今っぽくて親切ですね。
スライドドアとの相性がパーフェクト!
と、ここで実は車との組み合わせも重要なポイントだということに気がつきました。そう、スライドドアです! ここまでの2車種のドアは“引き戸”タイプのため開閉時にシェルター内の動線に差し障るという課題がありましたが、スライドドアであればその点まったく問題無し。
もちろん前述の通り通常のドアでも問題なく使えますが、行き来のしやすさなど使い勝手という点ではスライドドアとの組み合わせがオススメです!
もちろん「カーサイドシェルター」同様に両サイドの巻き上げもできるので、暑い時期にも対応可。
車内空間の広さも相まって、大型の2ルームテントのような快適空間のできあがり! 4〜5人の大人数でもゆとりのあるキャンプを楽しめそうです。
ポールがあればシェルター使いもできる
また、「カーサイドリビングDX-Ⅱ」は車に取り付けるだけでなくストレートポール2本を追加して、サンシェードのような使い方もできます。車が乗り入れできないフィールドなど、これひとつで色々なシチュエーションで活躍してくれるのも他の2張にはない大きな特徴です。
設営簡単ながら広々空間という魅力からあまりデメリットが見当たりませんが、あえてあげるならその大きさ故に起こりうる問題でしょうか。
“大きすぎる”と感じる場面があるかもしれない
奥行320cmというのは軽自動車2台分の幅に相当し、大きい車と組み合わせると5m以上になることも。小さめの区画サイトやスペースが無いところでは、設営が困難な場合もあるかもしれません。
ogawa カーサイドリビングDX-Ⅱ
商品詳細はこちら
ロングセラーから新商品までogawaのカーサイドテント3種を張り比べてみましたが、それぞれにメリットやちょっと惜しい点などありましたね。最後に3種の特徴から、こんな人にオススメという選び方をまとめます!
ogawaのカーサイドテント3種の違いまとめ
カーサイドリビングDX-Ⅱ
カーサイドタープAL-Ⅱ
カーサイドシェルター
筆者が選ぶなら「カーサイドリビングDX-Ⅱ」!
筆者の場合、ソロでキャンプに行くことは少なくグループやファミリーなど数人で過ごすことが多め。人数が多くてもしっかり収まれて、なおかつ寒さに強そうな「カーサイドリビングDX-Ⅱ」がいいかな、と感じました。
カーサイドテントと言えどスタイルによってニーズは変わってくるので、このように自分の条件に合わせて選ぶと良いですね。
カーサイドテントは、気軽なキャンプにはアリだった!
サイズや種類によって違いはありますが、そもそもカーサイドテントに共通しているのはテント泊に比べて設営の手間が少ないこと。本気のキャンプではなくまずは車中泊から始めてみたい人や、アクティビティや移動メインで設営は軽めにしたい人など手軽さ重視の方には向いてるかもと感じました。
その上で、季節や人数に合わせて適したものを選んでみるのが良さそうです!