長年愛され続ける名作カーミットチェア
近年のアウトドアブームで多くのチェアが発売され、形や機能がさまざまな方向に進化し続けるなか、アウトドア愛好家たちに長年愛され続けているカーミットチェア。
今回は、その歴史ある不朽の『名作』カーミットチェアの楽しい世界を見ていきましょう!
カーミットチェアの歴史
カーミットチェアは、1984年にBMWバイクの愛好家の一人であるカーミット・イースターリングによって設計されました。
カーミットは、コンパクト・軽量で頑丈なツーリングに向いた椅子として、当時市場に出回っていたギアでは満足できなかったために、折り畳める頑丈な椅子として自作したのが始まりです。
ツーリングキャンプやBMWの集会にその椅子を持って行ったことで、カーミットのチェアはすぐに話題を呼び、バイク愛好家たちの間で一躍有名になりました。
2003年にカーミットは友人のトム・シェリルに一部権利を売却して引退し、トムはアメリカ・テネシー州のナッシュビルエリアに家族経営の会社を設立しました。
そして譲り受けたカーミットチェアの仕様を、国内の高品質基準をクリアできる作りにして販売。現在も世界中にカーミットチェアのファンを増やし続けています。
カーミットチェアのよくある悩み!ナットやロールピンなどの対策
カーミットチェアはカーミットが考案した元のデザインを尊重しているため、現代ならリニューアルされているであろう欠点と言える部分もそのまま残しているところがいくつかあります。
アメリカっぽい大胆さの中にこだわりを感じはするものの、実際に使っていくと不便さを感じるデメリットな部分も。そこにあらかじめ対策をし、些細な悩みを防ぎましょう!
✔︎買ったら真っ先に脚にカバーをつける
カーミットチェアの脚はフレームそのままの木なので、そのまま地面に置いて座るとズブズブっと埋まったり、小石で削れたりと傷だらけになってしまいます。
塗装が割れてしまうとそこから水分が入って木を傷めてしまう原因にもつながるため、購入後は早めにゴムキャップなどでカバーをすることをおすすめします。ゴムキャップはホームセンターなどに売っている24mmサイズがちょうどいいサイズです。
✔︎弓なり部分のロールピンに注意
カーミットチェアには『弓なり』と呼ばれる湾曲したフレームがあり、その両端にピンが付いています。使用を重ねるうちにこのピンが抜けてしまう人が多く、その場で気付かず紛失してしまう人も。
純正のロールピンは5×38mmです。ホームセンターに行くと『平行ピン』と呼ばれるピンが売っているのでそれを代用すれば安価で解決しますが、まずは抜けそうだと気付いたときに接着剤で固定し直すのが一番です。ピンの突出幅は19mmがベスト!
✔︎ナットの紛失を防止
座面と脚部を支えるフレームの後ろ側にダブルナットになっているパーツがあります。このナットを紛失する人が多いのですが、問題はこのナットがはまっているボルトのほうがインチ規格(ウィットねじ4/1-20山)のものだということ。ホームセンターのナットは純正品より少し厚みがあるため、それを2個はめられるほどネジの余白がないのです。
事前にできる対策としては『収縮チューブ』を購入し適当な長さに切ってナットにはめた後、トーチなど熱で炙って締め付けること。チューブは太さ12mmがおすすめです。
✔︎ファブリックのほつれ対策
座面や背もたれの布の裏面を見ると、生地を切りっぱなしの状態が見られます。メーカーとしてはほつれ防止のために熱で切断しているとのことですが、やはり処理が甘いようです。気になる方は手芸店にあるほつれ防止テープなどで保護することをお勧めします。
自分に合うのはどのタイプ?ラインナップを一挙紹介
カーミットチェアカンパニーからは現在複数の形状や素材がリリースされています。そのすべてに共通する加工としては
が挙げられます。そんなカーミットチェアのラインナップを見ていきましょう!
カーミットチェア スタンダード
最も多くの人が使用しているスタンダードタイプのカーミットチェアです。オーク材を使用しているため、経年とともに暗い色へと変色し味を出していきます。
●耐荷重:158kg
●収納サイズ:約11 x 16 x 56cm
●組立サイズ:幅約51 x 奥行54cm × 高さ約61cm
●座面高:約30cm
●重量:約2.5kg
カーミットワイドチェア
カーミットチェアのワイドタイプで、通常のチェアに比べて5cmほど横幅が広く作られているため、ゆったりと座ることができます。木材はオークで高さと奥行きはスタンダードと同じ。
●耐荷重:158kg
●収納サイズ:約11 x 16 x 56cm
●組立サイズ:幅約58 x 奥行54cm× 高さ約61cm
●座面高:約30cm
●重量:約2.8kg
カーミットハイバックチェア
横幅は通常のチェアと同じですが、背もたれが10cmほど高くなっています。収納も10cm長くなりますが、首までもたれかかれる快適性は高そうです。木材はオークで高さと奥行きはスタンダードと同じ。
●耐荷重:158kg
●収納サイズ:約11 x 16 x 67cm
●組立サイズ:幅約51 x 奥行54cm × 高さ約71cm
●座面高:約30cm
●重量:約3kg
カーミットチェア ウォルナット
通常のチェアと同じ寸法で、木材にウォルナット(くるみの木)を使用しています。木材が違うためか、オーク材に比べて耐荷重が45kgほど少なくなっています。ウォルナットははじめは濃い茶色の木ですが、経年とともに表面が色褪せて薄くなっていくのが特徴です。
●耐荷重:113kg
●収納サイズ:約11 x 16 x 56cm
●組立サイズ:幅約51 x 奥行54cm × 高さ約61cm
●座面高:約30cm
●重量:約2.5kg
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イケてるカスタムで愛着アップ!人気のカスタムブランド紹介
レトロでおしゃれなカーミットチェアは長い歴史があるだけに、あとを追うカスタムパーツを販売するブランドも多く出ています。カスタムパーツが多いこともカーミットチェアが人気な理由の一つ!
ふわふわもこもこの座り心地
クッション性高!トータルでレイアウト
圧巻!複数で揃いのコーディネート
上で紹介しているように、カスタムの仕方によって持ち主の個性が大きく表れるため、オリジナルの一脚を作るのも楽しそうです。
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正規カスタムパーツ
カーミットチェアカンパニーがリリースしているカスタムパーツも多種多様です。
✔︎レッグエクステンション
シート高約32cmのカーミットチェアを約43cmまで高くするパーツになります。
滑り止めのゴムで快適な座り心地を維持します。 前脚部に短いエクステンション、後ろ足部に長いエクステンションをご装着して使います。カラーはシルバーとブラックの2色展開。
✔︎カップホルダー
専用のカップホルダーです。スタンダード、ワイド、ハイバックのすべてに装着可能です。
✔︎カーミットチェアバッグ
カーミットチェアとともにレッグエクステンションやテーブルなどのアクセサリー類をまとめて運ぶのに最適なバッグ。ダブルプルジッパーでスムーズな開閉と取出しが行え、バッグのボトムには調整可能なショルダーストラップを備えた2WAY仕様。ループも備えられバイクなどへの固定も容易に行えます。
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ファブリックをカスタム!張り方を解説
チェアの座り心地を左右するのがファブリック。実際にカーミットチェアを使用した人の中では、値段のわりに純正品の座り心地が悪くて驚いたという人も……。そこで多くのブランドから張り替え用のファブリックがリリースされています。
まずはファブリックの張り替え手順を紹介します。
②弓なりをはずす。
③付いているファブリックをはずす。
④新しいファブリックを付ける。
⑤ネジを戻す。
⑥弓なりをはめる。
個人でのファブリック張り替えによる不具合はメーカーの保証対象外になるため、あくまで自己責任で行いましょう。
アクセサリーで快適性をアップ!ノビタを筆頭に可能性は無限
カーミットチェアはファブリックを変えることで座り心地は向上するものの、お尻が後ろに滑り落ちるような座面の角度によって立ち上がりづらさを感じているユーザーもいるようです。
そこで後ろ脚の長さを伸ばし、座面を地面と平行に近づけることでさらに快適性を増すアイテムがあります。ユーザーの姿勢に合ったサイズを接続できるので自分にぴったりな座り心地を作ることができます。
他にもカーミットチェアをカスタムするパーツとして、肘置きやテーブル、ドリンクホルダーなどいくつかのアクセサリーが存在します。その中でも特に入手困難な人気ブランドをいくつか紹介します!
✔︎OLD MOUNTAIN(オールドマウンテン)
こだわり抜いた上質な素材と機能性、絶大な存在感を放つデザインで日本に古くからある伝統と芸術を生かし、現代でしか作れない一生モノのギアを作っている島根県出雲市発のブランド。
ラクダの皮を使用した『RAKUDA』やハーフレザージャケットの『HANRAKU』をはじめ、伝統のある中東の祭りでラクダに入れる紋様とオルテガ紋様をモチーフにしたオリジナルデザインの『GARAKUDA』などのファブリックは絶大な存在感を放っています。
ファブリックのほか、カーミットチェアの細めのフレームによる肘置きを太く快適にしてくれる『HIJIRAKU』や純正のアルミ製パーツを真鍮に変えて高級感を増す『BRASS』など、すべてのアイテムがオンラインサイトでは発売ごとに数分で完売してしまうほどの人気ぶり!
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✔︎NATURAL MOUNTAIN MONKYS (ナチュラルマウンテンモンキーズ)
東京都の渋谷区に本拠地を置くガレージブランド。エグゼクティブキャンプマイスターとしてタレントのヒロミさん、公式アンバサダーに俳優の城田優さんを任命しており『ナチュモン』の愛称で知られています。
脚の高さを調節できる『NOVITA』や背面を高くする『UENINOVITA』のほか、バリスティクスとのコラボでリリースした『マイスターシート』『サイドボックス』は多くのファンがいます。
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✔︎BALLISTICS(バリスティクス)
ミリタリー、モーターサイクルのカルチャーをベースにしたアウトドアファニチャーを発信するブランド。
先述のマイスターシートやNOVITAのほか、地面の冷気から底冷えを防ぐ『CHAIR QUILT』はチェアの背面につけることで断熱の空気層を踏み潰すことなく使用できる優れものです。
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✔︎DEVICE WORKS (デバイスワークス)
横浜のデザイン会社が立ち上げたキャンプギアブランドで、エッジの効いたデザインでギアに絶大な存在感を演出することで人気なのがデバイスワークス。
さまざまなブランドとのコラボ商品を製作しており、発売のたびに話題を呼んでいます。
PINO WORKSとコラボしたカーミットチェア用張り替えレザー『SANDANBARA』はミッドセンチュリー家具を彷彿とさせるデザインで、キャンプでの使用だけでなく自宅のリビングにも置きたくなるような見た目に。また経年による皮の変化も楽しめます。
また、OLD MOUNTAINとコラボしたファブリック『GARAWARU』や肘置きの『HIJIWARU』はカーミットチェアに最高のWARUオーラを纏わせています。
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✔︎NATAL DESIGN (ネイタルデザイン)
さまざまなブランドとコラボしたり、アウトドアライクなファッションを展開している東京発の人気アパレルブランド。
バッグに使用しているネイタルオリジナルデザインの1000Dナイロン生地を本場カーミット社の工場に持ち込んで生産しているオリジナルのカーミットチェアを販売しています。
カモ柄やレトロストライプなど、バッグでも好評なデザインはチェアでも多くのファンを魅了しています。現在は品切れ状態が続いており入手は困難。手に入れることができればお気に入りの一脚になること間違いなし!
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こんな個性の出し方も!
ここまではパーツを取り付けたり、交換することでカスタムする方法を紹介しましたが、カーミットチェアに限らず既製品をそのまま強烈にカスタムすることができるブランドがあります。
✔︎GRIND LODGE(グラインドロッジ)
正式名称をGRIND LODGE GARAGE PROJECTというこのブランドは、もともとガレージで木・鉄・コンクリートを組み合わせてスケートボードセクションを作り上げていたのが始まりです。
現在のこのプロジェクトの主な活動として『生刷会』と称し、既存のギアに独自のデザインをシルクスクリーンでペイントすることで存在感の強いギアへと変貌させるイベントを行っています。海外にも活動を広げ幅広くファンを増やしています。
カーミットチェアと比較!似ている人気チェア3選
カーミットチェアは人気があるものの、値段が高いことやパーツの不具合による扱いづらさなどから、他社製のチェアを選択するユーザーもいます。ではカーミットチェアと他社製の同じような見た目のチェアとではどのような違いがあるのかを比較してみます。
ハイランダー ウッドフレームチェア
ナチュラムのオリジナルブランドであるハイランダーのウッドフレームチェアはサイズや形状がほとんど同じですが、木材の違いや肘置き部分の作りが簡素な金属フレームになっている分、耐荷重がカーミットチェア に比べて約半分の80kgです。
あまり頑丈な作りとは言えませんが、価格が1万円を切っているのは手を出しやすく大きな利点です。
ハイランダー ウッドフレームチェア(新仕様)
カーミットチェア | ウッドフレームチェア | |
展開サイズ | 約51×53×61cm | 約55×53×63(h)cm |
座面の高さ | 約30cm | 約32cm |
収納サイズ | 約56×16×11cm | 約57×13×11(h)cm |
重量 | 約2.5kg | 約3.3kg |
耐荷重 | 約158kg | 約80kg |
生地 | 1000デニールナイロン | コットン |
フレーム材質 | オーク、アルミ、スチール | ブナ、アルミ、スチール |
価格 | 31,900円 | 9,080円 |
キャンプオンパレード コンダクターズチェア
カーミットチェアを原型にアジアの人の体格に合わせて改良を加えたのがコンダクターズチェア。現在カーミットチェア用に各ブランドから販売されているファブリックも、そのまま使用できるように設計されています。
現在はワイドやハイバックなどサイズ変更、ファブリック素材や色の指定などオプションで一脚ずつオーダーによる受注生産対応をしており、韓国製から日本製になりました。価格は34,000円からと少々お高め。
カーミットチェア | コンダクターズチェア(ロー) | |
展開サイズ | 約51×53×61cm | 約47×30×67(h)cm |
座面の高さ | 約30cm | 34cm |
収納サイズ | 約56×16×11cm | 約65×20×15cm ※袋付属なし |
重量 | 約2.5kg | 約2.7kg |
耐荷重 | 約158kg | 約150kg |
生地 | 1000デニールナイロン | 帆布もしくは革(+12000円) |
フレーム材質 | オーク、アルミ、スチール | ウォルナット、アルミ、真鍮 |
価格 | 31,900円 | 34,000円〜オプションにより変動 |
コンダクターズチェアがきになる方はこちらから
フィールドア クラシックチェア
FIELDOOR(フィールドア)からも組立・分解できるチェアがリリースされました。価格は驚きの7,040円! 二脚セットでの販売では一脚あたり6,490円と驚異の価格設定になっています。
気になるスペックですが、寸法に大きな違いは見られず耐荷重も100kgと安心感があります。収納サイズもコンパクトですが、カーミットチェアに比べて約1.15kgほど重量が増えるためツーリングやハイキングなど荷物を軽量にしたい場合に気になる点。
他のサイズ展開はワイド、ハイバックに加えて子供に合わせたサイズのミニがあります。
フィールドア クラシックチェア
カーミットチェア | クラシックチェア | |
展開サイズ | 約51×53×61(h)cm | 約54.5×61×66(h)cm |
座面の高さ | 約30cm | 約31cm |
収納サイズ | 約56×16×11cm | 約63×15×12cm |
重量 | 約2.5kg | 約3.65kg |
耐荷重 | 約158kg | 約100kg |
生地 | 1000デニールナイロン | コットン |
フレーム材質 | オーク、アルミ、スチール | ブナ、アルミ、スチール |
価格 | 31,900円 | 7,040円 |
今回は分解してコンパクトに持ち運びができるチェアを三つ紹介しましたが、分解できないものであれば同じような形のリーズナブルなチェアはさらにたくさん存在します。積載量にゆとりのある方はそちらの購入も視野に入れてみても良いかもしれません。
自作や個人輸入の実態は?
先述の比較のとおりカーミットチェアは魅力のあるアイテムではあるものの、安いとは言えません。そのため自作や個人輸入で少しでも安くしようと考える方もいます。
個人輸入は可能?
輸入するものによりますが、商品の個人輸入では『個人通関』という分類で手続きが免除されたり、合計商品代金に対する課税が安くなるといったメリットがある反面、外国語でのやり取りや商品探しが必要で難易度が上がるというデメリットもあります。また、円安や円高などの情勢によっても購入金額が大きく変動します。
カーミットチェアに関しては日本との取引実績も多いため、Kermit社のホームページから購入手続きをすれば比較的安全に個人輸入ができている方も多いようですが、あくまで自己責任での取引となることを承知の上でおこなう必要があります。
カーミットチェアの自作は難しい?
自作についてはインターネット検索すると多くの図面が公開されているようですが、椅子には耐荷重と呼ばれる強度目安があり、安い木材や金属を使うほど強度が下がります。
また、木目に対して切断する方向が違うだけでも強度は変わります。安く材料を購入したとしても、寸法が合わずに作り直したり、故障による作り直しでかえってお金がかかってしまうということがないようにしましょう。
お気に入りの一脚を育ててキャンプに連れて行こう!
カーミットチェアはアメリカで生まれ、世界中の多くのキャンパーを虜にし続けている名作チェアだということがおわかりいただけたでしょうか。自分なりの色を出せるカスタムパーツを探して、キャンプを重ねるごとに味が深まるような、最高の一脚を育ててみてはいかがでしょうか!