記事中画像撮影:筆者
※テント内での火気使用は、メーカー推奨の使用法にならって正しくお使いください。また幕内で火器を使用する際は自己責任となります。もし使用する際は換気を十分おこない、一酸化炭素報知器を必ず使用しましょう。
「暖かさを楽しむ」のが醍醐味のオヤジ流冬キャンプ
著者は冬キャンプが大好きです。と言っても、寒いのはむしろ苦手。
焚き火だけで暖をとって夜空を見上げる……という感じではなく、暖かいテントの中にさっさと引き籠って秘密基地感を楽しむというタイプです。
キャンプを始めた頃は、それこそ「焚き火に湯たんぽだけ」というような根性任せのキャンプもしていたときが。ですが、これだとキャンプに行くハードルがかなり上がってしまいます。
結果、キャンプの年数を重ねた今では、寒さ対策が非常に充実。むしろ、「極寒の中、いかに暖まるか」が冬キャンプの醍醐味となってきました。
寒さ対策ギア選びのポイントは2つ!
そんな筆者の、冬キャンプの一軍たる寒さ対策ギアの傾向は、大きく二極化してきました。
暖かいことは大前提としつつ、「設営や取り扱いは大変だが、雰囲気含めて楽しめるギア」と「手軽ですぐに暖まれる実用性重視のギア」に。
言い換えると、「面倒だがエモいギア」と「とにかく手軽なギア」の二極ということです。
筆者にとってはどちらも不可欠な冬の一軍ギアたちですが、今回はこの2つのポイントにフォーカスしつつ、その魅力について、筆者の独断と偏見による★評価(5段階)と共に詳しくご紹介します!
オヤジの一軍冬キャンプギア6選
1|これがないと始まらない!
テンマクデザイン「ウッドストーブM」
- エモさ:★★★★★
- 手軽さ:★
ぶっちゃけ「薪ストーブをやりに冬キャンプに行っている」と言っても過言ではないほど、薪ストーブ好きの筆者。毎シーズン10回以上使っているエース的存在のギアです。
このアイテムは、ステンレスを中心とした建材の輸出から薪ストーブ事業まで手がける「ウィンナーウェル」とのコラボ品。本体は、錆びにくく耐久性のいいステンレス304を採用されています。
利用可能な薪の長さが最大36cm程度と、市販の薪を切ったり割ったりする手間がないのも利点のひとつ。
著者の場合、16時ぐらいに火を入れだして就寝直前まで、一晩で薪を20~30kgは燃やすので、このサイズ感と耐久性の良さが重要なんです。
また「ウッドストーブM」は調理にも最適。天板の蓋をとれば、直火調理にも対応できます。
筆者は、ウィンナーウェルから販売されていた「折りたたみ式オーブン」を追加で購入し、ピザやグラタンを作ることも。
他にも常に熱いお湯が使えて便利な「ウォータータンク」など純正オプションが豊富なのも魅力。
また煙突や本体、オプション類も含め別売りの収納バッグに全て納まるので、持ち運びもしやすいです。
ただし、こちら現在は廃盤に。「ウッドストーブ M」の魅力を継承しつつ、サイドにもガラス窓付きの「新ウッドストーブ サイドビュー Mサイズ」が販売中なので、気になる方はぜひこちらをチェックしてみてください。
テンマクデザイン 新ウッドストーブ サイドビュー Mサイズ ケース付き2点セット
使用サイズ | 約570×526×2,230(高)mm |
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収納サイズ | ケース収納サイズ:約695×300×310(高)mm |
煙突径 | ∅76mm |
重量 | 約11.54kg(本体/約10.32kg、ケース/約1.22kg) |
付属品 | ロストル、ダンパー付き煙突、直煙突×4、スパークアレスター、リフター、収納ケース |
使用可能薪サイズ | 長さ33cmまで |
2|小ぶりだけど頼れる暖かさ
「フジカハイペット(J2R型)」
- エモさ:★★★★
- 手軽さ:★★★
「フジカハイペット」は国産の灯油ストーブ。白と黒という2色のカラー展開に加え、反射板や整流リングなどのオプションの有無でモデルが変わります。
著者所有のモデルは、反射板のついた「J2R型」です。反射板があると熱の広がり方が一方向にまとまって温度が上がりやすく、正面を素早く温めてくれます。
画像中央の白いケースがフジカハイペット
しかも、特殊構造のタンクのため灯油が漏れにくく、サイズも310×310×432mm、重量5.6kgと小ぶりなので、積載にも優しいです。(ただし、灯油を入れた状態での運搬はメーカー非推奨のため自己責任です。ご注意ください)
自動消火安全装置もついており、文字通り最強の灯油ストーブと言えると思います。
灯油ストーブの良さは、燃料さえ入れておけばライター1つですぐに着火できること。キャンプの朝なども起きてすぐ着火でき、薪ストーブの扱いが苦手な妻も手軽に使えて重宝しています。
灯油タンクは容量3.6Lと小ぶりながら、一応10時間程度は持つようですが、夜中まで使用するなら途中で燃料補給が必要です。
また、灯油の炎には薪ストーブはまた違う趣きがあり、なかなかエモさも感じられます。火力は調理用としては弱め。なので、時間をかけた煮込みや焼き芋などが定番です。
撮影:野口理加
魅力のつまった「フジカハイペット」ですが、電話注文と代引き支払いのみという昔ながらの販売方法かつ、その人気ゆえ入手はなかなかに困難。
著者が購入した2019年当時で半年待ちぐらい、その後1年以上になり、今は生産自体が不定期のよう……。とはいえ、待ってでも買うべき価値のあるストーブです。
▼「フジカハイペット」の詳細はこちら
3|就寝時も自宅より快適に!
NANGA「ダウンシュラフ ダウンバック 1100 STD」
- エモさ:★★★
- 手軽さ:★★★
「冬用」を謳うシュラフは多数ありますが、中には適温表示と実情がマッチしないアイテムも。かくいう筆者も、そうしたシュラフで死ぬかと思うほど寒い夜を過ごした経験が。
で、結局たどり着いたのはNANGA「ダウンパック1100 STD」です。羽毛量は1100gも入っているという厳冬期対応モデル。
触ると分かる別格のフカフカさ。就寝時の安心感がたまりません。
カタログスペックとしては、快適使用温度:-18℃~/使用可能限界温度:-35℃と、高山や極地でも使えるレベルのものです。
言ってみれば羽毛布団ですね。そこまで冷えない、気温が5度くらいの夜でも快適です。冬テント泊なら、暑すぎることはまずないでしょう。自宅のフトンより快適に眠れると思います。
画像左:NANGA「ダウンパック 750STD」」/画像右:NANGA「ダウンパック 1100STD」
一般的に、ダウンシュラフはコンパクトに収納できますが、流石に1100クラスになると収納サイズはやや大きめ。NANGA「ダウンパック 750STD」と比較すると明らかにでかいです……。
それゆえ、付属の収納バッグへしまうのもなかなかの手間で、力のない人だと収納できない可能性も。それでも、寝心地が良すぎて朝起きられない幸せは、このシュラフでしか味わえません。
4|いつでもスイッチ1つで即暖かい
ポータブル電源+電気毛布+ヒートクッション
- エモさ:★
- 手軽さ:★★★★★
たとえ夜中でも風雨が強くても安全に使え、朝もスイッチ1つであっという間に暖かい。電気を暖房に使うメリットはそうした点です。
我が家では、ポータブル電源はBLUETTI「EB150」を使用しています。
筆者の息子は寝袋が苦手なので、BLUETTI「EB150」に複数の電気毛布を繋いでそれにくるまって就寝しています。かなり暖かいそうです。
1500whという大容量なので、1泊程度なら、まず充電切れを気にする必要がないのも魅力です。
その分、重量17.2kgの迫力がすごいですが(腰にメチャきます)、ファミリーキャンプでは手放せない存在ですね。
ただ、ソロキャンプに重たすぎるポータブル電源を持って行くのは、かなり面倒……。そこで役に立つのが、モバイルバッテリーで簡単に動く系の暖房。
筆者が重宝しているのは、LOGOS「ヒートユニットチェアカバー」です。座面から背面まですぐ温まり、チェアから動けなくなる心地良さ。
最後にもう1つ。ノーブランドの電気毛布です。ジッパー付きでポンチョのように着られるタイプで、ポケット内でモバイルバッテリーを繋げられます。
スイッチ1つですぐホカホカなこの2つは、最高に便利。朝などはこれだけで十分……というか、実のところ、夜も含めて冬キャンプはこれらで十分暖かく過ごせるんです。
だけど、どうしてもエモさが皆無なので、使うのは朝だけにしています。ともかく手軽に冬キャンプをやってみたい、という人には全力でおすすめします。
5|足元も暖かく快適に!
SUBU「NANNEN」スリッポン
- エモさ:★★
手軽さ:★★★★★
いくらストーブをつけても、どうしても寒いのが足元。かといって分厚い靴やブーツでは、足が蒸れるし窮屈で、心からリラックスできません。
そんなときに防寒用スリッポンがあれば、適度な通気性がありつつ暖かく快適です。
著者が愛用しているのは、SUBUの「NANNEN」。キルティング加工された表地は、名前の通り難燃仕様で、焚き火や薪ストーブの近くでもかなり安心感があるモデル。
出典:SUBU
内部は全面起毛加工でダウンのように暖か。裸足でも気持ちよく、それなりに高さのあるソールなので、多少の雨が降っても中に水が入りにくいのもポイント。
就寝時にトイレに行く際なども、するっと履けて便利です。設営後にサッと履き替えたときのリラックス感たるや、もはや足だけ自宅にいる感覚です。
SUBU NANNEN
サイズ | 20.0〜31.5cm |
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材質 | 素材:アッパー/ポリエステル、インソール/ポリエステル(起毛加工)、ソール/合成ゴム |
カラー | BLACK、NAVY、KHAKI、COYOTE、ORANGE、Day BOTANICAL、Night BOTANICAL |
6|手先を温めるのに便利!
「ハクキンカイロ」
- エモさ:★★★
- 手軽さ:★★
最後は、プラチナの化学反応で高温になる「ハクキンカイロ」。発売開始から100年というクラシックなアイテムです。
著者はこれのスタンダードサイズとミニサイズの2つを使っています。保温時間はスタンダードで最大約24時間、ミニで最大約18時間の差があります。
燃料となるベンジンを、付属の専用漏斗(ろうと)で注ぎ、口の部分をライターなどで炙るひと手間は、ある種儀式のよう。その味わいと見た目の渋さ、ほのかに香るベンジンのニオイが、愛用し続ける理由です。
使い捨てカイロよりも高温にはなりますが、カバーもしっかり付属。全身を温められるサイズではないので、設営や撤収などの場面で、かじかんだ指先をこまめに温めるのに活用しています。
ハクキン ハクキンカイロ スタンダード
サイズ | 幅80×奥行22×高さ150mm |
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材質 | カイロ本体/真鍮、火口/プラチナ・ガラス繊維、中綿/脱脂綿 |
点火 | ライター・マッチ点火タイプ |
保温時間 | 専用カップ1杯の燃料(ベンジン)で約12時間、2杯で約24時間保温 |
ハクキン ハクキンカイロ ミニ
サイズ | 幅80×奥行20×高さ125mm |
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材質 | カイロ本体/真鍮、火口/プラチナ・ガラス繊維、中綿/脱脂綿 |
点火 | ライター・マッチ点火タイプ |
保温時間 | 専用カップ1杯半の燃料(ベンジン)で約18時間保温 |
こだわりの一軍ギアで、とことん快適に冬キャンプを謳歌!
寒い中焚き火だけで頑張るのが冬キャンプではありません。エモさを追求するも良し、手軽に温まるも良し、さまざまなスタイルがあっていいと思います。
一時期冬キャンプがブームになりましたが、最近はまたやる人が大分少なくなってきた気がします。毎回家族みんなで寒さ我慢大会のようでは大変ですし、これも当然かなと感じます。
寒さに懲りたという人も、しっかり寒さ対策ギアを完備すれば、お籠もりスタイルでもキャンプは楽しめるはず。
あなたもぜひ、こだわりの一軍冬キャンプギアを見つけて、新たな冬キャンプの面白さを発見してみては?