キャンプにも防災にも役立つオムニ石油バーナー
オムニ石油バーナー(以下略:オムニバーナー )は調理用バーナーで、ガスコンロなどと比べて断然火力が強いと評判!
大きな鍋で大量の食材を一気に調理でき、別売りのストーブホヤを使えば屋外で暖を取る手段にもなるため、アウトドアだけでなく震災などでも活躍してきました。
輸入販売元によると陸上自衛隊中部方面隊でも使用されているそうで、そのスペックの高さからキャンパーの注目も集めている人気商品です。
今回実物を入手したので、火力や使い勝手、そして気になるポイントまで、実際のところをレビューでお伝えします!
オムニバーナーは3サイズ展開
レビューの前に、まずはオムニバーナーの基本情報から。基盤となるオムニバーナーは、写真の3つのサイズを展開しており、大きくなるほど出力火力がアップします。
型式 | SI-55 | SI-56 | SI-57 |
種類 | 屋外用石油気化式バーナー(加圧式) | ||
点火方式 | プレヒートタイプ(カセットガストーチ) | ||
使用燃料 | 白灯油(JIS1号灯油) | ||
燃料消費 | 0.6〜0.9L/時間 | 0.5〜0.8L/時間 | 0.2〜0.6L/時間 |
コンロ効率 | 40.4% | 40.4% | 46.3% |
出力(kcal/h) | 6,700〜11,000 | 6,100〜8,000 | 1,500〜6,500 |
油タンク容量 | 20L | 12L | 7L |
燃焼継続時間 | 17〜26時間 | 12〜20時間 | 11〜30時間 |
外形寸法(cm) | H48.5×W50 | H43×W49 | H36×W38 |
重量 | 23kg | 15kg | 10kg |
バーナー直径 | 125mm | 125mm | 88mm |
サービス品 | カセットトーチ 1個 |
オムニ石油バーナー SI-55(大)
オムニ石油バーナー SI-56(中)
オムニ石油バーナー SI-57(小)
キャンパーには、一番持ち運びやすい小さいサイズ「SI-57」が人気! 小さいと言えど「SI-57」の出力は最大6,500kcal/h。一般的なカセットこんろの出力が、だいたい2,500kcal/h程度なので、そのハイパワーさが伝わるかと思います。
別売りオプション追加で使用シーンの幅が広がる!
オムニバーナーは単体だと調理用のバーナーですが、別売のオプションでストーブホヤというものがあります。
バーナーの熱でホヤが暖められ、周囲に熱が放出される仕組み。輸入販売元のサイトでは、バーナーとストーブホヤのセット販売もあり、アウトドアでは暖房器具として使うことが多いのでセット購入する場合が多いようです。
オムニ石油バーナー オプション品 ストーブホヤ(SI-57用)
オムニ石油バーナー オプション品 ストーブホヤ(SI-55・SI-56用)
見た目にこだわるなら、別注モデル・オプション塗装を!
またキャンプでの需要の高まりとともに、オリジナル塗装を施した別注モデルもアウトドアショップから販売されています。
Orange別注カラー
オリーブドラブやゴールドなどカラー展開が豊富なアウトドアショップ・orangeの別注バージョン。ホヤとセットで販売されています。人気カラーはシーズン前に売り切れるので早めのチェックを!
製品の詳細はこちら
オプションで塗装も。「陸上自衛隊の艶消し塗装」
輸入販売元のサイトでは、追加料金を払うとマットなオリーブドラブカラーへ塗装してくれるサービスもあります。小サイズの「SI-57」の場合、プラス2,200円。
実際に陸上自衛隊中部方面隊に採用されているカラーということで、ミリタリーファンにとっては嬉しいサービス。落ち着いたカラーでキャンプ道具との相性も抜群なため、気になる方は利用するのもいいですね。
オムニバーナーを使ってみた
点火方法は?
では、ここから実戦へ。オムニバーナーの各部の名称と点火方法を紹介します。
加圧式のランタンなどと同じでポンピングや予熱などの工程があり、ワンタッチで点火できるガスバーナーと比べると、若干手間がかかります。
①給油、加圧する
まずは給油口を開けて、灯油を注ぎます。給油口が広く、太めのホースなどもそのまま差し込めるので注ぎやすいですね。
圧縮ポンプを戻した時に灯油が溢れてしまわないよう、給油は8割程度までにしておかないといけないようです。
目盛りで給油量が一目瞭然なので安心! 筆者が所有している「武井バーナー」や一般的な灯油ランタンには目盛りが無いため、たまに入れすぎて溢れてしまうことがあるんですよね。その点オムニバーナーは親切設計です。
次の作業に移る前に「元バルブ」「火力調整バルブ」がしっかり締まっているか確認を!
圧縮ポンプを戻し、しっかり締めたら15〜20回ほどポンピング。
正直「ここの作業が大変だろうな……」と構えていたのですが、ハンドルが握りやすく、回数もそれほど多くないので、拍子抜けするほど簡単に点火準備が完了しました。
②ガストーチで予熱する
続いて、ガストーチで予熱を行います。ガストーチは付属しているので、別途購入の必要はありませんが、今回は筆者私物のトーチを使っています。
写真のように燃料を気化するためのジェネレーターに炎を当てて、およそ1分ほど予熱します。
予熱が不十分だとうまく点かなかったり、灯油が気化せずに、写真のように「炎上」と言われる炎が大きく立ち上がる状態になって危険。
寒いときや風が強いときはジェネレーターがあたたまりにくいので、特に長めにしっかりと予熱を行いましょう。
③点火
ジェネレーターが充分にあたたまったら元バルブを少し開放。開くときは反時計回りです。
続いてトーチの炎を当てながら、ゆっくりと火力調節バルブを開くとバーナーから炎が出始めます。
今回使用したオムニバーナーはすんなり着火しましたが、個体差によってうまく点かないこともあるようです。予熱時間を調整したりしてコツを掴んでいくと、スムーズに点けられるようになります。
④火力調節
点火後しばらくは炎が不安定で、赤い炎が出たり弱くなったりするので、火力調節バルブを動かして、炎が安定するところを探します。
落ち着いた状態の綺麗な青い炎。ここまでくれば、あとはもう安定して稼働してくれます。五徳をのせて調理するもよし、オプションの「ストーブホヤ」をつけて暖をとるのもいいですよ。
オムニバーナーを使ってみて「ココが良かった」
ここからは、実際にキャンプでオムニバーナーを使ってみて、良かったなと感じた点を挙げていきます。
大量の調理を難なくこなせる!
大火力と謳われて
いるだけあって、その点に関しては疑いようがありませんでした。最低気温が氷点下になる真冬のグループキャンプで、大量の豚汁作りに挑戦!
12インチのダッチオーブンにヒタヒタになるほどの大量の食材でしたが、全く問題なく一気に調理完了。お陰で二日目の朝も、一晩寝かせた良く味が染みた豚汁を味わうことができました。
ちなみに筆者は大型ダッチオーブンを使用しましたが、「SI-57」で使用できる鍋の最小直径サイズは10cmなので小さなクッカーでも対応可能です。
しっかり暖かい熱量
調理が終わった後は、そのままストーブホヤを載せれば、暖を取るためのストーブに早変わり! バーナーとしての火力が強いこともあり、ストーブとしてもしっかりと暖かさを感じることができました。
「SI-57」の最大出力は前述したとおり6,500kcal/h。ちなみに暖かさをイメージしやすいようお伝えすると、目安として寒冷地の木造住宅8畳の部屋を暖めるのに必要な暖房能力の目安は3.1kWとされています(引用:日本ガス石油機器工業会)。
1kW=860kcal/hのため、3.1kWをkcal/hに換算するとおよそ2,666kcal/hということに。これはあくまで屋内の参考数値ですが、優に超えるオムニバーナーなのでアウトドアでの暖かさもお墨付きです。
燃料が灯油で経済的
ガソリンスタンドで買うことができる灯油は、ストックが無くてもキャンプに行く途中で補充できてとても手軽。さらに、「SI-57」のタンクを満タン状態(およそ5ℓ)にしても約500円で10時間使用できます。
薪やガスなど他の燃料と比べてかなりコスパが良いので重宝しますね!
オムニバーナーの気になったところ
続いて、気になった点もチェックしていきましょう。
点火に手間がかかる
一般的な灯油ストーブやガスバーナーであれば、バルブやノズルを開いて点火装置で点火するだけ。オムニバーナーは、寒さに耐えながら予熱などいくつかの工程をこなさなければなりません。
この工程をキャンプの醍醐味と感じるか、手間ととるかは好みが分かれそうです。
大きくて重い
参考までに石油ストーブの定番「レインボーストーブ」と並べてみました。圧縮ポンプも含めると、高さも幅もレインボーストーブを上回っていますね。
さらに乾燥重量を比べるとレインボーストーブが約6kgに対し、オムニバーナーはバーナーだけで約10kgと倍近い重さ。運搬には力が必要です。
音が大きい
加圧式の器具に共通するのが、圧縮した空気が噴き出す「コーッ」という独特の燃焼音。それもワイルドで味のひとつではありますが、バーナーの出力が大きいからか、そこそこ大きな燃焼音が常に鳴っているのが若干気になりました。
静かなキャンプサイトでは、夜の就寝時間になる前に消したりと周囲に気配りをして使いたいアイテムです。
使用中に移動しにくい
キャンプでよく使われるモデルの「SI-57」は、吊り手はありますがストーブホヤを載せると相互に干渉して使えなくなってしまいます。
ホヤを外せば使えますが、バーナーの炎が持ち手に当たるので現実的ではありません。 使用中に移動する際は充分に気をつけましょう。
オムニバーナーにおすすめの収納ケース
最後にキャンプで使う以上、車への積載は避けて通れません。オムニバーナーに付属のケースはないため、サイズ適応する収納ケースを自身で探す必要が。
筆者おすすめのオムニバーナー「SI-57」収納にベストなケースは、バリスティクスのストーブボックス。
ストーブホヤを付けた状態でジャストサイズで、突き出しているポンプは取り外して縦に収納できるという気が利いた設計になっているので、気になる方はこちらもチェックを!
バリスティクス ストーブボックス
何かと手がかかるけど火力の強さは間違いないオムニバーナー
積載の負担が大きくて点火に手間がかかるなど、正直なところキャンプ用のバーナーとしてはデメリットも目につくオムニバーナー。
ただ、そのデメリットを越えた先にある火力と暖かさは本物でした。冬場は寒さの影響でガス系の調理器具が充分に稼働しないこともあるので、積載に余裕があるならばこういった灯油系のバーナーがひとつあると安心ですね。