軍隊や援助組織まで愛用する「エスビット」
Esbit(エスビット)は1936年にドイツのエーリヒ・シュムによって設立されたメーカーで、Eric Schumms Brennstoff In Tablettenform『錠剤の形をしたエーリヒシュムの燃料』の頭文字をそのままメーカー名にしました。
名前のとおり固形燃料を開発し、その実用性の高さから70カ国以上の軍隊や援助組織が活用しています。いまやキャンパーの間でも広く名前が知れ渡ったエスビット。その代表格から人気の無骨ギアまで一挙に紹介します!
代表格はポケットストーブ!炊飯にも活躍する3つのサイズを比較
エスビットといえばやっぱりポケットストーブ。折りたたんだ状態で持ち運ぶことができる構造で自社の固形燃料を中にしまっておけるため、コンパクトで軽量な装備のキャンプ時だけでなく非常時にも役に立つすぐれものです。
そこで今回は、現在ラインナップされているポケットストーブ3サイズを比較してみました。
ポケットストーブ スタンダード・ミリタリー
まずはスタンダードサイズ。収納サイズは9.8×7.7×2.3(h)cmで重量は85g。スタンダードとミリタリーの2種類のパッケージがあり、購入時に付属している固形燃料の種類が違うだけで本体は同じ。固形燃料の違いについては後ほど紹介します。
メスティン内にすんなり収まるためスタッキングしやすいのは大きなポイント! ライター、カトラリーなどすべてメスティン内にまとめて収められれば、炊飯時のギアの取り出しもラクになります。✔︎こちらの記事もチェック
蓋をあけるとサイドが五徳になり、中心の窪み(3×4cm)に燃料を置けます。メスティンやケトルを乗せることができ、使用するメスティンの横幅が10cm以内なら横置きでぴったりはまります。また開口角度(90°、60°)を変えられるため、シェラカップなど幅の狭いものを置くこともできます。
スタンダードサイズの場合、固形燃料からメスティンの底までは約3cm。適切な燃焼効率で使用するためにメスティンの底までは2〜3cmほど離したほうが良いので、これは最適な距離と言えるでしょう。
エスビット ポケットストーブ スタンダード
●本体重さ:85g
●固形燃料:スタンダード4g×20個
●材質:亜鉛メッキ鋼/燃料ヘキサミン
エスビット ポケットストーブ ミリタリー
●本体重さ:85g
●固形燃料:ミリタリー14g×6個
●素材:亜鉛メッキ鋼/燃料ヘキサミン
ポケットストーブ ミディアムWS
次はミディアムWSです。収納サイズは11.5×8.6×2.3(h)cmで重量は107g。付属の固形燃料は27gが2つ。そしてほかのサイズと異なるのは、ストーブ本体の角が丸まり手触りが優しくなったことと、商品名にある『WS』のとおりウィングシールドが一枚ついていること。三方向からの風をガードして無駄なく熱を当てる構造になっています。
これもメスティンに収まりますが、スタンダードと比べるとメスティン内の空き容量がだいぶ減ってしまうように見えます。しかしライターなどは燃料と一緒にポケットストーブ内に入れるなど本体自体の収納性は上がっています。
固形燃料は27gなら2個、スタンダードなら20個、ミリタリーなら9個、ミリタリー12タブレットなら6個入れることができます。
角度の調節はスタンダード同様に二段階で可能。全開時の幅は約11.5cmなのでダイソーメスティンなど小型のクッカーは角度を狭めて使用する必要があります。燃料の受け皿は約5×5cmで燃料の組み合わせによって複数個置くことができます。
ミディアムサイズでは固形燃料からメスティン底までの距離が約3.5cmでした。若干離れているものの、付属のウィンドシールドによって燃焼効果を上げられるようです。
エスビット ポケットストーブ ミディアムWS
●本体重さ:107g
●ウインドシールド1枚付属
●固形燃料27g×2個
●素材:亜鉛メッキ鋼/燃料ヘキサミン
ポケットストーブ ラージ
最後にラージサイズ。収納サイズは13.2×9.6×3.9(h)cmで重量は174g。サイズ、重量ともにスタンダードの約2個分の大きさになります。付属の固形燃料はミリタリー12タブレット1箱。角度調節は90°、60°、30°の三段階。
ラージサイズはメスティンには収納できず、ラージメスティンには入れられます。ポケットストーブ自体の高さが3.9cmあるため、燃料以外にも自作のアルコールストーブやカトラリー、小型のナイフやセリアの鉄板などすべてまとめて入れられる高い収納力があります。
固形燃料からメスティンの底までは約4cmと若干距離が離れるため、少量の固形燃料では不十分な熱量になってしまう点は要チェック。燃料受け皿の底上げをするかアルコールバーナーの五徳として使用するなど検討が必要です。
エスビット ポケットストーブ ラージ
●本体重さ:174g
●固形燃料:ミリタリー14g×12個
●素材:亜鉛メッキ鋼/燃料ヘキサミン
以上のようにポケットストーブ3種は自分がやりたい炊飯において収納力や必要な熱量が異なります。“大は小を兼ねる”とは一概に言えないため、自分のキャンプスタイルに合った大きさを検討しましょう。
コンパクトで軽量、高出力の固形燃料を徹底分析!
他社製の青い固形燃料はメタノールやエタノールを元に作られていますが、エスビット社の固形燃料はヘキサメチレンテトラミンという燃料を固形化して作られています。
他社の固形燃料1gあたり約5kcalという発熱量に対し、1gあたり約7kcal(カタログ値)という高出力を実現。揮発性やスパークの心配性がなく、高所や氷点下でもマッチ一本で燃焼し、燃えカスもほとんど残らないという優れもの! キャンプだけでなく非常時にも役に立つこと間違いなしです。
固形燃料の大きさってどうやって選べばいいの?
エスビット社製タブレットの発熱量は先述のとおり1gにつき約7kcalで、上の図のようなスペックとなります。
水500mlを沸騰させるにはスタンダード、5gタブレットでは複数個使う必要があるため、ミリタリーの追加燃料として使用するほか、缶詰を温めたり、焚き火の着火剤として使用することで有効に活用できそうです。
ミリタリーと27gタブレットに関しては1つで十分なスペックがありますが、熱量が高すぎて焦げ付く原因になることもあります。そんなときは事前にタブレットをパキッと割って使用し、熱量を調整してみましょう。
エスビットvs青い固形燃料!
エスビットは高出力かつ安全であるものの価格設定が少々お高めなことも確かです。そのためエスビットのポケットストーブに青い固形燃料を使用するユーザーが多く存在します。
青い固形燃料の燃焼目安は上記の図のとおり。そこで青い固形燃料と燃焼パワーの比較をしてみました。
同条件下でケトルに入れた水を沸騰させてみたところ、青い固形燃料15gは約8分50秒に対してエスビット14gは約4分30秒で沸騰し、燃焼時間は青い固形燃料が14分、エスビット14gは12分でした。
同じ重量の燃料に対する燃焼時間は青い固形燃料のほうが長いものの、熱量はエスビットが圧倒的でした。
試しに火をつけたあと、フタをかぶせて空の冷凍庫に入れて5秒間閉め切ってみたところ、青い固形燃料は消えていましたが、エスビットはまだ燃えていました! どうやら冬の高山のように低気温で空気の少ない環境でも安定して火がつくというのは本当のようです。
どの固形燃料にも言えることですが、燃焼時は有毒ガスが発生する燃料ですので、換気の悪い室内での使用はやめましょう。
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アルコールバーナーも要チェック!
固形燃料以外にエスビット社から出ているのがアルコールバーナー。火力調整が難しいものの、タンクの中に燃料用アルコールを入れ、使用時はライターなどで着火し、使用後はフタをかぶせて消火するだけという使いやすさから人気があります。
実はこの燃料用アルコールと同じ成分(エタノール、メタノール)を添加物で固形化したのが青い固形燃料です。燃焼効率上、アルコールバーナーとクッカー底面までの距離は3〜4cm程度開けるようにしましょう。
エスビット アルコールバーナー
・サイズ:収納時・高さ4.6cm×直径7.4cm
・重さ:92g
・使用燃料:燃料用アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール)
・タンク容量:約100ml
※50ml程度の燃料で600mlの水が約12〜13分で沸騰
・トップキャップ:ラバーパッキング付
・ハンドル操作での火力微調整が可能
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エスビットのメリットやデメリットは?風防などの補助アイテムも紹介
ポケットストーブと固形燃料使用の大きなメリットとしては、先述のとおりコンパクトで収納しやすいということ。ガスを使用するバーナーと比べると、そのコンパクトさは圧倒的です。
また、エスビットの固形燃料は引火点が約400℃なので自然発火や爆発の可能性が低く安全して保管することができます。
気になるあの独特なニオイや煤対策
一方で、「固形燃料の独特な匂いが気になる」「使用後にクッカーの底に煤がつく」などの声があります。匂い移りが気になる方はジップロックなどで密閉すれば安心なうえ、酸化を防ぐことができます。
煤は口コミのとおりクッカーの底面に付くものの、メラミンスポンジや雑巾などがあれば簡単に拭き取れます。事前にクッカーの底面に食器用洗剤を塗っておくのも防止法の一つです。
下敷き準備が◎
また木やプラスチック製の台の上で使用するとポケットストーブの熱によりプラスチックが溶けたり気が焦げ付いたりすることがあるため、使用時は下に耐熱素材のものを敷くことをおすすめします。
風防をプラスして燃焼効率UP!
エスビットは正面からの風に弱く熱が分散されてしまうことがあります。風防は正規品ではミディアムサイズに付属する物のみのため、アルミホイルで風防を作ったり互換性のあるウィングシールドを購入して使用することで燃焼効率を安定させることができます。
ウィングシールドを側面に使用することでクッカーまでの高さが上がり、アルコールバーナーの五徳として使用することが可能になります。
ポケットストーブ専用 風防 2枚組
●サイズ:約8cm×3(h)cm
●厚さ:1mm
●ポケットストーブ本体へピッタリ取り付け可能な凸のサイズは3mm〜3.5mmまた、凸から凸の間が9mm程
ポケットストーブ底面に開いている穴は空気の取り込みにより効率の良い燃焼を計算されて開けてあるものなので、既存の受け皿に収まりきらない大きさの固形燃料を使用するためにアルミホイルなどで覆ってしまうことはおすすめできません。また固形燃料の多量使用は穴から燃料が垂れてしまい、それに引火してテーブルなどが燃えてしまう可能性があるため気をつけましょう。
エスビットのギアはかっこいい!無骨なアイテムを一挙に紹介
エスビットはストーブだけではありません! 無骨な見た目でありながら最大限の使用効率を考えたギアが盛りだくさん。そんなかっこいいギアを紹介します。
チャコールグリル、その他ストーブ
エスビット チャコールグリル(BBQ300)
●サイズ収納時:高さ90mm×幅305mm×奥行230mm
●重量:2.5kg
●素材:ステンレス
エスビット チタニウムストーブ
●収納時サイズ:8.4×2.9cm
●重量:11.5g
●材質:チタニウム
エスビット ステンレス ストーブ
●重量:93g
●ナイロンポーチ付属
ポーチにはエスビット固形燃料を一緒に収納可。
カトラリー
エスビット チタニウムカトラリーセット
●材質:チタニウム
●重量:42g
エスビット フォールディングカトラリー
●収納時サイズ:スプーン10.4x3.9cm、フォーク10.7x2.7cm、ナイフ10.2x2.1cm、スポーク10.4x3.9cm
●重量:スプーン 18g、フォーク 16g、ナイフ 12g、スポーク 17g
●素材:チタニウム製光沢仕上げ(柄を除く)
ポット、ケトル
エスビット ステンレス コーヒーメーカー
●サイズ:収納時11×10.8cm
●重量:300g
●タンク容量:240ml
●材質:ステンレススチール
●安全バルブ付
エスビット 750mlチタニウムポット
●サイズ:収納時11×9.9cm
●重量:106g
●容量:750ml
●材質:チタニウム
エスビット ウォーターケトル 0.6L
●サイズ:7.5(h)×15cm
●重量:136g
●容量:0.6L
マジョリスシリーズ
エスビット マジョリス サーモマグ 450ml
●容量:450ml
●サイズ:φ 7.2×17.3cm
●重量:251g
●材質:ステンレス鋼
エスビット マジョリス フードジャグ 550ml
●容量:550ml
●サイズ:φ8.8×16.7cm
●重量:300g
●材質:ステンレス
●保温性能:98℃ / 6時間後 65℃ / 12時間後 55℃ / 24時間後 35℃
エスビット マジョリス バキュームフラスク 750ml
●容量:750ml
●サイズ:φ 8.5 × 23.7cm
●重量:513g
●材質:ステンレス
●保温性能:98℃ / 6 時間後 80℃ / 12 時間後 65℃ / 24 時間後 50℃
クックセット
エスビット クックセット 585ml
●収納時サイズ:8.6×11.1cm
●容量:585ml
●重量:300g
●メッシュバッグ付属
※エスビット固形燃料は付属しておりません。
エスビット アルミシリーズ クックセット 1100ml
●メッシュバッグが付属
●素材:アルミ(アルマイト加工)
●サイズ:収納時7.2×18.7×14.7cm
●重量:約390g
●容量:1100ml
エスビット アルミシリーズ アルミフライパン
●サイズ:3.5×18.5cm
●重量:149g
●仕様:焦げ付き防止処理(パン内側)
●素材:アルミ(ハードアルマイト加工)【
エスビット グリッパー
●サイズ 13×3.3×4cm
●重量 57g
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最高のキャンプにエスビットを連れて行こう!
いかがでしたか? エスビットの性能と無骨なかっこよさはコンパクトな装備でキャンプや登山に連れて行くのにぴったりですね。お気に入りのアイテムを見つけて楽しいキャンプに行きましょう!