タープの基本ができたら次は、張り方に変化を
オープンタープの魅力は、なんといっても開放的なリビング空間。そしてしっかりとテンションをかけることによって完成する美しい形状が、単純にカッコイイ。
そんなオープンタープですが、設営に慣れてくるとシチュエーションに応じて張り方に変化がほしくなりませんか?
前回紹介した「オープンタープ設営法の基本」さえ身に付いていれば、応用の張り方はとっても簡単!
そこで今回は、すぐにでも試したくなる応用設営法を、ヘキサ型・ウイング型と2つの形状のモデルを使って解説していきましょう。
ヘキサタープの応用設営例
ひとつ目の応用設営法、ヘキサタープをお持ちの方におすすめのスタイルがコチラです(撮影ではコールマン・ヘキサライトⅡを使用)。
全体を低くセッティングし、片側の側面を壁状に。そしてもう一方の側面は別売のサブポールを2本使ってアップすることで開放感を出しています。
このヘキサタープは家族4人ならちょうどいいサイズ。ベーシックな設営時の形状と比べると、リビング空間は狭くなりますが、ロースタイル仕様のチェア&テーブルを用意すれば、とても居心地のいいスペースを確保できます。
コールマン ヘキサライトII
応用設営をするには、この基本のカタチで張ることを忘れてはなりません。ここから応用展開へと解説していきます。
メインポールの2カ所をひと繋ぎ分折り曲げて全高を低くします。するとメインポールを支えている張り綱が緩みますので、自在金具である程度テンションをかけておきましょう。
片側の側面は張り綱を使いません。タープ生地のテープ部分を引っ張って地面に直に2カ所、ペグダウンをします。
もう一方の側面ですが、張り綱だけで伸ばした状態だと、リビング空間はかなり狭い……。そこで空間の拡張に役立つのが「サブポール」です(モデルによっては付属していることもあります)。僕がよく使っているのは、5cmきざみで高さを調節できるロゴス・システムロックポール230cm。
ロゴス システムロックポール 230cm
張り綱の自在金具を緩め、サブポールを適度な長さにしたら先端をグロメットに差して側面2カ所をアップします。最後に全体の張り綱の張りを出したら作業は完了です。基本のカタチからこの形状にするまで、ひとりでやっても3分もあれば十分!
雨天時の対処法と強風時の注意点
この設営法の場合、タープ生地の天面がフラットなので雨水が溜まります。雨天時には水の流れを作るため、サブポールの片側を短くして天面をナナメにしましょう。
あと、注意点ですが直にペグダウンした壁状の側面は、強風を受ける状況では適していません(生地に負担がかかり、破損の恐れあり)。強風時は張り綱を使用してペグダウンポイントを少し外側にし、風の流れをつくってあげましょう。
張り綱が余った場合の対処法「引き解け結び」
狭い区画のキャンプサイトや混雑時期のフリーサイトでの設営では、隣のサイトへ張り綱が侵入しないように配慮しなければなりません。
張り綱の自在金具を調節し、できるだけ綱の長さを短くしてペグダウンしようとしても、こんな感じでダラ〜ンとなってテンションをかけられませんよね。そんなときに役立つ、簡単な「引き解け結び」を伝授しましょう。
「引き解け結び」のやり方
まずは張り綱がダラ〜ンとした状態から。自在金具を調節して張り綱を長く伸ばします。
はい、ココがポイントです。左手の親指の先の、自在金具が張り綱から外れないように結んである部分を15〜20cmほど伸ばします。
小さく輪っかを作り、そこに伸ばした方の張り綱(親指で押し込んでいるところ)を通して留めます。これで結びの行程は完了。
この結び方さえ覚えておけば、あっという間に張り綱全体の長さを短くし、テンションをかけることが可能となります。
張り綱は全部を通しません。最後は輪っかで留まった状態にしましょう。左手でつまんでいる余った張り綱を引っ張れば、簡単に解けます。だから「引き解け結び」と言うんですね。
簡単に解けてしまう結びなので、誤って引っ張らないよう、余った張り綱はこのようにまとめておきましょう。
次はウイングタープの応用設営例
ふたつ目の応用設営法は、ウイングタープを使ってみます。tent-Mark DESIGNS・Takibi-Tarp TC wingでの展開例、ごくシンプルなアレンジがコチラ。
メインポールの片側を短くするだけで、「いつもと違う感」が演出できます。ロースタイル仕様のチェア&テーブルでまとめれば、4〜6名でも余裕のリビング空間に。
僕の場合、通常に設営するときは240cm(60cm×4本の継ぎタイプ)のポールを2対、メインポールとして使用しています。そこから、片方のメインポールの継ぎを2本抜いて、余った張り綱を引き解け結びで留めるだけで、この応用展開法は完成です。
テンマクデザイン 焚火タープTCウィング
そこからさらにサブポール(シルバーのポール)を2本追加すれば、リビング空間はあっという間に拡張します。いずれも最初のペグダウンポイントをずらすことなく、張り綱の自在金具でテンションを緩める→張る。という作業のみで完結しちゃいました。
このセッティングは風の抜けがよく、タープの機能を十二分に発揮する張り方なので、風には強い!
あとは大型のタープでの実用性があるかどうかはさておき、「こんな張り方もできますよ」という例を紹介します。
使用するメインポールは片側だけで、その延長線上のタープ生地、グロメットの先にあるテープ部分の輪っかにペグダウン。で、60cmのポールを3本繋いでメインポールとし、立ち上げます。あとはサイドの張り綱を伸ばしてペグダウンすればおしまい。
この張り方は、1〜2名用のタープを持っている方なら、簡易シェルターとして、ひとりでも素早く設営しやすい手法です。その場合、メインポールに太い枝やトレッキングポールを使ってみるのもいいでしょう。
60cm継ぎのメインポールが余ったので、サブポール代わりにしてサイドを上げてみました。空間的には、グラウンドスタイルのカップル向き(笑)。タープ大きさの割りに、ぜいたくな使い方になっています。
タープの張り方をアレンジするときに大切なこと
今回解説したのは「応用」ではありますが、ご覧いただいたとおり、そんなに難しくはありません。いずれもオープンタープの基本設営法が身に付いていれば、驚くほど簡単にできちゃいます。
応用設営時の順序がわからなくなりそうな人は、こう覚えましょう。
基本中の基本、「まずはメインポール間を立てる」。それから落ち着いて「側面を張る」です。
さらにサブポールがいくつかあれば、とても簡単に形状を変化させることが可能となりますよ。
最後に、もっとも大切なことは、見た目だけにこだわるのではなく、「機能性を重要視すること」です。風や天候の状況に応じ、適した応用設営法を試してみましょう。
撮影・文章:真田 崇史