親子2人で行く、海外キャンプ旅
プロフィール
キャンプフォトグラファー猪俣慎吾。2017年に星空 案内人®を取得。2019年から自ら開発した『プラネタリウムテント』で天の川の解説をし ながら全国を回っている。 2021年10 月に『絶景CAMPGUIDE』(JTB パブリッシング) を出版。
広告・料理・アウトドアの撮影が主な得意分野であり、アウトドアを中心にフォトグラ ファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターとしても仕事をしている。外ごはん文化を広めるためのアウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。現在は息子と2人で行く父子キャンプにハマっている
この連載では、日本全国の絶景キャンプ場を旅していた筆者が、新たに「息子2人と海外キャンプ経験を経て学んだこと」を通して海外キャンプ旅のレクチャーをしていきます。
ハードルが高いと思われがちな海外キャンプですが、まずは近場からの旅行を経験して慣れていけば案外かんたんなことだと気づくはず。
筆者が体験した日本全国のキャンプ旅と、海外キャンプ旅で得たノウハウを余すこと無くお伝えしますよ!
▼前編はこちら
タイのキャンプ場について
前編では海外キャンプのコツや説明をさせて頂きました。今回はタイのキャンプ場を紹介をしていきたいと思います。
キャンプ場はタイ全土にあり、日本と同様に、高原のキャンプ場もあれば海沿いのキャンプ場もあります。
タイの国立公園は157ヶ所あるのですが、そのほぼ全てにキャンプサイトがあるというのが面白い特徴。
国立公園ではガイドツアーやトレッキングなども楽しめるので、事前に調べてから訪れるのも良いかもしれません。因みに、どこもキャンプサイトだけではなくバンガローも併設されています。
また、タイのキャンプ場は、ホームページが無いところがほとんどです。
筆者も予約する際はどうすればいいのか悩みましたが、Facebookのページをホームページ代わりにしている場合が多いので、予約や質問はメッセンジャーアプリを利用するのがおすすめです。
注意したいのは夏場(6月〜10月)の期間は国立公園自体が閉鎖されることが多い点。行きたい国立公園がある場合は事前に調べておくと良いでしょう。
タイのキャンプ場のことを少しでもお分かりいただけましたでしょうか?
今回は筆者が行ったことのあるタイのキャンプ場から、選りすぐりの絶景キャンプ場を5ヶ所をご紹介したいと思います。
ワンポーエレファントキャンピング(カンチャナブリー県、サイヨーク)
流石はゾウの王国のタイ!キャンプ場にゾウがいるんです!
タイと言ったら皆さんは何を思い浮かべますか?
「ゾウ」と即答する人もいるはずです。そんなゾウと一緒にキャンプができる場所がタイにはあるんです。日本では絶対に経験できません。
今回、訪れたのは、カンチャナブリーのサイヨーク地区にある「ワンポーエレファントキャンピング」。
バンコクから車で2時間半で辿り着ける場所です。
電車でもクルンテープ・アピワット中央駅から最寄りのワンポー駅に乗り換えせずに、電車1本で辿り着ける場所で、ワンポー駅からキャンプ場まで徒歩で12分で行くことができます。
ワンポーエレファントキャンピングの管理棟
到着したら管理人さんに声をかけて、料金をお支払いすればOK。皆さん笑顔で対応してくださってとても好印象!
手続きを済ませたらバイクで先導してくれて、キャンプサイトへと向かいます。
サイトに案内されてテントを張って少し休憩
案内されたサイトは川沿いの木々が生い茂る場所です。
すぐ近くの道はゾウが川に入っていく道だそうです。近くにはトイレやシャワーもちゃんとありました。
キャンプ場内には人を乗せるためのゾウが2頭いる
テントを張って場内を散策すると、椅子を背負ったゾウが2頭を発見!
これはテンションが上がります。だってキャンプ場にゾウが居るんですよ!ゾウは1度に大人2人まで乗ることができ、料金は1人200バーツ(800円)。
なかなか出来ない経験なので是非乗ってみてください。このゾウさんはバナナの葉っぱを食べていましたが、バナナの葉っぱは美味しいんですかね。
場内を流れるクウェー川は水遊びもできる
ゾウは朝と夕方の2回クウェー川で水浴びをする
キャンプ場にはクウェー川という川が流れており、ゾウの水浴びやお客さんの水遊び場にもなっています。
訪れたときも気温が30℃を超えていたので、水着に着替えて息子と水遊びを楽しみました。
ゾウは朝と夕方に水浴びをするようなので、そのときに水浴びをしていればゾウとの2ショットも撮影できるかもしれません。
Fong Camping(メーホンソーン県、クンユアム)
写真の彩度をあげていないのにこの真っ赤な夕焼けは忘れられない
タイ北部の山間部のメーホンソーン、クンユアムにある「Fong camping」は本当は訪れる予定の無いところでした。
本当にいく予定だった場所は山火事の影響でキャンプ場を一時閉鎖しており、途方にくれていた自分達を助けてくれたのがFong campingの老夫婦でした。
このときのタイ北部は山火事が多発しており、クンユアムの町に入ると山火事の影響で太陽光がオレンジ色になって空が染まっていました。
こんな景色を人生で観たことがなかったので、大丈夫なのかと思っていましたが、現地住民はいたって普通。それなら特に心配はしなくて良いと思い、自分も平然としています。
Fong campingの管理棟
予定をだいぶ過ぎてキャンプ場に到着したのは夕暮れ前の17時半。キャンプ場を経営されている老夫婦のマダムがキャンプ場の掃除をしているところでした。
予約をせずの飛び込みで、日本人親子が来たのだからさぞかしびっくりしたのかもしれないが、温かく迎えてもらったのは嬉しかったです。
キャンプ場の他にも近隣の別な場所でロッジもあるようでしたが自分達はもちろんテント泊を希望。
手入れが行き届いているようで、トイレもシャワーもとても綺麗でシャワーはちゃんとお湯も出ました。
太陽光が山火事の煙がフィルターみたいに空をオレンジ色にしていた
テントを張り終えて、移動に疲れたので椅子と机は備え付けのものを利用させてもらいました。
空は相変わらずオレンジ色。匂いは少し煙たいのですが、焚き火に慣れているせいかそこまで気にはならなかったです。
夜になって周りを見渡すと少なく見積もっても5箇所くらい山肌が赤く燃えていて、日本人の自分達にとって物凄い光景です。
夜になって管理人のお父さんが遊びにきてくれました
夕飯を支度して食べ終わった頃に、マダムに聞いてきたのか管理人のお父さんがやってきました。
翻訳機をフルに使ってこのクンユアムの話やご家族の事を色々お父さんに教えていただきました。
息子も可愛がってくれて、本当にありがたいことです。飛び込みで宿泊してきたのが外国人で日本人だったからなのか優しくしてくれました。
クンユアムにあるタイ日友好記念館
管理人のお父さんにクンユアムは日本人に縁の深い場所だという事を教わりました。
太平洋戦争時にクンユアムに多くの日本兵が暮らしていたようです。そんなことを全く知らずにこの地に足を踏み入れたので、次の日教えられた記念館で日本の旗を観たときは、感動すら覚えました。クンユアムに来たら訪れてみてください。
パンウンキャンプサイト(メーホンソン県、ムアンメーホンソン)
筆者が行ったのは4月上旬で、それでも朝は湖面に霧が覆って幻想的な景色が広がっていた
日本でタイのキャンプ場を調べているときに、タイに息を飲む程に美しいスイスのような場所があると知りました。
そんな場所があるのなら絶景キャンプハンターとしては外すことは出来ません。
場所は、タイ国内の最北西端にあるミャンマー国境にも程近い、山間部にあるパンウン王立森林公園にあるキャンプ場です。
タイの中でも美しい場所として有名で、山岳民族の村と高山湖がある場所です。1年中美しい景観が楽しめますが、特に12月から1月は幻想的な霧と朝日の景色が見れるそうです。
パンウン王立公園の入り口
山岳民族の村を通って果てのような場所にパンウン王立公園はあります。
入り口にはチケットカウンターがあり、パスポートと料金を支払って中へと進みます。タイの国立公園の料金はタイ国民よりも高く設定されていますが、それでも大人100バーツ子供50バーツと格安です。
これで絶景でキャンプ出来るのですから本当に素晴らしいの一言です。
バンコクでは日中35度くらいになっていましたが、パンウン王立公園の気温は日中でも27度程度で過ごしやすかったです。
タイのキャンプシーズンの11月〜2月は結構寒いようなので、ダウンは必須だと思います。
テントを湖のほとりに張ってゆったりとした時間を過ごしてみよう
湖のほとりにキャンプサイトが解放されています。
水場やシャワーもあるので快適に過ごせます。訪れた日は、他に誰も居なかったので動物と鳥の声しか聴こえない正真正銘の大自然の中のキャンプ場です。
湖には白鳥がいたりもして景色が本当に優雅です。
湖に一番近い場所にテントを張って息子と2人でしばらく山間に沈む夕陽を眺めます。
当日は気づかなかったんですが、150バーツ(600円)で竹でできた筏をレンタルできるので、それに乗って楽しんでもいいかもしれません。
おすすめは早朝の霧がかった時間帯がオススメのようです。
夕闇もとても幻想的だ
湖沿いには松の木が生い茂っています。美しい湖、松の木、山々の景色、朝の霞んだ霧は、自然の景観が好きな方にとっては天国のような美しい景色が広がっています。
自然あふれる日中の景色に夕景や夜の満天の星空や朝靄など、どの時間帯でも素晴らしい情景を見せてくれるオススメのタイのキャンプ場です。
ドイプイキャンプ場(チェンマイ県、ムアンチャンマイ)
タイ第二の都市チャンマイを眺める山の上のキャンプ場
タイ北部に位置している第二の都市であるチェンマイ。
映画「塔の上のラプンツェル」の中で、ランタンの灯りが幻想的に空に舞い上がるシーンがありますが、モチーフになったコムローイ祭りが11月の満月の夜に開催されることでも世界的にも有名な町です。
有名なワット プラタート・ドーイステープ寺院があるステープ山の頂上付近にあるのが「ドンプイキャンプ場」です。
管理棟には軍人さん?のような方が対応してくれた
チェンマイ市内から車で行くのですが、舗装されているものの、かなり狭い道を延々と通って行くので気を付けて運転してください。
麓から山道を40分くらい運転すると到着です。
場内は綺麗に気持ちよく整備されていてとても清潔感があります。にも関わらず料金が外国人大人入場料100バーツ(400円程度)と破格です。
テントのレンタルも250バーツ(1,000円程度)。こんなに綺麗なのに安さ爆発なのでタイの国立公園でのキャンプ泊の虜になりそうです。
当日は予約なしでの飛び込み。大体予約なしでも良いようですが、コムローイ祭り期間中や冬場のシーズンは予約した方がいいかもしれません。
場内はとても整備されていて過ごしやすい
訪れた当日はガラガラだった事もあり、管理人さんが自由に張って良いとの事でチェンマイの町並みが見える場所にテントを張ることにしました。
サイト近くにはトイレやシャワー室もありますし、コーヒショップもあるので、コーヒーを飲みながらチェンマイの町並みを優雅にチェアリングしながら過ごしてみるのも良いかもしれません。
テントを張った奥に見えるのがチャンマイの町並み
テントを張り終えたら、夕食の準備をしながらチェンマイの町並みを眺めます。
訪れたのは暑い時期だったのか少し靄で町は覆われていたのであまりよく見えませんでしたが、冬場のシーズンはもう少し空気も澄んでいるので綺麗に見えるかと思います。
キャンプ場の道中にあるドンプイ村やワット プラタート・ドーイステープ寺院にも是非訪れてみると良いです。
バーンライチャンチャルン カオコー(ペッチャブーン県、カオコー)
どこまでも続くカオコーの山々の風景を堪能できる
タイ北部にあるペッチャブーン県内にあるカオコーは、避暑地として一年中涼しい場所です。
乾季11月〜2月の朝にはカオコーで雲海が広がる事で有名でタイの中でもリゾート地としても有名な場所です。
昨今のキャンプブームで、カオコーにはキャンプ場がたくさんできたようです。その中で目をつけたキャンプ場は「バーンライチャンチャルン カオコー」というキャンプ場です。
管理棟では注文すれば食事のサービスもある
管理人のご夫婦仲睦まじい姿が印象的
街道からキャンプ場に向かう道は少し道の悪いところがありますが、気を付けて登って行った丘の上にキャンプ場があります。
事前にメッセージを送っていたのですが、返信が無かったのでアポ無し突撃。
突然現れたお客さんが言葉の通じない日本人で、親子だったからなのか驚いて笑っていましたが快く迎えて頂きました。
しばらくするとオーナーの女性も現れて、管理人さんと一緒にテントを張るのを手伝って頂きました。タイの人は本当に優しいです。
時期的に雲海は見れなかったが、山々と夕景の景色が素晴らしかった
オーナー提供の写真 11月から2月はサイトの目の前に雲海が広がる
テントレンタルや食事サービスもあるようで、手ぶらでも楽しめるようです。小屋もあるので、テント連泊に疲れているようなら小屋泊でも良いですね。
シャワーは温水シャワーもあるので、冬場でも快適に過ごせるかと思います。しばらくくつろいでいたら管理人のお父さんが日傘まで立ててくれました。
どこまでも優しいタイの方でした。コープンカー!
先ほども書きましたが11月〜2月のシーズンの朝はキャンプサイトの目の前に雲海が広がります。
毎日雲海が出るわけではありませんが、見ることができたらこんな絶景言葉を失ってしまうほど美しいですね。
夜にはサイト全体にロマンチックな電飾が自分達を包んでくれる
夜になると、キャンプ場全体をロマンチックな電飾が自分達を包んでくれました。
キャンプ場を訪れた日はタイでのキャンプ泊最終日だったので、電飾に包まれながら息子と夕食を食べて、タイでのキャンプの思い出話に花を咲かせました。
おすすめしたいタイキャンプ旅
いかがだったでしょうか。今回は、親子2人で挑戦したタイキャンプの様子をお届けしました。
日本国内にも素晴らしいキャンプ場は多くありますが、特には国も変えてみて。もしかすると、普段のキャンプでは味わえない感動に出会えるかもしれません。