親子2人で行く、海外キャンプ旅
プロフィール
キャンプフォトグラファー猪俣慎吾。2017年に星空 案内人®を取得。2019年から自ら開発した『プラネタリウムテント』で天の川の解説をし ながら全国を回っている。 2021年10 月に『絶景CAMPGUIDE』(JTB パブリッシング) を出版。
広告・料理・アウトドアの撮影が主な得意分野であり、アウトドアを中心にフォトグラ ファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターとしても仕事をしている。
外ごはん文化を広めるためのアウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。現在は息子と2人で行く父子キャンプにハマっている
この連載では、日本全国の絶景キャンプ場を旅していた筆者が、新たに「息子2人と海外キャンプ経験を経て学んだこと」を通して海外キャンプ旅のレクチャーをしていきます。
ハードルが高いと思われがちな海外キャンプですが、まずは近場からの旅行を経験して慣れていけば案外かんたんなことだと気づくはず。
筆者が体験した日本全国のキャンプ旅と、海外キャンプ旅で得たノウハウを余すこと無くお伝えしますよ!
円安でも海外に行きたい!
私達にはキャンプがあるじゃないか!
海外キャンプ旅は予算を抑えながら海外旅行に行けるからおすすめ
欲しいキャンプ道具をちょこちょこ購入していることは一旦置いておいて……。キャンプは、ホテル泊と違って、全部自分で完結するので、宿泊費を圧倒的に節約できるのは言うまでもありません。
筆者は息子が生まれてから2人で日本全国を飛び回ってキャンプをしていますが、それは宿泊手段が「キャンプ」だから掛かっているお金が抑えられていることは間違いのない事実。
旅行といえば海外旅行に憧れるご家族も多いかと思いますが、昨今の物価高や円安で家族で海外旅行なんて夢のまた夢、と諦めていませんか?
けれども、海外旅行をキャンプ旅に切り替えてしまえば家族でも費用を抑えながら海外旅行に行けるんです!
今回は、今年(2024年)の3〜4月にかけて行ったタイキャンプの実体験も含めて、HOW TO 海外キャンプ旅の話を中心に進めていきます。
海外キャンプ旅のメリット&デメリット
海外キャンプは非日常体験の宝庫だが対策もしておかないといけない
実は去年、息子と韓国へとキャンプ旅に出かけました。費用もホテル泊の半分くらいに抑えることに成功。その内容は記事にもしています。
まず何度も言っていますがキャンプ旅は、宿泊費が圧倒的に抑えられるので、トータルの費用を安くできるメリットがあります。
いつも日本国内でやっているキャンプでの旅行をそのまま海外に置き換えるだけ。
キャンプ道具はウルトラライトまでしなくても少し軽量のいつも使っているキャンプ道具をそのままザックやスーツケースに詰めて飛行機で移動して、レンタカーで移動するだけ。
でも、海外キャンプ旅にはデメリットも当然あります。そのデメリットとは……。
1)自分で計画する時間が必要
海外キャンプ旅は、事前準備にどれくらい時間が取れるかに旅の成否が掛かっている
プランがセットになっているタイプの海外旅行はガイドさんが付いて全てお任せですが、キャンプとなると、全て自分でやらないといけません。これには結構な時間がかかります。
筆者も、旅行決行日の1〜2ヶ月前からGoogleマップとにらめっこして、海外のキャンプ場をくまなくチェックして準備をしていました。
行程を考えたりキャンプ場の予約もするので、そこはかなり時間がかかるものだと思っておきましょう。海外旅行は、「キャンプ」と言うフィルターを通すと一気に情報が少なくなります。
2)ある程度の運転スキルが必要
海外での運転は魅力的だが、ある程度のスキルは必要になる
ご存知かと思いますが、世界には左ハンドル・右側車線が主流派で、日本と同じ右ハンドル・左側車線の国は少数派。運転に慣れていないと正直厳しいです。
そもそも看板も読めないことが多いので、事前にその国の交通法規を学んで行く必要もあります。
ただ、日頃から運転をしている方なら、最初は緊張するかもですが、慣れればすぐにその国での思い出深いドライブ体験になりますよ。
3)ずっとお風呂に入れない可能性
お風呂文化は日本唯一の文化だ、世界はシャワーが殆ど
日本人と言ったらお風呂が付き物。しかし、お風呂文化は世界を見渡しても日本にしかない文化であり、世界の主流はシャワーです。
海外ホテルではバスタブはあったりしますが、海外キャンプ場はシャワーのみが殆ど。
国によってはキャンプ場のシャワーからお湯が出ること自体珍しいことなので、そこは事前に対策が必要となってきます。
国際線での荷物について
キャンプ道具を詰め込んで海外キャンプへ出かけてみよう
韓国キャンプのときは国際フェリーでしたが、今回は飛行機での移動となります。
国際線の飛行機に、キャンプ道具をバッグに詰め込んで行くというのはなかなか想像がつかないかもしれません。
とはいえ、軽めのキャンプ道具を詰め込んで、預け荷物上限の23キロ〜25キロを超えることは稀です。
昨今のキャンプ道具は軽量化の進化が著しく、適切にセレクトできればテント・寝袋・マット・椅子・机・ライト・調理道具・火器を合わせても20キロを超えることはまずないです。
衣服や必要なトラベル道具とテントなどのキャンプ道具をスーツケースやザックに詰めても、預け荷物で問題なく大丈夫です。
「タイ」のキャンプ事情
タイでもキャンプブームが若者を中心に盛り上がっている
まず、お値段ですがタイへホテル泊で行くのとキャンプ泊で行くのではどれくらいの値段の差があるのでしょうか。自分の経験を含めた大まかな比較であることはお許しください。
タイ旅行 6泊8日 ホテル泊 家族3名 パック旅行 朝食付き
1名あたり:10万円〜19万円
3名の総額:最安で10万円
30万円には昼と夜のご飯代や遊興費などは含まれていないので、
節約しても3名総額で35万円前後はかかってしまう計算にはなります。
タイ旅行 7泊8日 キャンプ泊 家族3名
飛行機代:4万円〜5万円
レンタカー代(7泊8日):2万円〜3万円
キャンプ場代(7泊分):3500円〜7000円
食事代(3食 7泊分):7000円〜14000円
キャンプ泊は、1名あたりが安ければ7万円〜8万円と、3名総額で24万円で、遊興費を含めても27万円くらいです。
お得なパック旅行よりも安く済む可能性があるのは、けっこう衝撃ではないでしょうか。
キャンプ泊の方が安く行けることはわかってくれたかと思います。
でもずっとキャンプ泊なんですか?と結構聞かれたりします。実は筆者は滞在最後の日は帰るための準備がしやすいホテル泊にしたりと臨機応変に対応もしています。
なので、各々の家族話し合って最適な旅行計画を進めてみましょう。
タイのゴールデンシーズンは冬!
タイのキャンプシーズンは”冬”!
では、タイのキャンプ事情はどうなっているのでしょうか。
実は日本と同じくコロナ渦で、キャンプがブームになった経緯があります。ブームの中心は若者らしく、バンコクなどの都会の喧騒を逃れて、自然豊かな場所でキャンプをしているようです。
基本的には日本と似たような構図ですが、決定的に違うのはキャンプのハイシーズンです。
日本のキャンプのハイシーズンは一般的には夏ですが、タイは真逆の真冬で11月〜2月がキャンプのハイシーズンなんです。
タイの四季は春夏雨秋ということもあり、真夏の7月〜9月は雨季にあたり、暑い上にスコールが降ってくるのでキャンプは不向きだそうです。
真冬の11月〜2月はタイ全土は1年で最も雨が降らない上に湿度もないので、最も観光に適した時期と言っても過言ではないんです。
タイのアウトドア店では何が買える?
タイには、キャンプ場もあるのだから当然キャンプ用品店もタイ国内にはたくさんあります。
今回はバンコク市内の2軒のキャンプ用品店を訪れてみました。
もしタイでキャンプすることになったら、CB缶やOD缶を購入したり、持ってくるのを忘れたキャンプ道具などをキャンプ場に向かう前にお店に行ってみても良いかと思います。
キャンプスタジオ
バンコク市内にお店を構える「キャンプスタジオ」はスノーピーク・DOD・SOTOなど日本メーカーのキャンプ用品の品揃えが多い。
店員さんも非常に優しく接してくれて、製品知識も豊富な印象を受けました。スノーピークだけは別の棟にあり、品揃えはタイ国内で1番のようです。
▼地図で確認
アウトドアボタニカ
タイ国内で最大のアウトドアショップの「アウトドアボタニカ」は元々は紡績工場だったようで、その工場をリノベーションして活用しているようです。
売り場面積も広く、当時の機械類もそのまんまにしていて名残りも感じます。
NANGAやDODやSOTOなど日本メーカーもありますが、欧米メーカーも多数揃っています。
前編はここまで。次回は、筆者が訪れたタイのキャンプ場を中心に、タイでのキャンプの魅力をお伝えしたいと思います。