幕内でも炎を愉しみたい!
冬キャンプに暖房は必須……でもありませんが、幕内を暖かくして過ごすことができたら楽しさは倍増です。
キャンプに使える暖房のなかでも、炎を鑑賞できる薪ストーブなんて最高ですよね。そう、たとえば上の写真のように……。
ということで今回ピックアップするのは、京都発のアウトドアブランド「Mt.SUMI(マウント スミ)」の薪ストーブ。
広大な耐熱ガラスを3面も備え、幕内でも炎を楽しめる「Woodstove AURA(ウッドストーブ オーラ)」です。しかも長い薪でもそのまま使えるのだとか。
マウントスミ(Mt.SUMI) アウトドア薪ストーブ オーラver.2
重量 | (本体のみ) 20kg (付属品込) 26.2kg |
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サイズ | 外寸 (脚展開・煙突含まず) W57 × D40 × H48cm 外寸 (脚展開&グリッド&煙突立ち上げ含む) W74.5 × D40 × H53㎝ 燃焼室 W41 × D32.5 × H約22cm 収納サイズ (煙突立ち上げ含む) W46 × D38 × H37㎝ 煙突 Φ80mm × 長さ325mm (有効長270mm) × 8本継ぎ |
素材 | (本体) 鉄 (煙突、火かき棒、煙突固定リング、グリット) ステンレス (耐火煉瓦) セラミック 最大熱出力:6kw 製品保証 : 6か月 (ガラス・耐火煉瓦は保証対象外) |
公式ホームページはこちら
薪ストーブの決定版「Woodstove AURA」
さあ、こちらがオーラの現物です。煙突、本体、小物と並べてみました。
本体は「キャンプ用薪ストーブ」と聞いてイメージするよりも大きく、また据え置きタイプのような重厚感がありました。
本体には3面に大きな耐熱ガラスが張られ、前面の扉にいたっては面積のほとんどがガラスという徹底ぶり。炎を鑑賞できる薪ストーブとして、これ以上やりようがない仕様となっています。
また内部には耐火レンガが敷かれていました。これにより燃焼室内の高温がキープされやすく、煙まで燃やすような燃焼力が期待できます。
煙突は8本構成
煙突は直径8cmで8本構成。全部つなげると約2.2mになります。幕によってはすべてを使う必要はありませんが、火の粉が飛び出るかもしれない煙突は、屋根に対して十分な高さが必要。説明書には7本は使うようにと記述がありました。
8本の煙突のうち、一番下に設置するのが「ボトム煙突」(画像左)。空気の流れを調節できるダンパー付きです。
そして一番上になるのが「トップ煙突」(画像右)。雨や雪が入りにくいよう、真上部分は塞がれています。
こちらは小物類。下に敷いてあるのは付属のキャリーバッグ(折りたたまれた状態)です。これらすべて、これから記事中に登場してきます。
さっそく組み立ててみよう
それではさっそく組み立ててみましょう。と言っても、その方法は初見でも余裕の簡単さ。しかしながら火を扱う製品なので、説明書にはしっかりと目を通しました。
組み立ての様子がこちら。折りたたまれた4本の脚を広げて、両サイドにグリッドを設置。あとは煙突を差し込むだけです。
完成状態をご覧ください。じつにバランスのいい、佇まいの美しい薪ストーブだと思いました。
脚が長めで、地面への影響が考慮されているのも好印象です。オプションでは、さらに脚を延長させるパーツも販売されています。
実際に使うときには、煙突に「煙突固定用リング」を通してやる必要が。金属製のループにつないだロープをペグダウンして、安定性を補強します。ちなみにロープやペグは付属しないので、自分で用意する必要があります。
随所に気配りとおしゃれ感
使用できる姿になったところで、細部を見ていきましょう。まず各サイズは下の写真の通りです。
高さは天板までで、煙突を差し込む突起は含みません。重量は本体が18.4kg、付属品を合わせると22.4kgと公表されています。
3面に大きな耐熱ガラスが
前述した通り、耐熱ガラスは贅沢にも3面に。これなら薪ストーブを囲んでいるメンバー、みんなが炎のゆらぎを鑑賞することができますね。
前面の扉は、ブランドロゴの刻まれたおしゃれなハンドルで開閉します。ハンドルをひねればロックが外れる、という具合ですね。閉めるときはロゴの天地通りに水平にすれば、ロックがかかります。
ところで前面の扉には吸気口が見当たりません。大抵の薪ストーブは、空気量を調節できるような吸気口を備えているものですが……。
吸気口&ダンパー
なんと吸気口は背面にありました。火かき棒をひっかける穴があり、スライドさせることで内部に取り込む空気量を調節できます。
これにより前面をシンプルにすることができ、耐熱ガラスの大きさを実現できたのでしょう。ナイス設計です。
そしてボトム煙突には、さきほどご紹介した空気の流れを調節できるダンパーが付いていますから、吸気口とダンパーのコンビで空気の流れをコントロール可能。
ダンパーのつまみを地面に対して垂直にすると全開放、水平に近づけることで空気の流れを絞ることができます。
調理しやすそうな広々天板
天板はシンプルでフラット、モダンさを感じさせます。と同時に、広々としていて調理しやすそうだと思いました。
クッカーを熱から離したい場合や待機させておきたい場合は、両サイドのグリッドが活躍するでしょう。
工具は何に使う?
付属する工具を使うことで、まずダンパーの動きやすさを調整できます。ボルトを締めれば動きが固くなり、緩めればゆるゆるに。基本的には使っているうちに緩んできたのを、締め直す用途が多そうですね。
前面のドアノブが緩んできたときも、付属の工具でケアできます。工具に合わせたサイズのボルト&ナットを使っているので、これ1本でメンテできるのは嬉しいですね。
ところで今気づいたんですが、耐熱ガラスが横にズレているようです。これは困りましたね、どうしたものか……。
しかし安心してください。耐熱ガラスを固定するナットも、同じ工具で緩締可能。強く締めすぎるとガラスが割れてしまうので、運搬中にズレることはそんなに悪いことではなさそうです。方向としては「とにかく締めすぎに注意」です。
収納しやすいキャリーバッグが付属
付属のキャリーバッグも気が利いていました。1枚のファブリック状態に広がり、本体に合わせてファスナーを閉じれば、立体的なバッグに。
下手に袋状だったりすると、入れるときに引っかかってグニャグニャに……という状況に苛まれますが、これなら楽勝ですね。
キャリーバッグのおかげで、片手で持ち運びが可能。しかし20kgを超える重さがあるので、ラクラク持ち運べるとは言い難いものが……。ある程度のパワーは必要となります。
さあそれでは、キャンプで実際に使ってみましょう!
実際にキャンプで使ってみた(設営編)
煙突穴を備えたテントを張り、オーラをインストールしていきます。組み立てが簡単なのは、バタバタしがちな設営時に嬉しい仕様ですね。
ちなみにテントはワンティグリスの「ソロ ホームステッド」、非TCで煙突穴アリのタイプです。
煙突の設置には主体性が必要
慎重に煙突穴の位置を合わせます。重量的にそこそこしんどい作業ですが、寒さに耐え続けるよりは楽な戦いです。
筆者のテントの煙突穴は、耐熱クロスの丸穴タイプではありません。煙突が生地に直接触れると溶けてしまうので、ありあわせの煙突ガードを利用しました。
使ったのはウィンナーウェルの煙突ガードですが、マウント スミから純正の煙突ガードも別売りでリリースされています。
煙突は8本のうち7本を使い、屋根から先っちょまでの距離は1.2mほど。排気口がテントから1m以上離れていれば、まあ十分でしょう。
もしもテントの屋根が高くて距離を確保できない場合は、バラ売りの純正煙突を追加で購入できます。
倒れないようにロープで補強を
煙突が倒れないよう、煙突固定用リングを取り付けます。このパーツの締め付けだけは、付属の工具で行うことができません。このときはマルチツールを使いましたが、マイナスドライバーで予め取り付けておくことをおすすめします。
リングとペグを、自在結びのパラコードでつなげます。が、ここで大きなミスがありました。
後日知ったんですが、化繊素材のロープは熱で溶ける危険があるとのこと。針金や耐熱ロープを使う必要があるようです。普通に考えてもっともな話なんですが、煙突固定用リングの形状から、大丈夫そうに見えたんですよね。
さあ、完全にしくじったままキャンプは続いていきます。パラコードはどうなってしまうのか……!?
実際にキャンプで使ってみた(燃焼編)
まったく気温が上がらない曇り空の下、さっそく火を入れて暖まりましょう。小枝からスタートし、少しずつ薪を太くしていきます。
焚き付けから10分ほどで、炎はすっかり安定しました。いたって順調に感じられる燃え始めで、「前面の下の方に吸気口がなくても、ちゃんと燃えるんだな……」と感心している最中です。
最初は全開にしていた吸気口とダンパーを調整しつつ、ちょうどいい燃え具合を探っていきます。
長い薪にも対応できる!
薪ストーブ内の炎はとてもいい感じです。さて、ここで炉のサイズについて触れましょう。
当製品の最大の特長は炎の見えやすさですが、勝るとも劣らないメリットが「長い薪でもそのまま使える」ということ。
このときは35cmの薪束を用意していたのですが……。
この通り、余裕をもって収まります。メーカー公式サイトによると「市販の薪(40cm)が楽に投入していただけます」とのことで、薪をカットする必要がありません。扉が大きく、薪を入れやすいのもグッドでした。
小型の薪ストーブの場合、薪が長いときは斜めに入れてごまかしたりしますよね。でも太さがあると斜めにもしにくく、薪割りやカットを余儀なくされます。
40cmの薪にも難なく対応できるのは、当製品の大きなメリットでしょう。
広大なスペースで調理しやすい
天板スペースは、想像通り調理しやすかったです。写真は0.7Lのケトルにスノーピークの「アルミパーソナルクッカー」、そしてトランギアの「メスティン」が乗っています。まだ空きスペースもあるし、大きな鍋でもへっちゃらでしょう。
ちなみに天板の各サイズはこのようなものでした。直径30cm程度のクッカーなら対応できそうですね。それに加えて左右にグリッドを備えていますから、ファミリーやグループでも不足なく料理を楽しめると思います。
暖かさは申し分なし!
外はだいぶ日が暮れ、炎が美しさを増してきました。3方向から炎を鑑賞することができるので、ソロでは宝の持ち腐れ状態です。
もちろん暖かさも申し分なく、幕内はインナーダウンとダウンパンツを脱ぎたくてたまらないような温度となりました。
時刻は18:30頃、外の気温は氷点下に突入しました。一方、幕内の温度は夏日に届きそうな24℃……! このまま夜更けまで暖かく過ごし、快適に就寝することができました。
ちなみに幕内の温度を表示しているのは、一酸化炭素チェッカーです。しっかり作動させつつ、こまめに喚起をして薪ストキャンプを楽しみました。
後片付けのしやすさは?
翌朝、ストーブ内の炭と灰はこのような状態でした。炭はほんの少ししか残っておらず、見事に燃やし尽くした印象です。撤収に向けて後片付けを始めましょう。
底に敷かれていた耐火レンガを取り外すと、中央に穴が現れます。そこから炭や灰を落とすことで、重い本体を持ち上げることなく灰処理ができます。これは楽ちんですね。
完全に火が消えてない場合は、穴の真下に火消し壺を配置するといいかもしれません。
耐熱ガラスにはススがこびりついていました。薪がガラスに寄りかかると、こうした汚れが発生します。
とはいえウェットティッシュで落とすことができたので、面倒ではあるものの苦労はありません。それにキレイに維持することによって、次のキャンプでまた美しい炎がクリアに楽しめます。
オーラのココが凄い!
炎がすばらしく美しい
当製品が見せる炎の美しさは、想像を超えるものでした。理由は「ガラスが大きい」「3面から見られる」……だけじゃありません。なんというか炎のゆらぎがゆったりしているんですよね。大袈裟に言うと、スローモーションのように感じられる瞬間がありました。
それはなぜかと言うと……!?
炉内上部に設置された「バッフル」という装置。これにより炎が煙突に吸い込まれず、炎のゆらぎをゆったりとさせているのだそう。
またこの装置により、取り込まれた空気が高温になって「多次燃焼」を起こすのだとか。アウトドア界隈では「二次燃焼」とよく耳にしますが、三次や四次まで燃焼させるのが薪ストーブの世界のようです。
炉内の左上に注目してください。薪から発生した煙が漂っていますね。
1秒後の写真がこちら。まるで炎がバクッと食らいついたかのように、煙が燃えてしまいました。
これはまあ二次燃焼だと思うのですが、とにかく当製品は内部全体が炎だらけになるので、迫力のある燃焼光景になるというわけです。
地面への影響もしっかり考慮
燃えさかる炎とは裏腹に、本体の下はそれほど熱くなりません。地面との距離がたっぷり20cmあることに加え、炉内に設置されたレンガが効いているのかも。
いずれにせよ地面に対してローインパクトなので、比較的安心して使える薪ストーブです。
注意が必要な部分も
煙突の扱いは正直面倒です
これは当製品だけに限らない話なんですが、「薪ストーブを買った=薪ストキャンプが可能」とはなりません。
煙突穴が耐火クロスかどうか確認し、耐火性能がない場合は煙突ガードを用意するなど対策が必要です。
また煙突の固定にも気を使わなくてはなりません。当製品は「煙突固定用リング」の取り付けが少々手間ですが、省くのはもちろんNG。そして今回の筆者のようにパラコードを使うのもNGです(運良く溶けることはありませんでした)。
というわけで当製品を使うには、煙突との面倒な付き合いが避けられません。もっとも、薪ストーブ全般がそうではありますが。
移動手段を選ぶかも……
キャリーバッグに収納した重量は、20kg強。成人男性でも軽々と持ち運ぶのは難しく、また収納サイズは約45×40×37cmと小さくありません。
車載スペースや運搬手段は、しっかり用意しておく必要があるでしょう。クルマでの移動は必須、車種によっては扱いに困ることがあるかもしれません。
リッチで暖かな冬キャンプを約束する薪ストーブ
Woodstove AURA(ウッドストーブ オーラ)は、ゆったりとした大きな幕で、みんなで囲みたい薪ストーブでした。
暖かい幕内温度に温かい料理、そして3方向から眺められる美しい炎……これ以上ないようなリッチな冬キャンプを実現します。薪をカットする必要がないことで、時間的にもリッチに過ごすことができますね。
特に炎の美しさは、何度でも言及したくなるレベル。鮮やかな炎のゆらぎには、思わず無言で見入ってしまう魅力がありました。本体のブラックであることも、炎の色彩を際立たせていましたね。
単に暖かいだけでは満足できない……そんなファミリーキャンパーやグループキャンパーに、ぜひ選んでほしい製品です。
マウントスミ(Mt.SUMI) アウトドア薪ストーブ オーラver.2
重量 | (本体のみ) 20kg (付属品込) 26.2kg |
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サイズ | 外寸 (脚展開・煙突含まず) W57 × D40 × H48cm 外寸 (脚展開&グリッド&煙突立ち上げ含む) W74.5 × D40 × H53㎝ 燃焼室 W41 × D32.5 × H約22cm 収納サイズ (煙突立ち上げ含む) W46 × D38 × H37㎝ 煙突 Φ80mm × 長さ325mm (有効長270mm) × 8本継ぎ |
素材 | (本体) 鉄 (煙突、火かき棒、煙突固定リング、グリット) ステンレス (耐火煉瓦) セラミック 最大熱出力:6kw 製品保証 : 6か月 (ガラス・耐火煉瓦は保証対象外) |
マウントスミ ウォータータンク
サイズ | (全体)W16 × D14 × H15cm (タンク)W12 × D10 × H13cm |
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重量 | 795g |
素材 | ステンレス |
公式ホームページはこちら