お買い物時に見ておくべきポイント
テントやタープなどのキャンプ用品や、ウェアを購入する際に見ておくのがスペックですよね。中でも“水と生地”に関するにスペックついては、単語の意味をよく理解しておくことが大事です。
ではここで問題。「防水」「撥水」「耐水」この3つ、正確に違いがわかりますか?
微妙な人も、分かるという人も、フィールドに出る前に今一度”水と生地”に向き合ってみましょう。
ここではあくまでキャンプ初心者向けに、基本のキをギュギュっとまとめました。コレを知っていれば、お買い物に役立ちますし、雨キャンだってこわくないかも!?
【防水】とは?
「防水」とは単純にいえば生地のすき間を埋めて「水を通さない機能」のことです。
GORE-TEXのような、水を極めて通しにくいフィルムを挟んだ生地タイプもこれにあたります。
「防水性」を備えた生地とは、水圧をかけても水が浸入しない、もしくはしづらい生地をさします。
【撥水】とは?
「撥水」とは「生地の表面についた水をはじく機能」のことです。
素材自体にもともと防水性能があるわけではなく、表面(や糸)を撥水加工することにより、水をはじく機能をあとからプラスしたものです。
【耐水】とは?
「耐水」とは広い意味で「水に強い性質」のこと。
その性能を数値化したのが”耐水圧”です。生地がどれだけ水を通さないかを示す目安となります。
「防水」の豆知識
ビニールの雨合羽は”防水”という面ではある種最強です。しかし透湿性ゼロで蒸れまくるためアウトドアウエアやテント生地としては実用的とはいえません。
体から出てくる汗や水蒸気で結局ビショビショになっちゃいますからね。
なのでアウトドアで考えた場合に透湿性はマスト。実際にフィールドで使用する生地として「防水」と「透湿」はセットで考える必要があります。
豆①【防水透湿】
防水透湿素材とは「水を遮断しつつ内部の水蒸気を外に排出する生地」のことをいいます。
水のほうが水蒸気より粒が大きいという差を利用し、水蒸気は通り抜けられるけど水は通れない小さな穴をたくさん(1㎠に約14億個)あけた構造になっています。
豆②【ゴアテックス】
防水透湿素材といえばゴアテックス、まさしく防水透湿界のキング的存在です。
いち早く防水透湿技術を確立し、最近では透湿性をさらに高めるなど今なお進化しつづけています。
パタゴニア メンズジャケット ゴアテックスウェア レフュジティブ
豆③【ゴア以外の防水透湿素材】
“防水透湿素材はゴア一強”という時代は変わろうとしています。
イーベントやポーラテック(ネオシェル)など個性と実力のあるライバルが続々と力をつけています。
イーベントは透湿性が非常に高く、ポーラテックは防水性がやや低めなもののしなやかな生地感でアクティビティにマッチします。
アンドワンダー イーベントジャケット
マウンテンハードウェア メンズ ジャケット サイクロンジャケット
「撥水」の豆知識
水をはじくための加工を施した機能を「撥水」といいます。
比較的通気性が保たれるので蒸れにくいものの、洗濯や使用を経て「水をはじく」機能は徐々に低下していきます。
豆①【シリコン系撥水】
シリコン系撥水の構造は単純そのもの。表面にシリコンの薄い膜をはり水をはじきます。
安価で撥水力も高いものの、効果持続期間が短く通気性も低いのが難点。換気の必要がない箇所や定期メンテを前提とした使用にはおすすめです。
豆②【フッ素撥水】
フッ素撥水では、表面に無数のトゲ状の突起を形成します。生地の表面を毛羽立たせることにより、水だけでなく油や汚れもはじく構造です。
長持ちするものの、随所にすき間があるのでシリコンよりも撥水力はやや劣るのが弱点です。
これをブラッシュアップさせたのがモンベルのポルカテックス。トゲの数を通常より増やし、加工をはがれにくくする工夫を凝らしています。
シュラフカバーあたりはソロキャンで重宝しそうですね。
モンベル ポルカテックススリーピングバッグカバー
●シュラフカバー
●カラー:インクブルー
●素材:40デニール・高密度マルチナイロン・タフタ
(表・ポルカテックス加工/裏・アクリル透湿コーティング)
●重量:250g
●サイズ:最大長225×最大幅84cm
●収納サイズ:約4.5×8.5×18cm
豆③【撥水材】
テント生地の撥水性能は使用しているうちにどうしても低下します。それならDIYで修復するのもひとつの手ですね。
シリコン系撥水材なら信越シリコーンの「ポロンT」、フッ素系撥水材ならテムポの「パラウェット」がキャンパーの支持を得ています。
それぞれ一長一短で、撥水性ならシリコン系が優位な一方、通気性はフッ素系が上回りますね。
信越化学 ポロンT 1kg
「耐水」の豆知識
耐水とは、水に耐える強さ、のことです。
それは「耐水圧」という数値で表します。テントやウエアの生地が「どの程度の水量に耐えるか」を知るための指標になります。
アウトドアの各シーンや用途によって必要とされる耐水圧は変わります。
豆①【耐水圧】
「耐水圧(耐水度)」の計測方法は、まず1㎠の筒口に生地をあて水を注ぎます。水滴が染み出したところまでの水の高さ(㎜)で耐水圧が決定します。
雨で例えると小雨が300㎜で普通の雨が2000㎜、大雨で10000㎜という数値が大まかな目安です。
豆②【テントの耐水圧】
テント生地にも耐水圧表示がありますが、どの程度の数値ならOKなのでしょうか?
ウォールならおおむね耐水圧2000㎜以上あればベスト。1500㎜程度でも通常使用では問題なし、それ以下ではやや心配というレベルです。フライシートの場合は1200㎜あれば大丈夫でしょう。
例えばMSRのハバハバはフライは耐水圧1200mm、フロアが耐水圧3000mm。モンベル サンダードーム2ではフライが耐水圧1500mm、フロアが耐水圧2000mmという設定です。圧のかかる部位によって耐水圧が変えられています。
コールマンのウェザーマスターのようなハイエンドなテントでは、ウォールは3000㎜、フロアシートは10000㎜というハイスペックぶりですよ。
MSR ハバハバ
●サイズ:230×130×115cm(高さ)
●本体重量:2.23kg(2.51kg)
●素材:本体=20デニール・ナイロン・メッシュ(難燃加工)、フライシート=40デニール・ナイロン・リップストップ(耐水圧1,500mm)、フロア=70デニール・ナイロン・タフタ(耐水圧2,000mm)、ポール=7001超々ジュラルミン(アルマイト酸化皮膜加工)
モンベル サンダードーム2
豆③【ウエアの耐水圧】
多くのアウトドアアクティビティでは10000㎜あれば十分。野外で長時間過ごすキャンプなら15000㎜ほどあれば安心。命に関わる登山なら20000㎜は欲しいところです。
ちなみにウェアにかかる耐水圧の目安として、濡れた場所に座ると2000㎜、濡れた場所に膝をつくと11000㎜という数値になります。
モンベルのバーサライトジャケットなら耐水圧30000㎜、カリマーのビューフォート3Lジャケットで耐水圧15000㎜で、どちらも耐水圧の高いウエアですね。
モンベル バーサライト ジャケット
カリマー ビューフォート3Lジャケット
水と生地を知ればスキルも上がる!
アウトドアマンの最も身近な問題”雨”。まずは水を克服することでキャンプの安全性、快適性は格段にアップします。
フィールドや季節、状況によってどんな生地がマッチするのか? 「水と生地」を知ればその先の対策が見えてくるはず!
Relations of water and the cloth.
水と生地の関係。