固形燃料とは?
固形燃料 とは、一般的に旅館で出される卓上料理や、キャンプ料理などに使われる固体の燃料を指します。
今日ではメタノールを主成分とする工業製品を指す場合が多いですが、ロゴス の人気商品であるヤシガラ成型炭の「エコココロゴス」が“固形燃料”として販売されているケースがあるように、広義では成形木炭や練炭も固形燃料の一種といえます。
▼ロゴスの「エコココロゴス」を詳しく紹介した記事はこちら!固形燃料のメリット
ほかの燃料と比較したときのメリットとしては、固形のため手軽に持ち運びできる点や、ライターやマッチなどで火をつけるだけで着火し、卓上でも使いやすい点が挙げられます。
さらに、オイルやガスと比べて燃料漏れの心配は少ないので、アウトドア初心者でも扱いやすいでしょう。
固形燃料のデメリット
基本的には燃料ごとに火力や燃焼時間が決まっているため、細かな調節ができないことはデメリット。
また、長時間燃焼できるものや、火力が大きいものは少ないので、料理によっては向かないこともあります。
固形燃料の選び方
固形燃料の選び方のポイントとして、以下の2点を意識しましょう。
1. 燃焼時間と使用目的に応じてサイズを選ぼう
固形燃料は、一般的にサイズが大きいほど燃焼時間が長くなります。
たとえば、以下で紹介するニチネン の「トップボックスA」の場合、「丸コンロ(火皿なし)・15cmアルミ鍋(水200ml入り)・敷板」という燃焼条件における容量ごとの燃焼時間の目安は以下のとおりです。
容量 | 燃焼時間 |
---|---|
10g | 15分30秒 |
15g | 16分 |
20g | 19分30秒 |
25g | 20分 |
30g | 22分 |
35g | 24分 |
40g | 25分 |
※参考:ニチネン「トップボックスA」
ただし、固形燃料は大きければ良いわけではなく、上に乗せるものや必要な調理時間などによって適したサイズは変わるので注意しましょう。
調理器具に対して固形燃料の火力が大きすぎると、火が底から漏れて危ないこともあります。
2. 種類ごとの特徴を知って用途に合ったタイプを選ぼう
固形燃料には、アルミ箔に燃料が乗っている「卓上タイプ」や、軍用に用いられることもある携行性や保管性に優れた「タブレットタイプ」などの種類があります。
また、「ジェルタイプ」であれば袋ごと燃やせるので手が汚れないで済みますし、再利用できるため防災用として備蓄されることもある「缶タイプ」もあります。
次の項目でそれぞれの特徴を知って、用途に適したタイプを選びましょう!
固形燃料のおすすめ14選
以下の種類別におすすめの固形燃料を紹介します!
同じアイテムでもサイズが違えば燃焼時間が異なるので、用途に合うサイズを選ぶのがポイントです。
卓上タイプ
旅館などでよく見ることが多い卓上タイプは、手軽さが一番の魅力。火力が程良く、使い終わったあともアルミ箔を捨てれば良いだけなので片付けも簡単です。
火力の調節が不要で、20分ほどで自然と火が消えるものが多いため、お湯を沸かしたり、ご飯を炊いたりと、短い時間での調理におすすめです。
ニチネン トップボックスA
固形燃料やカセットボンベ などの商品で知られる老舗メーカー・ニチネンの定番アイテム。燃焼時間15分程度の10gから、25分程度使える40gまで、幅広い容量を展開しています。
ショップによっては20個入のパック1つから購入できたり、数百個分お得にまとめ買いできたりするので、必要に応じてチェックしてみましょう!
ニイタカ カエンニューエースE
固形燃料や業務用洗剤などを製造するニイタカ の人気商品で、各ECサイトの売れ筋ランキングでも上位を獲得しています。容量は最小7g、最大40gと幅広く対応。
ニチネンの「トップボックスA」と同様に、数百個分をまとめて安く購入できるショップもあります。
イシガキ産業 ケイネン
鍋やプレートといった調理器具を展開しているイシガキ産業の固形燃料。燃焼時間は約20分です。着火の際はフィルムの端に火をつければ良いため、燃料部分を直接触ってしまう心配もないでしょう。
同社からは固形燃料をセットして卓上料理を楽しめるコンロも販売されているので、合わせて買うのもおすすめです!
ホワイトベアー なべっこ
白熊印がトレードマークのスポーツ・アウトドア用品、衛生用品などで知られるホワイトベアーの業務用固形燃料です。アルミ箔つきタイプは、容量15gから35gまで展開。
ニチネンやニイタカの製品と同じく、お得にまとめ買いできるショップも多いので、大人数での使用を想定している場合は要チェックです。
タブレットタイプ
アウトドアシーンで役立つタブレットタイプは、カレーの固形ルーのように、いくつかのタブレットがパッケージに封入されているものが主流。
軍用として使われている商品もあり、携行性や保管性に優れています。キャンプの荷物をできる限りコンパクトにしたい人におすすめです。
エスビット 固形燃料
ドイツやスイスの軍隊でも使用されるエスビットのポケットストーブ用固形燃料は、キャンパーにおなじみの商品。サイズはスタンダード(4g)・5g・ミリタリー(14g)・27gと分かれています。
大きいものほど燃焼時間は長くなりますが、ミリタリーと27gは燃焼時間は同じで火力が異なります。パッケージが似ているので、購入する際はよく確認しましょう。
フラムゴ ファイヤーライター フラムゴ21
オランダ製のタブレット型固形燃料。取り扱いが簡単なキューブ状で、薪ストーブなどを使う際の着火剤としても人気です。
21個のタブレットが1つのコンパクトな箱に収まっているので、キャンプのコンテナに常に入れておいても邪魔にならないでしょう。
ジェルタイプ
ジェルタイプは袋に入っているものが主流で、使用するときは袋のまま燃やせるので、手が汚れず簡単に着火できます。
そのほか、市販のマヨネーズのようにチューブ入りの商品も。量が調節できて使いやすいのが特徴です。
ニチネン パック燃料四角タイプ
ニチネンのパック燃料は、同社の卓上タイプのものより2倍以上の長期保存ができるため、防災用として備蓄しておくのもおすすめ。
着火の際は袋を開けずにパッケージの炎マークが描かれた部分に点火すればOKで、扱いやすい商品です。
バンドック パック燃料 BD-486
コストパフォーマンスに優れたテント やチェア などが人気を集めるアウトドア用品メーカーのバンドックが製造するパック燃料です。
火起こしで使う場合は木炭や薪の下に置いて、長いノズルのライターを用いて着火しましょう。
缶タイプ
固形燃料には、途中で火を消して複数回使用することが可能な缶タイプもあります。燃焼時間が長い商品も多いので、煮込み料理や鍋料理にも使いやすいでしょう。
ゴトク が付属しているものなら、ストーブやコンロを使わずに鍋を乗せることができて便利です。
ニチネン 屋外用トップ丸缶
ニチネンが製造する缶タイプの固形燃料。付属の火力調節リング・ゴトクを使用した場合、燃焼時間は約150分と、長時間の料理や災害時の使用に最適です。
容量600gのタイプもありますが、燃焼時間は約110分と、250gのほうが長くなっている点は注意しましょう。
デュアルヒート 極小缶
アメリカで生まれた非アルコールタイプの固形燃料。消防庁危険物データベースに「非・危険物」として登録されており、安全に使用できるのが魅力です。
※参考:総務省消防庁「危険物データベース登録の手引」
「極小」という名前ではあるものの、約1時間は燃焼可能。別売の専用ゴトクを購入すれば、やかんや鍋などを乗せられるようになり、使い方の幅が広がります。
ホワイトベアー ケイネン400
ホワイトベアーの火力調節リング・ゴトク付き小型缶固形燃料。点火後に誤って倒れた場合にも燃料が流れ出ない安全な設計です。
気温・水温20度という条件下で500mlの水が沸騰するまでの時間は約6分。テント泊の翌朝に暖かい飲み物を飲みたくなったときなどにも重宝するでしょう。
100均商品
100均商品はコスパの良さに加え、少ない個数から買いやすいのも大きな魅力。
キャンプや庭でのバーベキューなど、手軽に固形燃料を使って料理を楽しみたい人におすすめです。
ダイソー 固形燃料25gカップ入(アルミ付)
アルミ箔つきで受け皿を使わずに使用できます。1個で20〜23分の燃焼時間のため、炊飯や湯沸かしには十分使えるでしょう。
3個入で税込110円と、手軽に買いやすい数量・値段で、必要なときに使う分だけ購入することが可能です。
価格 | 110円(税込) |
---|---|
個数 | 25g×3個入 |
主成分 | メタノール |
ダイソー パック燃料
同じくダイソーで購入できる、袋ごと直接燃やすパックタイプの燃料。
アウトドアで炭の着火剤 などに使用する場合、ハードケースに入れて持ち運べば、かさばることもなく袋もしっかり保護できるので安心です。
価格 | 110円(税込) |
---|---|
個数 | 4個 |
主成分 | メタノール |
キャンドゥ 固形燃料25g×3包
キャンドゥでも料理や火起こしに使える3個入の固形燃料が税込110円で購入可能です。
容量はダイソーのものと同じ25gですが、燃焼時間の目安は約15分と少し短めになっています。
価格 | 110円(税込) |
---|---|
個数 | 25g×3個入 |
主成分 | メタノール |
固形燃料と一緒に買うと便利なアイテム
固形燃料と合わせて購入したいアイテムとしては、以下のようなものが挙げられます。
ゴトクやストーブ、コンロなどを販売しているメーカーの固形燃料は、自社のアイテムに合うサイズになっているケースが多いので、固形燃料と同じメーカーの製品を使用することをおすすめします。
汎用の固形燃料を使う場合は、使用する商品の注意書きをよく読み、安全に使用することを心がけましょう。
受け皿
固形燃料のなかには、アルミ箔つきの受け皿が不要なタイプもあるため、必要に応じて用意しましょう。
また、固形燃料と受け皿のサイズが合っていないのに無理に使うのは危険です。対応サイズを事前に確認して選びましょう。
EBM 固形燃料受け皿 25g
シンプルな卓上タイプ用の固形燃料受け皿です。EBMのコンロセットに収まるサイズで、直径が60mm。
比較的安い値段で買えるのも魅力です。送料を除けば税込100円前後の価格で購入できるショップもあります。
キャプテンスタッグ 和膳亭 固形燃料用受け皿 MK-1478
和の風合いを感じられるキャプテンスタッグ 「和膳亭」シリーズの商品です。素材は耐熱陶器で、重量80gと一定の重みがあるため安定感があります。
直径67mmなので、大きめの固形燃料でも使用することが可能です。おちょこのような和風のデザインで、キャンプギアと並べたり、食卓に置いたりしても馴染むでしょう。
キャプテンスタッグ 和膳亭 固形燃料用受け皿 MK-1478
●素材:耐熱陶器
エバニュー mulTi Dish EBY280
あえてつまみや蒸気孔がないデザインのため、キャンプでのさまざまなシーンで活躍してくれる一品です。
ジェルタイプの固形燃料でも余裕を持って置けるでしょう。テーブル に接する面が広いので、受け皿の下には耐熱シートなどを敷きましょう。
ゴトク・コンロ・ストーブ
ゴトクやコンロ、ストーブはアウトドアシーンにぴったり。ただし、サイズによっては固形燃料がフィットしないので注意しましょう。
また、固形燃料は横からの風に弱い傾向にあるので、風除けも兼ねて使うことができればより火力を安定させることができます。
ソト ミニ焚き火台テトラ ST-941
コンパクトに収納、携帯できる組み立て式のミニ焚き火台です。小さな窓から見える炎がおしゃれです。上にシェラカップを乗せることもできます。
4面あるプレートが風防の役割も果たしてくれるので、風がある日でも火力を安定させやすい商品です。
エスビット ポケットストーブ スタンダード
エスビットの固形燃料が箱ごとすっぽり入る、携帯性に優れたポケットストーブです。ゴトクの高さは2段階に調節可能。
固形燃料の火力や調理器具の大きさに合わせて変更することができます。野営キャンプのような無骨な雰囲気が似合うストーブです。
▼エスビットのポケットストーブを詳しく紹介した記事はこちら!キャプテンスタッグ ポケットストーブ UG-86
クールで光沢のあるブラックカラーは、ほかのメーカーにはない特徴です。同メーカーのアルミ角型クッカー内にシンデレラフィットするため、収納にも困りません。
幅120mmとポケットストーブの中では少し大きめなので、広い鍋底の調理器具でも均一に火が当たります。
キャプテンスタッグ ポケットストーブ UG-86
●素材:鉄(電着塗装)
MiliCamp ポケットコンロ 折りたたみ 専用メッシュケース付き MFL-3
爪の先のような形で料理器具を支えるほかのメーカーの製品とは違い、フタのようなゴトクがあることで、クッカーなどを楽に置けて安定性が高いポケットコンロです。
また、専用のメッシュケースつきなので、クッカーの中に入れても傷がつきにくくて安心です。
MiliCamp ポケットコンロ 折りたたみ 専用メッシュケース付き MFL-3
●素材:鉄(亜鉛メッキ処理)
エバニュー チタン五徳 EBY258
固形燃料の上に2枚のコの字型のチタンプレートをクロスさせてゴトクになる、シンプルな構造です。
上記で紹介した同社のマルチディッシュのような、大きめの受け皿を使いましょう。ゴトク部分が安定しているので、大きめのクッカーも置きやすいのが特徴です。
▼ゴトクのおすすめを詳しく紹介した記事はこちら!固形燃料の注意点
固形燃料を使用するにあたっては、いくつかの注意点があります。安全に使用するためのポイントを確認しておきましょう。
直火料理はしない
固形燃料の主成分であるメタノールは人体に有毒な物質であり、直火や網越しに火を当てた食材を食べると、体に害を及ぼす可能性があります。
※参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「メタノール」
※参考:ニチネン「固形燃料の使用方法について」
食材を焼く場合は必ず鍋やメスティンなどの調理器具を使用して、直火では料理しないようにしましょう。
素手で直接触れない
上記のとおり、固形燃料に使われるメタノールは人体に有毒であるため、基本的に素手で触れないようにしてください。
ほとんどの固形燃料は直接素手で触れずに済むような作りになっていますが、どうしても触る必要がある場合は製品の注意書きなどを確認したうえで、必要に応じてゴム手袋などを使用しましょう。
近くに燃えやすいものを置かない
火を扱ううえでは基本的なことですが、コンロ の転倒や飛び火が起こった場合などを想定し、固形燃料を使っているときに近くに燃えやすいものは置かないようにしましょう。
ポケットコンロなどは重量も軽いため、風が強い日は風防ごと動いてしまう可能性もあります。テーブルの上に乗せる場合は、スペースに余裕を持って使うことをおすすめします。
室内で使う場合はしっかり換気する
室内やテント 内で固形燃料を使用する場合、必ず意識したいのが換気です。
室内での使用が可能とされている商品であっても、注意書きや付属の説明書をよく読んだうえで、しっかりと換気を行いましょう。
固形燃料の使い方
アウトドアシーンにおける固形燃料の使い方の例としては、以下のようなものがあります。
メスティンやシェラカップで自動炊飯!
アウトドアでご飯を炊く方法としては飯盒炊爨がメジャーですが、固形燃料が一定時間で燃え尽きることを利用した「自動炊飯」も注目を集めています。
メスティン やフタをしたシェラカップにお米を入れて水に浸けておき、固形燃料に火をつけて加熱。火が消えたらしばらくフタをしたまま蒸らせば完成です。
▼シェラカップを使った自動炊飯の方法を詳しく紹介した記事はこちら!
プレートでひとり焼肉!
プレートと固形燃料を組み合わせて使えば、食卓やキャンプで手軽に焼肉を味わえます。
固形燃料の火力は限られるものの、一度着火すれば安定して燃焼し続けるので、バーベキューほど火加減を気にせずに済むのもメリットです。
鍋で燻製料理!
固形燃料は燻製料理にも役立てられます。以下のように、固形燃料をセットして使うタイプの燻製鍋も販売されています!
そのほか、100均のアルミ鍋や網を利用して、アウトドアで簡単に燻製を楽しむ方法もあります。▼セリアの鍋と固形燃料を使った燻製料理の作り方を紹介した記事はこちら!
固形燃料のよくある質問と回答
最後に、固形燃料を使用する際のよくある質問と回答をまとめました。
固形燃料の保存方法は?
固形燃料は直射日光が当たる場所や高温な場所、湿気の多い場所などを避け、涼しく風通しが良いところに保管するのが基本。
特に卓上タイプの固形燃料は、外袋を開けたらなるべく早めに使用しましょう。ジップロックなどに入れて密閉しておくのもおすすめです。
固形燃料の消し方は?
基本的には一度つけたら完全に燃え切るまで待ちましょう。どうしても消したい場合は息を吹きかけて消すのではなく、火消しフタなどを使ってください。
また、缶入りタイプはフタを閉めて酸素をなくすことで火を消します。炎にフタを直接かぶせるので、やけどや引火には十分注意しましょう。固形燃料の捨て方は?
完全に火が消えたのを確認したあと、アルミ箔や受け皿も含めて熱がなくなるのを待ってから捨てましょう。
燃えカスも芝生や地面などに撒くのはNG。ゴミとしてまとめて捨てるようにしてください。
固形燃料は火力調整できる?
固形燃料は細かい火力調節はできないため、あらかじめ必要な火力を考慮してから商品を購入するのが重要です。
フタ付き容器の中に入れて火力を調節できるようにするアイテムも販売されていますが、メーカーは推奨していない場合もあるので、事前に確認を忘れないようにしましょう。
また、複数個同時に燃やすと破裂や異常燃焼の原因となる場合もあるので注意してください。
固形燃料は再点火できる?
前述のとおり、固形燃料は火をつけたら燃え尽きるまで燃焼し続けるものが多いですが、缶タイプの固形燃料であれば火を消したあとに再点火することができます。
ただし、一度開封すると長期間保存しておくのが難しくなる点には注意が必要です。
便利な固形燃料を使いこなそう!
着火や管理が簡単な固形燃料は、かさばりがちなキャンプの荷物をコンパクトにできることも魅力です。また、一度着火すれば消えるまで火加減を気にしないで済む点も扱いやすいポイントですね。取り扱いや保管方法などに注意したうえで、キャンプ飯や焚き火を楽しみましょう!