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Airtag

【キャンプ場で検証】アップル「AirTag」で迷子になった子どもを探し出せるのか?

近年急増しているキャンプ場での子供の迷子トラブル。それを受け、CAMP HACK編集部が実施した迷子対策アンケートで、最も多かったのが「AirTagを子供に持たせる」という回答でした。

そこで今回は、キャンプ場で実際に「AirTag」を使った迷子捜索について検証! 迷子役が隠れる場所や条件を変えつつ、捜索難易度のレベル別に結果を詳しくご紹介していきます!

 

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

記事中画像撮影:編集部

キャンプ場での迷子対策にAirTagは有効なのか?

迷子対策アンケートスクショ

近年、ファミリーキャンパーの増加と共に急増中なのが、子どもの“迷子トラブル”。そこでCAMP HACK編集部では、キャンプ場での迷子対策について、読者のみなさんにアンケートを実施! 

そのなかの回答で最も多かった回答が、子供に「AirTag」を装備させるというものでした。

▼迷子アンケートの詳しい内容はこちら

カラビナに装着したAirTag

ところが、「AirTag」は本来人ではなくアイテムの捜索が目的のガジェットで、迷子対策における有効性は未知数……。

ということで今回、「AirTag」を使った迷子の捜索について、実際にキャンプ場で検証してみましたよ!

※Apple社の公式見解では人の捜索への使用は推奨されておらず、本検証結果も迷子の発見を保証するものではありません。迷子対策には自己責任の上でご使用をお願いします。

AirTagってどんなガジェット?

手持ちしたカバーなしのAirTag

検証の前に、そもそも「AirTag」ってどんなガジェットなのかサクっとおさらいを。

「AirTag」とは、鍵や財布、自転車などに取り付けて、置き忘れを防止したり、紛失したときに現在位置を調べられる「紛失防止タグ」です。

探すアプリ画面とAirTag装着した鍵

出典:Amazon

iPhoneの「探す」アプリと接続すれば、「AirTag」からのBluetooth信号を「探す」アプリが検知する仕組みです。

しかも、自分のiPhoneがBluetooth信号の届く範囲(約10m)を離れても、「AirTag」周辺の他のAppleデバイスがハブとなって位置情報を中継。世界中で追跡が可能です。

その他の特徴について
●位置情報は暗号化され、各デバイス間のプライバシーは保護
●iPhone11以降のバージョンは、「AirTag」が近いときに距離と方向も表示
●スピーカー内蔵で音が鳴らせる
●市販のボタン電池(CR2032)で約1年稼働
●IP67等級の防水防塵性能

Apple AirTag

サイズ直径/31.9 mm、厚さ/8.00 mm
重量11g
バッテリーCR2032コイン型バッテリー
 接続Bluetoothによる近接検出
防水防塵性能IP67等級
動作環境温度-20°〜60°C

キャンプ場で検証!AirTagで迷子を見つけられるか?

ふもとっぱらキャンプ場_富士山含む遠景

出典:Instagram by@fumotoppara_official

それでは早速、検証していきます! 今回は、“キャンパーの聖地”として大人気の静岡県のキャンプ場「ふもとっぱら」さまのご協力により、場内で検証を実施しました!

編集部高木さんがAirtagを指差しAirTagをポケットに装備

迷子役であるCAMP HACK編集部員Tが、パンツのポケットに「AirTag」を装備。下記条件下で捜索難易度のレベル別に隠れます。それを、筆者がiPhoneの「探す」アプリで捜索していきます!

検証条件
●場所:ふもとっぱらキャンプ場
●日時:
平日の昼間と夜間
●利用者数:
2割程度
●デバイス:
iPhone 12
●iOS:16.1.1 (20B101)
●Airtag :ファームウェア 2.0.24(シリコンカバー装着)

【先に結論】完璧に探し出すのは難しかった

AirTag

まず初めに、今回の検証の所感をお伝えします。筆者的には、「AirTagだけで迷子を100%見つけ出すことは難しい」と感じました。

特に、キャンプ場は市街地とは条件が大きく異なります。そのため、検証では「AirTag」に期待される機能が制限されてしまう場面が多くありました。

しかし同時に、迷子発見の可能性を高める補助的デバイスとしては、一定の有効性を発揮するシーンもあり、一概に使えないとは言い切れなさそうです。

これらの結果を念頭に検証結果を見ていきましょう!

レベル1.  見通しの良いサイトのテント

Googleマップ航空画像のふもとっぱら

ディズニーシーに匹敵する広大な敷地を誇る「ふもとっぱら」ですが、今回は赤丸のあたりで検証を実施。

キャンプ場でかくれんぼ

まずは足慣らしということで、迷子役が隠れるテントが分かっているシチュエーションで捜索にトライ。筆者は一応、見ないフリ見ないフリ……。

ふもとっぱらで迷子役が隠れているテント図示

迷子役から約70m地点の探すアプリスクショ図示

まずは、迷子役から約70mほど離れてみました。すると、「探す」アプリ画面左下の「自分が所持中」だった表示が、住所表示へと変化。

マップにはお互いのおおよその位置関係が、画面右下には距離が表示されました。

迷子役のテントから50m圏内図示

マップ表示を頼りに迷子役に少しずつ近づくと……。約50m圏内に入ったところで表示が変化!

迷子役から50m圏内の探すアプリスクショ図示

マップ上では迷子役と捜索者の位置が一致。画面左下の住所表示は、再び「自分が所持中」の状態に。

さらに画面右下の距離表示が「探す」の表示に変化。早速クリックしてみます!

約50m圏内の探すアプリスクショ図示

すると、画面が暗転して「信号を探しています…別の場所に移動してみてください」の表示に。

ここで気付いたのが、「AirTag」から約50m圏内に入ると位置関係がまったく分からなくなるという点でした。

迷子役テント10m圏内図示

10m圏内の探すアプリスクショ

今回はどのテントに隠れているかが分かっているので、目視でテントへと徐々に接近。

すると約10m圏内に入ったところで、光の輪と共に「離れています」の文字が!

10m圏内の緑矢印画面スクショ

さらに約5m圏内まで近づくと……。緑の画面に大きな矢印マークと距離の表示が!

同時に、矢印マークの点滅と共に“トクットクッ”とiPhone自体が鼓動するように振動を開始。

テント影の迷子役発見時

ここまでくると、テントの影に隠れていた迷子役Tはアッサリ発見! ですが現実の迷子は、当然どこにいるか分からない状態。

約50m以上離れた地点ではマップ上でおおよその位置が分かるものの、約50m圏内からは「自分が所持中」状態となり位置が分かりません。

約10m圏内に到達するまでは方向も分からず、実際に発見に至るまではもっと時間がかかりそうです。

テント中の迷子役発見時

ちなみに、テントの“影”ではなく、テントの“中”に隠れている場合も同じ条件で検証。影と中での結果には、特に大きな違いはありませんでしたよ。

レベル2. 車3台中のどれか1台にいるとき

70m圏内の車3台図示

続いては“レベル1”から難易度を少しUP! 停車中の3台の車の内、どの1台に隠れているかは分からないレベル2で検証しました!

約70m圏内から捜索を開始すると、やはり最初はマップ上に互いの位置が別々に表示。

50m圏内の車3台図示

マップ表示を頼りに3台の車へと近づき、約50m圏内に突入すると……。

50m圏内の探すアプリ表示したスマホ手持ち

“レベル1”と同様、画面が暗転して「信号を探しています…別の場所に移動してみてください」の表示になってしまいました。

10m圏内の探すアプリ表示したスマホ手持ち

さらに目視できている3台の車に近づき、約10m圏内へ入ると光の輪が現れ距離が5.8mの表示に。

左端のネイビーの車から順に接近していくと……。

6.7m距離表示の探すアプリ表示したスマホ手持ち

距離表示が6.7mと遠くなってしまいました。そこで今度は隣のタンカラーの車へと接近。

緑の矢印マーク画面の探すアプリ表示したスマホ手持ち

距離表示が5.1mになり、緑色の矢印マークの画面に変わりました! 手応えを感じさらにタンカラーの車の後部座席付近へ近づくと……。

タンカラーの車とスマホ手持ちした筆者

距離表示は1.3mに! 意を決してタンカラーの車のリアドアを開けてみることに……!

車の中の迷子役発見時

またしても、みごと編集部員Tを発見! 3台の車が近接していても1台の車を特定できたので、「探す」アプリによる「AirTag」検知精度は、かなり高いことを実感。

レベル3. 林の中でどこにいるか不明なとき

林の中でのかくれんぼ開始

次はいよいよ、「林の中でどこにいるか不明」という“レベル3”の難易度で検証スタート! この後、約50m圏外へ移動するまで筆者は振り返っていませんよ!

林から70m地点でスマホ手持ち

はい、50m圏外へ移動完了! この時点では、マップに迷子役Tと筆者の位置が別々に表示されています。

林の外50m圏の探すアプリ画面を図示

ですが、約50m圏に接近すると、やはり両者の位置がほぼ一致。「自分が所持中」の状態ではないものの、もはやマップの意味がないため「探す」ボタンをクリック。

林から50m圏内の探すアプリ表示したスマホ手持ち

やはり画面が暗転して位置が不明に。ここまで、ずっと気になっていた人もいるかと思いますが、実は内蔵スピーカー付きで「音を鳴らす」機能を持つ「AirTag」。

虎の子の機能として、難易度の高いこの“レベル3”の検証で初使用の予定だったんですが……。

50m圏内の探すアプリスクショ図示

なんということでしょう……! 約50m圏付近では「音を鳴らす」ボタンが「非アクティブ」で使えないと判明。

Googleマップ航空画像で捜索方法図示

どこにいるか分からない“レベル3”の検証でこそ頼りにしていた機能が使えず……。仕方なく、画像のように林全体をくまなく塗りつぶしていく地道な捜索をすることに。

林の中で首傾げる筆者後ろ姿林の中を捜索中の筆者後ろ姿

時折四方へとiPhoneをかざすも、暗転画面のままのiPhone。ため息を漏らしつつ、あてもなく林の中をさまよう筆者でした……。

林の中で昼間、探すアプリ「離れています」画面のiPhone手持ち

林の東端からおよそ3/4あたりで「離れています」の画面に変わり、おそらく約10m圏内に突入。さらに、このとき初めて「音を鳴らす」ボタンがアクティブに!

林の中で昼間、探すアプリ「離れています」画面のiPhone手持ちして音を鳴らしている

意気揚々と音を鳴らしてみるものの……。昼間はキャンプ場内のさまざまな音(人の声や車の音)にかき消され、なんと、約10m付近でも聞き取れませんでした。

林の西端で目視できた迷子役と探すアプリ緑矢印画面表示したスマホ手元

音を頼りにするのはあきらめ、さらに捜索を続行すると……。ほぼ西端まで来たところでようやく矢印が現れ、約6mの距離表示に。と同時に目視でも迷子役Tを捉えました!

林の中の迷子役発見時

なんとか発見に至りましたが、東端から西端まで、約1200㎡の林の中をくまなく捜索することおよそ20分。

「AirTag」にはかなり助けられたものの、冬の夜間など一刻を争うときには、もっと捜索要員を増やした人海戦術の必要性をヒシヒシと実感しました。

レベル4. 林の中で夜間、どこにいるか不明なとき

最後は最難度、林の中で夜間、どこにいるか不明な“レベル4”について検証。今回は筆者が迷子役として林の中に潜みます!

夜間林の中で50m圏内の探すアプリ表示したスマホ手持ち図示

マップを頼りに約50m圏内まで入ると、やはり画面は暗転して位置が不明、かつ「音を鳴らす」ボタンも押せない状態に。

またしても、林の東端から西端まで何往復もしつつ、地道な塗りつぶし作戦を実行……。

夜間林の中で10m圏内の探すアプリ表示したスマホ手持ち&図示

東端から1/2あたりまで捜索した時点でようやく約10m圏内に入り、「離れています」画面で「音を鳴らす」ボタンもアクティブに!

今回は夜間で周囲もかなり静か。大きな期待を込めて「音を鳴らす」ボタンをクリック!

そのときの動画がこちら。いかがですか? かろうじて音が聞こえていますよね! ワンクリックで5秒ほどしか鳴らないので、何度か鳴らしつつ音のする方向へ接近します。

夜間林の中で迷子役発見時

こうなればもうあっという間! 見事御用となった筆者でした……。今回は約10m圏内で「音を鳴らす」機能が使えたため、かなり捜索時間が短縮。

夜間など視認性が著しく低下した状況で、周囲が静かな場合、「音を鳴らす」機能が非常に有効だと感じました。

ちなみに:林の中で夜間、視認性が高い場合 

ダイソーの光リングを手足に装着

ちなみに今回、AirTag検証のついでに他の検証も実施。「光るアイテムで視認性を高める」というアンケート回答を受け、100均などで買える「光るリング」の有効性を確認してみましたよ。

夜間林の中光るリング無し夜間林の中光るリング有り

かなり視認性に差が出ていますね! 夜間、特に体の小さい子供なんかは、光るアイテムの装着が捜索時にとても効果的だと実感しました。

今回の検証で分かったこと

50m〜10m圏内だと居場所が特定できない

キャンプ場検証で分かったことまとめ表
キャンプ場検証から分かったことを、上記の表にまとめてみました。どうしてもネックとなるのが、何のヒントもなく音も鳴らせない約50m〜約10m圏の間にいるとき。

捜索者の呼びかけに対し、迷子の子供が捜索者に聞こえる大きさで返事をしなければ、発見までに相当時間がかかります。万一怪我や事故で子供が意識を失っている場合などは、発見できない可能性も。

山の中では検知されない可能性が高い

PIXTA_山並みと青空

出典:PIXTA

また、本検証時の限定的な条件下では迷子を発見できたものの、Appleデバイスユーザーの絶対数が少ない山中などでは、そもそもマップ上に検知されないケースもあり、注意が必要です。

こんなところも気になる
●電池が誰でもすぐ外せる
→悪意を持った第三者に無効化される恐れ
●音が小さい
→騒がしい環境や、厚手衣類のポケット・カバンの中では聞こえないときも

さらに上記の点なども考慮した上で、「AirTag」を迷子対策として使う場合、あくまで発見の可能性を高める補助的デバイスとして、過信しないことが重要です。

※Apple社の公式見解では人の捜索への使用は推奨されておらず、本検証結果も迷子の発見を保証するものではありません。迷子対策には自己責任の上でご使用をお願いします。

【追加検証】なぜキャンプ場では精度が落ちたのか?

すでにお伝えしたように、キャンプ場での検証では、50m圏内の捜索がネックでした。なぜこのような事が起きたのか……?

それを確かめるために、Appleデバイスユーザーの絶対数が多く、マップ情報の精度がより高い場所で追加検証をおこなってみました。キャンプ場との違いに注目です。

キャンプ場では「経路」機能がほぼ使えない

首都圏住宅密集地の筆者自宅にて、玄関に「AirTag」を置いた状態で検証にトライ。まずは自宅から約70m離れて「自分が所持中」ではなく住所が表示された状態に。

ここで注目していただきたいのが、キャンプ場検証時にはあえて触れなかった「経路」というボタンの存在です。

早速クリックしてみると、「AirTag」のある筆者自宅までの経路がマップ上に表示され、進んだ分リアルタイムで更新されます。(※電波状況により異なる)

心配だった約50m圏内への突入後も、玄関ドア前の道路上1m地点までちゃんと誘導してくれました。

つまり、「探す」アプリが各建物までの道路情報を持つケースでは、約50m圏内でも「経路」機能による誘導が可能ということ。

ですが、キャンプ場ではAirTagと捜索者との間に、そもそも道路がないケースが多く、この機能が使えなかったというワケなんです。

そのため、50m圏内では、迷子の正確な位置が特定しにくかったのかもしれません。

首都圏の駅ビルでも検証

駅ビル検証の結果
●駅ビル内部などは「経路」が使えない
●ビル内の2階など、高さが変わると探しにくい
●50m圏内に入るとヒントがないのは同じ

もっと人口過密地帯である首都圏の駅ビル内部でも検証にトライ。ですが、建物内部にも当然道路はなく……。「経路」機能が使えないため、キャンプ場とほぼ同じ結果でした。

捜索者が1階で迷子役が2階にいるときは、いる階は違うのに距離表示は近くなるなど、より分かりにくいケースも。

Appleデバイスユーザーの多さ=探しやすさと過信しないことが大切と実感しました。

※「AirTag」を第三者が発見し、持っているAppleデバイスをかざして持ち主の連絡先など表示できる「紛失モード」については未検証のため、この限りではありません。

Apple AirTag

サイズ直径/31.9 mm、厚さ/8.00 mm
重量11g
バッテリーCR2032コイン型バッテリー
 接続Bluetoothによる近接検出
防水防塵性能IP67等級
動作環境温度-20°〜60°C

迷子対策に絶対はナシ!複数対策でリスクを減らそう

PIXTA_キャンプで食事中のファミリー

出典:PIXTA

本検証条件下では、かなり捜索時の効率UPに貢献した「AirTag」。ですが、約10m圏内までヒントがなく音が小さいなどの弱点も。

さらに地理条件によっても使える機能が異なるなど、迷子対策における「AairTag」は、あくまで補助的デバイスという認識が大切です。

複数の対策を講じたリスク軽減を心がけ、安心・安全なファミリーキャンプを楽しんでくださいね!

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