【斧と鉈】そもそも違いは?どっちを選ぶ?ヘビーユーザーがわかりやすく教えます

2021/07/29 更新

斧と鉈の違いや選び方、オススメを徹底特集! キャンプ場で薪割りをしているキャンパーを見かけて、やってみたいけどどれを使ったらいいかわからないという方も多いのでは? そんな方のためにキャンプで使う代表的な刃物である斧と鉈の違いや特徴を、愛用者の声をもとにご紹介します。知ってるようで知らなかった、そんな違いがわかりますよ。

アイキャッチ・記事中画像撮影:筆者

斧と鉈って、どう違うの?

斧 薪割り
薪割りに使われる刃物といえば斧や鉈ですが、日常生活で使うことは稀なので、そもそもどんな違いがあってどう選べばいいのかわからないという方も多いのでは?

斧と鉈は同じ刃物であっても、じつは使い心地や用途に大きな違いがあるんです。

斧 薪割り
そこで今回は普段から斧や鉈をよく使っている2名のキャンパーさんに話を聞きながら、斧と鉈の基本的な違いやそれぞれどんな用途に向いているのかを学んでいきましょう。

その前に……斧や鉈って必要?

グレンスフォシュブルークス 斧
ビギナーにとってみると何となく玄人感がある斧や鉈ですが、そもそも必要なの? と疑問に感じている方もいるはず。まずは本題に入る前に、そんな基本的なことからチェックしていきましょう!


斧か鉈かを決める前に、抑えておきたい基本的なこと

キャンプに斧や鉈は絶対必要?

薪割り 薪
必須かというと決してそのようなことはなく、小型のナイフで事足りることも。むしろ小さいお子さんがいるご家庭の場合大きな刃物は危険なこともありますし、薪は割らなくても着火剤やガストーチを使ってそのまま着火することができます。


ただ、斧や鉈を使って薪割りをするというのは普通に暮らしているとなかなか経験できないことの一つ。また、正しい使い方を覚え危険も理解した上で道具の便利さや使い方を学ぶというのは、子供にとってもきっと良い体験になるはずです。

斧や鉈は、徐々にキャンプに慣れてきて「もっと新しいことをしてみたい!」と感じている方にこそ必要なアイテムと言えるでしょう。

斧と鉈の違いは?


まずは基本的な違いを見ていきましょう。斧は柄の先に厚くて重い刃物が装着され、樹木の伐採や薪割りなどが主な役割。片手で扱う小型のものから両手で持つ大型のものまで、サイズのバリエーションが豊富です。

一方鉈は片手で持つことを基本とし、刃渡りが長いのが特徴。木の幹から枝を落としたり切り払ったり、さらには動物の解体など幅広い用途に使われます。


刃物を使ってキャンプで何をしたいかは人それぞれですよね。用途に合わせて選べるよう特徴をしっかり理解するために、ここからは斧と鉈それぞれの愛用者にメリット・デメリットを語ってもらいましょう。

愛用品の使い心地や、オススメ商品の紹介もありますよ!

斧の場合

斧 薪割り
出典:instagram by @oicmp.__
junpei さん
キャンプ歴約5年で年間泊数は30泊程度。主なフィールドは山梨・長野や道志川・富士山周辺エリアで、平日にソロやソログループでしっぽりキャンプを楽しんでいる。
斧について紹介してくれるのは、インスタグラムで6,000人以上の方にフォローされている@jun_p_79さん。多数所有する本格ギアの中には、数種類の斧も含まれています。

愛用の斧はこちら!

グレンスフォシュブルークス 斧
提供: @jun_p_79
junpeiさん
キャンプでは薪割りから焚き火をとことん楽しみたいので、グレンスフォシュブルークス「ハンター」と「ウッドチョッパー」の2種類を使い分けています。

ITEM
グレンスフォシュブルークス ハンター
●サイズ:斧頭の長さ/15cm 斧刃/8.5cm 全長47.3cm
●材質:刃/スウェーデン鋼  柄/ヒッコリー
●重量:600g
ITEM
グレンスフォシュブルークス ウッドチョッパー
●サイズ:刃体の長さ/68mm 柄長/480mm
●重量 : 1390g
●素材 : スウェーデン鋼
junpeiさん
「ハンター」は主に針葉樹の薪割りや拾った枝の枝払いなどに、「ウッドチョッパー」は紅葉樹の薪割りや細い丸太を割るときに使っています。

焚き火をこよなく愛する方にとっては、刃物も大事なツールの一つ。熟練の鍛冶屋によって1本1本手作業で作られるスウェーデンの老舗刃物メーカー・グレンフォシュブルークスを選び、それも用途に応じて2本を使い分けるとはこだわりぶりが伺えますね。

斧の利点は? どんな使い方ができるの?

斧 薪割り
出典:instagram by @oicmp.__
junpeiさん
鉈と比べて斧が優っているのは、やはりその桁違いのパワー。太い広葉樹の場合、鉈だと割れないこともありますし、丸太状の玉切りを割るのは、大型の斧にしかできません。

また斧を使うことは日常生活ではほぼ無いので、使うときの特別感が大きいというのもありますね。

斧で綺麗に薪が割れたときはとても爽快な気分! 薪割りと言えば誰もがイメージする“振りかぶって叩き割るシーン”、それはじつは斧だけに許された特権だったんですね。

斧のデメリットは?

グレンスフォシュブルークス 斧
junpeiさん
ヘッドが重く比較的大型のものが多いため、扱いづらいというのがデメリットではあります。それに大型のものだと、細い焚き付けを作るなどの細かい作業には向いていません。


大きくて重くパワーがある反面、細かい作業には不向きなようですね。薪割りがメインなのかフェザースティックを作ったりしたいのか、この辺りの条件で選ぶべき刃物が変わってきそうです。


junpeiさん
また、割り方の特性上薪割り台が必要になりますし、割れた薪が飛び散る可能性があるため周囲への充分な配慮も必須。

斧を使うときは常に安全第一を心掛けています。


鉈も同じ刃物ではありますが、動作や衝撃が大きい分、怪我をしたとき重症化するリスクも高いのが斧。興味本位で持つのではなく、そこもしっかり理解しておく必要がありそうです。

次はキャンプで使う斧の選び方を教えてもらいましょう!

初心者が斧を選ぶときの注意点は?

薪割り 斧
junpeiさん
長さ60cm以上ある大型の斧は、木を切り倒すときや倒木を丸太状に切断した“玉切り”を割るときなどに使われるため、通常のキャンプではあまり出番がありません。

かといって20cm程度の小型の斧だと用途的にナイフや鉈と被ってしまいます。


ハルタホース 斧
junpeiさん
初心者の方なら斧らしさを感じられてそれなりに扱いやすいものという点で、長さ30〜40cm前後で片手でも両手でも扱える手斧がオススメです。

また、刃は重さに加えて厚みがある方が薪を左右に広げる力が加わるため、薪割りがしやすくなります。木の加工などを優先したい場合は、刃が薄く切れ味が鋭いものを選びましょう。


まずは扱いやすい大きさのものを使ってみて、慣れてきて色々チャレンジしたくなったら他のものも試してみる、というのが良さそうです。

その他オススメの斧はこちら

junpeiさん
斧にも数千円から数万円まで色々な価格帯のものがありますが、まずは1万円以下の手頃なものがいいんじゃないでしょうか。

最近は以前に比べて斧を扱っているアウトドアショップも増えてきたので、ショップで店員さんに聞いてみるのもいいですね。


jun_p_79 さん愛用の「グレンスフォシュブルークス ハンター」は、サイズは手頃ですが価格は2万円以上と若干値が張ります。今回教えてもらった情報をもとに、その他オススメの手斧をピックアップしてみました!

ITEM
ハスクバーナ 手斧 38cm
●サイズ:38cm
●重量:0.6kg
●材質:刃/スウェーデン鋼 柄/ヒッコリー


スウェーデンの農林・造園機器メーカー「ハスクバーナ」の手斧。比較的入手しやすく安価のため、入門用におすすめの1本。

ITEM
ハルタホース スカウト
●サイズ : 38cm
●重量 : 900g


高品質なスウェーデン鋼で作られた、手頃な大きさの扱いやすい手斧。使い込むほどに味が出るヒッコリーの柄が魅力で、刃をカバーするための専用シース(ケース)付き。

ITEM
ユニフレーム TSURUBAMI 燕三条乃斧
●サイズ:全長/約275mm 刃長/約115mm 刃厚/約5mm
●重量:約450g
●材質:刃/炭素鋼材(S50C) 柄/EPDM(ゴム系


コンパクトなサイズと薄手の刃で扱いやすい、ユニフレームの手斧。小枝を折るための溝がついているので、落ちている枝を加工するときなどにも便利。

ITEM
クイックキャンプ 焚火ノ手斧
●サイズ : L30cm×H13cm×W2.6cm
●刃渡り : 7.5cm
●重量 : 約680g(斧頭450g)
●素材 : 斧頭/SK4炭素鋼 手打ち割込み鋼付き 柄/本樫(国産天然木) カバー/牛ヌメ革(栃木レザー)


500年の伝統を持つ与板打刃物の鍛冶職人によって作られた刃を使用した、純日本製の斧。

さて、次は相対する「鉈」について見ていきましょう!


鉈の場合

neru design works
neruさん
ガレージブランド「neru design works」代表。「欲しいものが無ければ作る」がモットーで、好きなことにはとことんこだわるB型キャンパー。
鉈を紹介してくれるのは@neru0414さん。ユーザーとしてはもちろん、斧や鉈の作り手でもあるneruさんならではのプロフェッショナルな視点で語っていただきます。

愛用の鉈はこちら!

鉈 薪割り
提供: @neru0414
neruさん
僕が手掛けているブランド・ネルデザインワークスの「Nata kezuru」を愛用しています。鉈ですが両刃なので、薪割りにも適しています。
愛用の鉈は、燕三条の鍛冶職人の手により1本ずつ手作業で作られた刃に手彫りのグリップを装着した手の込んだ逸品です。ところで“両刃”というワードが出ましたが、これはどういうことなんでしょうか?


neruさん
鉈には両刃と片刃があり、薪を割る目的なら両刃と言われるV字型の刃が◎。

何か物を切るなら片刃と言われるレ字型の刃が適しているので、目的によって使い分けましょう。


鉈 薪割り
提供: @neru0414
neruさん
鉈の刃は形状も豊富で、先が尖っている剣鉈と平らな角鉈という違いも。

薪割り目的で鉈を選ぶのであれば、両刃の角鉈が適しています。

鉈のメリットは? どんな使い方ができるの?

鉈 薪割り
neruさん
太い薪を割る場合は重量のある大振りの斧が必要ですが、キャンプ場で売っている針葉樹や細い薪を割るくらいなら鉈の方が使い勝手に優れています。

斧と比べ刃渡りが薪の径よりも長いため、安定して薪を割ることができるんです。


出典:PIXTA
neruさん
また、枝を払ったりフェザースティックを作るといった細かい作業は、断然斧よりも鉈。切れ味が鋭いため調理などにも使えますし、サイズがコンパクトで収納性に優れているというメリットもあります。


先ほど斧の特性として薪割りに向いているとありましたが、薪のサイズによっては鉈のほうが適している場合もあるんですね。コンパクトで扱いやすく細かい作業に向いている、というメリットもあるようです。

鉈のデメリットは?

鉈 薪割り
neruさん
刃渡りが長く重量も軽いため力が分散してしまい、硬くて大きな薪を割るには不向き。

また、多くは斧と比べて刃先が薄いため刃が欠けやすいという欠点もあります。


パワーがあることと細かい作業ができることは、トレードオフの関係性。その視点がどちらを選ぶかにおいて大きな決め手になりそうです。

初心者が鉈を選ぶ上での注意点は?

出典:MONORAL
neruさん
鉈刃をハンマーなどの金属でバトニング(ナイフの背を叩いて薪を割ること)すると、刃の背が変形してしまうことがあります。たとえ木でも過度にバトニングすると柄の部分が割れてしまうことも……。

こんなときのために、柄が交換できるかもチェックしておくと良いでしょう。


出典:PIXTA
neruさん
薪割りをするとき刃先を地面にぶつけたり、薪割り台に刃先を刺したりすると刃先がチップ(欠ける)してしまうことも。

刃先に「箸」と呼ばれる厚みのある加工がされているチップしない形状の鉈があるので、心配な人はそういったものを選ぶことをオススメします。

金属製でも破損したりダメージを負ってしまうこともあるので、正しい使い方を理解して大切に扱いたいですね。部品の交換や修理など、アフターフォローまでしっかりしている製品だとより安心です。

その他オススメの鉈

neruさん
斧と違う鉈の大きな特徴は、万能ツールになりうるということ。料理やブッシュクラフトなど幅広い用途で使いたい場合は、握ったときのサイズ感も想定して選ぶと良いですね。


neruさん愛用の「Nata kezuru」は受注生産性で、納期は半年~9か月というかなりのレア商品。アウトドアショップや通販でも手軽に買える鉈もありますよ。

ITEM
豊国鍛工場 土佐渓流鉈
●サイズ:刃長/150mm 全長//290mm
●刃形:両刃
●重さ:380g
●素材:柄/鞘 樫オイルステン/木鞘オイルステン 皮バンド


刃長15cmと、標準的なサイズで扱いやすい両刃の鉈。針葉樹の薪割りや焚き付け作りにピッタリ。

ITEM
ベアーボーンズリビング ジャパニーズ ナタアックス 2.0
●サイズ:約49cm×約2cm×約5cm
●刃形:両刃
●重量:約1.02kg
●素材:刃/ステンレススチール 柄/ウォールナット


アメリカ発のブランド「ベアボーンズリビング」が、鉈にインスピレーションを得て作製。クルミ材仕上げの堅木柄など見た目もスタイリッシュ。

ITEM
冒険倶楽部(BOHKEN CLUB) なたとのこ 小
●サイズ:鉈/全長350mm、刃身165mm、鋸/全長340mm、刃身180mm
●刃形:両刃
●重量:鉈/380g、鋸/90g
●材質:さやなた/鋼、樫、剪定鋸/鋼、ブナ材、収納ケース/合成樹脂、合成皮革


ノコギリとセットで3,000円以下で買えるというとてつもないコスパの良さ。入門用に最適!

ITEM
キャプテンスタッグ 鉈
●サイズ:全長310mm、刃渡150mm、柄150mm
●刃形:両刃
●重量:350g
●材質:刃/刃物用炭素鋼 柄/天然木(樫)


刃の先端に欠けを防止するための箸がついているので、刃の欠けを避けたい人にはおすすめの一本。

ヘビーユーザーのアドバイスをもとに斧と鉈の特徴を見てきましたが、結論としてそれぞれどんな目的に向いているかをまとめてみました。


整理すると……斧と鉈はそれぞれこんな人にオススメ

薪割り 斧
斧はこんな人に向いている
・大きめの刃物は、薪割りにしか使わない
・硬い広葉樹や太めの薪も含めてパッカンと豪快に割りたい
 
鉈はこんな人に向いている
・薪はあらかじめカットされたものを使う
・焚き付け用の枝やフェザースティックを作ったり、薪や枝を使って色々な加工も楽しみたい
この違いから、ひとことで焚き火と言っても人ぞれぞれいろいろな楽しみ方ができることが改めてわかりますね。

このようにキャンプの楽しさが広がる斧や鉈ですが、やはり危険物であることに変わりはありません。安全に使うための注意点も知っておきましょう!

キャンプで刃物を扱う際の注意点

グローブをする

薪割り グローブ
何かの拍子に刃が手や腕に当たってパックリと切ってしまうことも。せっかくの楽しいキャンプが悪い思い出にならないよう、レザーなど厚手のグローブで手を保護して、気をつけながら使いましょう。

人の近くでやらない

出典:PIXTA
特に斧の場合、割れた拍子に薪が飛び散ることがあります。また、刃物が手からすっぽ抜けて飛んでしまうことも無いとは言い切れません。人に当たって怪我をさせてしまわないよう、周囲にしっかり気を配りましょう。

車に積みっぱなしにしない

撮影:編集部
正当な目的なく刃物を所持していると、銃刀法違反で警察に逮捕されてしまうこともあり得ます。所持しているだけでなく車に積んでいて何らかの理由により車内で見つかったとしても同じなので、キャンプから帰ったら速やかに車から下ろしておきましょう。

理解してさえいればそれほどトラブルになることもないので、しっかり知識を身につけて正しく使いたいですね。

斧と鉈、それぞれどんな使い方をしたいかに合わせて選ぼう

薪割り 斧 鉈
同じ刃物と言えども、それぞれ特徴がある斧と鉈。薪割りのスタイルをはじめ自分に必要なのはどちらなのかをしっかりイメージして、それに合った種類を選ぶようにしましょう!

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家族ができてから沼に浸かったまだまだ初心者なファミリーキャンパー。https://camp-cafe.com/