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斧と鉈って、どう違うの?

薪割りに使われる刃物といえば斧や鉈ですが、日常生活で使うことは稀なので、そもそもどんな違いがあってどう選べばいいのかわからないという方も多いのでは?
斧と鉈はどちらも同じ刃物で薪割りに役立つ物ではあっても、じつは使い心地や用途に大きな違いがあるんです。
違いやおすすめのアイテムを、詳しい人に聞いてみた

そこで今回は、普段から斧や鉈をよく使っている2名の先輩キャンパーにヒアリング。斧と鉈それぞれのメリット・デメリットを語ってもらいました。
刃物を使ってキャンプで何をしたいかは、人それぞれ。用途に合った納得の一本が選べるよう、斧と鉈の基本的な違いや、それぞれどんな用途に向いているのかを学んでいきましょう。先輩キャンパーのオススメ商品紹介もありますよ!
斧は、アウトドアならではのダイナミックさが特徴

出典:instagram by @oicmp.__
junpei さん
キャンプ歴約8年で年間泊数は30泊程度。主なフィールドは山梨・長野や道志川・富士山周辺エリアで、平日にソロやソログループでしっぽりキャンプを楽しんでいる。
斧について紹介してくれるのは、インスタグラムで8,000人以上の方にフォローされている@jun_p_79さん。多数所有する本格ギアの中には、数種類の斧も含まれています。
愛用の斧を使い分け

提供: @jun_p_79
キャンプでは薪割りから焚き火をとことん楽しみたいので、グレンスフォシュブルークスの「ハンター」と「ウッドチョッパー」の2種類を使い分けています(junpeiさん)
グレンスフォシュブルークス ハンター
サイズ | 斧頭の長さ:15cm 斧刃:8.5cm 全長:47.3cm |
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重量 | 600g |
材質 | 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー |
グレンスフォシュブルークス ウッドチョッパー
サイズ | 刃体の長さ:68mm 柄長:480mm |
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重量 | 1390g |
材質 | スウェーデン鋼 |
「ハンター」は主に針葉樹の薪割りや拾った枝の枝払いなどに、「ウッドチョッパー」は紅葉樹の薪割りや細い丸太を割るときに使っています。(junpeiさん)
焚き火をこよなく愛する方にとっては、刃物も大事なツールの一つ。熟練の鍛冶屋によって1本1本手作業で作られるスウェーデンの老舗刃物メーカー・グレンフォシュブルークスを選び、それも用途に応じて2本を使い分けるとはこだわりぶりが伺えますね。
斧の利点は? どんな使い方ができるの?

出典:instagram by @oicmp.__
鉈と比べて斧が優っているのは、やはりその桁違いのパワー。太い広葉樹の場合、鉈だと割れないこともありますし、丸太状の玉切りを割るのは大型の斧にしかできません。
また、斧を使うことは日常生活ではほぼ無いので、使うときの特別感が大きいというのもありますね(junpeiさん)
斧で綺麗に薪が割れたときはとても爽快な気分! 薪割りと言えば誰もがイメージする“振りかぶって叩き割るシーン”、それはじつは斧だけに許された特権だったんですね。
斧のデメリットは?

ヘッドが重く比較的大型のものが多いため、扱いづらいというのがデメリットではあります。それに大型のものだと、細い焚き付けを作るなどの細かい作業には向いていません(junpeiさん)
大きくて重くパワーがある反面、細かい作業には不向きなようですね。薪割りがメインなのかフェザースティックを作ったりしたいのか、この辺りの条件で選ぶべき刃物が変わってきそうです。

また、割り方の特性上薪割り台が必要になりますし、割れた薪が飛び散る可能性があるため周囲への充分な配慮も必須。
斧を使うときは常に安全第一を心掛けています(junpeiさん)
鉈も同じ刃物ではありますが、動作や衝撃が大きい分、怪我をしたとき重症化するリスクも高いのが斧。興味本位で持つのではなく、そこもしっかり理解しておく必要がありそうです。
次はキャンプで使う斧の選び方を教えてもらいましょう!
初心者が斧を選ぶときの注意点は?

長さ60cm以上ある大型の斧は、木を切り倒すときや倒木を丸太状に切断した“玉切り”を割るときなどに使われるため、通常のキャンプではあまり出番がありません。
かといって20cm程度の小型の斧だと用途的にナイフや鉈と被ってしまいます(junpeiさん)

初心者の方なら斧らしさを感じられてそれなりに扱いやすいものという点で、長さ30〜40cm前後で片手でも両手でも扱える手斧がオススメです。
また、刃は重さに加えて厚みがあるタイプの方が薪を左右に広げる力が加わるため、薪割りがしやすくなります。木の加工などを優先したい場合は、刃が薄く切れ味が鋭いものを選びましょう(junpeiさん)
まずは扱いやすい大きさのものを使ってみて、慣れてきて色々チャレンジしたくなったら他のものも試してみる、というのが良さそうです。
その他オススメの斧はこちら
斧にも数千円から数万円まで色々な価格帯のものがありますが、まずは1万円以下の手頃なものがいいんじゃないでしょうか。
最近は以前に比べて斧を扱っているアウトドアショップも増えてきたので、ショップで店員さんに聞いてみるのもいいですね(junpeiさん)
junpeiさん愛用の「グレンスフォシュブルークス ハンター」は、サイズは手頃ですが価格は2万円以上と若干値が張ります。今回教えてもらった情報をもとに、その他オススメの手斧をピックアップしてみました!
ハスクバーナ 手斧 38cm
サイズ | 38cm |
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重量 | 0.6kg |
材質 | 刃:スウェーデン鋼 柄:ヒッコリー |
スウェーデンの農林・造園機器メーカー「ハスクバーナ」の手斧。比較的入手しやすく安価のため、入門用におすすめの1本。
ハルタホース スカウト
サイズ | :38cm |
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重量 | 900g |
材質 | スウェーデン鋼 |
高品質なスウェーデン鋼で作られた、手頃な大きさの扱いやすい手斧。使い込むほどに味が出るヒッコリーの柄が魅力で、刃をカバーするための専用シース(ケース)付き。
ユニフレーム TSURUBAMI 燕三条乃斧
サイズ | 全長:約275mm 刃長:約115mm 刃厚:約5mm |
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重量 | 約450g |
材質 | 刃:炭素鋼材(S50C) 柄:EPDM(ゴム系) |
コンパクトなサイズと薄手の刃で扱いやすいユニフレームの手斧。小枝を折るための溝がついているので、落ちている枝を加工するときなどにも便利。
さて、次は「鉈」について見ていきましょう!