細かい作業や万能性を求めるなら、鉈

neru さん
ガレージブランド「neru design works」代表。「欲しいものが無ければ作る」がモットーで、好きなことにはとことんこだわるB型キャンパー。
鉈を紹介してくれるのは、@neru0414さん。ユーザーとしてはもちろん、斧や鉈の作り手でもあるneruさんならではのプロフェッショナルな視点で語っていただきます。
セルフプロデュースの鉈を愛用中!

提供: @neru0414
僕が手掛けているブランド・ネルデザインワークスの「Nata kezuru」を愛用しています。鉈ですが両刃なので、薪割りにも適しています(neruさん)
愛用の鉈は、燕三条の鍛冶職人の手により1本ずつ手作業で作られた刃に手彫りのグリップを装着した手の込んだ逸品です。ところで“両刃”というワードが出ましたが、これはどういうことなんでしょうか?

鉈には両刃と片刃があり、薪を割る目的なら両刃と言われるV字型の刃が◎。
何か物を切るなら片刃と言われるレ字型の刃が適しているので、目的によって使い分けましょう(neruさん)

提供: @neru0414
鉈の刃は形状も豊富で、先が尖っている剣鉈と平らな角鉈という違いも。
薪割り目的で鉈を選ぶのであれば、両刃の角鉈が適しています(neruさん)
鉈のメリットは? どんな使い方ができるの?

太い薪を割る場合は重量のある大振りの斧が必要ですが、キャンプ場で売っている針葉樹や細い薪を割るくらいなら鉈の方が使い勝手に優れています。
斧と比べ刃渡りが薪の径よりも長いため、安定して薪を割ることができるんです(neruさん)

出典:PIXTA
また、枝を払ったりフェザースティックを作るといった細かい作業は、断然斧よりも鉈。切れ味が鋭いため調理などにも使えますし、サイズがコンパクトで収納性に優れているというメリットもあります(neruさん)
先ほど斧の特性として薪割りに向いているとありましたが、薪のサイズによっては鉈のほうが適している場合もあるんですね。コンパクトで扱いやすく細かい作業に向いている、というメリットもあるようです。
鉈のデメリットは?

刃渡りが長く重量も軽いため力が分散してしまい、硬くて大きな薪を割るには不向き。
また、多くは斧と比べて刃先が薄いため刃が欠けやすいという欠点もあります(neruさん)
パワーがあることと細かい作業ができることは、トレードオフの関係性。その視点がどちらを選ぶかにおいて大きな決め手になりそうです。
初心者が鉈を選ぶ上での注意点は?

出典:MONORAL
鉈刃をハンマーなどの金属でバトニング(ナイフの背を叩いて薪を割ること)すると、刃の背が変形してしまうことがあります。たとえ木でも過度にバトニングすると柄の部分が割れてしまうことも……。
こんなときのために、柄が交換できるかもチェックしておくと良いでしょう(neruさん)

出典:PIXTA
薪割りをするとき刃先を地面にぶつけたり、薪割り台に刃先を刺したりすると刃先がチップ(欠ける)してしまうことも。
刃先に「箸」と呼ばれる厚みのある加工がされているチップしない形状の鉈があるので、心配な人はそういったものを選ぶことをオススメします(neruさん)
金属製でも破損したりダメージを負ってしまうこともあるので、正しい使い方を理解して大切に扱いたいですね。部品の交換や修理など、アフターフォローまでしっかりしている製品だとより安心です。
その他オススメの鉈
斧と違う鉈の大きな特徴は、万能ツールになりうるということ。料理やブッシュクラフトなど幅広い用途で使いたい場合は、握ったときのサイズ感も想定して選ぶと良いですね(neruさん)
neruさん愛用の「Nata kezuru」は受注生産性で、納期は半年~9か月というかなりのレア商品。アウトドアショップや通販でも手軽に買える鉈もありますよ。
冒険倶楽部(BOHKEN CLUB) なたとのこ 小
| サイズ | 鉈:全長350mm 刃身:165mm 鋸:全長340mm 刃身180mm |
|---|---|
| 重量 | 鉈:380g 鋸:90g |
| 材質 | さやなた:鋼、樫 剪定鋸:鋼、ブナ材 収納ケース:合成樹脂、合成皮革 |
| 刃形 | 両刃 |
ノコギリとセットで買えるというとてつもないコスパの良さ。入門用に最適!
キャプテンスタッグ 鉈
| サイズ | 全長310mm、刃渡150mm、柄150mm |
|---|---|
| 重量 | 350g |
| 材質 | 刃:刃物用炭素鋼 柄:天然木(樫) |
| 刃形 | 両刃 |
刃の先端に欠けを防止するための箸がついているので、刃の欠けを避けたい人にはおすすめの一本。
ヘビーユーザーのアドバイスをもとに斧と鉈の特徴を見てきましたが、結論としてそれぞれどんな目的に向いているかをまとめてみました。
整理すると…斧と鉈は、それぞれこんな人にオススメ
斧はこんな人に向いている

・大きめの刃物は、薪割りにしか使わない
・硬い広葉樹や太めの薪も含めてパッカンと豪快に割りたい
鉈はこんな人に向いている

・薪はあらかじめカットされたものを使う
・焚き付け用の枝やフェザースティックを作ったり、薪や枝を使って色々な加工も楽しみたい
同じ刃物と言えども、それぞれ特徴がある斧と鉈。薪割りのスタイルをはじめ自分に必要なのはどちらなのかをしっかりイメージして、それに合った種類を選ぶようにしましょう!



