ククサとは?
ククサ(Kuksa) とは、白樺のコブをくり抜いて作られた木製のマグカップのこと。
フィンランドやスウェーデンなどの北部に位置するラップランドで暮らしてきたサーミ人の伝統的な手工芸品「ドゥオジ(Duodji)」の一種です。
木ならではのぬくもりを感じられるデザインに加え、使い込んでいくことによる経年変化を楽しめるのが魅力。
近年はキャンパーや北欧雑貨ファンなどに広く愛用されているほか、「ククサを贈られた人は幸せになる」とも言われ、結婚祝いや出産祝いといった大切な人へのプレゼントとしても人気があります。
なお、通販サイトや販売店ではさまざまなメーカーの商品が展開されていますが、原材料である白樺のコブは入手が難しくなっていることもあり、今日では別の木材で作られたカップが「ククサ」として売られているケースが多いようです。
キャンプに映える人気アイテム!
キッチンだけでなくアウトドアシーンに映えるククサは、キャンプに持ち込む人も多数!
コーヒーを淹れたり、ちょっとした器にしたりと使いみちはさまざまで、木や落ち葉の上に置くのも絵になります。
インスタグラムで「#camphack取材」のハッシュタグに寄せられたククサの写真を以下にまとめました。
これを見れば、ククサが自然の風景と調和するキャンプ向きのアイテムであることが分かるはず!
ククサのおすすめを紹介!
上記の写真から分かるとおり、ククサの形状は多種多様で、価格にもかなりの幅があります。
そのため、興味は持っているものの「どれを買ったらいいのか分からない!」と悩んでいる人も多いかもしれません。
「フィンランドで作られた“本物”がほしい!」
「安いものじゃないと手が出しづらい……」
「手入れが簡単にできないとイヤ!」
といったニーズに応えるべく、以下の分類ごとにおすすめのククサを紹介していきます。
1. “本物”のフィンランド製!
フィンランドの有名なククサメーカーとしてはプーハリ社がありましたが、工場閉鎖に伴い生産が停止されています。
白樺のコブは現地でも手に入りにくい状態になっているものの、伝統的な素材・工法にこだわって作られた“本物”のククサを手に入れることは可能です。
コイヴマー
フィンランドにあるククサの工房・コイヴマー社では、熟練の職人が一つひとつのカップ をハンドメイドで製造しています。
塩水で煮たあと、コーヒーに浸すという工程を経ることで、独特の味わいが醸し出されているのが特徴です。
コイヴマー Iso2 Reikainen
パッカタイデ
同じくフィンランドで手作りされているククサで、底部分にはククサ職人のマルコ氏の刻印があります。
また、パッカタイデ社では、白樺のコブと同様の特徴を持つカーリーバーチのカップも製造しています。
パッカタイデ シラカバのコブ 無垢
2. 信頼のアウトドアメーカー製!
キャンプギアのひとつとして、一部のアウトドアメーカーからもククサが販売されています。
モンベル
飛騨の天然木で作られたモンベルのククサは、内側が合成漆で仕上げられている“日本仕様”と言えるもの。
製材所で3年間天然乾燥された木材が使用されており、フィンランド製と同様、職人のこだわりを感じられるカップです。
3. 手入れが簡単!
ククサは定期的な手入れが不可欠ですが、あまり手間をかけるのは避けたい人もいるかもしれません。
「雰囲気だけでも味わいたい!」という場合には、以下のようなアイテムがおすすめです。
クルピカ
フィンランドのクピルカ社 は、伝統と革新性を融合させたコンセプトで商品を展開するアウトドア食器ブランド。
同社のカップは木繊維とポリプロピレンを混合した独自素材「カレライン」を使用しているため、食洗機で洗うことが可能で、熱湯を注いでもOK!
クルピカ クルピカ21
4. デザインが特徴的!
市販されているククサの中には、一風変わった目を惹くデザインのものも多く見受けられます。
レトキ
フィンランドのアウトドアメーカーであるレトキ は、同国が生んだ世界的キャラクター・ムーミンの絵柄が入ったオーク材のククサを販売中。
スナフキンやリトルミイなど、ほかの人気キャラクターが描かれたバージョンもあります!
レトキ ククサ ムーミン レギュラーサイズ
5. とにかく安い!
Amazonでは、以下のように1,000円以下(※2021年8月時点)の価格でククサとして売られている商品も。
白樺のコブで作られたククサは値段が張りますが、それ以外の木材で作られたものは比較的安く手に入るケースがあります。
北欧 木製カップ ククサ
ククサの作り方
ククサを手に入れるには、既製品を購入する以外に、「自分で作る」という方法があります。
ブッシュクラフトの技術として注目されることもありますが、ククサを自作するには、以下のようにさまざまな選択肢が考えられるでしょう。
1. 自分で木材を削って作る
氷点下の温度に保たれた倉庫に白樺のコブを数ヶ月間保管したあと、ブロックに切り出して冷凍し、さらに塩茹でしてから乾燥させたうえで、削る作業に入る……というのが伝統的なククサ作りの手法。
そこまで本格的な手順を踏むのは難しいと思われますが、DIY上級者の中には、ノコギリやクラフトナイフ、ノミなどの工具を駆使して、丸太やコブ材からククサを手作りしている人もいます。
2. 自作キットを購入する
ククサの自作キットを購入すれば、ある程度整形された状態から作業を始められるので、工作に慣れていない人でも取り組みやすいでしょう。
上記のCAMP HACK YouTubeチャンネルでは、SomAbitoの自作キット「KYO-KUKSA」を使ったククサ作りの模様を公開しているので、ぜひ参考にしてみてください!
3. 手作り体験に参加する
作り方を学んでみたい人は、木材の名産地やアウトドアショップなどで行われているククサの手作り体験に参加してみましょう。
ワークショップの内容にもよりますが、必要に応じて工具の使い方やより良く仕上げるためのポイントを教えてもらえるのがメリットです。
ククサの手入れ方法
手のかかる子ほどかわいい! ククサを長く愛用していくなら、継続的なお手入れが大切です。
以下の項目ごとに、ククサの手入れ方法について説明します。
1. 使い始めは塩抜きが必要?
伝統的な製法で作られたククサは、強度を高めるために塩茹でされるため、使い始めのうちは中にそそいだ飲み物に塩味が移ってしまうことがあります。
そこで、臭い消しを兼ねてカップの内側にコーヒーかすを塗っておいたり、軽く煮沸したりする人もいますが、基本的には使っていくにつれて塩味は薄まっていくもの。
初めて使ったときに「飲み物がまずい!」と感じても、ククサを傷めるような方法で無理に塩抜きするのは避けましょう。
2. 洗い方は水かぬるま湯ですすぐだけ
ククサは原則として洗剤を使わず、水やぬるま湯で優しく洗うのが長持ちさせるポイント。
汚れが目立つ場合は洗剤を使ってもかまいませんが、油分が落ちやすくなってしまうので注意しましょう。
3. 割れ防止に油を塗る
蜜蝋などを塗り込んで仕上げられたククサは、油分が抜けると割れて水漏れが生じてしまうことがあるので、定期的にオイルを塗っておく必要があります。
くるみ油やえごま油など、乾きやすく臭いが少ない植物由来のオイルを布切れに染み込ませ、カップ に塗布していきましょう。
オーフスカールスハムン ピュア ウォールナッツオイル(くるみオイル)
自分だけのカップに育ててみよう
ククサは扱いが難しい面もありますが、使っていくと風合いが変わり味が出るという魅力は、一般的なマグカップ にはないものです。
この記事を読んで興味が湧いた人は、ぜひこの一生モノのアイテムを手に入れて、自分だけのカップに育ててみませんか?