泡の作り方がビールの味を左右する?!まずは、ビール泡の役割をおさらい
「最初の泡立て」がビールを美味しく注ぐ秘訣。しかし、そもそもビールの泡にはどのような役割があるというのでしょうか。注ぎ方のレクチャーに入る前に、まずはビール泡の役割からおさらいしていきます。
他のどんなお酒にもあまりない、ビールの泡。一応、シャンパンなども“シュワシュワ”と気泡は立ちますが、ビールほど泡が残るわけじゃないですよね。
ビールにおける泡の役割。コップに注いだ方が美味しい理由とは?
重富さん
ビール泡の原料は、大きく分けると「炭酸」と「苦味」と「タンパク質」の3つでできています。そのうち、ビールの味を決定づけるのが「炭酸」と「苦味」。
味わいをダイレクトに感じるのは、泡立てずに注いだビールや缶ビールをそのままを飲めば体感できるでしょう。しかし、その飲み方だと刺激が強すぎるんですね。
重富さん
例えば、「缶ビールと瓶ビールどちらが好きですか?」という質問があったとき、ほとんどの方が瓶ビールと答えます。
この理由はものすごく簡単な話で、瓶ビールを飲む場合は無意識にグラスに注いでいるから。グラスに注ぐことで余分な「炭酸」ガス抜け、まろやかな口当たりのビールを飲んでいるんですよね。
重富さん
ビール泡には、酸化防止と「炭酸」や香りをキープする蓋のような役割、そして「苦味」成分を吸着するという役目があります。泡を作れば作るほどビールの「苦味」成分が泡に吸着されるので、「苦味」が苦手な方はしっかりと泡立てることで「炭酸」控えめのマイルドなビールに。
逆に、「炭酸」と「苦味」が好きな方は泡立てを控えめにすればOKです。このように、ビールを注ぐときどうやって泡をたてるか、つまり「炭酸」と「苦味」のバランスをコントロールすることで、自分好みの美味しいビールに仕上げられるんです。
注ぎ方ひとつで同じ銘柄のビールが5つの味に!
重富さん
私が宅飲みに推奨しているのは、以下の5つの注ぎ方。特別何かを用意する必要はなく、注ぎ方ひとつで同じ銘柄のビールの味が変わるので、ぜひ試してみてください。
重富さん
今回は、味の比較対象として分かりやすい「キリットタイプ」と「三度注ぎ」、そしてちょっぴり変わった「一度注ぎ」をメインに実践していきましょう。
【キリットタイプ】炭酸・苦味MAX!切れ味を楽しみたい方におすすめ
キリットタイプのポイント①:グラスを氷水で冷やす
重富さん
ビールって、温度が低いと炭酸や苦味を感じやすく、逆に温度が高いと苦味や炭酸よりも旨味を感じやすくなると言われています。どんな味を味わいたいかでビールの温度は変えた方がいいんです。
しかし、缶ビールの温度を冷蔵庫で変えるっていうのは難しいじゃないですか。なので、グラスの温度を変えてあげればビールの温度が変わります。「キリットタイプ」は苦味と炭酸を味わいたいので、まずは氷水で冷やします。
キリットタイプのポイント②:グラス底の中央を目がけてビールを注ぎ、グラス半分ほどの泡を作る
重富さん
そして、しっかりと泡を作りたいのでグラスは置いたまま。グラスの底中央を目掛けてビールを注いでいきます。グラスの半分ぐらい泡立つイメージですかね。ポイントは、細く高く注ぐこと。細かい泡を作ることで、口当たりがまろやかになります。
キリットタイプのポイント③:泡を立てないようにグラスを傾け、内側表面を沿わせるようにビールを注ぐ
重富さん
しっかりと泡を立てたらグラスを手に持ち、今度は泡の下にビールを流し込みます。泡を立てないようグラスの側面に沿わせながら静かに注ぐと◎。これでスッキリタイプの完成です。
きりっとした爽快感。苦味を活かしたビール本来の味!
重富さん
飲み方のポイントなんですけど、上唇で泡を押さえながら飲んでみてください。先ほども言いましたが、最初に立てたこの泡は“蓋”です。
ビールの炭酸や香りをグラスの中に封じ込める役割があるので、ビールを飲むときはこの泡はあまり飲まない方が良いです。
ビール泡の黄金比とされるビール:泡=7:3の綺麗な一杯。実際に飲んでみましたが、まさにキリッとした爽快感が堪能できるビールでした。苦味もしっかりと感じられ、ビール本来の味に近い印象。汗ばむ暑い夏に飲みたくなるビールです。
キリットタイプの注ぎ方
①グラスを氷水で冷やす
②グラスの底中央を目がけてビールを注ぎ、グラス半分ほどの泡を作る
③泡を立てないようにグラスを傾け、内側表面を沿わせるようにビールを注ぐ