野食ハンターって何者!?河川敷で見つけた「雑草」でランチを作ってみた

2020/01/02 更新

野生食材を採って食べる「野食」。なんとも怪しい響きに誘われて、野食家・茸本朗さんを取材させていただきました。そこで今までに食べたことのない、というか食べるなんて考えたこともない“アノ”生き物をいただくことに……。果たしてそのお味やいかに!


アイキャッチ・記事中画像撮影:筆者
※記事中で採取している場所は法的に問題のない場所です。私有地などでの採取は固く禁じられていますので、ご確認の上行ってください。

気になる“野食家”に取材敢行!

先日『野食のススメ 東京自給自足生活』(星海社刊)なんて本を見つけてしまいました。野食と書いて「やしょく」……ピクニック的な……?

なんて思いながら本を読んでみると、著者いわく野食とは「野生食材を採って食べること」だそうです。平たく言うと、野にある食べられそうなヤツはとりあえず食べちゃいましょう、ということ。

著者である野食家 茸本朗(たけもと あきら)さん

そんな野食家の茸本朗さんとは、一体どんな人なんでしょう……? あれ? なんだかとってもお茶目な感じ! てっきり筋肉隆々のゴツい感じなのかと思っていました。

それにしても、大きいキノコですね(笑)。「ニオウシメジ」という日本最大の食用キノコだそうですよ。
そんな、日々食材を探し求めて東奔西走している茸本さんに、無理を承知で「野食を食べさせてほしい!」とお願いすると、なんと快諾してもらえたんです!

ついに野食デビューするときがきたか!?

そして、取材という名のおねだりを快諾してくれた茸本さんに、これまた無理を言って自宅まで来ていただいて、野食を振る舞ってもらうことに。

いらっしゃ~い、からの意外な展開


牛島
いらっしゃ~い!

茸本
お邪魔します。本日はよろしくお願いします!

牛島
今日は何をごちそうしていただけるのか、とっても楽しみです。

茸本
じつはですね、メイン食材は持ってきたんですけど、付け合わせを忘れてしまいまして……。今から採りに行きません?


牛島
採りに行く? どこへ? 何を?


茸本
じゃあ、さっそく行きましょう!

牛島
ちょ、ちょっと待って〜! どこへ!?


茸本
河川敷です。まあ、ついてきてください。

牛島
河川敷に食べられるものがあるんですか?

茸本
ハマダイコンっていう、小さい大根みたいな野草があります。

牛島
え!? 大根が採れるの!?

到着した河川敷は、見渡す限り雑草


茸本
着きましたよ!

牛島
着いたって、ただ雑草が広がっているだけじゃないですか。

茸本
いえいえ、よく見ると食べられる野草がたくさん生えているんです。

茸本さん、何かを発見!


茸本
あ、そこにノビル

牛島
え? どこどこ!?

茸本
牛島さんが踏んでいます……。


茸本
これがノビルです。芽ネギみたいでしょ?

牛島
これが食べられるんですか?

茸本
根も食べられるんですけど、ボクは葉が好みで。薬味にしてもいいし、炒めても美味しいです。



牛島
確かに見た目も万能ネギみたいですね。

またまた食べられる野草を発見!


茸本
あ、ここにもギシギシという野草があります!

牛島
こんな大きな葉っぱが食べられるんですか!?


茸本
食べるのは中心にある新芽の部分だけです。クルッと巻いていてジュンサイみたいなところから「オカジュンサイ」とも呼ばれるんですよ。

ついに本命のハマダイコンをゲット!


茸本
ありました! ハマダイコン

牛島
え、そんな普通に大根が!? どこですか?

茸本
牛島さん……踏んでます。

牛島
…………(またか。)


茸本
うぅ〜、これは固い……あっ抜けた!

見た目はまさに大根!


牛島
おぉ〜! 大根そっくりですね! 先程の2種類とは違い、これは食べられそう!

茸本
旬も野菜の大根と一緒で冬なんです。春が近くなると、根の中央が木質化して硬くなってしまうんですよ。


牛島
ではでは、旬のハマダイコンをゲットしたところで、さっそく戻って調理しましょ〜う!


やっと野食ランチの調理開始!

作るのはなんと、キョンのステーキ!


茸本
じゃ〜ん、こちらが今日のメイン食材!

牛島
……なんのお肉ですか?

茸本
キョンのお肉です。

牛島
あの「八丈島のきょん!」のキョンですか!?

茸本
……え?

牛島
昔あった漫画のギャグで……なんでもありません。

キョンは特定外来生物に指定されているシカの仲間で、千葉県や伊豆大島では増えすぎてしまい、駆除の対象になっているのだそうです。

茸本
このお肉も千葉の猟師さんから分けていただいたものなんです。今日はこれをステーキにします。

火を通しすぎると硬くなってしまうので、低温調理でいきましょう!


牛島
いろんなルートから食材が集まってくるんですね。キョンのお肉、どんな味がするんだろう!

興味津々!秘密のスパイスたち

茸本さんオリジナルのキノコ塩(ホンシメジ、ハツタケ、アカモミタケ、ムラサキシメジ)

茸本
隠し味として、キノコエキスたっぷりの自家製キノコ塩を用意してきました!

牛島
キノコ塩? なんですか、それ?

茸本
刻んだキノコを塩漬けにして、エキスを抽出するんです。そして、エキスの出た塩とキノコを煎って水分を飛ばします。

それをさらにすり鉢ですって、食べやすくしたオリジナル調味料です。



牛島
すごい! 香りも干しシイタケみたいですね。これはウマいでしょ!



茸本
ホンシメジ、ハツタケ、アカモミタケ、ムラサキシメジの順に風味が強くなります。

風味が弱い塩は魚向き、強い塩は肉向きなので、キョンのお肉には、アカモミタケにしましょう。

調理の手際もプロ並み!

茸本さんによると、ジビエ料理で注意することは、しっかりと火を通すこと。63°C以上で30分以上加熱すれば食中毒の原因は死滅するそうなので、今回は63°Cで30分、低温調理器で加熱します。

メインを加熱している間に、薬味を作ります

キョンのお肉にあわせるのは、辛みの強いハマダイコンおろし。わざわざ河川敷にとりに行ったくらい、今回の料理に不可欠な薬味です。
ギシギシは灰汁が強いので多めの塩で茹で、5~10分水にさらします。そしてバターでソテーしたあと、包丁で細かくたたいたら完成。

付け合せもあっという間に!

ハマダイコンの葉とノビルは、茹でてからざっくりと切って、オリーブオイルとキノコ塩で味つけ。ステーキの付け合わせにします。

ステーキを焼いたら、いよいよ完成……!

メインのキョンは、ロース肉とモモ肉の2種類。低温調理してから、フライパンでバターソテーにします。味の決め手は、特製のキノコ塩!

待望の野食ランチが完成!

気になるステーキのお味は?

完成したキョンのステーキ! 上の細いのがロースで、下の太いのがモモです。薬味にハマダイコンおろしギシギシのたたき、付け合わせはハマダイコンの葉とノビルのおひたし

牛島
いただきま~す! ん、ウマい! すごく柔らかくて、それでいて身が締まっている独特の食感ですね。

ワイルドな味わいに、ハマダイコンのピリッとした辛みがすごく合います!


茸本
ギシギシのたたきも、お肉によく合いますね。どちらもバターでソテーしたのが正解でした。


牛島
付け合わせもウマい! ハマダイコンの葉のちょっとした苦みと、ノビルの甘さが絶妙で、とってもいい箸休めになります。


茸本
筋肉繊維のきめ細かさと歯切れのいい柔らかさ。たまらないですね~!

ところで、なぜ野食に興味を?


牛島
しかし、普段誰も食べないようなものが、こんなに美味しいだなんて。いつから野食に興味を持ったんですか?


茸本
小学5年生のとき、釣ったハゼを自分でさばいて、母に天ぷらを作ってもらったんです。それがきっかけですかね。

その後、本気で釣ってみようと思って100匹ほど持って帰ったんです。そうしたら母が怒って「自分でやりなさい!」って(笑)。そのとき父が出刃包丁を与えてくれたんです。


牛島
100匹は釣りすぎ(笑)。出刃包丁をくれるお父さんってかっこいいですね!


茸本
もっと言えば、物心ついたときに買ってもらったキノコ図鑑が、野食のきっかけかもしれません。これを読んで食べられる生き物が気になるようになりましたから。


牛島
「三つ子の魂百まで」とは、よく言ったものですね。最後にひとつだけ質問いいですか?

もし野食に興味が湧いた場合、どうしたらいいですか?


牛島
茸本さんと一緒だと、いろんな野食を楽しめますけど、まったく知識がない人が同じことをしたくなった場合、どうすればいいですかね?


茸本
図鑑を正しく使うことです。よく間違いを起こす人は、図鑑の写真だけで判断してしまいます。でも写真だけでなく、そこに書かれている文章もしっかりと読むことが大事なんです。

特徴が10書いてあったら、10すべて満たしているものだけを採る。8でも9でもダメです。そうすれば間違いありませんよ。

「野食」とはアウトドアを楽しむための、ひとつのジャンル


茸本
もし野食に興味があるけど、どうしても自信がない人は、ボクが主催する「野食会」に参加してみてください!


牛島
そんな会があるんですね。行ってみたいな~!


茸本
全国各地で月1回程度開催しています。詳細はボクのブログ「野食ハンマープライス」をチェックしてみてください。


牛島
今日は本当に貴重な体験ができてよかったです。アウトドアの新しい楽しみ方が見えました。ありがとうございます!


茸本
こちらこそ、ありがとうございました!

茸本さんのことをもっと知りたい!という方のために

テレビや雑誌の情報提供や寄稿、ビッグコミックスペリオールで連載中の漫画『僕は君を太らせたい!』の原作、近著には『野食ハンターの七転八倒日記』(平凡社刊)もあるので、ぜひご覧になってみてくださいね!

月間100万PVを超える人気ブログ「野食ハンマープライス」はこちら

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野食ハンターの七転八倒日記
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僕は君を太らせたい!(1)
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野食のススメ 東京自給自足生活

今回の記事を読んで、新しいジャンルのアウトドアアクティビティに挑戦したいと思いましたか?

回答ありがとうございます。

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牛島 義之

アウトドア雑誌の副編集長職を経て、フリーエディター&ライターとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行、ペットなど、レジャー関連を中心に、さまざまなジャンルで執筆活動している。

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