記事中画像提供:デザインスタジオ アトリエばく
ごめんなすって、私が正統派の七輪でございます
グループキャンプで「うち、ツーバーナーもBBQコンロもなくて……」と言うと、大抵の人が驚きます。
えっ、じゃあどうやってご飯作るのかな? そこで登場するのが、江戸時代は元禄の世のご先祖様から使い続けられてきた「七輪」。
手始めに2,000円程度の七輪を使ったら、図らずも大ファンに
最初は高価なBBQコンロに資金が回らず、隣に置いてあった2,000円程の七輪を購入。少ない炭で何を焼いても美味しく仕上がるため、すっかり七輪のファンになりました。
火熾しに手間がかかりますが、遠赤外線をたくさん含む炭火と七輪の相性はバッチリ。導入後キャンプ飯のグレードがかなり上がったので、みなさんのキャンプライフが豊かになれば……という思いで、その魅力をお伝えします!
BUNDOK スタンド付き七輪 丸型
サイズ | (約)260×245×200mm |
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重量 | (約)4300g |
材質 | 本体/珪藻土・スチール 台座/スチール 網/スチール(クロームメッキ) |
BUNDOK 長角七輪 大
サイズ | 595×230×200mm |
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重量 | 約12.3kg |
材質 | 本体/珪藻土・スチール ●焼き網/スチール(クロームメッキ) |
理由その1|プリミティブな火熾しが楽しめる
ガスならスイッチ1つでポンと火がついて、扱いが簡単ですよね。その点七輪に使う切炭は直接ライターを近づけても火はつきませんが、チャコールスターターを使えば着火の煩わしさも炎を操る楽しさに。
七輪に新聞紙と着火剤を乗せて点火し、炭を入れたチャコールスターターを重ねると、上昇気流によって10分ほどで炭に火が回ります。
ちなみに、チャコールスターターはたたんで平たくなるものがおすすめ。焚き火台やスモーカー兼用もありますから、ご自分の趣味で選んでみてください。
▼おすすめのチャコールスターターはこちら
バタバタプープー…ここからが頑張りどころ
炭に火がついたら七輪に炭を移して空気が通るように詰め、下の空気窓を全開にします。手早く扇いで火を大きくします。先はまだ長いので、火熾し人の特権「フライング」して一杯やりながら……。
火の神様のご加護をお願いしつつ、火吹き竹でピンポイントに空気を送ってやります。ここで酔っ払ってしまうと吹くときにクラクラしますから、飲むスピードにはご注意を。
ここまで熾きたら、もう大丈夫。空気窓を開け閉めして、火力を調整します。
理由その2|赤外線効果で美味しい&暖かい!
この赤々とした色をご覧ください
炭火は強力な遠赤外線を発します。カンカンに熾きると、その温度は1,000℃ほどに。この熱で食材の外側を焼き固め、旨みを逃がさないんですね。
灰の部分は約500℃の近赤外線を発しており、食材の中まで火を通します。そして七輪の原料の珪藻土も、加熱されることで赤外線を出します。炭と七輪と、Wで加熱することになるんですね。
ちょっとした湯沸し用にシングルバーナーも持っていきますが、ほぼ9割は七輪で調理を楽しむようになりました。炭火と七輪から発する大量の赤外線のお陰で、手軽に最高の美味しさを味わっています。
【注意】炭は七輪に合ったものを選ぼう
使用している七輪は、木炭を燃料に使う「木炭コンロ」として販売されているものです。練炭は不完全燃焼等を起こす可能性があるので、専用の練炭コンロを使用してください。
珪藻土の断熱性で、火持ちも燃費もGOOD
珪藻土は熱伝導率が低く、さらにこの分厚さで熱を逃しません。驚くほど少ない炭で長時間燃焼し続けるんです。
この特性から、肌寒いときは調理が終わった後に暖房器具として使えるのも恩恵のひとつ。ごく弱火でも、手をかざせば十分ほんわかとした暖かさを感じます。
【注意】燃焼時に一酸化炭素が出ます
暖かいからと言って、覗き込みすぎは禁物! 七輪で炭を燃やすと、他の燃焼器具と同じように一酸化炭素が発生します。テント内や車の中など狭くて閉じた空間では使えません。
一酸化炭素は無味無臭、無色。知らない間に一酸化炭素中毒を起こし、命の危険が生じます。換気には十分注意を払って使用してください。
理由その3|安い肉でも極上の味になる!
「まず焼き鳥」が、ウチの流儀
角形七輪の面目躍如。スーパーの安い串でも、七輪で焼けば肉汁溢れる高級店の味わいに大変身。肉に均一に火を通し、かつ串が焼け落ちにくい構造で、誰でも焼き鳥屋の大将の気分を味わえます。
夏場ならトウモロコシは必須
夏は採れたてのトウモロコシに醤油をぬって、七輪の強力な熱線で焼き上げてかぶりつくと……びっくりするくらいの甘みと汁気が口に広がります。
汗を拭き拭きトウモロコシを転がせば、誰でも夏祭りの屋台のおっちゃんの気分を味わえますよ。
外で豪快に焼くから美味しい!焼きハマグリに秋刀魚
海辺のキャンプ場なら、ぜひ魚介の炭火焼きを楽しんでください。とくに、海のスープがたっぷりの焼きハマグリは絶品です。モウモウと煙を上げながら焼く旬の秋刀魚は、落ちて燃えた脂に燻されて、ほっぺた激落ちの美味しさに。
ちなみに、金属製のコンロ等と比べて燃焼効率が良いためか、余分な脂がよく燃えます。そのおかげで七輪本体も案外ベタベタにならず、後片付けも楽なんですよ。
イワナ、ヤマメ、ニジマス、アユ……最高の焼き上がり
川魚特有の臭みが抜けて、皮もひれも骨までパリパリ。焼き魚の苦手だった子が、無言で1尾平らげました。アラは捨てずに炙って日本酒に投入し、七輪の上に置いてしばし待たれよ。出汁のきいた骨酒が飲めますよ!
極上の火で、たまには極上の素材を楽しむ
和牛フィレ肉の網焼きです。七輪を何回か使って慣れてくると、ガス火ほど簡便ではないにせよ、下の空気窓の開き具合と送風量、炭火と網の距離の取り方で、火力の微調整ができるようになってきました。
繊細な火加減が必要な(そして焼き損じしたくない、ちょっと贅沢な)素材だって大丈夫。
キャンプ飯の〆といえば焼きおにぎり!
七輪で焼くと、カリッカリの香ばしさ、割ればふわっと湯気が上がる極上の焼きおにぎりになります。
ガス火なら点火も消火もすぐですし、火力調整も簡単。比べて七輪は手間がかかる反面、食材を一気に炙る強火力や、立ち消えスレスレの極小とろ火を長時間キープするなどの能力に長けており、そこが七輪の真骨頂と言えますね。
もちろんスイーツだってお手の物
丸形七輪の穴がちょうどりんご1個分だったので思いついたメニューです。りんごの芯をくり抜き、バター、シナモン、赤砂糖を詰めてブランデーを垂らし、ホイルで厚く包んで七輪の中に入れ、りんごの上にも炭火を載せます。
竹串がスッと通ったら焼き上がり。キャラメル状になった詰め物を絡めながら召し上がれ。マシュマロを焼いてビターチョコとクラッカーで挟む、キャンプの定番スモアもどうぞ。