記事中画像撮影:筆者
焚き火なら、チャーハンはもっと美味しくなる!?
出典:PIXTA
焚き火で豪快に鍋を振って作るチャーハン。実にワイルドで、見るからにウマそうですよね。
実際、家庭のコンロよりはるかに高火力で、約800℃にも達する焚き火でチャーハンを作ると、短時間でムラなく火が通り、ビジュアルだけでなく、本当に美味しくなるんです。
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けれど、焚き火や炭火で網焼きした肉を思い浮かべてください。
直接、炎と煙で炙られる香ばしさに加え、余分な脂は落ち、かつ遠赤外線効果もバッチリ得られてふっくら&ジューシーに!
これらも焚き火調理の大きなメリットなハズ。しかし、網焼きできないチャーハンは、フライパンで間を遮られることで、大幅に損なわれてしまっているなぁ、と残念に感じていた筆者。
全部スルーするフライパンだと…?
そんな筆者に、先日編集部から「これ使ってみません?」と送られてきたアイテムが、 こちら!
乗富鉄工所「メッシュパン 小」です。名前の通り、非常に目の細かい金属メッシュ製なんです。そう、この目の細かさならチャーハンもイケんじゃね?というワケですよ。
炎も煙も遠赤外線も全部通す=焚き火調理のポテンシャルが無限に広がりそう、なこちら。実際にキャンプで使って詳しくレビューしていきます!
乗富鉄工所 メッシュパン 小
サイズ | 幅21cm×長さ38cm×厚さ2cm |
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重量 | 260g |
材質 | 本体:ステンレス(SUS304) ハンドル:木材(ホワイトアッシュ) |
乗富鉄工所「メッシュパン」はこんなアイテム!
ソロキャンプなら「小」が最適
こちらが乗富鉄工所「メッシュパン 小」。ホワイトアッシュ製の持ち手もいい風合いで、全体的にスタイリッシュなデザインです。「2024年度グッドデザイン賞」も受賞。
サイズは幅21cm×長さ38cm×厚さ2cm。ホットサンドメーカーと並べると焼き面は約3倍くらい大きく、ソロキャンプの調理にはちょうど良いサイズ感です。
このほか、ファミリーやグループ用サイズの「メッシュパン 大(幅32cm×長さ48cm×厚さ2cm)」もラインナップ。
また、鉄板ではなくメッシュのため、260gと軽量なのも魅力です。薄いからリュックにもスルッと入ります。
この小ささで、かつ普通のフライパン感覚で使えるなら、徒歩や自転車など、様々なキャンプスタイルにもマッチしそうですね。
焼きそばまでイケちゃうの?!
出典:NORINORI PROJECT*2枚目画像は「メッシュパン 大」
網目が細かく、隙間から小さな食材も落ちにくいのが大きな特徴の「メッシュパン」。
従来の金網では不可能だったチャーハンどころか、焼きそばなどの麺類まで焚火で調理できてしまうようです。しかも余分な脂は網目から落ち、ヘルシーな仕上がりも期待できるそう。
メッシュが煙は通す=燻製だってOK
網目は当然煙も通し、藁焼きや燻製づくりも可能。公式サイトの画像では、メスティンにウッドチップを入れ、「メッシュパン」に乗せた食材を燻していますね。
調理のバリエーションが豊富で、「ソロで焚火しかしない」というキャンパーの料理の幅がグッと広がりそう。
メッシュは交換可能!長く使える
メッシュ部分には、SUS304ステンレスを採用。同社製の同じ線径メッシュは、耐久試験で250時間を記録したそうなので、頑丈なのは間違いないでしょう。
しかも、落とせない汚れが蓄積したり劣化した場合には、別売りのメッシュに交換も可能なので、長く愛用できそうです。
乗富鉄工所 メッシュパン 交換用メッシュ 小
サイズ | 幅19.5×長さ19.5×厚さ0.2cm |
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重量 | 100g |
材質 | ステンレス(SUS304) |
早速、焚き火でさまざまな食材を調理!
いよいよ、実際に「メッシュパン 小」を使って焚き火で調理してみましょう!
今回はユニフレーム「薪グリルラージ」を使用。「五徳」と「反射板」を兼ね備え、「メッシュパン」での焚き火調理に適していると思い、こちらをチョイスしました。
特に反射板がないと、ハンドルが短くて熱源に近いため、手が熱くなってしまう気がします(実際の調理時もほぼ、反射板外側にハンドルが来るよう配置)。
1|「冷凍チャーハン」は未知のウマさ!
最初は、どうしてもやりたかったチャーハンから! とはいえ、ソロキャン飯にそこまで手間もかけたくないので、冷凍チャーハンをそのまま加熱していきます。
縁らしき立ち上がりのない「メッシュパン」の形状的に、中華鍋のように“あおる”のは難しく、お玉で適宜混ぜながら4~5分炒めただけですが……。
なんだこりゃ、ウンマっっっ!?
多少焦げもありますが、全体的にびっくりするような香ばしさが出ています。調味料では出せない種類の未知なる香ばしさ。
冷凍食品とは思えない香ばしさで、クセになります。余計な水分もメッシュを通過するので、ベタ付きもナシ。これが焚き火チャーハンの実力か……。
2|「極厚ステーキ」はプロの仕上がり
お次はキャンプ飯のド定番。「極厚のランプ肉」をステーキにしてみます。
こういうぶ厚い肉は「表面が焦げて、中は生」になりがちですが、メッシュパンは火からの距離を自在に調整できるので、むちゃくちゃ簡単に焼けます!
何度かトングでひっくり返し、焦げないよう距離を保ちじっくりと。7~8分焼いてみました。
焼き上がりをすぐにカットしたのがこちら。
内部の見た目はレアですが、遠赤外線効果のおかげか、ちゃんと火は通っています。ドリップが出ないのは「肉汁を閉じ込めている」証拠です。
食べてみると、香ばしさと柔らかさ、そして余分な脂の落ちたさっぱりとした味わい。高級ステーキハウスに匹敵すると言っても過言ではない……。うむむ、「メッシュパン」、すごいぞ。
3|「タレ漬けホルモン」は超ヘルシー
肉類、もういっちょいってみます。味噌タレに漬けこまれた「豚ホルモン」。
いつもはタレごと炒めますが、「メッシュパン」の場合、タレは全部メッシュを抜けて落ちてしまいます。脂も落ちるので、ホルモンにしてはちょっとさっぱりすぎる感じに。
ヘルシーと言えばヘルシーで食べやすく、子供はパクパク食べていました。けれど、おじさんのツマミとしては、ちょっとパンチ不足な印象です。
4|「焼きビーフン」はちょいムズい
麺類にもチャレンジ。焼きそばではなく「焼きビーフン」です。
麺類は1本1本がバラバラなためか、端っこのほうなど、かなりのスピードで焦げていってしまいます。
付属のソースも大部分がすり抜けてしまい、火の通り方に結構なムラができてしまい、正直、味も見た目も少し残念な感じに。
もっと遠火にして、さらにウドンのような太麺ならうまくいったかもしれません。
ソースや調味料に関しても、炒めた麺をいったんボウルなどに移して和え、再度戻して温め直すなど、「メッシュパン」ならではの工夫が必要だと感じました。
5|「燻製」にもチャレンジ!
せっかくなので、「燻製」にもチャレンジ!
公式HPでは「メスティンを使う」とあるものの、焚火の高熱でアルミ製のメスティンを空焚きすることになり、メスティンの深刻なダメージが懸念されます(ベコベコになる可能性アリ)。
そこで筆者は、ミニサイズのスキレットにウッドチップを詰め、焚火で加熱してみましたよ。
チップから立ち上る煙は、食材にかぶせたアルミホイルでキャッチする仕組みです。めちゃくちゃ「燻製やってるぜ」感がありますね。これで4~5分。
う~ん。この方法だと燻製になるより「直接上がってくる熱気」のスピードがはるかに速く、チーズなんかは、たちまち溶けてしまいました。
味付玉子とソーセージは若干の薫香があり、しっかり火も通っておいしいけど、燻製とまでは言えず。おそらく、「捨てても良いような鍋」をメスティン代わりに使うのが正解な気がします。
「藁焼き」の方が使う道具も少なく工程もシンプルで、「メッシュパン」には合っていそうです。これは機会を見つけてリベンジしたいところ。
お手入れは拭いてヨシ、洗ってヨシ
現地で食材を替える時は、洗わずとも、メッシュをウエットティッシュでこするだけでかなりキレイになります。その場で使い続けるだけならこれでも十分という感じ。
チーズがこびりつくなどのハプニングもあり、本格的な洗浄は自宅で行うことに。持ち帰るときは、クッキングペーパーでメッシュ部分をくるめばOK。
自宅では金属タワシとお湯でこすってみました。チーズも含め、みるみる汚れが落ちますね。
これだけでもいいし、鉄のフライパンなどとは違うものなので、洗剤をつけたスポンジで洗っても問題ないと思います。普通の食器感覚で洗えるなあという感じです。
気になる点もいくつか…
フラットすぎて盛り付けがムズイ!
フライパンとの決定的な違いが、完全にフラットで縁がない点です。これがなかなかクセもの。
チャーハンの“あおり炒め”はまず無理だし、器に盛り付ける際もボロボロこぼれます。
大きな器にガバッと移せればいいですが、キャンプだとそうもいかず。構造上やむを得ないところなので、ここは工夫や慣れが必要かもしれません。
メッシュ交換はかなりの力技
メッシュが古くなってきたら交換可能なのも魅力の「メッシュパン」。ですが、このメッシュを固定する留め金が、力をかけて曲げるタイプなのが、少々不安を感じます。
試しに1箇所だけ少し曲げてみましたが、ペンチなどのツールがないと、外すのも取り付けるのも相当パワーが必要です。しかも全部で8か所。
なるべく交換ナシで過ごしたいところです。
やっぱり収納ケースは欲しい…
なので、メッシュの保護は重要なのですが、収納ケースは付属していません。
探してみたところ、一応、15.6インチのノートPC用ケース(百均でも買えます)が、手頃かつ長さも合いますが、横幅は7cm程の余白があるので、ちょっとビミョーな気はします。
乗富鉄工所 メッシュパン 小
サイズ | 幅21cm×長さ38cm×厚さ2cm |
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重量 | 260g |
材質 | 本体:ステンレス(SUS304) ハンドル:木材(ホワイトアッシュ) |
たかがメッシュと侮るなかれ!
チャーハンだけでも試す価値アリ
いろいろと焼いてみて、中には多少のコツや工夫が必要なメニューもありましたが、何しろチャーハンの味には衝撃を受けました。
直火で炒めたチャーハンなんて食べたことなかったですからね。この味を楽しむためだけでも「メッシュパン 小」を試す価値があると思います。ステーキの焼き上がりも素晴らしい!
他にも軽量・小型とメリットが大きい「メッシュパン 小」。焚き火調理の幅を広げる意味でも、非常に便利でオススメできるギアであることは間違いありません!