タープ活用技法5変化
<タープ泊時の筆者使用アイテム>
⚫︎タープ:アクアクエスト「サファリ(3m×3m)」
⚫︎ポール:DOD「コンパクトタープポール」
⚫︎ペグ:バウンドレスボヤージュ「チタンペグソリッド(20cm)」
⚫︎ガイロープ:ワークマン「パラメイトロープ」
タープ活用技法5変化をご紹介する前に、まずは筆者が普段、タープ泊に使っているアイテムをご紹介します。
タープはアクアクエスト「サファリ」で、ポールやガイロープを接続したりペグダウンできるループポイントが19箇所。人気の「DDタープ」なども同じ構造で、アレンジ幅が広いのが魅力です。
ポールはDOD「コンパクトタープポール」。軽くて強いアルミ合金製で直径も小さめの19mm。1本で33cm延長できるパーツが12本入っており、柔軟に高さ調節できる優れもの。
ペグはバウンドレスボヤージュ「チタンペグソリッド(20cm)」。
ガイロープは安定のワークマン「パラメイトロープ」で、太さ4mm×長さ15m。筆者は自分で「3m×2本」「4.5m×2本」の計4本に切断しており、今回は3mを2本と4.5mを1本用意しました。
1. シンプルこそ正義!ダイヤモンド張り
まずは「ダイヤモンド張り」からご紹介! シンプルかつ少ない手順で設営できるのに、開放感があってカッコいいという優等生。
・少ない道具&手順で設営可能
・任意の長さのポールでOK(微調整不要)
・しっかり日陰を作れるのに開放感も◎
他の張り方だとポールの長さを微調整する必要がありますが、こちらはその必要なし! 雑に設営してもパリッとキマるニクいやつ。
設営を簡単に済ませてチルタイムを長く取りたいときにおすすめです!
それでは張り方を見ていきましょう。左奥のループから時計回りに16番まで番号をつけました(以降、同じ番号で説明します)。
最初に右奥の(4)と(6)のループをペグダウンして、(5)の角を内側に折り込みます。
するとこんな形。右奥の角がなくなりましたね。
次に、(13)のループをポールで立ち上げ。(4)と(6)の2箇所が止められているので、ポールに結ぶガイロープは1本で自立します。今回使ったポールは200cm。
こうなったら後は簡単。フワフワなびく(1)と(9)のループを、布がピンと伸びる場所を探してペグダウンすれば、完成!
慣れてしまえばものの5分で設営完了。あとはビールを開けるなり、お好きにチルタイムを満喫してください……!
さらに余裕があれば、もう1本短めのポールを背面に追加。ループ1箇所をガイロープで引っ張れば内部空間が広がり、耐風性もUPするのでおすすめです!
2. 王道のカッコよさ!ステルス張り
続いて「ステルス張り」のご紹介! タープ泊といえばこの形をイメージする方が多いのではないでしょうか? なんとも言えない秘密基地感が魅力ですよね。
・見た目がカッコいい
・テントに近いフォルム
・ほぼフルクローズ可能
3×3mのタープで、ポールを二股化せずとも筆者(身長178cm)が横になれるスペースを確保可能。ほぼフルクローズにできるので安心感があり、ある程度プライバシーも守れます。
上の写真は出入り口部分を少しアレンジしたバージョンです。
テントに近いシルエットから、一見ハードルが高そうに思われがちですが……実は、それほど難しくないんです。
最初に(2)と(16)のループをペグダウンして(1)の角を内側に折り込みます。反対側も同様に、(4)、(6)をペグダウンし、(5)を折り込みます。
するとこんな形に。奥の両サイドの角がなくなりましたね。
続いて、(13)のループを(12)の位置でペグダウン。反対側も同様に、(9)のループを(10)の位置でペグダウン。厳密にはそれぞれ少し届かないので、なるべく近い位置でペグダウンします!
6箇所のペグダウンでタープが地面に固定されると、ちょうど中央部分に布余りができるので、今度は中に入ってポール(120〜130cm程度)で立ち上げます。
続いて、出入り口部分のところに(12)と(10)のループが漂っていますので、ガイロープで(12)のループを左奥の(16)のペグと繋げ、反対側も同様に(10)のループと(6)のペグを繋げます。
するとこのような形。(11)のループがゆらゆらした状態になるので、最後にガイロープで固定します。
これで完成。ただ、最後に設置したガイロープはくつろぐときに邪魔になることも。
筆者の実際のキャンプ時の画像のように、ガイロープを使わずにクリップ等で(11)のループの布余りを解消すればスムーズです。
就寝時などは、(12)と(10)のループをカラビナ等で繋げばほぼフルクローズが可能。
下の方に少し隙間がありますが、中に入った後、大きめの荷物をこの部分に置いておけば、相応のプライベート感が得られます!
3. 全てがちょうど良い!パスファインダー張り
続いてはこちら、「パスファインダー張り」のご紹介! とにかくコンパクトに設営可能。
この張り方ができると、ロケーションは良いのに狭くて誰も設営できない場所へ、スルっとと入り込めてしまいます! これに何度助けられたことか……。
・フルクローズ可能
・ポールが端にあり幕内を広く使える
・1.5m×3mの狭いスペースに設営可能
接地面積は狭いけれどポールが端にあるため、幕内は見た目ほど狭くないです。画像の通り、ポール上部にランタンを吊るすとエモくておすすめ。ですが、火災には十分ご注意を。
設営も手軽です! まずは(2)と(4)のループをペグダウンして(11)のループを150cmのポールで立ち上げます。
次に(13)と(9)のループをポールの根本のところでペグダウン。地面の傾斜や使うギアによっては高さの微調整が必要な場合も。
そんなときは、多少斜めにしても倒れないのでポールの角度で高さ調節してみてください!
さらに、(14)と(8)のループをそれぞれ左右に広げて、全体がピンと張る場所を見つけてペグダウンを。
最後に、(1)と(5)の角をタープの内側に折り込めば完成です。ダイヤモンド張り同様、ガイローブで背面のループを引っ張るとさらに居住空間が広がって過ごしやすくなりますよ!
4. 独特な存在感!ビークフライ張り
4つ目は「ビークフライ張り」。非対称な三角形のフォルムで独特な存在感があります……! タープの一部をグランドシートとして使える無駄のない設計。
・フルクローズ可能
・一部がグラウンドシート代わりに
・非常に狭いスペースに設営可能
パスファインダー張りよりもさらに狭い場所に設営可能ですが、その分、中も狭い! 3×3mのタープの場合、フルクローズ状態では中にコットが入らないので要注意です!
それでは張り方の説明です。上の写真、ちょっと今までと違うのがお分かりでしょうか? タープの表裏を逆にしているんです。ビークフライは唯一、この形からスタートになります!
最初に(9)、(13)、(15)の3箇所をペグダウン。この三角形が接地部分であり、グランドシート代わりになる部分です。
その上で、(3)のループをポールで立ち上げるのですが、これを(13)のループの位置で行います。
そうするとあっという間。もうこんな形になってきます。
ちょうどゆらめく箇所は、(1)と(5)のループ。これを(13)に刺さっているペグに固定すれば完成です。
「ダイヤモンド張り」などと同じく、背面のループをガイロープで引っ張って中の空間を広げられます。
5. 優雅な前室!ビークティピー張り
最後にご紹介するのは、「ビークティピー張り」! ワンポールテントにタープを接続したような形をタープ1枚で作れるという驚きの張り方。
「野に学び、野に遊ぶ」をテーマに、キャンプ・アウトドアライフの情報発信や自然体験活動のサポートなど幅広く活動される「埜營堂(やえいどう)」さん考案の張り方なんです。
・テント+タープのようなフォルム
・ほぼフルクローズ可能
・しっかり日陰ができて過ごしやすい
名前の通り、突き出た部分が上を向く「鳥のクチバシ=beak(ビーク)」のように見えてカッコいいですよね!
このクチバシ部分のおかげでしっかり日陰が確保され、広い前室があるテントのようにリラックスして過ごすことができます!
張り方について説明します! 記事内の他の張り方と比べると、若干手順が多いです。
最初に右奥の(4)と(6)のループをペグダウンして、(5)の角を内側に折り込みます。
これで、(4)と(6)のループを結ぶ線が固定されました。次の手順は、この(4)と(6)を結ぶ線を固定したまま、(1)と(9)のループを動かして、(1)、(4)、(6)、(9)で長方形を作ります。
(1)と(9)のループを動かして長方形を作ると上のようになります。拡大すると下の通りです。
この段階で、しっかり4つの角が直角になるように細かく調整して、(1)と(9)のループをペグダウンすることが重要です……!
さて、せっかく(1)と(9)のループをペグダウンしましたが、これはこの位置ににペグを打つのが目的なので、(1)と(9)のループはペグから外します。
続いて、外した(1)の代わりに隣の(16)のループに掛け替えを。今度は(2)のループをタープが弛まない位置で新たにペグダウン。余った(1)のループは内側に折り込みます。
これを反対側でも同様に行います。(9)のループを(10)に掛け替え、タープが弛まない位置で(8)のループをペグダウン、さらに(9)の角を内側に折り込みます。
画像の通り、6箇所を固定した状態になりました。次は、幕内にポールを立てますが、3×3mのタープでのビークティピーの場合、ポールを二股化しないとまっすぐ横になって寝られません!
ただ、筆者はポール二股化用のオプションパーツを持っておらず、代替法を使っているのでご紹介します。
130〜140cm程度の長さのポールを2本用意し、収納袋にポールの端の部分を入れます。
そのまま収納袋をぐるぐる巻きにして、縛りつけるように固定します。
これを、二股ポールとして利用します。筆者はこれまで、この方法がキャンプギアの破損や事故に繋がったことはありませんが、あくまで自己責任の上でご判断ください……!
ここまで来れば、あと一息! クチバシにあたる部分を作ります。(13)のループをポールで立ち上げて……、
最後に(11)と(15)のループを、ペグとガイロープを使って横に引っ張り、座る場所を確保すれば完成です!
クチバシ部分を下げると画像の通りほぼフルクローズになり、就寝時にはこの形にしています。これはこれで、まるで鳥が羽を休めている姿のようで可愛いんです。
もっとしっかりフルクローズできる方法もありますので、ぜひトライしてみて下さい。ちなみに筆者は、「埜營堂(やえいどう)」さんのブログで紹介されているフルクローズ方法が分かりやすかったです!
遊び心あふれる”タープ泊”
タープ泊の魅力、伝わりましたでしょうか? タープ泊にはさまざまな張り方があり、さらに工夫の余地には限りがなく、ワクワクが止まりません……!
荷物の少なさに感動したり、テント泊だと想定外の場所に設営できたり……、毎回きっと新たな発見があるはず。
何より自身で工夫して設営したタープ泊の拠点には、”秘密基地感”がみなぎっています! 是非とも童心に帰り、遊び心あふれるタープ泊を楽しんでみてください!