そろそろ本格的な斧が欲しい!
斧を使うときに注意すべき三か条
……とその前に、まずは使用時の注意点から。一歩間違えば大怪我につながる危険な道具なので、正しい扱い方を覚えておきましょう。
①まずは5m範囲内に人がいないか確認!
②斧を握る側の手は素手がベスト!
③使用後は必ず直ぐにシーズに戻す!
オレンジカラーで視認性も抜群!
①ハスクバーナ 手斧 600g
まずは芝刈り機 やチェーンソー などでお馴染みのスウェーデンの老舗メーカー、ハスクバーナ の定番モデルから。昔ながらの伝統的なシルエットを踏襲した鍛造手斧で、北欧らしいスタイリッシュなデザインも魅力です。
ヘッド重量600g、総重量820g、柄の長さ36cmと扱いやすいサイズ感で、グリップのオレンジカラーもアクセントに。これは森林での視認性を高めるための塗装ですが、サイトやガレージでも映えそう!
「見た目以上に軽くてバランスがいい」
固めの広葉樹の薪束をガンガン割って、ポイポイと焚き火に放り込むときに重宝するかも。あとは仲間と一緒の焚き火で、素早く大量の薪作りをするときにも力を発揮しそうです。
シンプルにキャンプで薪割りに使用するなら、かなり使い勝手がよさそうです。
プロキャンパーのガチ査定
手斧の王道のようなモデルなので、ビギナーからベテランまでオススメできますね。特に焚き火キャンプを楽しみたい人や、自分で薪を作りたい人は重宝すると思います。オレンジ色に塗られた柄は、好みが分かれる部分。だけど地面に放置してしまったときに、踏みつけて怪我をすることを防ぐという安全性を考慮したリアルなキャンプ装備とも言えるので、個人的にはアリです。
ハスクバーナ 手斧 600g
温故知新なブランドの魅力を体現
②ベアボーンズ フィールドハチェット2.0
レイルロードランタン がブレイク中のベアボーンズは斧も要注目。こちらのフィールドハチェット は、レトロなデザインと最新技術を融合させるブランドのスタイルを踏襲する洗練されたルックス。
ハンドル43cm、ブレードL10cm×H8.9cm、ハンマーL2.54cm×H3.1cmというサイズ感で、重量は544g。ポリエステル製のシース(カバー)が少し心許ない気もしますが、ミニマムなデザインに仕上げれています。
「“割る”より“切る”に特化しているかも?」
しかも思った以上に扱いやすい。でも割るってより切るほうに特化しているのかも。こうして別の薪とかで打ち付けた方が使いやすいかもしれないです。
コットンのテントやホーロー食器とか、オールドファッションなアイテムで 揃えたキャンプサイトに映えそうだから、見た飾って楽しみたい人にもオスススメできると思います。
プロキャンパーのガチ査定
ビジュアルばかりに注目されそうな斧だけど、汎用性もありますね。薄い刃を持つヘッドと長い柄の遠心力で、すっぱり枝を断ち切ったり、小径木を伐採したりする作業に適しているから、どちらかといえば薪割りよりもブッシュクラフト的な使い方が好ましいかも。刃の反対側にあるハンマーが小さいから、使用する際に狙いを外してシースのストラップを打ってしまう可能性がありますね。そこは、やや注意が必要。
ベアボーンズリビング フィールドハチェット2.0
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小型焚き火台にマッチするコンパクト斧!
③ユニフレーム 燕三条乃斧
小型焚き火台 を使用する際の薪作りをサポートする斧、として考案されたのが、ユニフレームの燕三条乃斧 。伝統的な斧のスタイルとは一線を画すミニマムなデザインです。
全長約27.5cm、刃長約11.5cmで、重さは約450g。これならバックパックに収納してもかさばらりません。刃部には薪を折る機能を搭載されています。
「サイズ的にもバトニングしやすい」
サイズ的にもバトニングがしやすいですね。自分は、こういう感じで、薪や枝を削ってペグを作ることもあるんですよ。
それと、刃の金属表面の仕上げも防錆効果が期待できそう。ラフに使っても問題なさそうな安心感がありますね。あと料理で使ってもおもしろいかも。チキンをぶった切ったり(笑)
プロキャンパーのガチ査定
小型焚き火台で焚き火に使用する薪や焚き付けを作成するための斧、という明確なコンセプトが良くわかるモデルです。直火NGのキャンプ場でのソロキャンプでは、なにかと役立つことも多いと思います。昔ながらの斧のルックスが好きな人には受け入れにくいビジュアルかもしれませんが、リアルなキャンプ道具として高得点を付けたいです。
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定番ナイフのデザインを踏襲!
④モーラナイフ キャンピング アックス
キャンパーの定番アイテム、モーラーナイフのデザインを活かしたソリッドなスタイルのキャンピングアックス 。ナイフとセットで揃えたい人も多いのでは?
こちらのスペックは、全長 約32.2cm、刃長 約11,5cmというベーシックなサイズで、重量 約510g(アックスのみの重量)となっています。ナイフ同様、なかなか実用性が高そうですが……。
「重い斧が苦手なキャンパーにオススメ」
それと刃がモーラナイフと同じスカンジグラインド形状にほぼ近い。他の伝統的な斧の刃ようなコンベックスグラインドと違って、砥ぎやすいのもいいですね。
他とは違うデザイン性を求める人や掌が小さめの人、あまり重い斧を持てない女性や軽さ重視のキャンパーにいいかも。
プロキャンパーのガチ査定
モーラナイフをイメージさせるデザインが特徴的。ザワザワした質感のグリップは、細身なのでしっかり握れます。そういう意味でも、女性のキャンパーも扱いやすいと思います。刃厚は薄めなので、太い薪をガンガン割るというよりも、焚き付け作りや枝払いに向いていると感じました。森も整備作業でも活躍しそうです。
モーラナイフ キャンピング アックス
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和斧と洋斧のハイブリッドな1本
⑤クイックキャンプ 焚火ノ手斧-YOKI-
和斧と洋斧のよさを取り入れたというクイックキャンプの斧 は、スタンダードなシルエットとデザインの1本。栃木レザーのシースにはリベットも打ち込まれタフな雰囲気に(パラコードは付属しません)。
本体サイズは30cm×H13cm×W2.6cm(目安)になっていますが、新潟の職人による自由鋳造のためサイズや重量には若干の個体差があるとのこと。柄に国産天然木の本樫を使用するなど、素材も含めて純国産の逸品です。
「キャンプ場の薪割りなら1番使いやすい!!」
持った感じの重さのバランスもいいですね。このパラコードはカスタムだと思うけど、ちょっと邪魔な気が(笑)
実用性能を求めつつ、他人があまり持っていないような、定番品以外の斧が欲しいって人に向いているかも。しかも1万円以下だから、コスパもいいですよ。
プロキャンパーのガチ査定
アイテムどおり、和斧をイメージさせるデザインが、個人的にはかっこいいと思う。今回のラインナップのなかでは比較的厚めの刃なので、薪割り斧としての性格が強めですね。その分、枝打ちや削りなどの作業では、やや不利かなと思ったかけど、小ぶりで扱いやすいから、今の日本キャンプシーンなら結構マルチに使えると思います。
クイックキャンプ 焚火ノ手斧-YOKI-
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超リーズナブルな工業用モデル!
⑥コンヨ ファミリーツリー ハンドアッキス
続いてはアマゾンで売られている工業用の斧です。時期によっては1,000円を下回るほどリーズナブル。それでもラバーグリップや重量感のある刃など、質実剛健な作りです。
サイズは34.5cm×11.8cm×2.8 cmと少し大きめ。重量は890gあります。シースがちょっとチープですが、価格帯を考慮すると、こんなものでしょう。
「重量があるため破壊力は抜群!」
それと真上から刃の断面を見たときに、左に湾曲した形状になっているんですよね。これはあえてそうしたデザインなのか、意図がわからないですね。
自分は斧はハンマー代わりとして使うことも多いけど、金属の柄は曲がってしまうことがあるから、それが心配。でもこの価格ならしょうがないって思えますよね。
プロキャンパーのガチ査定
とにかく薪割用の小型斧が欲しい人なら、価格的にも手が出やすいからいいと思います。ハンマーのようなラバーグリップ、くぎ抜き用らしき刃の加工など、キャンプ用品というより工具ライクなルックスなので、実用主義の人ならいいけど、趣向品としては面白みに欠けるかも。
コンヨ ファミリーツリー ハンドアッキス
小型&軽量のポケットサイズの斧
⑦ヒューフリット ハンドアックス
ユニフレームの斧と同じく、小型焚き火台とセットで使えそうなポケットサイズのハンドアックス です。刃全体を覆う大きめのシースが付いているけど、かなり薄いため安全性がちょっと心配かも。
ちなみに本体サイズは約26cm×約8.5cm×約0.4cmで、ステンレス鋼なので重量は300g。軽量装備のキャンパーも、こんな斧なら持ち歩けるのでは? 伊澤さんに意見を聞いてみましょう。
「斧とナイフのハイブリッドモデルです」
とりあえず感覚的には7割くらい斧じゃない(笑)。よくいえばナイフと斧にハイブリッド。バックパックひとつのソロキャンプで、ナイフと斧の両方を持って行きたくないときに便利かも。
小型ナイフではやりにくい枝や、ちょっと力が必要な切断作業でも便利かもしれない。1本あってもいいかもしれないけど、一生モノの相棒にはならないですよね。
プロキャンパーのガチ査定
斧の形をしているけど、斧の存在意義であるヘッドの重量による打撃力を備えていません。調理のときに魚や鳥などの骨を叩き割るような、出刃包丁的な使い方ならありかも? 正直、どのようなキャンパーに使ってもらいたいか、コンセプトが見えません(笑)
ヒューフリ ハンドアックス
300年以上続く伝統的な製法で作られた1本
⑧ハルタホース スカウト
再び定番モデルに戻り、ハルタホースのスカウト です。スウェーデンの老舗ブランドだけに、1697年から続く伝統的な製法で作られているとか。鍛造で表面はブラスト仕上げにクリアーラッカー処理が施され、カーブした柄はヒッコリー製。
スペックはシンプルに、全長サイズ38cm、重さは900gとなっています。レザーシースがスエード&真鍮リベットというのも、なかなか渋いですね。
「薪割りだけにしか使わないのは勿体ない」
装備を削って、自然の中に入り込むスタイルのキャンプができる人なら、かなり重宝しますよ。自由に伐採できる樹木が得られるようなシチュエーションなら、幅広く役立ちますね。
でもロングステイのキャンプや野外生活で役立つ斧。薪割にしか使わないのは、逆にもったいない。ある意味、中上級者向けかも。
プロキャンパーのガチ査定
さすがに定番の逸品というだけあり、間違いない安心感がありますね。重量や握ったときのバランス、切れ味などの機能性はもちろん、ルックスも抜群。実用性以外でも欲しいと思わせられます。個人的には細くくびれた柄が私の手にフィットしていて、とても握りやすい。
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イタリア発ながら日本の色をプラス!
⑨ファイヤーサイド キャンプハチェット狐
最初のハスクバーナと同じ、アクセントカラーがワンポイントで入った手斧ながら、こちらはイタリア生まれ。キャンプシーンに特化したモデルで、斧頭でペグが打てるデザインになっています。
サイズは刃渡り70mm、柄長330mm、斧頭W130mm。柄のペイントは、日本の輸入元ファイヤーサイドが特注したカラーで、日本古来の狐色をイメージ。他に鶯(うぐいす)、今鶴羽(いまつるは)というカラーもあります。
「身軽な装備のブッシュクラフトに最適!」
なかなか万能ですね。オートキャンプでもいいけど、どちらかといえば自然の野営地での作業に向いていると思います。
プロキャンパーのガチ査定
今回使ってみた斧の中では、最も私の好みに合っていました。ハルタホースのスカウトやハスクバーナの手斧と類似点もありますが、やや小ぶりで軽量なところが、携行性と扱いやすさの面で、頭ひとつ抜き出ているように思えます。 薪割り以外にも作業しやすい刃の薄さや形状、ハンマーとしての使いやすさも高評価!
ファイヤーサイド キャンプハチェット狐
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伊澤さん愛用の斧はこちら!
ちなみに伊澤さんが愛用している斧は、スウェーデン発のブランド、 グレンスフォシュブルークスのアウトドアアックス 。幅広い用途に対応できる万能モデルで、8年ほどの付き合いになるとか。
スペックは、刃渡り63cm、柄長375mm、重量380gと比較的コンパクトで軽量。クラシックなデザインも魅力です。
それと、短期の野営ソロキャンプでは、必要最低限の作業を素早くこなすことを重視しています。薪や簡単なシェルターを作るときは細めの樹を扱うけど、そんなシーンでも使い勝手がいいんですよ。
キャンプスタイルに合わせた斧を選ぼう
今回は定番モノからコンパクトなモデルまで、幅広い斧を揃えてみましたが、もちろん他にもさまざまな斧があります。そこで、最後にプロキャンパーの伊澤さんに、斧を選ぶときのポイントを聞いてみました。
斧を選ぶときは、まず使いたい用途を明確にしてからがいいと思います。薪割りをしたいのか、ブッシュクラフトをしたいのか、それともソロキャンプで小さい焚き火台に使いたいのか。
ちろんルックスで選んでもいいけど、もしかしたら飾っておくだけになってしまうかも。たしかに、サイトにあるだけで雰囲気が格段にアップすることは間違いありません。だけど、せっかくの道具なので、使い倒して自分の腕も磨いていくと、キャンプの世界がさらに広がると思います。