「フライアン」はフライパンと鉄板のイイとこ取り!
調理器具の代表的存在といえばフライパン。インドアはもちろん、その使いやすさからキャンプ場でもガスコンロとセットで愛用するキャンパーもよく見かけます。
その一方で、蓄熱性は低いためキャンプで美味しくお肉を焼くならやっぱり鉄板派! という人も。ただ鉄板はその重さがネックになることも……。どちらも一長一短ですよね。
ところが、フライパンの気軽さと鉄板の蓄熱性、その両方の利点を併せ持つ“ちょうどいい”アイテムがありました! それが北海道のガレージブランド『/moose/ room works(ムース ルームワークス)』のアウトドア焚き火鉄板「Frying iron(以下フライアン)」なんです。
感度の高いキャンパーを中心に人気を集めている注目の調理ギア。今回はその実力を確かめてみます!
ソロキャンにうれしい絶妙なサイズ感
そんな話題のアイテムをお借りできましたので、さっそくそのディティールからチェックしていきましょう。
パッケージには本体のほかに、ヘラと2つの真鍮製よーと(?型の金具)、ロゴ入りの専用ポーチ、それと写真にはありませんが耐油紙袋が同梱されていました。
大きさや鉄板の厚さは?
鉄板部分の大きさは約16cm四方とコンパクト。ソロキャンプにもオススメです。
同じくソロキャンプで人気の「ピコグリル398」に乗せるとこんな感じに。横から薪を足すのにも不便しないサイズ感で、この2つの相性は良さそう。
鉄板の厚さは一般的なフライパンより分厚い3.2mmほど。これは鉄板として見ると他メーカーが分厚さを競い合っているなか、かなり控えめな数字です。そのかわり、取り回しのしやすさや軽さは鉄板よりも◎。
それでいて鉄板の良さである蓄熱性も失わない、そんな厚さを検証した結果なんだとか。「フライパンと鉄板のハーフアンドハーフ」というコンセプトがよく分かる絶妙な厚さですね。
立体的に立ち上がった四隅がミソ!
鉄板はただの一枚板ではなく、四辺や角はグッと立ち上がる構造に。他メーカーの鉄板には平らなものが多いなか、ここまで角度がついているのは「フライアン」ならでは。
一見地味な部分ですが、このあと実際にお肉を焼いてみると、その便利さに気付かされました!
持ち手はありません!
「フライアン」最大の特徴はハンドルが無いこと。代わりに落ちている枝や流木を使って好みの取っ手を自作することができます。
自分だけのオリジナルギアを作る楽しさもこの「フライアン」で楽しめる魅力のひとつです。
早速調理してみたい!でもその前に……
自分だけのハンドルを作ってみよう!
お肉を焼く前に、まずはハンドルを自作しましょう。キャンプ場に落ちている枝や流木を拾い集める以外に、今回はおまけに焚き火用の薪なんかもハンドルの材料にしてみます。
それぞれ、取っ手部分にハマるよう鉛筆を削る感覚で削ります。木の種類によっては硬く、刃が通りにくいものもあるので注意が必要です。
この作業、言ってしまえば手間ですが、この不自由さこそ野外遊びの醍醐味。自分の手で道具を作り上げるという過程が愛着に繋がるんです。
作業しているうちにコツもつかみ、時間もさほどかからず削り終えることができました。この程度ならブッシュクラフト初心者でも簡単にできるはず。
削りカスは集めておけば、火をおこす際の焚き付けとして活用できるので、捨てずに集めておくのがおすすめ。
取っ手部分に削った木材をあてがい、付属の金具“よーと”で留めれば……。
無事にハンドル付きのオリジナル「フライアン」が完成です! よーとをしっかり根本までねじ込むことで安定性は充分。
鉄と木という異素材の組み合わせが見た目もワイルドで印象的です。まさにアウトドア用調理器具といった出で立ち。
ハンドル次第で個性や使いやすさも変わる!
ほかにもいろんな木材でハンドルを作ってみました。長さや太さ、まっすぐなものや曲がっているものなど使う材料によって、印象もガラッと変わりますね。
見た目だけでなく調理をする際の扱いやすさも変わるので、自分なりのこだわりを追求できるという面白さも「フライアン」ならでは。
使用前にはシーズニングも忘れずに!
ハンドルの作成以外にも、使用前にはシーズニングも必ず行っておきましょう。付属の説明書にやり方が載っているので、鉄板初心者でも安心です。
携行時は付属の耐油紙袋に入れれば、油でベタつくことなく持ち運べますよ。
ムース ルームワークス フライアン3.2mm
実際にお肉を焼いてみよう
準備が整ったら、次はいよいよお肉を焼いてみます。よく熱した「フライアン」に分厚いステーキ肉を乗せていざ調理開始です。
ここでは鉄板ならではの利点を発揮。蓄熱性の高い黒皮鉄板は鉄板自体が熱を持つので、火力の安定しない焚き火でもお肉にしっかりと焼き目を付けてくれます。
また、調理していると四隅がやや大きく角度がついているため、肉の脂が垂れることなく留まっていることに気が付きました。
これなら焚き火に脂が落ちないので、煙も軽減できますし、火力が不安定になる心配も不要です。
表面はカリッと香ばしく、中は筆者好みのレア気味で。短時間で香ばしく焼き上げることで、肉のうま味を閉じ込めてジューシーに仕上げることができました。
やはりお肉を焼くときには、鉄板の持つ特性が美味しさをワンランクアップさせてくれますね。
四隅は液体を注ぎやすい形状に
次の食材を焼く前には、余分な脂をカップなどに注ぎますが、このときにも四隅の形状がさり気なく活躍。微妙にカーブを描いているので、液体が垂れることなくストレスフリーで注げます。これって地味ながら嬉しいポイントですよね。
「フライアン」はこんなところもスゴイんです!
もっとたくさんの脂や卵だって溢れない!
四隅や四辺が立ち上がっているおかげで、思いのほか液体が溢れないことが分かりましたが、どこまでOKなのでしょうか。というわけで、より脂身の多い豚バラ肉を調理してみることに。
すると、ステーキの倍以上の脂が流れ出たにもかかわらず、全く溢れる様子もナシ。一度に大量のお肉を焼かない限りは、脂が溢れるということはなさそうですね。
続いて目玉焼きにも挑戦しましたが、こちらも危なげなくクリア。といいながら、実は卵を誤って端に落としてしまいヒヤッとしたものの、むしろこの充分な立ち上がりのおかげで事なきを得ました。使い手のミスまでカバーしてくれるなんて、信頼感も◎です。
ハンドルの角度がロースタイルにぴったり
細かな部分ですが、「フライアン」のハンドル部分は水平ではなく焼き面側に角度がついています。このおかげでハンドルがほどよい高さで手元へ伸びるので、ロースタイルでの調理がとてもしやすいんです。
もちろん、焚き火台やチェアとの組み合わせで高さは変わりますが、そんなときはハンドルの長さを調整すれば自分好みの位置にカスタマイズできるはず。これも自作ハンドルのメリットですね。
付属のヘラで汚れも落とせる
鉄板は油膜を保つために洗剤を使わないのがセオリー。そのため汚れはたわしやスポンジなどで落とすのですが、「フライアン」には専用の小さなヘラが付属します。本体がコンパクトなだけに、お手入れの道具もコンパクトなものがセットなのは嬉しいですね。
ムース ルームワークス フライアン3.2mm
一方で注意しておきたいポイントは?
ハンドルの素材選びが重要
ハンドル部分は付属のよーとで固定しますが、素材をきちんと選ばないと脆く不安定になってしまうものも。
よーとで締められるのは一箇所だけなので、丈夫な素材を選びきちんと成形するのがコツです。
現地調達ではちょうどいい枝が見つからないことも……
いざハンドルを現地調達しようと探してみても、場所によっては適した木材が見つからないこともあるはず。
そんなときのためにプライヤーを持参すると、ハンドルがなくても使用が可能です。もちろん、あらかじめお気に入りのハンドルを作っておくのもOK。
今日からあなたも「フライアン」派!?
「フライアン」を使ってみて感じたのは、確かな実用性のなかにある遊び心です。フライパンの手軽さと鉄板の特性の両方をイイとこ取りしたようなコンセプトは、ソロキャンパーを中心にだれもがその使いやすさを実感できるはず。
それでいて、ハンドルをブッシュクラフトするある意味の不便さも併せ持っており、アウトドアの醍醐味を再発見させてくれます。そんな個性的な「フライアン」、ぜひ焚き火調理のパートナーに選んでみてはいかがでしょうか。
ムース ルームワークス フライアン3.2mm