木口面を仕上げ彫りする
1〜2日置いて表面を乾燥させたら、底と木端面(長辺側)を仕上げていきましょう。
丸ノミで手前中央あたりから左方向へ、底の溝を彫ります。少しずつ重ねながら、平行に掘りすすめるのがコツです。
手前に数本彫ったら反転させ、溝を端から端までつなげて彫りましょう。
両端から掘り進め、削っていない箇所が真ん中に残ったら、溝があと何本入るかを検討しつつ掘り進めてください。溝の重ね具合で、本数を調整します。
続いて、平ノミの平らな面を上にして底の溝にのせ、木端の隅に向けて叩きます。
木端の両側に切れ目を入れたら、平ノミの平らな面を外側にして持ち、切れ目に向かって上から叩いてください。
この際、最初に描いた線(内側)の延長線上に木端の壁の底がくるようにし、余分な材を取り除きましょう。
丸ノミの溝を木端の壁まで延長。その際、強く叩きすぎて壁を傷つけないようにしてください。
続いて、木端の壁を丸ノミで彫って仕上げていきます。丸ノミを垂直に持ち、底の溝に位置を合わせるように彫ってください。
底に丸ノミの跡が残らないよう、力加減に注意しましょう。
以上で、内側が完成です。
裏面を仕上げ、面取りと塗装をする
無塗装でも魅力的な「我谷盆」ですが、塗装するとより渋〜い印象に。ここでは、栗の木片とスチールウールを用いた「クリシブ仕上げ」をご紹介します!
裏返しにして置き、木口と木端に平ガンナで15度程度の角度をつけます。厚さ20mmの場合、淵から5mmのところに線を引いておきましょう。
カンナがなければ、斧やノミ、ナイフを使ってもOKです。
裏返しにして置き、四隅を平ノミで3箇所ずつ削って落としてください。この際、表側にある四隅の円弧とマッチするようにしましょう。
裏面を反りガンナで削っていきます。木目と直角になるよう削ると、刃が食い込まずスムーズに削れるでしょう。
意匠的な加工のため、真っ平らにする必要はありません。
表/裏/外/内を確認し、尖っているところをカンナで削って面取り。ノミや小刀などを使ってもOKです。
木灰を水で溶いて作った灰汁に、5〜10分ほど浸します。ノミの鉄と栗が反応して現れた黒ずみが消え、材が赤みを帯びたら布で拭き取りましょう。
最後に「シブ塗り」を行いましょう。カットしたときに出た栗の木片とこぶし大のスチールウールを水の入った鍋に入れ、数十分煮ると黒い液体が出来上がります。
これを冷まして刷毛で塗り、拭き取らずに乾かせば「我谷盆」の完成です!
「我谷盆」レシピ、いかがでしたか? 今回はダイジェストでご紹介しましたが、作業時の注意点やクオリティアップの秘訣などがより詳しく解説されている書籍がありますので、ぜひ、下記INFORMATIONもチェックしてください!
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グリーンウッドワーク 生木で暮らしの道具を作る(学研プラス/久津輪 雅・著)
グリーンウッドワークは、みずみずしくやわらかい生木(なまき)を材料に、電動工具を使わずナイフなどの手道具で作る、古くて新しい木工。スプーンや箸、豆皿など、さまざまな木の日用品の作り方、ナイフワークなどのテクニックをわかりやすく解説するガイドブック。
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著者紹介
久津輪 雅(くつわ まさし)
1967年生まれ、福岡県出身。20代はNHKディレクターとして「クローズアップ現代」(NHK)などを担当。30代で木工に転じ、イギリスで家具職人に。40代からは岐阜県立森林文化アカデミーで木工教員。グリーンウッドワークの研究・開発・普及をライフワークにしている。
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