腕時計なのになぜツナ缶?
「ツナ缶」と呼ばれるゴツい腕時計があります。もちろん本当の名前は違います。しかし、いつしかそう呼ばれるように。
なぜ? という疑問を抱きますよね。さっそく、その謎をひもといてみましょう!
セイコーが誇るダイバーズの愛称
セイコーのダイバーズウォッチ「プロスペックス」には、まるでツナの缶詰のように見えるタイプの腕時計があります。だから“ツナ缶”と呼ばれているのです。
代表的なラインは本格ダイバーズウォッチの「マリーンマスター」、より一般向けのレンジである「ダイバースキューバ」などがあります。
確かにツナ缶と似ている!
では、実際にどのくらいホンモノのツナ缶と似ているのか比べてみましょう。「プロスペックス・マリーンマスター」と実際のツナ缶を並べてみると、確かに分厚くて、ずん胴なシルエットがよく似ています。ツナ缶と呼ばれるのもなるほど納得です。
本家セイコーもシャレの分かる素晴らしい会社で、過去のエイプリルフールにはあだ名に乗っかってこんなビジュアルも作ったことも。ノリノリですね。
いかにツナ缶という愛称が浸透しているかを物語るエピソードでもあります。それでは、この個性派時計の特徴をみていきましょう!
歴史は古く、最初は海外でツナ缶と呼ばれ始めた
この腕時計は海外で先に人気に火がつき”TUNA”と呼ばれ始めました。その証拠に「SEIKO TUNA」と検索すれば海外の時計自慢たちがわんさか出てきます。その後、日本でも後追い的に評価が高まっていったのです。
歴史は意外と古く、1975年にいわゆるツナ缶フォルムをまとった最初のモデルが完成しました。その実力は南極観測隊越冬隊員の装備品にも採用されるほど。
初期モデル発売から約40年経っているにも関わらず、デザイン変更がほぼされていないということからも、完成度の高さが分かりますね。
特徴をチェック!
それではいったいツナ缶がいったいどういう腕時計なのか、その特徴を見ていきましょう。
見た目の最大の特徴は“外胴”!
ツナ缶に見える外側の筒状の部分のことを「外胴」といい、時計本体を衝撃から守るプロテクターの役割を果たしています。
そして、時計本体と外胴は一体型ではなく別パーツになっています。缶詰が中身を保護しているのと同じようにとても堅牢な仕上げになっているので、キャンプなどのアウトドアシーンでも実力を発揮してくれます。
ボディカラーがシルバーであることがツナ缶の条件ではありません。ブラックでもゴールドでも、外胴モデルであればツナ缶と呼ばれます。
加水分解しないベルトだから長く使える
デザインはほとんど変わっていないツナ缶ですが、細かな仕様変更は時代やシーン、使い手に合わせて着々となされています。そのうちの一つにベルトがあります。
現行モデルのベルトは、従来の加水分解(べたついたり、もろくなったり)するポリウレタンベルトから、そうならないシリコンベルトへと変更されています。やわらかくて腕馴染みがいいのもシリコンベルトの特徴です。
丸っこいドーム型風防が雰囲気アリ
文字盤部分を保護してくれるガラスを「風防」といいます。ツナ缶のはかなりカーブがついたドーム型風防です。
深く潜水したときの水圧に耐えるためで、普段の生活ではあまり活躍の場はありませんが、逆回転防止ベゼル同様こうした本物志向のディテールはまさにキャンパー好みといえるでしょう。
インデックスが超明るい!
時計の針とインデックスに塗られたルミブライトの発光力は特筆もの。暗闇に包まれるキャンプサイトでも時刻をはっきり確認することができます。
夜、真っ暗なテント内でふと目を覚まして「いま何時だろう?」と確認したいときなどに重宝します。
ボリュームたっぷりのデカさ
デカくてごついのがツナ缶の魅力。何せ腕にツナ缶をのせているイメージですからね。
スタンダードで比較的小ぶりなモデル「SBBN033」でも厚さ14.7㎜、ケース径は47.7㎜あります。重さはずっしり125g。好き嫌いはあるでしょうが、とにかく強い個性のある、インパクト大な腕時計であることは間違いありません。
注目ツナ缶ピックアップ
外胴によってしっかり保護され、丈夫なツナ缶はアウトドア派にとってのベストウォッチ!
そんなツナ缶ですが、ラインナップが豊富なのも特徴です。スペックだけでなく色や使用目的、そして金額と自分のスタイルに合った一本を選んでみてください。
スタンダードな銀色ツナ缶
ツナ缶シリーズの定番、シルバーは押さえておきたい一本。やっぱり本物のツナ缶に最も近い色ですからね。
光沢あるポリッシュと、落ち着いたサテンを組み合わせたシルバーは文字盤の黒を際立たせ、シンプルでありながらこれ以上ない存在感をアピール! ベーシックなモデルとはいえ300m防水と確かなスペックを誇ります。
SEIKO PROSPEX MARINE MASTER SBBN033
黒いのは「ニンジャ・ツナ」とも
黒で統一されたツナ缶は「ニンジャ・ツナ(Ninja Tuna)」とも呼ばれる一本。いかにも海外的発想のネーミングですね。
ブラックとホワイトのみで構成された腕時計はシルバーと比べてどこかシャープな印象。男っぽさを求めるならコチラもばっちり候補に入ってくるでしょう。
SEIKO PROSPEX MARINE MASTER SBBN035
ハイエンドは自動巻き&チタン
ツナ缶の上位機種である「SBDX014」は、30万越えという貫禄のお値段。しかし、ツナ缶50年の集大成と言われているだけに、納得させてくれるだけのスペックを備えています。
自動巻きで、ボディにはチタンを採用。さらに1,000m防水という充実ぶり。そのぶんケース径もさらに大きく、なんと52㎜を超えるというド迫力です! ピンクゴールドの外胴にも高級感が漂います。
SEIKO PROSPEX Marine Master Professional SBDX014
アンダー5万のモデルも続々登場
他にはない個性で魅了するツナ缶ですが、「やっぱりちょっと高くて……」という人もいることでしょう。
最大の特徴である外胴をしっかり備えながらも、手の出しやすい価格でリリースされているツナ缶もあるんです。ケース厚はちょっと薄くなりますが、まずはこちらから入ってみるのもアリでしょう!
ミニツナ缶なら値ごろ感あり!
ケース厚が12.1㎜と、本家とくらべて2㎜ほど薄くなっているこの「ダイバースキューバ」は5万円以下で手に入れることができます。
元ビームスのクリエイティブディレクターである梶原由景氏が手掛けただけあって、タウンユースにもマッチしたデザインに仕上げられています。
もちろん日常生活には十分すぎるほどのスペックを誇ります。200m防水、ムーブメントはソーラーと申し分ありません。
SEIKO PROSPEX DIVER SCUBA LOWERCASE SBDN045
デジツナ缶なら3万円台
なんと、ツナ缶のデジタル版モデルも登場! この通称「デジツナ缶」は重さが約80gと、本家に比べてぐっと軽くなっているのでタウンユースでもライトに使える一本です。
もちろん耐衝撃性を高める外胴は健在。20mの防水性を備えています。
SEIKO PROSPEX FIELDMASTER LOWERCASE SBEP003
続いては「自分だけのツナ缶」をつくる方法です!
カスタムも楽しい
ベルトをNATOタイプに変更して楽しむのもいいでしょう。アウトドアになじみやすい自分好みのベルトに付け替えるだけで、オリジナルツナ缶の完成です。
ベルト交換は難しいと思っているあなた! 交換に必要な用具と交換方法について以下で順を追って説明していますので、ぜひ挑戦してみてください。
バネ棒外しと、新たなベルトを用意
まず始めに交換用の工具とベルトを準備しましょう。「バネ棒外し」と呼ばれる工具はベルト交換の必需品です。
バネ棒外し
ラグ横の穴を押して、シリコンベルトを外す
では、早速ベルト交換をしてみましょう。
まずはバネ棒外しを使ってラグの横にある穴を押して、ストラップを固定していたバネ棒を外します。バネ棒はとても小さな部品なので、くれぐれもなくさないように気をつけましょう。
バネ棒を外すと同時にシリコンベルトもとれて、このようにバラバラになります。
バネ棒だけ装着
NATOベルトの場合、バネ棒を先に装着します。付け替えるNATOバンド購入時の注意点としては、ラグ幅(ベルトを通す部分の幅)を間違えないようにしましょう。「プロスペックス マリーンマスターSBBN033」の場合ラグ幅は22㎜になります。
さまざまな幅のベルトが販売されています。ここが間違っているとスカスカになってしまったり、狭すぎてベルトが通らなかったりするのでご注意を。
スルッと通して固定すれば完成
最後に、2重になっているベルトの1枚をバネ棒とケースのすき間に通して、尾錠をくぐらせれば完成!
一度NATOベルトに交換してしまえば、またいちいちバネ棒を外すことなくいろいろなNATOベルトに即交換できるので、TPOに合わせてオリジナルのツナ缶を楽しめますよ!
ゴツくて丈夫なツナ缶を相棒に!
狙った訳でもないのに、機能性をつきつめていった結果「ツナ缶」というポップな愛称を持つことになったセイコーのダイバーズ。
昔も今も変わらない個性的なデザインは、多くのファンを魅了し続けています。この野性味あふれる腕時計を手に、アウトドアへと繰り出してみませんか?
Let’s enrich your camping with a tough and stylish “TUNA-KAN“
タフでスタイリッシュなツナ缶でキャンプを充実させよう!