ナンガ製品がどう作られているのか、裏側を見てみましょう
まず、ジャケットの製造について。ジャケットは腕や後ろ身頃、前身頃、襟、ポケットなどいろいろなパーツに分かれています。そこで、最初にパーツごとに生地を袋状に縫いあわせ、その中にダウンを詰めておきます。その上で、決められた間隔にミシンをかけて仕切りを作ります(キルティング、キルト)。
あらかじめ仕切りを作ってからダウンを封入するという方法もありますが、ジャケットの場合は一定量のダウンを封入した状態で、手でダウンを均一に慣らしながら縫うほうがキレイに仕上がるそうです。
短いですが、筆者が動画を撮ってきました。
細かなパーツにダウンを封入しています。デジタルスケールでダウン量を計測できるのでムラがないんですね。
一方、ダウン寝袋のほうはある程度仕上げてから、一気にダウンを封入します。
このメッシュ布で内部のダウンを仕切っている
この薄いメッシュ状の布が、ダウンが移動しないための仕切り。あとからダウンを封入するのは、保温性を高めるためのボックス構造だからなんですね。
寝袋にはダウンをいれる袋がたくさんありますが、それぞれにダウン量が決まっています。それをひとつずつ正確にダウンをいれていくのですから当然手間はかかりますね。
ダウンではなく化繊の場合は?
ちなみに、化繊の寝袋はこんな感じ。中綿シートをシェルに縫い合わせていきます。
なお、寝袋作りはジャケットよりもパーツが少なく、直線縫いがメインなので簡単に思えますが、大きな布を扱うので難易度が高いんだとか。
細かな検品作業
縫い上がった製品をひとつずつ検品。糸の処理をして、目安となるチャコ(目印として使うチョーク)を水で落とすほか、余分なダウンを吹き飛ばしてきれいにしていきます。
1階と2階は階段だけでなく、穴でもつながっていました。検品が終わった製品は、ここから1階のバスケットに移動し、出荷を待ちます。動きに無駄がありません。
以前は、1着分に5時間かかっていた
1階には大量の生地のストックと大きな裁断機がありました。裁断機は布を何重にも重ねて、白いシートをかぶせて空気を抜くことからスタート。空気を抜いて密着しているため重なった布がズレることなく裁断できます。
縫いしろは1.5cm。万一、ズレたら縫製からクレームがあります。布がズレたら傷が表に出るなどうまく作れませんから。ここはていねいに。今は数分で終了しますが、昔は型紙通りに切り分けるだけで、1着分に5時間かかっていたそうですよ。(米澤さん)
機械が切る前に、何カ所か生地をパンチしています。これは縫い合わせる際の目印になるとのこと。
そうして切り分けられた生地は、パーツごとにまとめられています。これが2階の縫製部門に届けられるんですね。