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スライドガストーチ

これは追加購入アリだぞ…!SOTO「新型スライドガストーチ」の開発秘話を聞いたら、涙がでました

2023年春、SOTOの「スライドガストーチ」に新型が登場! そこで発売直前の新型をメーカーからお借りし、現行品との“違い”を徹底レビュー。

そして、「どうして変えたの?」といったギモンも開発者にインタビューを敢行。これを読めばスライドガストーチの進化がわかるぞ〜!

目次

記事中画像撮影:筆者

あの「スライドガストーチ」にグレードアップした新型が出るぞ!

SOTO「スライドガストーチ」

2011年の発売以来、多くのキャンパーが愛用してきたであろうSOTOの「スライドガストーチ」。発売当初から現在まで変わったところといえば、意外にも火口キャップが追加されたくらいでした。

しかし2022年秋、じつはSOTOの特約店のみでひっそりと“レザーケース付きの新型”が発売されていたのですが、数量限定品かつ購入できる店舗が限られていたため、「欲しかったけど手に入らなかった」「え、そうだったの!?」という方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

SOTO「スライドガストーチ」

こちらが特約店で限定販売されていたレザーケース付きの新型。この春発売される新型は、スライドガストーチ単体です

そして、来る2023年春。ついに新型が“SOTOの定番品”としてラインナップされることが決定し、GETしやすくなります!

そこで今回はメーカー協力のもと、発売前の最新型をお借りして徹底レビュー。スライドガストーチ開発者の“生の声“とともに、グレードアップした部分と開発背景をじっくり解説します。

専門的な話も出てきますが、開発者の想いを聞けるチャンスはそうないので、ぜひじっくりお読みいただければ嬉しいです!

【2モデル徹底比較】どこが違うの? 大きな変更点7つ

SOTO「スライドガストーチ」

2023年春に発売される新型は、機能的な変更と、それに伴うデザイン的な変更がおこなわれています。

どちらも現段階では「スライドガストーチ」という名称なので、現行品・新型の混乱を防ぐため、それぞれの品番を合わせて表記していきます。

スライドガストーチ
● 現行品(ST-480C):税込2,420円
● 新型(ST-487):税込2,750円

なお、新型が出るからといって現行品の販売が終わってしまうわけではなく、新型は「グレードアップしたモデル」という立ち位置になるようです。ユーザーの好みで選べるということですね。

では早速、グレードアップした新型について詳しくみていきましょう!

変更点1.「火口カバー」を開閉式にして、漏電を防ぐ

SOTO「スライドガストーチ」

開発担当者:そもそもスライドガストーチは、一般的なライターとは異なる使われ方をするケースが多く、代表的な使用方法として焚き火への着火に使用されることがあります。そのため、着火した焚き火の熱で製品内部のリード線(点火のときに電気を流す線)の被覆が損傷し、漏電するという問題が起きていました。

そこで、新型(ST-487)は火口キャップではなく火口カバーを付けたことで、焚き火に火口を差し込みにくくし、上述の損傷を抑制できるようになりました

SOTO「スライドガストーチ」

スライドガストーチは柄が伸びて使いやすいだけに、ついやってしまいがちだった“焚き火への着火”。現行品はチェーン付きの着脱式のキャップですが、これだとキャップを外したことで気持ち的に「突っ込んでも大丈夫だろう」という意識がはたらいてしまうのは、想像がつきます。

仮に焚きつけに使用しても、着火後すぐに火口を焚き火から出せばいいのですが、しばらく焚き火に突っ込んだままにしてしまうことで、漏電・故障の一因に。

ここで筆者が驚いたのが、そもそものスタンスとして「故障の原因になるので焚き火の着火には使用しないでくださいね」と注意喚起するのではなく、焚き火で使ってもトラブルが起こらないよう、時間とコストをかけて改善するという選択をメーカーがしたところ。

筆者もいちキャンパーとして、ユーザーのことを考えてくれるSOTOの真摯な姿勢には本当に頭が下がる思いですし、エンドユーザーのトラブルが減ることで、スライドガストーチを販売するショップ側の手間も減る(ユーザーからの問い合わせが減る)ので、本当に素晴らしい対応だと思います。

変更点2.「ノズル」の詰まりを解消

SOTO「スライドガストーチ」

開発担当者:現行品(ST-480C)は、火口の根元付近から吸気する構造でした。これはライターでは一般的な構造ですが、キャンドルや焚き火への着火を行う際、気化したロウや煙を吸い込むこともあり、結果的にノズル(ガスの噴射孔)の詰まりが発生する可能性もある構造でした。

新型(ST-487)ではこの問題の対策として、火口付近からではなく、本体カバーの底部や、本体カバー樹脂部品の隙間から吸気させることで、着火する対象物から発生した煙等の影響を受けにくく変更しました

SOTO「スライドガストーチ」

ユーザーから届いた意見のなかで、最も多かったのが「ノズル詰まり」だったそうで、今回グレードアップする新型をつくるにあたり最重要課題として取り組み、これまで技術的に挑戦したことがない試みに至ったとのこと。

こちらも変更点1と同様、“焚き火への着火”に使用すると、吸気口が煙を吸い込み、その結果ガスの噴射孔が詰まり、「なんか点火しなくなった……故障?」という事態を招いていたわけですが、新型(ST-487)はそうした問題が起こりにくいように構造から改善されました。

焚き火好きにとっては、これも嬉しい点!

変更点3.「火口パイプ」の固定方法を強化

SOTO「スライドガストーチ」

開発担当者:現行品(ST-480C)は、本来火口パイプが回転する構造ではありません。しかし、修理依頼として受け取る商品の一部に、火口パイプがねじられた状態で届くケースがありました。

そのため、火口パイプを固定する構造部を強化し、パイプがひねられにくい構造に変更しています

使う側がついやってしまった、誤った使用方法から起こるトラブルをきちんと把握し、今回の新型でしっかり反映。この改善により火口パイプの径も太くなりました。

変更点4.「バルブ」構造の変更

SOTO「スライドガストーチ」

画像提供:SOTO

開発担当者:バルブは、現行品(ST-480C)よりも一回りの大きな部品に変更。これによって、バルブの持つ熱でガスの気化を促し、消性能を向上しています

ここでいう「消火性能の向上」というのは、「火が消えるスピード」のこと。

確かに現行品のスライドガストーチは、点火ボタンから指を離したのち、数秒くらい火が残っていることが時々ありました。個人的には不便に感じていなかったのですが、今回の新型はグレードアップがミッションの一つとなっているので、こうした細かい点も改善され、パワーアップしています!

変更点5.「モルト」の詰まり対策

SOTO「スライドガストーチ」

画像提供:SOTO

「モルト」とは、バルブの中に入っているスポンジ状のフィルターのこと。この「モルト」に関しての変更点は、2つ。1つ目は、より火力調整しやすい改良をおこなったことです。

開発担当者:本製品は「モルト」と呼ばれる、スポンジ状のフィルターを使って火力調整をおこなっています。

新型はモルト(フィルター)のサイズをさらに大きく変更することで、現行品(ST-480C)に比べて、よりガスの出力調整がしやすくなりました

モルトってどんなパーツなんだろう? と思っていたのですが、こんなに小さなフィルターがガスの出力調整の要になっていたとは、いやはや驚きです。

そして2つ目の変更点が、モルトの劣化を防ぐために「活性炭」をタンク内にプラスしたこと。

SOTO「スライドガストーチ」

画像提供:SOTO

モルトはガスに溶け込んだ「オイルピッチ」と呼ばれる異物が蓄積していくため、使用期間が長ければ長いほど、モルトが汚れて詰まってくることでガスの流れが低下し、火力の低下も生じてしまいます。

その対策として、新型(ST-487)ではタンク内部に「活性炭」と呼ばれるフィルターを追加することで、燃料自体に含まれる不純物を吸着させ、モルトの劣化を抑制しました

専門的な話なのでスッと頭に入ってこないかもしれませんが、要は、長く使っても火力低下が起こりにくくなったということ。

これらは分解しないと見えない部分なので、今回メーカーさんに全面協力していただき、内部の写真を撮影していただきました。こうして目視できるのはとても貴重です……!

変更点6.「点火ボタン」が押しやすくなった

SOTO「スライドガストーチ」

さりげない点ですが、点火ボタンも押しやすい形状にアップデート。プッシュ面が斜めになり、より力を入れやすい形状になりました。

変更点7.「デザイン」を一新

SOTO「スライドガストーチ」

SOTO「スライドガストーチ」

デザイン的に製品をスマートに見せるため、各所の形状の微調整をおこないつつ、現行品(ST-480C)のDNAも引き継ぎ、それでいて「新しさを感じるデザインとは何だろう……?」 と試作を重ね、このようなスタイリッシュなルックスに生まれ変わった新型のスライドガストーチ。

これまでのカラーリングも「これぞSOTO」という感じで好きでしたが、新型はモノトーンで、より洗練されたルックスに。

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