アウトドアマン・写風人さんが送る“南信州の森暮らし”
長野県・駒ヶ根市に居を構える写風人さん。アウトドアと密接な日々の暮らしを綴ります。
1955年生まれ。GRIP SWANYオフィシャルカメラマン。FIRESIDE薪ストーブエッセイ著作家。2019年より南信州に移住し、薪ストーブを中心とした火のある生活を愉しんでいる。Instagramのアカウントは@syahoo_jin
南信州に移住して2年半が過ぎようとしています
森の暮らしでは、焚き火は日常茶飯事。冬になれば薪ストーブ3台がフル稼働し、年間12トンの薪を消費しています。
12トンと言ってもピンとこないかもしれませんが、原木は8トン車と3トン車1杯ずつ購入し、他には森の立木を伐採したり貰いものだったりで15トン近く集まることもあります。
それらの原木を「薪」にするまで、日頃どのような道具を使っているかをご紹介したいと思います。
その前に我が家にある薪について少し解説します。
「薪」と一口でいっても、樹種の違いによって割りやすさ・燃えやすさ・火持ちの良さはそれぞれ違います。
薪ストーブには、火持ちが良く熱量の高いナラやクヌギが最も適していると言われていますが、高価で手に入りにくいので毎日焚くほど贅沢はできません。多くの薪は広葉樹ミックスです。
我が家にある薪の種類
その1:広葉樹
現在、我が家には下記の薪があります。
左から、ケヤキ、白樺、クリ、サクラ、ナラ、クヌギなどの広葉樹。
ケヤキは火持ちの良さがありますが、非常に割りにくく燃やすと独特な匂いが発生するので、あまり燃料には不人気です。
白樺は長野県では手に入りやすく見た目もいいですが、薪としての評価は中程度。クリは薪割りするには大変楽ですが、熱量も低く燃えやすく、よく爆ぜるのがクリの特徴です。サクラは好きな樹種です。燃やすと甘い香りが漂ってきます。
ナラ・クヌギは熱量・割りやすさ、火持ちの良さ、どれをとっても薪としては最高級ですが、先ほど触れたように高価で手に入りにくいのが難点です。我が家の周囲の森は針葉樹で占めています。
その2:針葉樹
毎年数本伐採して、焚き付け用に利用しています。左からカラマツ、ヒノキ、アカマツ。
これらの針葉樹は燃えやすいので最初の火起こしや焚き始めに向いており、焚き火の最中に炎の勢いが欲しいときにも針葉樹をくべるのがコツです。ただし火持ちは期待できません。
特にヒノキは木目が素直で割りやすいので、斧やキンドリングクラッカーなどで細かな薪を作るのに適しています。
下記は、主な薪の比較表ですので参考にしてくださいね。
我が家の薪づくりアイテム!
それでは我が家の薪づくりアイテムを紹介していきましょう。薪ストーブは岐阜に滞在しているときから使っているので、今年で27年目になります。
道具その1.チェンソー
まず原木を薪にしたい長さにチェンソーで切り揃えます。それを一般的に「玉切り」と呼んでいます。
チェンソーを扱う際は、ヘルメット・グローブ・チャップス・チェンソーブーツは必須です。
道具その2.リフティングトング
玉切りを持ったり運んだりするのに便利なのが「リフティングトング 」。
キャンプ用に販売している薪タガ は意外と持ちにくいですが、このトングなら楽々運べます。
薪棚に積んだ玉切りを取り出すときも両手を使わず片手でヒョイと掴むことも。
道具その3.斧(オノ)
そして、その玉切りを割るのが斧 。
一度に大量に割ったり、ケヤキや樫など斧で割れない玉切りは薪割り機を使いますが、毎日コツコツ割っているので、ほとんど斧を使用しています。
斧も種類が豊富で、大きく分けて薪割り用(スプリッティングアックス )と枝払い用(キンドリングアックス )があります。
薪割り斧(上)はミスショットのダメージを防ぐためプロテクターが付いていますが、枝払い斧(下)はヘッド下を握ることもありプロテクターはありません。
薪割り斧(左)はヘッドが重く厚みがありますが、枝払い斧(右)は刃が薄くナイフのようなエッジが特徴です。
愛用の斧はグレンスフォシュ・ブルーク 。スウェーデンの名品で、熟練職人が1本の斧を最初から最後まで仕上げています。
これらが薪割り斧のラインナップ。打ち込んだときに食い込みながら押し割ってくれます。
こちらは枝払い斧(一部ログビルダー用の斧もあります)。切断や枝払い、焚き付け作りに向いています。
キャンプ用にこれらの枝払い斧を持つ方も多いですが、堅い広葉樹などを割るのは少々無理があります。
道具その4.鉈(ナタ)
手頃な手斧で薪を割りたいという方には、鉈(ナタ)もお薦めです。
バトニングのように使えばナイフよりも遙かに割りやすいです。
それでは次ページでは、薪の運搬や品質チェックに使うアイテムを紹介していきます。