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ポータブルスポットクーラー カンゲキくん2

酷暑の車中泊を乗り切れるか!?ポータブルスポットクーラー「カンゲキくん2」を使ってみた結果

夏の車中泊で注目なのが、ポータブルバッテリーを介して使用できる小型スポットクーラー。工場や作業場でも使われているクーラーですが、車中泊ではどんな活躍をしてくれるでしょうか? 注目の最新モデル「カンゲキくん2」の実力を試してみました。

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目次

ポータブルスポットクーラーって真夏の車中泊でどうなの?

車中泊のネックといえば「睡眠時の車内空調」。車内温度も影響されるため、季節によってはかなり不快な環境になってしまいます。

そこで今回、夏の車中泊における暑さ対策として注目したのが、電源使用で稼働する小型のポータブルスポットクーラー「カンゲキくん」です。この力強いネーミングから期待値が高まります。

カンゲキくんには、初代モデルと2021年に発売された最新モデル「カンゲキくん2」があり、なんでも使い勝手の面でかなり進化しているとのこと!

実際に車中泊で「カンゲキくん2」を使い、その効果を検証してみます。

カンゲキくんってどんなもの?

出典:楽天 初代カンゲキくん

カンゲキくんシリーズは、家庭用クーラーと似たような仕組みで稼働するポータブルスポットクーラー。空気中の熱を運ぶ「冷媒ガス」を活用し、一方から熱を排出、もう一方から冷たい空気を放出する構造です。

出典:Amazon

最新のカンゲキくん2では、ピンポイントに冷風を送るダクトホース(写真左側のホース)が追加され、より使いやすくなっています。主なアップデートポイントはこちら!

 

「カンゲキくん2」のアップデートポイント
・冷風口のLEDライトの代わりに「冷風用のダクトホース」が追加され、ピンポイントに冷風を送れるようになった
・フィルターの脱着が容易になって、より手入れが簡単になった
・「満水ランプ」が追加され、排水量の様子がわかりやすくなった
・スタートアップ時も200W以下の電流で運転できるようになった

 

筆者は初代カンゲキくんも使用したことがあるのですが、何と言ってもスタートアップ時の使用電流の違いが一番「便利になったな」と感じたポイントです。

というのも、初代「カンゲキくん」の場合、消費電力は200W以下で運転するのに、起動時にはスタートアップ(起動)電流として500W以上の電気を必要としていました。

そのためハイスペックなポータブル電源を持っていないと起動もできない状態に。これが改善されていたことに一番の感動を覚えました。

また上記4点以外に「風量がアップした」という変更点もあるのですが、実際使い比べた体感として明確に違いがわかるほど大差ありません。ここは期待しすぎない方がいいかと思います。

「カンゲキくん2」の基本スペック

ではここから、カンゲキくん2のレビューに入ります!

「カンゲキくん2」の内容物

パッケージを開けると下記の6点が封入されていました。写真の上左から

・取扱説明書
・本体

・排熱用ダクト(427〜1500mm収縮可能)
・冷風用ダクト(443〜1500mm収縮可能)
・ドレンホース(透明) 3m
・ホースクリップ 

本体サイズは、幅204×奥行587×高さ263mm。重さが9.6kg(本体のみ)とそれなりに場所を取るアイテムです。

【準備】最新型「カンゲキくん2」を使うために必要なもの

次に、今回のテスト環境をご紹介します。

冷却テストにはワゴン車を使用

今回は、筆者の愛車であるボルボのワゴン車でテストします。

電源は ECOFLOW(エコフロー)ポータブル電源 RIVER Maxを使用

使用するのは、EF ECOFLOW(エコフロー)の容量576Whの「RIVER MAX」。AC出力ポートは、600W(サージ<約1秒以内の短時間電力>1200W)まで対応しています。

EcoFlow(エコフロー) ポータブル電源 RIVER Max

●商品サイズ :28.9 x 18.4 x 23.5 cm ●容量:576Wh ●重量;7.7kg ●充電方法:AC壁コンセント、12Vシガーソケット、ソーラーチャージャー

上記写真は別の「ワンボックスカー」に設置した図

カンゲキくん2の消費電力は、冷風時〈強〉で187W(60Hz)。なかなかの省エネ設計なので、小型のポータブル電源での使用が可能です。

車中泊での「カンゲキくん2」の設置方法

さて、テストに必要な車と電源が揃ったところで、次は設置へ。

設置のコツは、「排熱用ダクトは室内で短めにする」を意識しよう

「設置って置きたい場所におけばいいのでは?」と思うかもしれませんが、快適に過ごすためのコツがあります。

排熱用ダクトは、車内で使用する場合窓の外に出しておくことが絶対! 室内に入れておくと、部屋全体が温まってしまいます。

また設置のコツとしては、排熱用ダクトは車内では短めに使うことを心がけると◎。熱せられたダクトの面積を下げ、そこから放出する熱気を早く車外に放出できるからです。

また筆者は、自己責任の上で簡単な改造もしてみました。

排熱用ダクトを改造!

排熱用ダクトは、極太の直径10cmのパイプ。それをそのまま車の窓から出したくなかったので、プラモデルマニアが塗装ブースを作るときに使う排気口アタッチメントを追加購入し、使用しました。これを排熱用ダクトに接続します。

排気口アタッチメントと排熱用ダクトの若干の直径差は、100円均一ショップの「すきま用テープ(厚さ10mm)」で埋めました。

接続するとご覧の通り。この方法を使えば、窓を10cmも開けておく必要もなく、窓ガラスの隙間をテープなどで埋めるだけでOK。

カンゲキくんユーザーによっては、ボードなどを別途用意する方もいるようですが、この手法が個人的な最適解だと思います。

筆者は空いた隙間を、ガムテープで塞ぎました。これなら、他の人が見ても怪しいと思われないのでは……。パーツをブラックで塗装してもいいですね。(なお車種にもよりますが、角度によっては雨対策が必要です。)

※想定の稼働時間に合わせて、ドレンホースの取り付けが必要です

もうひとつカンゲキくんの設置の際に配慮しておくことがあります。それは稼働時に発生する「排出水」について!

本体には、「排出水」を貯めておく容量0.2Lのドレンタンクが内蔵されています。ここが満水になると冷風が排出されず送風のみ行われるため、クーラーの効果が得られません。

試しに車中泊に導入する事前に、室温25℃・湿度65%の条件下にてカンゲキくん2を稼働させてみたところ、1時間50分ほどでドレンタンクの満水ランプが点灯しました。

車中泊で使用するには、睡眠前から起床時を考えると、気温が低下する明け方前までの5時間程度は稼働してほしいもの。

そんなときに、別途付属のドレンホースを取り付けます。またドレンホースにスムーズに水が流れるよう、本体より低い位置にドレンホースがくるよう設置する必要があります。

そのため筆者は、本体をミニテーブルに載せ、ドレンホースの先に排出水を溜めるペットボトルを接続し、排水環境を作ってあげました。

「カンゲキくん2」車中泊テスト開始

前談が長くなってしまいましたが、ここからが本番!

実際寝てみて快適に過ごせるか?

カーテンを閉め切ってのテストを開始します。

19時30分、電池容量100%からスタート開始。室温が1℃は下がるも、その後は室温・湿度ともに下げ止まり感が……。

電力消費も200W以下で、約30分でポータブル電源に容量は10%の下がり方。「この分なら0時を超えるまで稼働するかな〜」と、うとうとしていたら、急に電源OFF! 電池が0%になるまでの記録をつけてみました。

テスト結果

①スタート:温度27℃ 湿度74% 電池残量100%
②約30分後:温度26℃ 湿度71% 電池残量89%
③約35分後:温度26℃ 湿度71% 電池残量87%
約2時間30分後:温度26℃ 湿度71% 電池残量0%

実際の電力消費量の単純計算で約5時間は保つのでは……と思っていましたが、予想よりかなり早い時間で電池残量はゼロになりました。

計算上の稼働時間は問題なくても、実際の車中泊では使用できないことになってしまいます。

終了時の外気の温度と湿度です。あまり違わないのは気のせいなのか……。

冷風口からのダイレクトな温度・湿度の変化

ちなみに冷風用ダクトを外し、「カンゲキくん2」の冷風口からのダイレクト測定もしてみました。

①スタート:温度26℃ 湿度75%
②45分後:温度25℃ 湿度75%
③50分後:温度22℃ 湿度83%

寝床の位置で計測したより-4℃も下がっていますが、湿度が高まっている点に注目。ひょっとして、除湿した水分が気化しているのでしょうか。

数値と関係なく筆者の体感としては、カンゲキくんから受ける風自体は室温よりも冷たさを十分に感じられますが、車内(後部の荷室のみ)の空間全体を冷やすのは難しいようです。ここで、製品名にある“スポット”クーラーの由縁を感じました。

ただし扇風機よりもふた回り、冷風機よりもひと回り程度上の冷気を感じることは可能です。車内全体よりも、好きなポイントに冷気を出せるのが、スポットクーラーの最大の特徴ですね。

日動工業 カンゲキくん2

 

●冷房能力:0.41kW(50/60Hz) ●冷媒封入量:80g ●使用環境温度:15℃~40℃ ●使用環境湿度:0~90% ●ダクト長さ:冷風用最長1.5m、排熱用:最長1.5m ●ドレンタンク:0.2リットル(満水検知後、自動で送風に切替わります。) ●本体寸法(ダクト除く):W587×H263×D204mm ●質量:9.6kg(本体のみ)

車中泊の長時間使用には大容量ポータブルバッテリーが必要か!?

今回実際に使用し、注意したいのはスペック上の計算と異なり、実際は使用条件により誤差が出てしまうこと。その誤差も、低い方向に転んでしまいがちということを頭に入れておくことは大事だと思いました。

長時間運転させたいのであれば、大容量のポータブル電源が必要なため、使用する人を選ぶアイテムではあります。

ただお伝えした通り、扇風機と違い、冷気を感じる風は心地の良いものです。