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アウトドアにイノベーションを。OIS初開催の模様をレポート!【後編】(2ページ目)

グランピング施設のウッドデッキ活用と事例紹介

一般社団法人ウッドデッキ協会 事務局長 佐藤 行雄氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 一般社団法人ウッドデッキ協会 事務局長 佐藤 行雄氏

ウッドデッキは近年、戸建ての庭、マンションベランダ、テナントビル屋上な度に採用されている。そして新しい需要となったのがグランピングだ。

その一例が東名高速足柄SAにグランピング施設(エル・コリーナ)。もともと丘陵地ということもあり、しっかり「床を作り込む」必要からウッドデッキが採用となった。

ウッドデッキを作る際にどの木材を使ったらいいのかをよく聞かれる。ハードウッド=広葉樹は比重が高く長持ちし、ソフトウッド=針葉樹は基本的に防腐塗装が必要。耐用年数もよく聞かれるが、湿気などの環境によるところが多い。

語学力だけではなかった!増加が見込まれる外国人ゲストの心をガッチリ掴む応対に向けた取り組み

株式会社ピカ アウトドアリゾート事業部エグゼクティブディレクター 与茂 雅之氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 株式会社ピカ アウトドアリゾート事業部エグゼクティブディレクター 与茂 雅之氏

富士五湖にはたくさんの外国人が滞在しているにもかかわらず、PICAにおける現状の外国人利用者数は2017年度、富士吉田で0.5%、富士西湖が1%とわずかしかいない。

観光庁が計画している2020年度の訪日外国人が4000万人。リピーターが60%の2400万人と予測。さらにはその25%(600万人)近くが次回来日時は自然体験をしたいと言っている。ならばもしその10%でもキャンプをしてもらえるようになれば60万人の新規客が創出できる。2016年のオートキャンプ参加人口は830万人。このうち増加分は20万人。つまりこの先日本人の3倍も期待できる外国人自然体験客の受け皿を業界としてちゃんと作っていく必要がある。

そのためにも多言語での販促活動、さらに外国人受け入れのための語学力、応対の強化が当然必要となってくる。

リアシス株式会社 代表取締役 大崎 道吾氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 リアシス株式会社 代表取締役 大崎 道吾氏

インバウンド増に向けての様々な対策はあるが、先日「外国人の受け入れ態勢の整備」=語学力だけではなく、外国人の気持ちを理解する現地オペレーションの充実をレクチャーさせてもらった。

外国人は単なる滞在ではなく、人と交流したいと思っている。キャンプを体験したい人は、フロントのみならず日本人のいろいろな人と交流をしたいと考えている。日本人のそれ以上に情報を欲しがっている。アウトドアの楽しみ方は日本人の初心者と同じサポートが必要。

今までは日本人にはしている当たり前の対応が、外国人に対して全く出来ていなかった。語学対応は必要だが、まず大切なのは外国人に対するバリアを外すこと。自信を持つ、決まったフレーズを知る、語学を補うツールを準備、これで概ね対応ができる。

戦略的事業継承への取り組みについて

田村公認会計士・税理士事務所 所長 田村 聡氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 田村公認会計士・税理士事務所 所長 田村 聡氏

現在後継者がいなく廃業する中小企業が少なくない。成長戦略の実行と円滑な事業継承が融合した戦略的事業継承を行い、継承したいと思う人を会社内外から募れるようになることがキャンプ場でも今後のカギだ。

キャンプ場の売却価格はこの先10年で大きく変わる可能性がある。評価の仕方では10倍の差があることも。まず成長戦略のポイントとなるのは「差別化のできるウリを作る」「独自サービスの提供」「初心者・ファミリーに優しい設計」。さらに集客構造も大事で「オフシーズンの売上をどう稼ぐか」が課題。現在平均年間稼働率は14%。これをクリアすれば収益性が向上する。

またキャンプ場の運営管理体制(マニュアル、就業規則、給与規定、年間スケジュール管理など)の整備も欠かせない。実際に円滑な事業継承をするためには①後継者の選択②タイミング③移管の方法を事前よく考えることが重要で、株式の知識、相続税の問題、遺産相続などの対策を講じておく必要がある。定期的な検証、事前に対策を練る、そして取引金融機関、税理士などに相談してほしい。

日本の未使用資源に新たな価値を

株式会社R.project 代表取締役社長 丹埜 論氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 株式会社R.project 代表取締役社長 丹埜 論氏

「灯台下暗し」。日本はえてして身近なポテンシャルを見落としがち。日本の大きな魅力は都心から2時間で自然の様々な表情があること。これを活用できないかと考えたのが当社の起業の始まり。その中で元々社会的な課題になっていたハコモノに注目をした。一番のテーマだったのは「何で活用するか」で、その答えが「合宿」だった。しかも意外にマーケットがあるということが後に分かり、現在10万泊の利用を受けている。

当社のキャンプ場への取り組みは合宿を運営するためでもあった。しかしこの一年ごと、世の中のキャンプへの関心が広まっていることを実感してきた。どんなに世の中が発展しても、どんなにテクノロジーが発展しても、むしろそうじゃないものが結局世の中に残り続ける、これは大事な分野じゃないかと。

この先会社としてキャンプに注目したいのは「都心から2時間程度の立地」で、となると電鉄会社との連携が重要になってくる。クルマ離れが進んでいる昨今、車を使わない、電車で行けてレンタルが出来る、手軽なキャンプがこれから増していくだろう。

所有からレンタルへも注目。海外にはまだまだオモシロ製品があり、それらをレンタルすれば今までにないキャンプができるかもしれない。

インバウンドの外国人から見たら日本でキャンプをするというのは実はとても魅力的なはず。キャンプ場は日本らしい風景、地元の豊かな食材との共存が多彩だ。

実はまだ妄想レベルだが、キャンプ場のレンタル=自分の常設のキャンプ場がある、ということを考えている。すると自然にお隣同士のコミュニティなどが出来上がったりするはずだ。この先も面白い視点で模索していこうと思う。

フォレストアドベンチャーによる森林活用と地域活性

株式会社T・FORESTRY 代表取締役 辻村 百樹氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 株式会社T・FORESTRY 代表取締役 辻村 百樹氏

今日はフォレストアドベンチャーというより森林が今どうなってるかを紹介したい。

始めに、森を育てるということ。

うっそうした森が全国に増えている。人工林には森の手入れが必要だ。間伐とはきちんと間引き、使い切ってあげること。結果いい木を育てることになる。山に光を入れ、植物を育て、雨を沁み込ませて、土の中に水を蓄えていく。大気を循環と水質形成。森は全てのエネルギーの根源であり、動物、鳥、昆虫の生きるフィールド。

木の成長には長いスパンがかかり、50年から90年もかかる。一代では到底コストが回収が出来ない。これだけ長ければ時代としての予測すら出来ない。しかし我々林業は、世のため国土のため、これは課せられた使命と思い、森を育てている。

次に、里山のミッション。

木材はもちろん、果実、農作物、花卉といった素材の生産という役割。続いて、木質エネルギー(ペレット、バイオマスなど)、水質エネルギー(発電、太陽光)などのエネルギーの創出。そして生態系の保存もミッションだ。

そして「余暇の提供」ということも大きなミッションで、これがまさしくフォレストアドベンチャーにあたる。それは新世紀の里山への課題の「木育」にも通ずる。本物に触る体験。

森づくりは世代を超えた長い取り組み。山を守るのは歴史の継承であり、森は悠久の産物、そして里山は地元の恵みの源泉なのである。

森には常にこういう問題があり、そこで奮闘している林業がいることを知ってもらえればと思う。

マウンテンサファリ 森林再生から紐解くアウトドアの未来

一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団 理事長 C.W.ニコル氏

アウトドアイノベーションサミット2017の様子 一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団 理事長 C.W.ニコル氏

「黒姫の赤鬼です(笑)
初めて日本の雪山に入った時、ビックリして感動した。深い雪と大木、新しい世界に出会った。土地の人とは片言の英語、日本語、でもね、本当の話し合いが出来たよ。すごくよかった。その後、いろんなところでキャンプをしたり、山に入って小屋に泊ったり、小さな旅館に泊ったり、島に行ったり……Camp with nature.
日本の若い人が言う。日本のどこがいいんですかねって。北に流氷があって、南にサンゴ礁がある国なんてないよ。森林面積67%。樹々の種類は欧米よりはるかに多い。言論、宗教、そして旅の自由がある。日本と日本の自然はほんとうにすごいよ。

日本が好きになり、黒姫に住み着いて、地元の猟師と山を歩いて、いろんな問題があることを知った。自分に何かできないかと。小さくてもいいから森を残したい。それがアファンの森。

放置と保護は違います。荒れた森に光を入れよう。Healing. 人間が自然を変えたら、人間の愛情と汗で復活させなければ。

私の本当の専門は水産。「水」です。だから森に地下水がまた流れるようにした。Habitable. 樹々が育った。絶滅危惧種が58種類戻った。森は水の母。

森はね、教育の場所でもある、癒しの場所でもある。だから日本の自然に人が戻ってほしい。花が咲くようになる。花が咲けば昆虫が来る。鳥が来る。種を落としてくれる。ブナを40年かけて戻した。木の実がなると動物が戻る。生物の多様性を信じてる。可能性でもある。自然保護は放置じゃない。

We want to bring people to the nature. We want to protect the nature.

67%森の国。アジア一の、キャンプ、アウトドアの国になれば、いろいろな意味で世界一になるんじゃないかな。

自分がそうであったように、外国人もたくさん来てほしい。これから僕は何ができるか。外国人、日本人、みな日本の自然が好きになってくれることがあったら、いい最後の仕事ではないかと思っています。

今日はどうもありがとう。I’m very happy and very happy to meet you. Tank you. 」

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