写風人の駒ヶ根アウトドアライフ#11:焚火で土器と花炭づくり

岐阜在住、駒ヶ根に週末基地「K-BASE」を所有し、自分の好きなアウトドアライフを満喫する写風人さん。CAMP HACKの連載では特にこだわりのある「焚火」について語っていただきます。今回は焚火と深いつながりのある土器や花炭の話です。


焚火はこんな事にも……

人類が初めて火を利用したのは、山火事などで逃げ遅れた獣が焼け、その香ばしい肉を食べたことに始まると言われています。

やがて人々は土を焼いて器を作り始めました。網目模様が施された縄文土器です。それまでの食生活は生で食べるか、火で炙るしか方法はありませんでしたが、土器の誕生によって、人間は「煮る」という素晴らしい知恵を身につけたのです。

煮ることの最大の効用は、食べやすくなること。そして栄養豊富なスープを楽しめることです。それによって人間は体力と知力を大きく向上させたとも言われています。

焚火と深く結ばれた、土器について

photo_001 人類最大の発明ともいわれる土器。縄文人の素晴らしい創造性と美意識には大いに興味をそそられます。

野焼きによる土器づくり

遺跡の多い地域では愛好家による縄文土器づくりも盛んに行われ、私の地元もそのひとつです。自ら主催して縄文まつりを開いたこともあり、それがきっかけで土器づくりも始めました。土器の焼成温度は一般的な陶器に比べ低いので、窯がなくても野焼きで十分焼き上がります。

ここでは粘土作りや土器の成形は省力し、野焼きとはどのようなものか簡単に紹介したいと思います。
photo_002 作り上げた土器は1ヶ月ほど乾燥させてから焼成します。それでもいきなり火の中に投入すると割れてしまうので、まず焚火の周辺で熱に慣らします。
photo_003 徐々に火に近づけ、更に熾きの上で熱に馴染ませます。
photo_004photo_005 そして約4時間後。一気に薪をくべ600℃ほどの焼成温度まで上げていきます。最も迫力に満ちた野焼きのハイライトシーンともいえます。

ただ、うねりを上げて燃え盛る火は恐ろしささえ感じ、扱い方を間違えると怖い存在であると改めて実感します。
photo_006 やがて火が収まり土器が姿を現します。これだけ多くの土器を焼くには、キャンプファイヤー施設などがある限られた場所でしか出来ませんが、僅かな量であれば普通の焚火でも十分です。
photo_007 小さな土器であれば、薪ストーブの炉内で焼くことも出来ます。
photo_008 こうして焼き上げた土器は実際に火にかけることも可能で、縄文人を見習い灰汁(あく)を使ってドングリやトチノミなどを渋抜きしたこともあります。

今でこそアルカリ性の灰汁でアク味成分を除くことは化学的に理解されていますが、1万年も前からそうした生活の知恵があったことは驚くべきことです。

気軽に挑戦できる、花炭づくりについて

土器の野焼きは少々専門的ですが、お手軽に出来るのがこの花炭です。「飾り炭」とも呼ばれ、茶道の世界では新年の床飾りに用いられている炭です。

材料は木の実や花だけでなく、果物や野菜など有機物であればそのままの形で炭になります。用意する道具は空き缶とアルミ箔、針金だけです。
photo_009 今回は花炭づくりで最も簡単な栗・蓮・松ぼっくりを使いました。
photo_010 材料を空き缶に入れアルミ箔で蓋をして針金で縛り、その上に1ヶ所小さな穴を開けます。あまり火が強いと燃え尽きてしまうので、熾き状態になった頃が最適です。
photo_011 暫くすると穴から水蒸気が上がり始めます。水蒸気が収まると熱で分解されたガスも抜け、やがて炭化します。穴から水蒸気が出なくなった頃を目安として、火から取り出しそのまましばらく冷まします。

チャークロスも同じような方法で作れます。(チャークロスとは炭化した布の事で、火打ち石などと併せて火口として使います。)
photo_012 乾燥した状態の松ぼっくりと蓮は10分ほどで炭化します。水分が含まれている栗はやや時間が掛かり20分ほどで出来ました。材料によって炭化する時間が違うので、空き缶には同じ種類の材料を入れるようにしましょう。
photo_013 以前作ったパイナップルとトウモロコシです。パイナップルは勿体ないので底から果実だけをくり抜いて食べています。

残った皮を丸一日干してから火に掛けましたが、炭化するまで1時間以上掛かったと思います。水分の多い果物などは時間が掛かるので、根気よく挑戦してみて下さい。
photo_014 花炭は観賞用だけでなく、空気浄化・消臭・調湿などの効果があるので色々な素材を炭化してみても楽しいのではないでしょうか。このように火は暖や食・灯りだけでなく、ものづくりのエネルギーとして人類に文明をもたらしてきました。癒やされる火、安らぎのある火、それが一歩間違えればとても恐ろしい存在になり得るのです。

キャンプで焚火を見つめるとき、家族や仲間とじっくり火と向き合う時間を持って欲しいと思います。次回は最終回として焚火の総括で締めくくりたいと思います。

写風人の過去の記事はこちら

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写風人

1955年生まれ。岐阜県在住のプロカメラマン。薪ストーブを中心とした火のある生活を愉しみつつ、ダッチオーヴン料理や薪ストーブクッキングなどの講座も行う。かねてより念願であった森暮らしを実現。週末は南信州へ入り浸り、薪ストーブと焚き火三昧の日々を愉しんでいる。

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