野焼きによる土器づくり
遺跡の多い地域では愛好家による縄文土器づくりも盛んに行われ、私の地元もそのひとつです。自ら主催して縄文まつりを開いたこともあり、それがきっかけで土器づくりも始めました。土器の焼成温度は一般的な陶器に比べ低いので、窯がなくても野焼きで十分焼き上がります。
ここでは粘土作りや土器の成形は省力し、野焼きとはどのようなものか簡単に紹介したいと思います。
作り上げた土器は1ヶ月ほど乾燥させてから焼成します。それでもいきなり火の中に投入すると割れてしまうので、まず焚火の周辺で熱に慣らします。
徐々に火に近づけ、更に熾きの上で熱に馴染ませます。
そして約4時間後。一気に薪をくべ600℃ほどの焼成温度まで上げていきます。最も迫力に満ちた野焼きのハイライトシーンともいえます。
ただ、うねりを上げて燃え盛る火は恐ろしささえ感じ、扱い方を間違えると怖い存在であると改めて実感します。
やがて火が収まり土器が姿を現します。これだけ多くの土器を焼くには、キャンプファイヤー施設などがある限られた場所でしか出来ませんが、僅かな量であれば普通の焚火でも十分です。
小さな土器であれば、薪ストーブの炉内で焼くことも出来ます。
こうして焼き上げた土器は実際に火にかけることも可能で、縄文人を見習い灰汁(あく)を使ってドングリやトチノミなどを渋抜きしたこともあります。
今でこそアルカリ性の灰汁でアク味成分を除くことは化学的に理解されていますが、1万年も前からそうした生活の知恵があったことは驚くべきことです。