メスティンってトランギアだけ……じゃないんです!
スタイル問わず多くのキャンパーに愛用されているクッカー・メスティン。メスティンと言えば定番ブランドである「トランギア」のものと思っている方も多そうですが、メスティンというのはじつは飯ごうの総称。
実際には色々なメーカーから多種多様なメスティンがリリースされているんです。
各メーカー6種類のメスティンを比べてみた
ということで今回は、メーカーによってどんな違いがあるのかを知るために全6種類のメスティンを用意。それぞれを比較しながら、どういった違いや良さがあるのか、徹底チェックしてみます!
メスティンを比較する上でのポイントは?
数あるメスティンですが、いったいどのような目線で比較すればいいのでしょうか? 各メスティンを見ていく前に、選ぶ際のチェックポイントを解説します。
① バリの有無
バリとは、金属製品を成形するときに主に縁のところにできる突起状のもの。バリがあると触った時に手を切ってしまったり、取れたバリが食品の中に入ってしまうこともあり危険です。
販売前にあらかじめバリが除去されているものもありますが、バリが残っている場合は自分でヤスリで擦るなどして取り除く必要があります。
② 容量
一口にメスティンと言っても、大きさは様々。1人用の小さいものもあれば、何人分かまとめて調理できる比較的大きめのものもあります。家族分のお米を炊きたい場合は大きめのものにするなど、人数に合わせたチョイスをしましょう。
③ 強度・表面加工
基本的には無垢のアルミでできているものが多いメスティン。ただ、無垢のアルミをそのまま使うと金属臭がしたり、腐食しやすいという難点があります。そうならないためにシーズニングという前処理が必要。
一方で表面加工があらかじめ施されているためシーズニング不要という便利なタイプもあるので、手間をかけたくない方はここも要チェックポイントです!
④ 価格
定価は高くても3,000円前後ですが、アウトドア人気の高まりによりメスティンは品薄気味。そののため高額の転売価格で売られていることもあるので、購入の際はしっかり価格をチェックしましょう。
また、ついに100円ショップもメスティン市場に参入! そんな価格破壊も起こっていますが、もちろん性能重視で選ぶに越したことはありません。
6種のメスティンのスペック比較表
まずはメスティンのスペックを、一覧で確認してみましょう。
製品名 | トランギア | キャプテンスタッグ | ロゴス | ミリキャンプ | ダイソー | キャンパーズコレクション |
本体サイズ | 縦165mm 横95mm 高さ62mm | 縦170mm 横115mm 高さ65mm | 縦185mm 横115mm 高さ55mm | 縦160mm 横95mm 高さ60mm | 縦150mm 横80mm 高さ50mm | 縦170mm 横95mm 高さ60mm |
重量 | 150g | 185g | 230g | 165g | 123g | 160g |
容量 | 750ml | 1000ml | 1000ml | 800ml | 500ml | 850ml |
バリ取り | 必要 | 一部必要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
シーズニング | 必要 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
価格 | 1,760円 | 2,750円 | 2,970円 | 1,799円 | 550円 | 1,999円 |
サイズや価格はもちろん比べてみると細かいつくりにも違いがありました。煮る・焼く・蒸すなど何でもこなせるので複数持ちしている方も多いメスティン、使い勝手によっていくつか揃えてみるのも良いですね。
各メーカーのメスティンを詳しくチェック!
それでは、実際にそれぞれのメスティンを詳しく見ていきます。すべてのメスティンで炊飯もしたので、そのときに感じたことも詳しくお伝えしますよ。
メスティンの代名詞!「トランギア」
トップバッターは、品薄により価格が高騰気味な定番のトランギア。
750ml(1,760円)の通常サイズと、1,350ml(2,750円)のラージサイズの2サイズ展開。トランギアはバリが残っているので購入後にはバリ取りと、特殊加工もされていないためシーズニングも必要です。
フタがキッチリ閉まる
フタはしっかり密閉されるので、炊飯時などに抑えるための重りは不要。蒸らしで逆さまにするときも、勝手に開いてしまうことはありません。
反面、開けにくいので調理直後など熱いときはグローブをしたり鍋つかみなどがあった方が安全です。
炊飯目安量はノーマルは1.8合でラージは3.5合。筆者ファミリーはトランギアのメスティンでは何度も炊飯して慣れていることもあり、ふっくら美味しく炊けました!
トランギア メスティン
メスティンがあったとは!「キャンパーズコレクション」
続いては、大きさも外観も本家のトランギアにそっくりなキャンパーズコレクションのメスティン。容量は850mlで価格は1,999円と、どちらもほんの少しだけトランギアを上回っています。
トランギアよりやや厚め
フタを開けてみると若干の違いがあり、キャンパーズコレクションの方が少し厚い作りになっています。厚い方が蓄熱性が高く保温効果が高くなりますが、このぐらいの差であればさほど違いはなさそうです。
またトランギアの本体はフタを止めるための段がありますが、キャンパーズコレクションは段が無くフラット。洗うときに段が無い方が詰まりが無く、洗いやすいですね。
フチは綺麗に除去されているのでバリ取り作業は不要ですが、シーズニングは必要です。
キャンパーズコレクションの炊飯目安量は1合。トランギアと同じ手順で仕上がりにも差がなく美味しく炊けました。
キャンパーズコレクション メスティン
これもソックリ・・・「ミリキャンプ」
3番手は、キャンパーズコレクションとほぼ同じに見えるミリキャンプのメスティン。ミリキャンプは中国のアウトドアメーカーです。800mlの1,799円と容量も価格もキャンパーズコレクションと大差ありませんが、ミリキャンプには1,580mlのラージサイズもあります。
うっすらとロゴあり
ミリキャンプのフタにはうっすらとロゴが刻印されているのですが、これがなかったら正直キャンパーズコレクションとまったく見分けがつきませんでした。
こちらもバリ取りは不要ですが、シーズニングは必要です。
炊飯目安は2合まで。トランギア・キャンパーズコレクションとほぼ同じ構造ということで、お米の炊け具合にも差がなく美味しく炊けました。
ミリキャンプ メスティン
見た目ソックリ!メスティン3兄弟を並べてみた
ここで、試しに3つのソックリなメスティンを並べてみました。こうやってみると見分けがつかないですよね。
フタを開けるとトランギアは少し低く、フタを止める段があるので違いがわかります。キャンパーズコレクションとミリキャンプは何もかもが酷似していますが、50mlほど容量が多い前者の方が若干横幅もありますね。
ハンドルのリベット留めがトランギアは2ヶ所なのに対し、キャンパーズコレクションとミリキャンプは3ヶ所でしっかり留められています。また見た目では分からないところですが、この2つはハンドルの付け根の作りも精密で、スムーズに動きました。
満を持して新登場「キャプテンスタッグ」
続いてはキャプテンスタッグ。老舗ブランドのキャプテンスタッグですが、メスティンは2020年秋に発売された比較的新しい商品。このことからもメスティンの人気の高さが分かりますね。
1,000mlで185gとこれまでのメスティンよりひと回り大きめで、厚みのある頑丈な作り。その分2,750円と価格もちょっと高めです。
ハンドルは2本で持ちやすい
まず大きな違いが、2本を両サイドに折りたたむ構造になっているハンドル。2本を合わせて持つため、一般的なメスティンのハンドルと比べてしっかりと持つことができます。
一般的なメスティンだとハンドルが折れて逆さまにできませんが、キャプテンスタッグのメスティンはその課題をクリア。できあがった料理を器に移し替えるときなどに便利ですね。
炊飯時のお米と水の量がわかる目盛り付きなので、分量を間違えることがなく安心。また表面にはあらかじめアルマイト加工が施されていて、シーズニング不要なところも初心者に優しい設計です。
本体の作りがしっかりしているためか、フタは少し固め。フチは本体は滑らかでしたがフタにはちょっとバリが見られたので、フタはバリ取りが必要そうです。
ただこれは個体差かもしれないので、手に取ったときによく確認するのが良さそうです。
炊飯目安量は1合。こちらも他と同じ手順で、特に変わった点もなく美味しくお米が炊けました。
キャプテンスタッグ メスティン
メスキットだけど比較しちゃう「ロゴス」
ちょっと他とは異なる作りで目を惹くのは、ロゴス。実際ネーミングも「メスキット」で「メスティン」ではありませんが、用途としてはほぼ同じなはずなのでラインナップに加えてみました。
容量1,000mlの大きめサイズで、価格は2,970円。他のメスティンがアルミの銀色のものが多い中、フタの黒い塗装が個性的です。
表面はハードアルマイト加工済み
ロゴスも表面にはハードアルマイト加工が施されているため、シーズニングが不要で強度・耐食性も高め。
幅広で浅めの構造はお弁当箱のようで、インスタントラーメンがちょうど入る大きさ。メスティンで料理したときは食器に移し替えずにそのまま食べることも多く、浅い方がすくいやすいので理にかなっていますね。
本体の縁が折り返し加工されている点も、直接食べるときの口当たりが優しく安心な設計です。
フタは緩めで自立するツマミが付いているため、熱い状態でも開閉しやすい点は便利。ただ、傾けたときに外れやすいので注意が必要です。
ハンドルは一見普通のメスティンと同じように見えますが、開いた状態でロックされる構造。逆さまにもでき、安定して持つことが可能。ロゴスのメスキットは構造的にしっかりしていて、機能面でも工夫が感じられました。
炊飯目安量は2号。炊飯してみたところ、フタが緩いせいか蒸気でパカパカ浮いてしまい、結果的に少し硬めの炊き上がりに。程よい柔らかさで炊くには、水を少しだけ多めにするかフタを抑える重りをのせると良さそうです。
2021年はポップなカラーの新色も出るようなので、お好みの色で選んでみてはいかがでしょうか。
ロゴス メスキット
噂のワンコインメスティン「ダイソー」
流石に100円ではありませんが、税込550円と他のメスティンと比べると圧倒的に低価格。なかなか買えないという噂が飛び交う中、筆者は偶然立ち寄ったダイソーで運良く買うことができました。
次に同じ店に行ったときは無かったので、入荷タイミングにもよりそうですがやはり人気は高そうですね。
標準的なメスティンにスッポリ入るコンパクトサイズ
容量は500mlと小ぶりで、トランギアのような標準的なメスティンにすっぽり入るサイズ。2人用として、またはおかず用のセカンドメスティンとしてスタッキングして省スペースで持ち運べるのは便利ですね。
バックパックなどで荷物を減らしたいときにも活躍してくれます。
安いということでクオリティはどうなのか気になっていましたが、バリはしっかり除去されていてハンドルの具合も良好。本体の作りもしっかりしていて、品質的にも申し分なし! 人気で品薄なのも頷けます。
特に金属臭もしなかったため、シーズニングはせずに使ってみました。
炊飯目安量は1合のようですが、1合炊いてフタを開けるとパンパンに……。このまま食べるには問題ありませんが、カレーなどをかけるとあふれてしまいそう。少し減らして0.8合くらいが良さそうです。
ダイソーのメスティンもフタが緩く容量がギリギリということもあり、炊飯時に沸騰した勢いでフタが外れてしまいました。重いものでしっかり抑えておきましょう。
6種類を比較しての、筆者的結論
細かいつくりでは「ロゴス」と「キャプテンスタッグ」がリード
バリはキャンパーズコレクション・ミリキャンプ・ダイソーの3種はしっかり除去されていましたが、それ以上にロゴスの縁の折り返しが丁寧な作りでした。
表面加工の工夫も他にはなく、総合的に優秀でした。
標準的なスペックでOKなら「トランギア」と「ミリキャンプ」
容量750~800mlと標準的なサイズで、また価格も定価で2,000円前後とほぼ同等。細かい作りを見てもさほど大きな違いはなかったため、一度に作れる量にこだわらなければどちらを選んでも良さそうです。
価格で選ぶなら圧倒的に「ダイソー」
コストパフォーマンスにおいては、やはりダイソーに勝るものなし。正直手に取る前はそのつくりに半信半疑でしたが、500円にしてバリもなくシーズニング不要という仕上がりはお見事!
何より魅力なのは、複数持ちできるロープライスですね。
それぞれに良さがあった各メーカーのメスティン
後発のメスティンには後発なりの改良点があり、スペックや機能だけで言えばトランギアのメスティンを上回っているなと感じるものもありました。炊飯してみた印象としては、正直なところそこまで大差なく、基本の炊き方で炊けば、どれも美味しく炊けました。
本家と言われるトランギアにそっくりなものから独自の特徴があるものまで、様々なタイプがあるメスティン。それぞれに異なる特徴や良い点があるので、機能やサイズの違いで合ったものを選んでみてはいかがでしょうか。