『バンブーシュート』の甲斐一彦氏に聞く、アウトドアとファッション【前編】

2020/04/07 更新

2018年、ブランドを立ち上げるという新たな挑戦に踏み出したバンブーシュート。ショップ名と同じ「BAMBOO SHOOTS」の名を冠したブランドだけに、どんなギミックに富んだ服が出てくるのだろうと思っていたところ、ベールを脱いだ新ブランドのアイテムはベーシックそのもの。しかしそこには20年間アウトドアファッションとアメカジを見つめ続けてきたディレクター甲斐一彦氏ならではの考えが詰まっていました。アウトドアファッションの現在地を中目黒の名店バンブーシュートのディレクター甲斐一彦氏の語りで紐解きます。


アメリカにはないアメカジショップを目指して

甲斐一彦
1973年生まれ。高校時代に古着に傾倒。95年に渋谷の伝説的なヴィンテージショップ「メトロ・ゴールド」に入店し、そのキャリアをスタート。その後、同店の店長を経て、1998年い中目黒で「バンブーシュート」をオープン。
90年代に起こった空前のアメカジブーム。そのとき、甲斐氏はまさにその中心にいました。

その頃、「メトロ・ゴールド」という渋谷にあったヴィンテージショップで働いていました。当時はネットもなく、情報が集まる場所といえば古着屋。だからすごい熱気を帯びてましたよ。自分も若く、血気盛んでしたから色んなものを買いあさっていましたね。

名前の由来

バンブーシュートって名前の由来は何ですか、と聞いたところ、シアトルにある「BAMBER SHOOT(バンバーシュート)」というフェスが一つのきっかけだったそう。

シアトルのフェス「バンバーシュート」の1992年公式(と思われる)タンクトップと、パタゴニアの前身ブランド「シュイナードエクイプメント」のバックパック。どちらも非売品です。
1971年に初開催され、いまも毎年9月に開催されているバンバーシュート。主として音楽フェスですが、映画、コメディ、ダンス、ファミリー向けアクティビティ、さらには地元の料理や個人作家モノを扱う店舗など多彩なエンターテイメントが魅力となっているイベントです。

色んな要素がごちゃ混ぜになっているってとこがいいなって。軸はあるんだけど雑多なものに囲まれているってなんかアジア的じゃないですか。

帰国後、色々調べたら「バンバー」じゃなくて「BAMBOOSHOOT(バンブーシュート)」って単語を見つけて。タケノコの意味です。

この“竹”というアジアを象徴する植物のように、アメリカにはないアジア独特のアメカジショップにしようって思ったんです。

「セレクトショップ」と「ブランド」としてのバンブーシュート


バンブーシュートを知る方なら「アウトドアに強いショップ」、もしくは「アウトドアがコンセプトのセレクトショップ」というイメージがあるのではないでしょうか。それが、じつは元々「アメカジ」を大きな軸に置くお店だったとは意外なお話でした。

ーアウトドア要素を強めていったのは、どういう経緯だったのでしょうか?

うーん、1998年にバンブーシュートを開店したときの会社がもともとオーバーランドやチャムス、グラミチ、ワイルドシングスとかを日本に入れていたので、必然的にその様相は強くなったのかな?

しかも最初は自社の取り扱いブランドオンリーのショップでしたからね。全然売れなかったけど(笑)。で、これではまずいぞってなって、もともとアウトドアモノと相性がいいと思っていた古着のネルシャツやベイカーパンツ、リーバイスの519なんかを仕入れたんです。

だからボクの意識の中ではアメカジの中に普通にあるものだったんです、アウトドアウェアって。溶け込んでいるんです。

ーではとくにアウトドアを意識しているわけではないということですか?

最初はそうでしたね。でもやっぱりやっていくうちに“色”は付いてきて、必然的にアウトドアブランドを取り扱う会社との付き合いも濃くなってきて。でも確かに理に適っているんです。アウトドアウェアを着るって。

どうせ濡れるならゴアテックスを着て雨に濡れたいじゃないですか? ブランドにもモノにも背景がしっかりあるので、こちらも自信を持ってお客さんにお勧めできますし。そういう観点からもアウトドアのモノはやっぱり魅力的だなぁーと。


ー以前はもっとテントやギアなども充実していましたが、最近は少し収縮したように見えますが。

最初の10年はやるのが精一杯で、がむしゃらにやっているうちに結果が付いてきたんです。でもそこから15年目くらいまでは本当にしんどくて。結局同じようなセレクトのショップが出て来て、業界的には盛り上がっているように見えるのですが、やっぱり苦しくなりましたね。

そんな折に海外アウトドアブランドのバッグなどを仕入れることになったんです。そこでなんか自分の中にバッ! と、アウトドアブランドのバイイングに関しては全部やりきったなって思いが浮かんだんです。

じゃあ次に何をやる? って考えたときにやっぱ「洋服」だなって。原点回帰じゃないですけど、“アメカジの中のアウトドアモノ”ってところに立ち帰ろうと思ったんです。

ーでもアウトドアっていうワードを忘れていないところが、純粋にお客さんという立場から嬉しいです。そうした中でブランドとしての「バンブーシュート」が始まったんですか?

もちろんすぐに直結したわけではないし、店舗の運営会社が変わるなどの環境の変化などの影響も大きかったですが、間違いなくそこの仕入れもターニングポイントだったかな? って。

人の作るものでは納得がいかないし、自分たちの原点を見つめてモノづくりをしたいなって思ったんです。


ーバンブーシュートのお店と同じブランドネーム「バンブーシュート」ですが、あくまでもショップオリジナルではないとのことですが。

そうなんです。ややっこしくてスミマセン(笑)。

中目黒にあるバンブーシュートはあくまでも「売る店」です。ブランドとしてのバンブーシュートは「服を作るブランド」です。そういう風に割り切って二軸で考えています。だから卸もします。そこが大きな違いですね。

いわゆるセレクトオリジナルはそのショップでしか買えませんが、ブランド「バンブーシュート」はセレクトショップを相手に売っていきたい。そして長く付き合えるブランドとしてたくさんの方に着て欲しいんです。


後編では、ブランド「バンブーシュート」をアイテムから迫り、ショップ「バンブーシュート」の甲斐氏セレクトのリコメンド品から今のアウトドアファッションについて語っていただきました。

つづく

Photo:烏頭尾 拓磨

後編はこちら


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岡本546

【30代男性】服とギアと車に関心強め。

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