西部劇に憧れていた年代ですので、100年以上そのスタイルを変えないダッチオーヴンはカウボーイそのものだと思っています。
これは菊池仁志氏著書の中で最も好きな文面です。
・・・カウボーイは朝食を終えると焚き火の脇に掘った穴に熾きを入れ、食材の詰まったダッチオーヴンを沈めて再び熾きで覆う。仕事に出払ってしまったキャンプサイトには誰もいない。ダッチオーヴンは温められた大地に包まれ、たった一人で料理を仕始める。仕事を終えたカウボーイ達は、熾きのまわりに吸い寄せられるように集まる。熾きを掘ると鋳鉄製の円盤が姿を現す。グラブで灰を払い、蓋をずらすと湯気が盛大に立ち上がり、食欲を刺激するたまらないにおいが溢れ出る。一瞬広がったハットの輪が再び吸い寄せられるように狭まった。いくつかの鍋が掘り起こされ、蓋を開けるたびに湯気の奥から姿を現す。それらの料理は噛むたびにおいしさの粒を弾けさせ、溶けて胃に流れ込み、ネバダの砂漠に吸い込まれる水のように身体の隅々へとしみ渡る・・・。(出典:菊池仁志著「ダッチ・オーヴン」)
極弱火であれば2・3時間放っておいても鉄鍋自身が料理を作るので、その時間は有効に使えるわけです。その点アウトドアでは必須のアイテムです。そんな万能調理器のダッチオーヴンですが、油で手入れするため繊細な料理の前には油分を完全に取り除く必要があります。
そのために用意したのが南部鉄器のごはん釜です。内面がホーロー加工されているので油で手入れする必要がありません。
すべてが鉄製なので焚火の中に放り込んでも平気。もちろんガスでもIHでも熱源を選ばないので普段使いにとても重宝します。
森暮らしのフライパン料理
2013年に駒ヶ根での週末森暮らしが始まってからは、ほとんどの余暇は森暮らしに費やされてしまいます。しかも滞在中は野外作業や住まいのリフォームに追われ、料理に時間を掛ける余裕がなくなってきたこともあり、素早く出来るフライパン料理が多くなりました。
考える余裕がないときは、厚切りベーコンとパンだけで済ませることもあります。
それではいかにも料理らしくないので、少ない食材でボリューム感もあるカウボーイ風の豆料理をひとつご紹介します。