親子2人で行く、海外キャンプ旅
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プロフィール
キャンプフォトグラファー猪俣慎吾。2017年に星空 案内人®を取得。2019年から自ら開発した『プラネタリウムテント』で天の川の解説をし ながら全国を回っている。 2021年10 月に『絶景CAMPGUIDE』(JTB パブリッシング) を出版。
広告・料理・アウトドアの撮影が主な得意分野であり、アウトドアを中心にフォトグラ ファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターとしても仕事をしている。
外ごはん文化を広めるためのアウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。現在は息子と2人で行く父子キャンプにハマっている
この連載では、日本全国の絶景キャンプ場を旅していた筆者が、新たに「息子2人と海外キャンプ経験を経て学んだこと」を通して海外キャンプ旅のレクチャーをしていきます。
ハードルが高いと思われがちな海外キャンプですが、まずは近場からの旅行を経験して慣れていけば案外かんたんなことだと気づくはず。
筆者が体験した日本全国のキャンプ旅と、海外キャンプ旅で得たノウハウを余すこと無くお伝えしますよ!
▼これまでの体験記はこちらからチェック!
ケニアでのキャンプを終えて陸路でタンザニアへ
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タンザニアに陸路で入るとしばらくして遠くにキリマンジャロ山が霞んで観える
3泊4日のケニアキャンプを終えて、妻が3日遅れでナイロビのジョモケニヤッタ国際空港に到着するので、息子と2人で迎えに行きます。
日本で予約しておいた乗合バスのスタッフも迎えに来てくれて、いよいよ陸路にてタンザニアへと向かいます。
乗合バスは一旦国境まで行って、審査を終えたらタンザニアからは、また別の乗合バスに乗車するスタイルです。
ナイロビから車で6時間かけて、タンザニアのモシという町に辿り着きました。モシはアフリカ最高峰のキリマンジャロ登山の基点となっている街です。
キリマンジャロはタンザニアにとって重要な観光地です。世界中から観光客のみならず、登山家が訪れたりしています。
入国した最初の日は、キリマンジャロの見える場所でキャンプをしようと心に誓い、キャンプ場を経営するホテルへと訪れました。
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本来ならキリマンジャロビューを楽しみながらのキャンプの予定だった 出典:Shimbwe Meadows
訪れたのは「キリマンジャロ・マウンテン・ビュー・キャンプサイト」。
ですが、到着すると悲しいお知らせが。訪れる少し前に大雨が降って、キャンプサイトへの道が閉ざされてしまったとのこと。
なので、料金はそのままで良いからホテルの部屋を使ってくれと言われました。少し残念ではありましたが、気持ちを切り替えてホテル宿泊にします。
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ホテルから見えるキリマンジャロ山はとんでもなくイケメンだ
到着も遅かったのですが、ウェルカムドリンクを頂いて屋上へとオーナーが案内してくれました。
そこで見えたのは、夕闇に沈んでいくアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ! うっすらと頂上付近には氷河も見えます。
19世紀、キリマンジャロを初めて見た探検家は、アフリカの赤道直下にある山の上に氷河があることに驚き、それを本国に持ち帰っても信じてもらえなかったそうです。
アフリカの中でも氷河がある山は、キリマンジャロ山、ケニア山、ルウェンゾリ山の3山のみ。
キリマンジャロに至っては19世紀と比べると、山頂の氷河が12%にまで減少しているとの研究もあり、このままのペースだと、地球温暖化により2040年には氷河が消滅してしまうそうです。
キリマンジャロを見た後はすぐに夕食です。
同じ日に宿泊していたのは、エジプト在住の5人家族の方と、なんと日本人男性が1人宿泊しておりました。
大学教授で言語学者の方でした。なんでもキリマンジャロ周辺の土着語であるチャガ語の研究者で、よくこのホテルを利用しているとのこと。
キリマンジャロの麓の近くのこの村で日本人に会ったことと、研究者の探究心に面食らってしまいました。
ちなみにその教授も、このホテルで日本人にあったのは初めてだったみたいです。
キリマンジャロと言えばコーヒーでしょ!
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キリマンジャロのコーヒーの歴史を学びながらコーヒー作りを体験できるツアー
キリマンジャロに来た目的のもう一つのコーヒーツアーです。
世界3大コーヒーといえば「コナ・ブルーマウンテン・キリマンジャロ」というのは周知の事実。
遠くのアフリカまで来て、キリマンジャロでコーヒーを学ばないなんて、物凄く損をしている気がします。
ホテルのオーナーに頼んで、コーヒーツアーをお願いします。ツアー代はコーヒーの歴史や伝統的なコーヒー作りを学べて、なんと1人5ドルとかなりリーズナブルです!
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コーヒー農園の親子のお二人、息子さんはミュージシャンでもある
ホテルからは歩いて3分という近さ。
ホテル周辺にはコーヒー農園がたくさんあるそうです。アフリカの中でもキリマンジャロ周辺は湿潤な気候で木々も生い茂る場所。
山から地下水も流れ込んでいるので水も豊富。このような気候が美味しいコーヒーを作る環境に自然となっているんですね。
まずはコーヒーの歴史から学んで行きます。もちろん全部英語ですが、それは留学経験のある妻におんぶに抱っこで通訳してもらいます。
ここからは少し早足で写真を交えながらコーヒー作りを説明していきますね。
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コーヒの木が自生する森。コーヒーの畑というか自然そのまま状態が印象的。農薬は使わず害虫はカメレオン頼みの100%オーガニックコーヒー
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コーヒーの実を木から採取。別名コーヒーチェリーとも言う
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機械を使ってコーヒーの実からコーヒー豆を取り出す。機械はなんと100年以上前のもの!
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取り出したコーヒー豆を6日間かけて乾燥させる
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乾燥させたコーヒー豆の表皮を木臼と杵で取り除く。踊りと音楽付き
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表皮を取り除いた豆を鍋で煎っていく
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煎っている間も踊りと音楽付き。これが結構盛り上がる!
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焚き火で15分程度で煎られたコーヒー豆
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煎ったコーヒー豆を再び木臼と杵で粉にしていく、
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粉にしたコーヒー豆を焚き火で沸かしたお湯にそのまま投入する
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5分ほど煮出したものを茶漉しを使ってカップに注ぐ
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伝統的な100%キリマンジャロコーヒーの出来上がり
どうでしょうか?
これが伝統的なキリマンジャロコーヒーの作り方のようです。楽しく踊りながらコーヒーの歴史を学べて、まさに目から鱗のような感じでしたね。
キリマンジャロに行く機会がもしあったらコーヒーツアーは必須ですね。
タンザニアのキャンプ場に宿泊
ザ・パノラマ(タンザニア・アルーシャ)
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標高4,562メートルの望める場所でキャンプができる
モシの街を後にして、タンザニアでもキャンプをしようと思います。訪れたのはアルシャーにある「ザ・パノラマ」というキャンプ場です。
キリマンジャロではなくメルー山が目の前に見える場所です。
メルー山は富士山と同じ成層火山で、標高は4,562メートルとアフリカ大陸では5番目の高さ。
目の前にしても、そこまで高く見えないのは、滞在しているアルシャー自体が標高1400メートルだから。
予約は通信アプリの「WhatsApp」を活用して、オーナーさんのメッセージも温かいもので好印象でした。
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キャンプ場にはバーカウンターもある
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スタッフさんが寒いだろうからと焚き火を準備してくれた
テントはメルー山が望める場所に張って、椅子や机は備え付けがあったので、それを使用することにします。
少し小高い丘の上にあるので、街並みを見下ろすこともできて、まさにタンザニアの絶景キャンプ場です。
スタッフさんが親子連れだからなのか、焚き火をしてくれたり、寒さ対策用に毛布を無料で貸してくれたりしました。
こんなところでも旅人に優しくしてくれたことに、しんみりしてしまいますね。
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ポテトとピーマンと肉をマルチグリドルで炒めた料理
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夜になるとメルー山と街並みの夜景が見ることができる
メルー山とアルシャーの街並みを見ながら夕食の支度をします。
次の日からは2泊3日の待ち望んだサファリツアーです。なので食材をすべて使い切っての料理をします。
この辺りは旅慣れているかが試されるところ。なるべく計算してをしていましたが、やはり余るのが野菜類です。
肉も買っておいたので、すべて細かく切って肉と一緒にマルチグリドルで炒めてしまいます。ごった焼きでもとても美味しく頂いたので、この日は早めに就寝します。
明日はいよいよサファリツアーキャンプ!!