親子で行く、海外キャンプ旅

プロフィール
キャンプフォトグラファー猪俣慎吾。2017年に星空 案内人®を取得。2019年から自ら開発した『プラネタリウムテント』で天の川の解説をし ながら全国を回っている。 2021年10 月に『絶景CAMPGUIDE』(JTB パブリッシング) を出版。
広告・料理・アウトドアの撮影が主な得意分野であり、アウトドアを中心にフォトグラ ファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターとしても仕事をしている。
外ごはん文化を広めるためのアウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。現在は息子と2人で行く父子キャンプにハマっている
この連載では、日本全国の絶景キャンプ場を旅していた筆者が、新たに「息子と海外キャンプ経験を経て学んだこと」を通して海外キャンプ旅のレクチャーをしていきます。
ハードルが高いと思われがちな海外キャンプですが、まずは近場からの旅行を経験して慣れていけば案外かんたんなことだと気づくはず。
筆者が体験した日本全国のキャンプ旅と、海外キャンプ旅で得たノウハウを余すこと無くお伝えしますよ
息子からの発せられた言葉に驚愕

息子の勉強用にお風呂に貼っている世界地図
「パパ!アフリカに行ってキャンプしてみたい!」
我が家は、いつも家の風呂の中で息子と次に行くキャンプ地のことを2人であーだこーだ言って考えています。今年の夏休みのキャンプを前に上記の言葉が息子の口から発せられました。
お風呂には息子に世界の広さを覚えてもらうように壁に張り付いている世界地図があります。これまでに、息子とはお隣の韓国と観光大国タイにはキャンプに行ってはいるものの、アフリカへのキャンプとなるとあまりに未知数過ぎる。
行動力がある、とよく言われる自分でさえ狼狽えるほどの提案です。
流石にこれは荒唐無稽すぎる話だとは思いましたが、キャンプ旅なら海外旅行に割安で行けると提唱している身としては、頭ごなしに拒否してしまうのも芸が無いと思い、一応調べてみることにしてみます。
予想をはるかに超える格安航空チケットを発見

アフリカへ片道7万円!2名往復279,990円!
まずはアフリカに行くのなら航空券は必須。アフリカに行くのに航空チケットでいくらかかるのでしょう……。
現在主要な旅行会社のアフリカのサファリツアーなどは1週間のツアーで50万円スタートという高額ツアーになっており、普通のご家庭で行くには夢のようなツアーとなっています。
「流石に無理か……」
そう脳裏をよぎり、遠いアフリカのことだから片道20万円はかかるのではと正直思っていました。インターネットの格安航空券のサイトを見比べている中で、Trip.comに行きつきアフリカ行きの航空券を探していると、
「片道65,000円〜70,000円のケニア・ナイロビ行きの航空チケットがあるぞ!」
最初は、「どうせ手数料や燃油サーチャージでもっと高くなるでしょ」と思いきや、最後の方まで進んでも追加の料金は発生せず、本当に65,000円〜70,000円で行けるではないか!
ただ直通便ではなく、2回トランジットで26時間というチケットです。色々と追加で調べると、現在日本からアフリカに行く直行便はなく、東京→ケニア・ナイロビまでは乗り継ぎで最短19時間なので、自分が予約しようとしている航空券とはあんまり変わらない7時間差だったんです。これはかなりいいのではないかと思います!
まずは妻に相談してみる

息子に「行ける!」と話し、息子と2人で大盛り上がりした後、次の関門は妻への報告・相談です。
夏休みのキャンプ旅行としては目的地があまりにぶっ飛び過ぎているのは承知の上ですが、韓国とタイにも行っているので一か八かで、とある日の夕食に聞いてみることに。
筆者:「あの〜相談なんだけど、息子との今度の夏休みのキャンプ地候補を見つけたんだけど」
妻:「それで、どこになったの?」
筆者:「ケニアとタンザニア!」
妻:「????なんでそうなるの??」
妻は若い頃に世界中をバックパッカーで旅をしたこともあるし、留学経験もあり、海外旅行には理解のある人ではあります。
ですが、筆者も含めて妻もアフリカ大陸は未踏の地です。ましてや子供連れでキャンプをするためにアフリカに行くなんて言語道断! と言うような感じです。
妻が心配しているのは第一に治安の問題です。ツアーで行くのではなく個人手配で行くので、どうやらそこが心配なよう。
そこは勿論、自分も心配なことの一つではあるので、それをクリアにしなくてはなりません。
そこからはアフリカのサファリツアーに以前に行ったことのある友人に話を聞いたり、ケニア在住の日本人の方とオンラインで現地の様子を聞いたりしました。
その結果、街の中心部にあるようなスラム街に近付かないことと、夜間は街に出歩かないことさえしなければ、比較的安全ということがわかりました。
そもそもツアー全盛の時代の昔に比べると、必要な情報も自分で取りにいこうと思えばいけますし、英語以外の言葉も翻訳アプリを駆使すれば問題なく行動できるので、個人手配でも慣れてしまえば世界中に旅ができる時代になっています。
ということで夏休みにアフリカにキャンプに行くことに決定!!
結局のところ妻も子供の頃から動物番組の影響で、一生に一度はアフリカでサファリツアーに行くのが夢だったらしく、今回は妻も休暇を取って筆者と息子とは3日遅れで参加することになりました。
計らずも、家族始まって以来の大冒険キャンプ旅になりました。