Amazonに売ってた便利そうな道具買ってみた
「何かいい物ないかな」とAmazonを徘徊していた筆者。そこでなんとも気になる新ジャンルの道具を発見しました。
突然ですが、アルコールストーブって使ってる?
アルコールストーブってかっこいいですよね。アウトドアに精通している感じがするし、シンプルかつ無骨なイメージがあります。しかし初心者にとっては、なんだか取っつきにくい印象があるのも事実。
アルコールストーブのハードルは確かにある
確かにアルコールストーブといえば、風に弱いし・火力調整もできなかったり……。消火するのがちと怖いというのもあります。うまく使いこなせれば、コンパクトだし手軽だしでメリットも大きいんですけどね。
……とそんなふうに思っていたところ、出会ったのが問題のキャンプ道具。
格安の「アルコールストーブバーナー」を発見!
こちらがAmazonで発見した「アルコールストーブバーナー」。「アルコールストーブバーナー」とは言いましたが、商品名は売り文句のように長々としていました(※)。いわゆる格安中華ギアですね。類似品もたくさんありました。
梱包には説明書も入っていなかったので使い方はいまいちわかりませんが、固形燃料や燃焼用アルコールで調理できるコンロのようです。これを使うことで、火力調整や消火が簡単にできるようになるとのこと。事実ならとても画期的な製品です。
※Amazonの商品名欄には「Batone アルコール ストーブ バーナー キャンプ 登山 アウトドア 用品 火力調節 小型 固形燃料 コンロ コンパクト 引き出し式 ステンレス鋼製 軽量 コンパクト 携帯便利 防災 登山 料理用 (シルバー)」と記載されていました。
Batone アルコールストーブバーナー
サイズ | 18×18×9.5cm |
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サイズ感を確認
サイズは画像の通りで、高さは脚とゴトクを含みます。Iwataniの「タフまるジュニア」が幅286×奥行き192.5×高さ122mmなので、タフまるジュニアのコンロ部分よりひと回り小さい……くらいのサイズ感ですかね。
大きな特長が2つ
まず1つめの特長が、火口を開閉できること。これによって火力の調節ができ、また消火するときは全閉すればOKです。
そして2つめが、火口部分をまるっと引き出せること。これにより鍋が乗っている状態のまま、燃料の補充が可能になるというわけです。
ゴトクと脚で便利に使えそう
ゴトクの高さは、一番高い端っこで約2.5cm。傾斜しているので、クッカーの水平を保てば火口が鍋底の中央にきます。分厚くてギザギザがあり、頼もしい感じのゴトクです。
脚はの高さは約1cm、プラスチック製です。接地面に熱が伝わるのを防ぐことが期待できますね。のちほど木製テーブル上で使ってみるので、接地面へのダメージの有無を報告します。
実際に使ってみた【パート1】
さあそれでは実際に使ってみましょう! ……と言ってみたものの、当初は使い方を誤解していました。
同じように誤解している人がいるかもしれないので失敗例として掲載しますが、興味がなかったら画像6枚ほど飛ばしてしまってOKです。
トランギアのアルコールストーブじゃ使えない!
まずはトランギアのものをセットして使ってみようとしました。結果、火口のフタを閉めることができませんでした。これでは火力の調節もできないし、消火も不可能です。
アルコールストーブが入っている受け皿の深さは28~29mmといったところ。アルコールストーブがそれより低くないと、フタの開閉はできません。そんなに薄いものなんて聞いたことがないような……。
ダイソーのアルコールストーブならOK!?
あれこれ探してみたところ、薄いアルコールストーブがありました。
ダイソーの「アルコールストーブ(40ml)」です。これは高さ29mmなのでちょうどよく収まるハズ。さすがダイソー、頼りになります。
思った通りジャストサイズでした。ダイソーのものしか使えないことに若干の疑問を抱きながらも、「まあ中華ギアだしそんなもんか」と思って続行です。
ダイソーのアルコールストーブに、ドラッグストアで購入した燃焼用アルコールを注いで準備OKです。燃料のアルコールは、入手しやすいのもメリットのひとつですね。
さあそれでは点火しましょう。
使い方を間違えてました……!
ご覧の通り、火力はちょっと弱々しいものの、まあ普通に使えてはいます。
アルコールストーブという熱源自体がそんなに高火力ではないので、気にすることではないのかも……とも思いましたが、「では頑丈そうなゴトクは何のために!?」と疑問を抱きながら撮影している最中です。
ここで何かがおかしいと気づきます。もしアルコールストーブをセットして使う道具なら、受け皿に空気穴が空いているハズ。単に皿になっているということは、ひょっとしてアルコールを注いで直接、火を点けて使うのでは……?
アルコールストーブは「ガス化したアルコールが穴から噴き出して燃焼する」という認識があったため、たぷたぷのアルコールをそのまま燃やすなんて思いもしませんでした。
実際に使ってみた【パート2】
さあ気を取り直して、今度は受け皿にジョボジョボと直接アルコールを注ぎます。量は皿の高さの1/2程度にしました。
そうしてアルコールの水面に直接、SOTOの「マイクロトーチ ACTIVE」で炎をぶつけると、ゆらゆらと炎が立ち上がりました。
沸騰タイムは上々
火力は思ったよりも強く、400mlのお湯を沸かすのにかかった時間は3分半~4分弱。これは撮影時だけでなく、何度かやってみたアベレージです。
ちなみに筆者が以前から使っているアルコールストーブとゴトクの組み合わせだと、4分以上はかかります。アルコールを燃料とする熱源として、本製品の火力は上々と言えるでしょう。
もひとつちなみに、SOTOの「ST-310」だと同量の水が2分ちょっとで沸騰します。火力にフォーカスすると、やっぱりガスは有利だということを隠さずに書いておきます。
お湯が沸き、火を止めました。一般的にアルコールストーブの消火はすっぽりとフタをかぶせる必要があるんですが、これは便利な機能でしたね。
それにあとでまた火を使いたくなったら、ノブを動かしてフタを開け、残っているアルコールに点火するだけです。
火力調節は確かに簡単だった
アルミうどんを加熱してみました。5~6分でもうもうと湯気が立ち、ボコボコと沸騰です。このまま煮込み続けるとしたら、火力を弱める必要がありますね。
手前のノブを動かしてフタの開き具合を調節すると、立ち昇る炎の量が変化しました。なるほどさきほどの消火に続き、これもまためちゃ便利ですね。素手で簡単に火力調節できるアルコールストーブなんて、聞いたことがありません。
焼き調理もイケる!?
何かを焼いてみましょう。アルコールストーブは火力的に焼き調理には向いていないとされていますが、ソロ鉄板で焼き肉をやっているキャンパーもいますね。しかし19cmクラスのスキレットを使っている人はめったに見ません。
さあ、この格安中華ギアでスキレット調理ができますかどうか……。
鳥のもも肉が見事に焼き上がりました。蓄熱性の高いスキレットをじっくりと加熱してから……というのが功を奏したのですが、不満を感じる火力ではありませんでした。
そして火力を弱めたい場合は、手前のノブを動かすだけ。快適な焼き調理が可能でした。
固形燃料も快適に使えた
本製品の大きなメリットとして、固形燃料も使えることが挙げられます。自宅で湯豆腐をやってみましたが、旅館で出てくる固形燃料の鍋と同様、何ら問題なく湯豆腐を完成させることができました。
ちなみに木製テーブルへのダメージは皆無。固形燃料だけでなくアルコールでも使ってみましたが、やっぱりノーダメージでした。ただし「2時間煮込む」ような特殊な使用は自己責任でお願いします。
固形燃料を使っても、火力の調節は可能でした。分かりづらい画像で恐縮ですが、少しだけ開けられたフタの隙間から、小さな炎が伸びています。
固形燃料の火力を調節できるなんて、革命的に便利だと思いました。さらには途中で消火することも可能で、消火して残った固形燃料は再利用できます。
とはいえ固形燃料の放置にはご注意を。こちらは数年前に買った固形燃料、未使用です。パッケージの開封後は気化してしまうようで、消滅寸前まで小さくなっていました。
さておきいろいろと画期的な本製品ですが、次は気になった部分を正直に挙げていきます。
気になったところ【製品そのもの編】
梱包状態からいろいろひどい
届いたときから、箱の中からコロコロと何かが転がる音がしていました。「おそらくネジが外れているな」と思っていたら案の定です。
シンプルな製品なので、すぐに外れた場所をつきとめてネジを取り付けましたが、のっけから中華アイテムの洗礼を受けました。
商品のパッケージも皆無。直接茶色のダンボールに入っていて、説明書もないとなると使用を躊躇するレベルです。購入・使用に関しては自己責任でお願いします。
指紋がサービスされています
Amazonのクチコミに「指紋がベタベタと……」といったコメントが相次いでいましたが、筆者に届いた個体も例に漏れず、でした。これは組み立て時に付着した指紋ですかね。
ちなみに筆者は撮影するときに指紋をつけないよう手袋をするのですが、いま思えばバカみたいですね。指紋ベタベタの商品を、白手袋で丁寧に取り出していました。
気になったところ【使用編】
使用中に引き出すのは難しい
火口部分を引き出すことができるので、鍋を乗せたまま燃料の補充が可能……なんですが、固くてスムーズに引き出すことができません。それに本体上部は熱くなるのでガッチリと掴むことができず、ガタガタと引っ張っていると鍋の中身がこぼれそうになります。
使っているうちに多少はスムーズになってくるんですが、一時的に鍋を下ろした方が無難です。
燃費はよくありません
鶏もも肉を焼いたシーンでは、アルコールが途中でなくなりました。受け皿の1/2の量を入れていたのですが、もも肉一枚を焼くには足りなかったようです。さらに1/2追加して、それが半分くらいになって焼き上がりました。
「どうも燃費が悪いな」と思ってトランギアのアルストと比べてみました。同量のアルコールを使って燃焼時間を計ってみたところ、本製品はトランギアのだいたい40%の時間しか燃焼し続けることができませんでした。
ガス化したアルコールが穴から噴き出して燃えるわけではないので、そもそも円形のアルストとは別物。アルコールをガンガン消費するマシンと把握すべきでしょう。
クッカーを選びます
ゴトク間の対角線距離が10cmあるので、小さなクッカーは使うことができません。どうしても使いたい場合は、焼き網などを用意する必要があります。
本製品はアルコールストーブのミニマムさとは無縁で、ドカンと鍋を使う調理に向いています。
最大のメリットは簡便性と汎用性の高さ
いろいろとデメリットはあるものの、シンプルで誰にでも簡単に使える簡便性はお見事です。またアルコールでも固形燃料でもイケる汎用性は特筆すべきもの。たとえばCB缶を使うコンロの場合、CB缶がなければ何もできません。
そんな汎用性からすると備災ギアとしても頼もしいし、1,400円(筆者購入時のAmazon価格)ほどで買えることを考えると、持っておいて損はないかなと思います。
最後の最後まで商品名もよくわからなかったコレ、いかがですか?
Batone アルコールストーブバーナー
サイズ | 18×18×9.5cm |
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