小型車、永遠のジレンマ
キャンパーとは切っても切り離せない悩み。それがギアの積載問題。
UL派なソロキャンパーならいざ知らず、ファミリーキャンプともなれば、その荷物量は引越しに相当するレベル。
特にコンパクトカーや軽自動車への積載は、知恵と工夫が求められます。
なかには、増えていくギアを積み込むために、ハイエースやミニバンなどの大型車への乗り換えを検討している人も多いのではないでしょうか。
かくゆう筆者もその一人。愛車は2017年式のトヨタ「アクア」です。
日常生活でも車を使う筆者にとって、圧倒的な燃費の良さと、コンパクトカーならではの気軽な走行性。文句のつけようがありません。
ただ一点。「荷物が全然積めない」ということ以外は……。
日常生活で便利な小型車か、積載量のある大型車へ乗り換えるべきか。そんなジレンマに陥っていました。
ルーフボックスという選択肢
というわけで、解決策として導入したのがルーフボックス。車の屋根に乗っける箱型の収納です。
存在自体はもちろん知っていたし、キャンプ場や街中でもよく見かけるのですが、なぜかいまいち身近に感じてなかったこのアイテム。
いざ使ってみたら、個人的に革命レベルの驚きだらけ。「車を乗り換えなくて良かった〜」と思えるほどの利点がとっても多くありました。
今回は、どれだけ積める? 燃費はどうなる? 風切音は?など、気になる部分も含め、実際にルーフボックスを使ってみた感想をお伝えしていきます。
選んだのは、INNO「ルーフギアケース720」
今回、使ったのはカー用品の老舗ブランド、INNO(イノー)から発売されている「ルーフギアケース720」というモデル。
よく見る流線型のルーフボックスとは異なり、スクエア形の特徴的なデザインです。
このアイテムを選んだ理由は、”アウトドアギアっぽさ”のある無骨な見た目と、荷物を効率的に積載できそうな四角形の形状に惹かれたため。
容量は330L。
身長165cmの筆者と並ぶとかなり大きく見えますが、本体自体は15kgと、2ルームテントくらいの重量。大人であれば、無理せず持ち上げることができます。
パカっと開くと、かなり広大なスペースが。人ひとりをすっぽり収納できそうなくらいの空間が確保されています。
さらに四角には、ルーフボックスには珍しく、バンパーがついています。これのおかけで立てかけての保管も可能なんだとか。
スペック詳細
⚫︎最大積載量:50kg
⚫︎容量:330ℓ(スキー板を6~8セット、スノーボードを4枚積載可能)
⚫︎収容可能寸法:1665×730×245mm
⚫︎製品重量:15.0kg
INNO ルーフギアケース720
最大積載量 | 50kg |
---|---|
容量 | 330ℓ |
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【まずは結論】ルーフボックスの3大疑問
疑問その1:取り付けは簡単?
結論
ルーフボックス自体の脱着は簡単。ベースキャリアに注意
車の上部に取り付けるルーフボックス。カー用品店で作業をお願いすべきなのか? 使わないときは自分で脱着できるのか? などがまずは気になりますよね。
筆者自身の感想としては、「ベースキャリアさえ付ければ、あとは簡単」でした。
まず、ルーフボックス本体を装着するには、「ベースキャリア」というアイテムが必要になります。
このアイテムの役割は、土台として車に固定すること。これを起点に、ルーフボックスを初めて、ルーフキャリヤなどを装着できるようになります。
注意点としては、ベースキャリアには、モデルや車種ごとに適合する種類がある点。
⚫︎バー
⚫︎キャリアステー
⚫︎車種別取り付けフック
と、ベースキャリアは3つの部品から構成されており、それぞれ自分の用途と愛車に合ったモデルを用意します。
最初は「なんか難しそう……」と思うかもしれませんが、大丈夫です。
イノーの公式サイトに「車種別適合情報検索」なるページがあり、愛車の情報を入力すれば、マッチする組み合わせが一発で表示されます。
筆者のアクアなら4種類の組み合わせがあり、そこからチョイスすればOK。間違った部品を買うことはまずないはず。
右:バー、左上:キャリアステー、左下:車種別取り付けフック
大きく分けて、スクエアベース(左)とエアロベース(右)がある
今回、使用したのは、バー本体とキャリアステーが流線型になった「エアロベース(写真:右)」という種類。
従来式の四角形の「スクエアベース」と比べて、風切り音を大幅に低減でき、素材もアルミ製で軽量です。
バーとキャリアステーを組み上げた状態
適用した「車種別取り付けフック」で、車とバーを固定する
ベースキャリアの取り付け難易度は高くはないです。基本的には、取扱説明書に沿って、組み上げていくだけなので、慎重にやれば初心者でも問題はありません。
ただし、車の外型に装着する部品というのも事実。
もし「走行中に落下しちゃったら不安…」というのであれば、カー用品店で取り付けを依頼するのも手かもしれません。
ベースキャリアを取り付けたら、その上にルーフボックスを乗せる
ベースキャリとルーフボックスを金具で固定する。固定自体はネジを回すだけなので簡単
作業開始から、1時間半ほどで完成!
ベースキャリアさえ取り付けてしまえばあとは簡単。最後にルーフボックス本体を乗せて、4箇所を付属の金具で固定するだけ。
この工程に難しさは一切なく、例えばルーフボックスを使わないとき、脱着するだけなら、5分程度あれば十分です。
手順をおさらい
1. 車種別適合情報検索で、マッチするベースキャリアの部品を確認
2. そのベースキャリアに対応したルーフボックス本体を選ぶ
3. 取扱説明書に従って、ベースキャリアを取り付け
4. ベースキャリアの上に、ルーフボックスを固定
疑問その2:荷物はどれくらい積める?
結論
コンパクトカーなら荷室を空にできる
ルーフボックスを使えば、どれくらいの荷物を積むことができるのか? ここは気になるところですよね。
「十分すぎるほど荷物を運べる」というのが筆者の意見です。
2ルームテント、タープ、冬用寝袋、チェア、テーブル、マット、キャリーカートなど。キャンプ道具一式を収納できる
筆者の愛車であるアクアの荷室容量は278L。今回、使った「ルーフギアケース720」の容量は330L。
車に積んでいた荷物はすべてルーフボックスに積み込むことができました。
なんなら、少し隙間ができるので、いつもは家で保管している予備のチェアや毛布を追加したくらい。
「ルーフギアケース720」は形状がスクエアで、デットスペースが少ないので、積み込む際のテトリスがとっても楽。キャリーカート用のような嵩張るものもピタッと収納できます。
疑問その3:燃費と風切り音は?
結論
燃費は少し落ちる。風切り音は気にならない
車の上部に取り付けるルーフボックス。当然、走行時は風の抵抗を受けることになります。
せっかく燃費の良い小型車に乗っているのに、燃費が落ちるのは避けたいところです。
出典:PIXTA
簡易的なテストとして、自宅から100キロ先にある談合坂サービスエリアを起点に、ルーフボックスの有無を分けて走行しました。
坂道を考慮して、上りと下りの2往復で検証。
ちなみに一般道が約20キロ、高速が約80キロの割合で、「ガソリン満タン法」で計測しました。
- 装着なし
- 燃費:23.4km/L
- 装着あり
- 燃費:21.9km/L
結果としては、1Lあたり1.5キロほどの差、6〜7%ほど燃費へ影響があると言った感じでしょうか。
燃費にシビアでない筆者的には、「いつもより燃費が悪い気がするけど、気のせいかな?」くらいの気持ちで日々、運転していました。
ただ一点、100キロ以上のスピードで運転する際は、注意が必要かもしれません。
東京から名古屋の長距離移動をした際、新東名高速を使用したのですが、燃費がいつも以上に落ちました。
理由としては、最高速度が120キロ区間が続き、早い速度で走行したから。風の抵抗をより多く受けたのかもしれません。
風切り音に関しては、「ほぼ気にならない」。そんな感想でした。
ルーフボックス自体が大きいので、それなりに覚悟していましたが、意外な結果に。
イノーの担当者さんに聞いてみたところ、「ベースキャリア単体よりも、ルーフボックスを乗せた状態の方が風切り音は少ないですよ」とのこと。
前述した「スクエアベース」「エアロベース」など、バーの種類によっても、違いはありそうですが、嬉しい誤算です。
使ってわかった4つのメリット
乗り換えるより圧倒的に安い
積載問題から、ルーフボックスを導入する前は、車への乗り換えを真剣に考えていた筆者。
小型ミニバンやSUVなど、より積載量のある車が候補になっており、安くても中古車で150万円以上はかかる計算でした。
一方で、「ルーフギアケース720」の価格は約12万円。ベースキャリアを買っても、合計で15万円程度に抑えることができます。
乗り換えと比べると、10分の1の金額で、330Lの荷室をプラスすることができます。「30Lのリュックが11個分。そう考えると安いな」と納得感がありました。
価格を抑えるのであれば、INNOから5〜6万円のモデルも発売されているので、そちらを選ぶのもいいでしょう。
車内が汚れない
アウトドアに汚れはつきもの。撤収時にギアを掃除しても、砂や泥を完璧に洗い流すことはできません。
その点、ルーフボックスがあれば、車内に汚れた荷物を積載することなく、運搬できます。
キャンプで出たゴミも、車とは分離させられるので、臭い問題も解決してくれます。積載量と同じくらいこれは嬉しいポイントでした。
車中泊ができる
ルーフボックスを取り付けたことによる副次的な効果としては、車中泊も可能になりました。
「アクアで車中泊なんて夢物語」とこれまでは完全に諦めていたのですが、車内に荷物がなくなれば、夢もまた現実に。
コンパクトカーの可能性をここまで広げてくれるとは……。ルーフボックスよ、ありがとう。
カスタム欲が湧いてくる
特にカスタムせずに乗ってきた筆者のアクア。ルーフボックスをつけるだけで、ガラッと印象が変わりました。
街乗りの車が、一気にアウトドア車っぽくなるといいますか。これを機に、タイヤや塗装など、本格的にカスタムしていこうかな、なんて気持ちになってきます。
あと、駐車場で自分の車を見つけやすい。これが地味に助かるのです。
使ってわかった注意点
保管場所に困る
便利なルーフボックスですが、荷物を積載しないのであれば、取り外して保管することが推奨されています。
「つけっぱなしでもいいのでは?」と思いますが、紫外線からのダメージ保護、燃費向上を心がけるなら、使い分けるのがベストです。
しかし、盲点だったのが、そのための保管スペース。
人の背丈ほどあるボックスを家の中に置いておくのはなかなか難しいし、かといって、駐車場に放置することもできない。
一軒家でスペースが豊富にある方なら気にする必要はないですが、マンションなど、収納空間が限られている人は注意が必要です。
踏み台はマスト
身長にもよるかもしれませんが、筆者の場合(身長165cm)は車高が低いアクアでも、踏み台が必要です。
踏み台が無しでも届くには届きますが、ほぼ背伸び状態。重たい荷物の積み込む際のは少し怖さがあります。
ハイトワゴンなど、車高が高めの車にルーフボックスを導入するのであれば、踏み台や脚立などの道具はマストだと思います。
荷物が少ないと荷崩れしやすい
荷物を多く積むためのルーフボックスですが、反対に荷物が少ないと走行中に前後に動いて危険です。
付属のベルトを使えば、固定することはできますが、それでもスカスカだとどうしても荷崩れしやすくなる印象です。
「大は小を兼ねる」といいますが、自分の荷物量にあったサイズのモデルを導入するのがおすすめです。
ルーフボックス、導入して良かった!
いかがだったでしょうか? 今回は、筆者が実際にルーフボックスを導入した感想をお伝えしました。
キャンパーの必須ギアである車。その可能性も広げてくれるアイテムとして、改めて感動しました。
積載量に悩むそこのあなた。ぜひ、ルーフボックスという選択肢を視野に入れてみてはいかがでしょうか?
今回、使ったアイテムはこちら
INNO ルーフギアケース720
最大積載量 | 50kg |
---|---|
容量 | 330ℓ |
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