アウトドアマン・写風人さんが送る“南信州の森暮らし”
長野県・駒ヶ根市に居を構える写風人さん。アウトドアと密接な日々の暮らしを綴ります。
時代とともに変わる焚き火の常識
1990年代のキャンプといえば、ランタンやツーバーナーなどホワイトガソリンを使うギアが主流で徐々にCB缶を使う商品も出始めた頃です。
また焚き火といえば直火が当たり前で、スノーピークの焚き火台が1996年に発売されましたが、当時は「焚き火になぜ台が必要なのか?」という不評もあり、あまり売れなかったそうです。
それが時代と共に環境への配慮やマナー的な要因で直火OKのキャンプ場が少なくなり、キャンプでの焚き火台は当たり前の時代になってきました。
昨今はキャンプブームの影響もあり、様々な焚き火台が発売されています。アイテムばかりに注目が集まっていますが、その裏では焚き火によるトラブルも絶えません。
見落としがちな5つのポイント
ここで改めて、これからキャンプを始めようとする方、また慣れてる方にも見落としがちな「焚き火を始める前の注意点」をまとめたいと思います。
1. 薪の確保は事前に
「薪」と一口に言っても様々な樹種もあり、大きさ長さ太さもマチマチ。火を焚く過程でそれぞれの薪の特徴を把握し事前に用意できるのがベストです。
現地で調達される方も多いでしょうが、果たしてその薪は針葉樹なのか広葉樹なのか? 大きさや長さは焚き火台に合うのか? 本当に乾燥しているのか?(意外とキャンプ場の薪は乾いていないこともあり、煙も発生しやすくなります。)そこまで確認できれば安心ですが、出たとこ勝負ではせっかくの焚き火も楽しめななるかもしれません。
そんなリスクは回避して、地元で薪を調達できるよう準備しておきましょう。薪は焚き付け用の小割と火持ちの良い広葉樹を用意して、余った薪は持ち帰るようログバッグなどもあると便利です。
2. 夏でも服装は長袖・長ズボン
焚き火は火傷をしたり、火の粉で服に穴が開いたりと火によるリスクがあります。手にはグローブ、衣類は綿または難燃生地が常識になりつつありますが、夏になるとそんなことも忘れ、半袖・短パン・サンダルという服装をよく見かけます。
確かに暑い夏のキャンプならそのスタイルになるのが当然ですが、焚き火をするときには長袖・長ズボンで肌を守れるように心掛けましょう。また虫刺されにも対処できますしね。
3. 焚き火周辺の安心アイテムを準備
直火禁止でも焚き火台は使用できるキャンプ場が多くなっています。かといって焚き火台を使用しても、熾き火や燃えカスが地面にこぼれることもあるので、地面や芝生にダメージを与えないような焚き火台シートは今や必需品です。
また万が一に備えて水を入れたバケツや大きめのケトルを周辺に準備するように心掛けています。そこまで徹底しているキャンパーは少ないと思いますが、安全のために本来は必須と考えています。
4. 焚き火周辺の環境をチェック
キャンプ場に到着してサイトに指定の焚き火場があれば必ずその場所を使います。指定がない場合は、周辺に燃えやすいものがないようにしましょう。特に秋になると落ち葉が多くなります。
このような状態ではすぐに落ち葉に着火してしまうので、少なくとも半径2m以上は燃えやすいものを取り除きます。また風の強い時は最も危険な状況です。
私の地元のキャンプ場で実際に起きたことですが、強風の中、心ないグループの焚き火によって辺り一面火事になり、それ以降キャンプ場は一切焚き火厳禁になってしまったことがあります。
風が強く不安に感じたらまず管理棟に相談するか、焚き火を諦めるという決断も必要です。
5. 計画的な焚き火を考える
焚き火は小さく、真っ白な灰になるまで燃やし尽くす。これが私の焚き火に対する信条です。
焚き火は必要以上に大きく燃やすのは薪の無駄遣いだと思っています。小さくコントロール出来るコツを掴みましょう。
我が家には周囲に住宅がないので、敷地にファイヤープレースを設け直火で燃やしています。燃やし尽くした灰は大地に還りますが、消し炭や燃えカスは還ることがありません。
キャンプの最終日、焚き火が燃え切らず水を掛けて強制的に消すのではなく、片付けの時間には真っ白な灰になっているように計画的に燃やすよう心掛けたいものです。
2日分の灰でもさほどの量にはならないので、各自がその灰を蓋付き容器に入れて持ち帰れば、最高ではないでしょうか。
事前に情報を把握することが大切
キャンプ場を予約するときに、HPで焚き火関連の注意事項をよく把握しておきましょう。またキャンプ場HPに焚き火に関する動画があればよく観ておくとマナーとはどういうものか理解できると思います。
またキャンプでは誰もが焚き火を好むとは限りません。「澄んだ空気の中でキャンプしたかったのに隣のサイトの煙が臭くて不快だった。」ということにならないよう、周囲のサイトには一声掛ける気配りも大切です。互いに気持ち良いキャンプライフを送りましょう。
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日本焚き火コミュ二ケーション協会