ワークマンギアの「ウラ話」、聞きました
先日おこわれたワークマンの「2023年新作キャンプギア発表会」。ワークマンアンバサダーとして商品の開発などに携わっている筆者も、会場にお邪魔したのですが、その迫力は年々増すばかり。
2022年春にキャンプギアを本格展開を始め、ちょうど1年がたった今。ワークマンはこれからどこへ向かうのか? とっても気になったので、今回はワークマンのキャンプギア開発担当者である鐵本(てつもと)さんにインタビュー!
開発の裏話や低価格の秘密など、気になるアレコレを教えてもらいました。
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話を聞いたのはこの人
ギアは一人で開発してきた
──鐵本さんは、これまでどんな仕事を?
鐡本さん:ワークマンがキャンプ市場に参入する前から、今と同じ商品開発の担当をしていました。ただ、扱うジャンルは作業用の手袋や安全帯、ドライバーや工具など、「ザ・ワークマン」のイメージが強いアイテムが多かったです。
私自身、アウトドア用品を開発するにあたって、キャンプを始めたくらいです
──ギア開発は何人で?
これまで基本的には1人でやってきました。1人のメリットとしては、シチュエーションをまとめて考えられる。
例えば、ソロで使う一式とかイメージに沿うものを作りやすいですよね。今後は新しいメンバーを加えて2~3人ぐらいでやっていければと思っています
口コミが本格参入のきっかけ
──キャンプギア参入のきっかけとなったアイテムは?
鐡本さん:ワークマンがキャンプ市場に参入したキッカケは、2019年に発売したペットボトルホルダーです。
最初はアウトドア用品ではなくて、外仕事用の水筒として、ペットボトルのまま冷たさを維持できるものはないかと、開発をスタートしたことが始まりです
──本格参入から1年。今の手ごたえは?
売上面では、ほぼ予測通り、少しそれを上回る実績です。
ただ、それ以上に手応えは感じていまして、特に各アンバサダーさんの発信や、SNSでの口コミなど、認知度という意味では非常に良い状態だと思っています
──当初は、アウトドア市場への参入に驚いたユーザーも多そうです
そうですよね(笑)。最初は、ワークマンで取り扱っていた職人さん向けの衣料品を、アウトドアユーザーさんが「これキャンプに使えるよ!」「この手袋が焚き火にもおすすめ」「この服なら雨降っても大丈夫だよ!」とSNSの口コミで広めてくれたのがキッカケで。
私たち的にも、「アウトドア用途で使ってもらえているなら、それ専用に作りましょう!」と。
機能はそのままにしてデザインをアウトドアに寄せる、そうすることでユーザー層が広がればいいなと思っていました
狙いは初心者と上級者
──バズった商品も多いです。開発はどうやって?
鐡本さん:ワークマンには各分野の専門知識を持ったアンバサダーが所属しているので、開発時はその方々に意見を聞くところからスタートしています。
私自身、キャンプ歴は長くないので、「今、どんなアイテムが欲しいですか?」や「既存品のどこを改良すべきですか?」など、ざっくばらんにヒアリングしています。
そこでもらったアイデアを図面やデザインに落とし込んで、派生させる。特に価格に関してはアンバサダーの皆さんから厳しい意見をもらっています
──ターゲット層は?
エントリー層ですね。これからキャンプをはじめてみたい方、今まで借りたものでキャンプしていたけど自分用に買ってみたい方など、キャンプに年数回いくユーザーを想定しています。
価格がとても手頃なので、そんなに頑張らなくてもワークマンでギア一式が揃う。これは、初心者の方に大きな魅力だと思っています
ただ、上級者向けのアイテムも増えてきています。例えば、今年の新作である「エクストリーム ダウンシュラフ」シリーズは、真冬のキャンプを想定して開発しました。
外気温がマイナスで、中〜上級者がメインになるシーズンでもしっかり使っていただけるように、上位モデルの快適温度は−5°と、かなり本格派です
──開発時の一番のこだわりは?
やはり価格ですね。ここには非常にこだわっています。
例えば、ワークマンからテント出るとなると、「いくらで販売してくれるのだろう?」とユーザーの皆さんの期待感も高まると思います。
まずはその期待に応えることが重要で、そこにプラスαの機能性を持たせて、「これでこの価格はすごい」という驚きを作るようにしています
──開発時の苦労は?
私自身、作業用品や工具畑が長いので、デザインに一番苦労しています。キャンプってそのときの流行りのカラーとかデザインがあるのですが、それを取り入れるのがとても難しくて。
これに関してはセンスが必要な部分になので、私が考えるよりもアンバサダーさんに色や柄をお伺いしています
低価格の鍵は、閑散期オーダー
──価格の安さも魅力です。どのような工夫をしていますか?
鐵本さん:一つは、閑散期オーダーと言いまして、工場の手が空く時期に生産を依頼しています。これによって、忙しい時期に頼むより、製造時の値段が安くなります。
キャンプギアの製造でいうと通常、5月から7月ぐらいがピークなので、ワークマンは意図的にそのタイミングでずらしています。
工場的にも閑散期の仕事が増えるので、Win-Winなんです
もう一つは、衣料品との共通生地を使うこと。
これにより、生地全体のオーダー数を増やすことができます。例えばシュラフとジャケットを共通の生地にすることで、単体でオーダーするよりもまとめて発注できます。その結果、金額的なロスも少なくなります