気になる焚き火台「ラプカ」をレビュー
次々と新しい焚き火台が出ていますが、2020年話題になったのがマーグズ「ラプカ」。他の焚き火台にはない独特な見た目から、気になっていた方も多いのではないでしょうか?
特徴はそのルックスだけではなく、焚き火を存分に楽しみつつ料理もできる点。そう聞くと普通の焚き火台と同じように思われるかもしれませんが、じつは他と一線を画すこだわりのディテールが詰まっているんです。
今回はそんな「ラプカ」を徹底調査! 多次元焚き火台とうたわれる所以や多彩なオプションなど、実際火入れしてわかった魅力を詳しくレポートしていきます。
まずは組み立てから
こちらが収納状態。厚み13mmで重量は1.8kgで、軽々と持ち運びできます。付属の帆布製(倉敷帆布)の収納袋に収めると小脇に抱えられるサイズ感。
これなら車に積むときも、隙間に挟みこむなどして場所を取らずに済みそうです。
セット内容はフレーム2つと固定用のジョイント。灰受けパネルにロストルと、ゴトクが標準で2本ついています。
設営はフレームを組み立てて灰受けとロストルをセットするだけのたった3ステップ。シンプルな構造で、初めてでも直感的に組み立てられるほど簡単でした。
組み立て時のサイズは約横380〜395×高さ345×奥行345〜350mm。4人程度のファミリーやグループでも囲めそうな大きさです。
組み立てたところで、さっそく火を入れてみましょう!
火入れ開始!
まず驚いたのが、火床がとても広いこと。30~40cmのズッシリとした薪も難なく置くことができます。
燃える様子がとにかく美しい・・・!
薪の周りを覆うパネルが無いので、心行くまで火を眺められるのがラプカ最大の魅力。こまめに薪をくべるというよりも、太い薪でじっくりと焚き火や料理をしたい方に良さそうです。
こんなに太い薪を重ねてもビクともしない安定感は、さすがメイドインジャパンの高品質!
よく燃えるヒミツは、ロストルにあり
火入れを始めると、いつもより着火が早くできました。これはロストル(炭床)と関係があるようで、ご覧の通りスリットの幅が大きいんです。この隙間から効率よく空気を取り込めるため、燃焼効果が非常に高くなっています。
火起こしがいつもより楽に行えたうえ、太い薪へ火を移すのも簡単。炎が美しく燃え上がる秘密も、このロストルにありそうです。
繊細だけどタフ
シンプルな構造ですが荷重がかかるほどしっかり安定する設計になっているので、耐久性も高そうな印象。シルエットが綺麗に見えるようフレームも細いのですが、この繊細さとは裏腹に抜群の安定感!
見た目の印象を良い意味で大きく裏切ってくれました(笑)。材質は耐食性の高いSUS304ステンレスなので、メンテナンスもしやすそうです。
逆台形で薪を追加しやすい
フレームが逆台形に広がっているので、フラットなロストル全面に薪が置きやすいのも大きな特徴。直火に近い雰囲気もあって、よりワイルドな気分が味わえます。
火持ちの良い広葉樹の薪を並べて、まったりとコーヒータイムを過ごすのなんていうのも素敵ですね。
炎をいろいろな角度から愉しめる魅力にすでに虜になりましたが、炎を眺めるのだけが焚き火ではありません。料理も賄うとなると、気になるのは調理時の快適性。次は実際に料理をしてみて、そこをお伝えしていきます!
ここが真骨頂!焚き火料理が超快適
天面が広く、料理時も火力調整しやすい
天面のサイズは約横380〜395×奥行345〜350mmあり、ケトルやフライパンを同時に使った複数調理ができるほどの広さです。煮炊きしながらフライパンなどで直火調理をするスペースも確保できる軽量焚き火台は、ほかに思い当たりません。
先ほど薪が置きやすいことでも触れた逆台形の型は、調理スペースを広く効率的に取れるというメリットにもつながっていることがわかりました。
メーカーによると標準付属のごとくの耐荷重は4~5kgと、これまた見た目によらず頑丈! ロッジのサービングポット2QT(重量2.88kg)を載せていますが、グラつき感はなし。
これ一台でソロ~グループの調理ができてしまうほどのポテンシャルには、ただただ驚きです。
まるでオーブン!? 3つのごとく置き場
ごとくを3段階に設置できるという驚きの工夫もラプカならでは! メニューによって上下で火力を調整するというオーブンに近い使い方はもちろん、標準ごとくに加えてオプションパーツを併用して自在にフォーメーションを組むことで、同時調理の幅も広がります。
マーグズ ラプカ
オプションも充実!カスタマイズする楽しさも
せっかくならオプションも取り入れて使いこなそう
標準アイテムだけでも十分機能的なラプカですが、さらに快適に拡張するためのオプションも用意されています。そのひとつ「ニコイチごとく」は、2つのごとくが組み合わさったユニークなアイテム。スライドさせることでサイズを調整できます。
一方「焚き火ごとく」は、4本の丸棒があるため標準ごとくに比べてより安定して調理が行えます。
マーグズ 焚き火ごとく 標準 丸
調理の用途に合わせて、ステンレス製の「焼き網」や鉄製の「長尺鉄板」のラインナップも。どちらも上端に設けられた溝部分に引っかかる構造のため、 ズレにくく安定した調理が可能です。
マーグズ 長尺鉄板
焼き網は6種類のデザイン。お気に入りのデザインを見つけて使うのも楽しみの一つですね。私は右から2番目の七宝繋ぎ柄が気に入りました!
こちらは焼き網を三段階に設置してみたところ。焼き網が複数あれば、各段で火加減を調整しながら料理ができて便利そう……ということで、こんな使い方をしてみました。
ダッチオーブンで煮込みながら、バゲットを焼く
強火で煮込みたいダッチオーブンは下段に、焦がしたくないバゲットは最上段に。同じ場所だとあっという間に焦げてしまうバゲットが、ラプカのこのスタイルならちょうど良い焼き加減でした!
マーグズ 焼き網
焚き火料理らしいワイルドなメニューを楽しむなら「RAPCAスティック」がオススメ。チキンの丸焼きやかたまり肉・お魚などを回しながらゆっくりと炙って調理できます。
かたまり肉を炙りながら「長尺鉄板」で野菜を焼いて、焚き火料理を存分に楽しんでみました。シンプルなバーベキューがより盛り上がります!
マーグズ RAPCAスティック
オプションも使えば数人分のメニューが一気に完成!
標準ごとくとオプションを使って、同時に複数の料理にもチャレンジ! グループや2人で向かい合ったりしながら同時に料理できるラプカなら、アツアツの料理をみんなで囲む醍醐味を味わえます。
魅力的なオプションのほか、ラプカにはセルフカスタムという楽しみ方も。拡張を想定してフレームに様々な形状の穴があいているので、ホームセンターのアイテムを使って理想の使い勝手に仕上げてみるのもオススメです。
焚き火も料理も奥深く楽しめる万能性は予想以上でしたが、実際使ったうえでいくつか気になることもありましたのでお伝えしておきます。
ラプカの気になる点
灰や燃えた薪が落ちやすい
ロストルの下には灰受け皿があるのですが、風が強かったり燃えさかる薪が崩れた瞬間、下に炭が落ちて飛び火してしまう恐れも。
ラプカの使用に限らずですが、焚き火台を使うときは防火シートを敷くと安心。さらに、風が強いときはオプションの風防を使うと横風で炭が飛び散るのを軽減してくれます。
フレームでの火傷に注意!
太い薪や長時間の焚き火を楽しんでいると、火に熱せられたフレームがかなりの高温に! 細いだけに注意不足になりそうなので、グローブの装着をオススメします。
グローブをつけて作業すれば、不意に炭が飛び散ったり崩れ落ちてしまった場合もとっさにトングを使って戻せます。灰を捨てるときも、安全で便利ですよ!
タフで多機能。ラプカはまさに究極の焚き火台!
ラプカを初めて手にしたときは「こんなに細いフレームと薄いパーツで本当に大丈夫なのだろうか?」と少し心配になりましたが、何度か使っているうちにその思いは杞憂であったことがわかりました。
むしろ組み立てたときの安定感や片手移動でも形が容易には崩れないこと、薪や調理器具を載せるほどに安定する構造には感心することしきり! これだけの注目を浴びている理由もわかったような気がします。
これから新たに焚き火台を手に入れたいと思っている方は、ぜひ今回紹介したラプカのたくさんの魅力を知って、選択肢に加えてもらえたならば嬉しいです。それでは、次回もお楽しみに!
石垣島出身。フェールラーベン公式アンバサダー。2017年からYouTube「ヒミカチャンネル」をスタート。以来活動はYoutube、インスタグラム、ライター、モデルなど。キャンプ、登山、グラベルバイクなどを楽しみながら、現在山暮らしを開始。