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舞鳥祭

【これはフェスではない】井浦新ひきいる「ELNEST」が仕掛ける奇祭「舞鳥祭 2024」をレポート

7月6日〜7月7日に開催された「舞鳥祭 2024」。俳優・クリエイターとして活動する井浦新さんが企画しているということで、CAMP HACK編集部もイベントに潜入。

「こんな空間があったなんて......」と驚きと感動に包まれた当日の様子をお届けします。

目次

記事中写真:「舞鳥祭」提供

国立公園で開催される奇祭

舞鳥祭

LIVE:DUNK IN

「ライジングフィールド軽井沢」にて、2024年7月6日〜7月7日に開催された「舞鳥祭 2024(まいとり祭)」。

井浦新(いうら あらた)さんが率いるアパレルブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」が主催するイベントです。

今回が第9回目。猛暑の東京都と打って変わり、涼しい風の吹く国立公園では、普通のキャンプイベントでは体験できないディープで、ピースフルな空間が広がっていました。

当日の様子を、感想と共にレポートします。

 

▼ELNEST CREATIVE ACTIVITYの公式アカウントはこちら

「綱引き」「けん玉」
一風変わったコンテンツの数々

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まず、驚いたのはコンテンツの内容。当日、配られたパンフレットには「綱引き」「けん玉大会」の文字が。

「さては普通のキャンプイベントじゃないな…」という予感は的中。イベント開始早々、参加者たちが広場に集い、綱引きがスタート。

舞鳥祭
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その場で出会った子供や大人がチームを組み、必死になって綱を引き合う。勝っても負けても、みんなでハイタッチ。

まるで運動会のワンシーンを見ているような。

缶ビール片手に音楽を楽しむ。そんなキャンプイベントの固定概念がしっかりと壊され、「久しぶりに全力で遊ぶのもいいかも」と思わせてくれました。

舞鳥祭
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メインステージから目をそらすと、周りにはワークショップの数々も。

転写プリント・刺繍・コマ作り・弓矢作りなどなど、どれも取り組み甲斐がある企画ばかり。

普段は見向きもしないことを、あえて体験するきっかけに出会える。

家にいたら、ついYoutubeばかり観てしまうけど、この場に来たら新しいことにチャレンジしてみたくなる。

「あっこれハマりそう」。

ワークショップで作ったコマを回しているときに、心の中でつぶやいた自分に驚きました。

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通り雨が過ぎ、綺麗な夕焼けが空を染めはじめた頃、広場で始まったのが恒例のコンテンツ「大盤振る舞いBBQ」。

読んで字の如く、主催者側がステーキやスープ、サラダを参加者に振る舞う企画です。それも、ちょっとやそっとじゃなくて、お腹いっぱいになるほどの量をしっかりと。

スタッフとお客さんのコミュケーションが生まれ、どんどんと距離が縮まっていくのが目に見えてわかります。

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印象的だったのは、各々が自分のカトラリーを持参しているところ。「食器類をご持参ください」とパンフレットに記載されていた通り、無駄なゴミを出さない配慮がされています。

多くの人が行き交う中でも、紙皿や空のコップが投げ捨てられている光景を目にすることはなく、国立公園内でおこなうイベントだからこその想いを感じました。

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LIVE : KEIZOmachine!(@keizomachine

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LIVE : TAK-Z(@tak_z

そして日がすっかり暮れ、グッと気温が下がってくるころには「LIVE & DJ TIME」がスタート。

「子供も一緒に楽しめるクラブです」と紹介があったように、家族でディープな音楽の世界に浸れる一コマ。

人混みと大音量が嫌いな筆者も安心して、チルい音楽に身を委ねられる。

子供がいたならクラブデビューは「舞鳥祭」かな。そう、思える空間でした。

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一夜明け、2日目は「朝座禅」からスタート。「朝ヨガ」ならよく聞きますが、座禅とは……。

休日は、昼に起きるのがサラリーマンの性(さが)。しかし、キャンプに来ると不思議と朝早くに眼が覚める。

早朝の柔らかな日光を浴びながら、自分自身と向き合う時間をとる。昨晩のビールが、雑念と一緒に溶けていくようでした。

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そして、イベント最後に開かれたのが「けん玉大会」。

豪華景品をめぐり、けん玉で勝負する目玉コンテンツです。メインステージで、勝者たちが景品を掲げるたびに歓声が上がり、直射日光をものともせずに、みんなが応援します。

けん玉をするときは、大人も子供も真剣そのもの。

スマホゲームが主流の今の時代に、昭和レトロな遊びが、ここまで楽しいものなのかと気付かされたのでした。

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井浦新さんに聞く。「舞鳥祭」に込めた想いとは?

「これはキャンプフェスではなく、お祭りなんです」

井浦さん:「舞鳥祭」は9年前、「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」に関わってくれているお客さんや仲間たちに向けて、感謝祭をやりたいと思いスタートしました

僕自身、日本のお祭りが好きで、特に「奇祭」と呼ばれる催しを追って全国各地を旅しています。だから、自分たちで何かやるなら、フェスやイベントじゃなくて、祭りが良いよねと

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音楽フェスだと音楽を聞くことが中心になってしまうと思うんですけど、「舞鳥祭」の一番の目的は、自然の中で仲間やお客さんと一緒に外で遊ぶこと。

だから、みんなが参加できる「綱引き」や「けん玉大会」を企画しています。第一回目では、大玉転がしもやりました。運動会みたいですよね

子供たちと大人たちが精一杯遊べるように、とにかく他のフェスでは思いつかないようなことをやってきました。家族や仲間、本当に好きな人たちだけが集まる奇祭、それが「舞鳥祭」です

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「仕事にしたらつまらない」

井浦さん:第一回目のお客さんは100人もいなかったんですよ。今でも、400人ちょっと。そこに、関係者が100人くらい

少しずつ、来場者数は増やしているけど、これからも大々的なイベントとして開催していくつもりはありません

これ以上の規模になると、手作り感あるこの空間を維持できないし、みんなのコミュケーションが生まれにくくなると思っています

なにより、僕らも仕事になっちゃうんです

出店者たちが、汗だくで必死に働いている姿を見ると「これは気持ちよくないな」と感じちゃって

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お客さんはもちろん、運営側も誰一人として必死になってはいけない。これはビジネスじゃなくて、お祭りなので。自分たちが一番楽しんでいる姿をさらけださないと

そういう意味では、イベンターも入れていないし、大きな宣伝もしていない。だからこそ、自分たちだけで企画を考えて、タイムスケジュールも組むことができています

仲間のミュージシャンも「舞鳥祭はノーストレス。仕事しているのかしていないのかわからない」と言ってくれています。ここで出会ったお客さんや仲間たちが、一年に一回遊びに来る場所。そんな空間を作っています

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「着飾らないで、初心者こそ来てほしい」

井浦さん:「舞鳥祭」の面白いところは、いわゆるハードキャンパーの方々が少ない点です。参加者はキャンプ初心者が多く、ここでキャンプデビューする人もいるくらい

初めての方は「最初はレンタルで」「何を使えばいいのかわからない」って感じで。そこから少しずつ道具を揃えて、キャンプの知識を身につけていきます

慣れてきたお客さんは、他の初心者の方をフォローしたりとコミュニケーションが生まれています

誤解を恐れずに言うならば、ハードキャンパーやフェス慣れしている人は来なくてもいいと思っています。そのような方に、この祭りの存在がバレないでほしいなと笑

舞鳥祭

でも今だに忘れないのは、数年前にハードキャンパーの人たちが「舞鳥祭」に参加して、伝えてくれた言葉です

彼らは「自分たちはキャンプフェスが大好きだから、毎年いろんなイベントに行く。でもやっとここに聖地を見つけた」と

「ここは無理して着飾って、テントを張らなくてもいい。今まで参加したイベントはどこかで見栄をはっていた。だから繋がりも生まれない。でもここは知らない人がいて当たり前の空間。この雰囲気を壊したくないから、本当の仲間しか誘わないね」と言ってくれたんです

実際、その人たちは毎年、本当に大切な友達を連れて参加してくれています

このイベントに出店しているブランドやご飯屋さんも、家族や友達を連れてきています。ここにいる人は、誰一人置いて行かないようにしたい。ずっと笑顔でいられる。この想いは開催当初から今も変わっていません

舞鳥祭

フードも魅力の一つ。「ちょっとオマケしておきましたよ」なんて思いやりも

「自分たちの手の届く範囲で。大切に」

井浦さん:たくさんの人が集まる催しだと、どうしても環境に負荷がかかってしまいます。開催当初、やっぱり僕らも「すごいゴミの量だね」と感じました

人がいると、消費活動がおこなわれて、ゴミが増えていく。でもせっかく自然の中で遊んでいるのに、そこでゴミを見るのって気持ち悪いですよね

いくらお金を払うキャンプ場であっても、やりっぱなしは美しくない。本当に必要な分だけ持ってきて、跡を残さずに帰っていく。キャンプってそういうものだと思うんです

舞鳥祭

キャンプ場は軽井沢の国立公園内に位置している

だから僕らも、自分たちが手の届く範囲でこの祭りを作っている

「自然の中だから、ゴミは減らそうね」。お客さんと一緒に遊べる空間だからこそ、この感覚を共有できていると思っています

みんながそれぞれの手の届く範囲で、少しずつ。これからも「舞鳥祭」は緩やかなペースでやっていければいいな。そう思っています

舞鳥祭

身の心もすっかり「舞鳥祭」の虜に

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いかがだったでしょうか。今回は、「舞鳥祭 2024」のレポートをお届けしました。

キャンプメディアの編集者という仕事柄、多くのイベントやフェスに参加します。ですが、「舞鳥祭」で過ごした2日間は、薄れることなく今も心に留まっています。

来年も行けたらいいな。いや絶対に行こう。そう思える祭りに出会えてよかったです。