ペグを忘れたらどうする!?
キャンプ歴が長くなってくると、テントやタープに付属するペグを使わなくなりがち。お気に入りの社外ペグを愛用するようになり、テント付属のペグ類は物置に眠ることになるんですよね。また、ペグがそもそも付属しないテントも少なくありません。
そうなると要注意なのが、ペグ忘れ。画像は筆者のペグ箱ですが、これを丸ごと忘れると、テントを設営することができません。
おっと、さっそくペグを忘れてきたキャンパーが発見されました! 彼は今夜、どうやって過ごすのでしょうか!?
……と小芝居はさておき、ペグを忘れた場合に実際問題としてどうするべきか、今回はさまざまな方法を試していきます。
乗り入れ可能サイトならクルマを……
まずはペグ自体を使わない方法として、クルマを利用する手があります。画像のようにホイール、あるいはルーフバーにガイロープを結びつけて……という方法です。しかしこれ、乗り入れ可能なサイトでなければならないし、また張れるガイロープの方向も限られます。
強風対策では有効ですが、ペグ忘れの対応策としては微力すぎますね。
まずはよ~く探してみよう
「じつは持っていた」パターンも
次に「本当にペグがないのか疑ってみる」という手があります。
これは実話なんですが、筆者がかつてペグ箱をまるっと忘れたとき、DDタープの付属ペグとロープだけは持っていたことがありました。たまたま付属のペグ類を取り除いていなかったんですね。そうして危機を回避できたことが実際にありました。
本当の本当にペグを持っていないのか、まずは荷物を漁ってみましょう。
ペグは意外と落ちている
そしてキャンプ場に必ずと言っていいほどあるのが、落とし物のペグ。フィールドをくまなく探せば、高確率で忘れ去られたペグが見つかるでしょう。
自分の忘れ物を他人の忘れ物でおぎなう、トンチの効いたメソッドです。
画像は筆者が実際に見つけた落とし物のペグ。さすがにテントひと張りに足りうる本数は難しいですが、「あと1~2本あれば……」という状況なら充分に助かりますね。もちろん管理人さんに届け出る必要はあり、そのときに事情を話して使っていいかどうかの判断を仰ぎましょう。
ということで以上の方法は、「ペグを持っている」という状態に持っていく対応策。次の項目からは、ペグそのものの代わりになるモノを探っていきます!
3つの代用品を試してみた
それでは実際にペグを忘れたことを想定し、ガイロープを張っていきます。すでに何本かのペグを使った状態のテントではありますが、そこはおおらかな気持ちでスルーをお願いします。
【代用品①】ペットボトルを利用する
キャンプにペットボトルを1~2本程度持って行くことは多いと思います。そこで水の入ったペットボトルを重しにして、ガイロープを張ってみました。
ロープワークは、引っ張ると輪が締め付けられる結び方にしたので、荷重がかかるほどペットボトルをがっちり掴みます。
こうして見るといい感じですね。しかし実際はロープがだるんだるんです。2L程度の重さではぜんぜん固定力が足りないようで、早くも「こりゃダメだろうな……」と思い始めています。しかしテストの意味で、このまま一泊して過ごしてみましょう。
【代用品②】石を利用する
次に利用するのは、石です。サイトの近くに転がっていたものを利用してみます。それほど大きくは見えない石ですが、吊りスケールで重さを量ってみたところ12kg以上ありました(持ち運びでは腰にきました)。
ロープワークを駆使してガイロープを結びつけます。石の形状によっては、この工程が難関となりそうですね。選んだ石に都合よくクビレ的なものがあれば、ロープワークには特に工夫が要りませんが、丸い石だとロープが外れやすくなりそうです。
さきほどのペットボトルとは違い、力強くロープを引っぱって鎮座してくれました。これは期待できます。
【代用品③】木でペグをつくる
最後に、もっとも絵になる方法です。木でペグを自作してみましょう。山林サイトではさきほどのような石がごろごろ見つかるとは限りません。落ちている木の枝を加工して、ペグに仕立て上げます。
拾った枝のなかに、ちょうどペグっぽいものがありました。上の方をカットすれば、ペグのようにフックのある形になりそうです。
ノコギリとナタを使って加工していきます。ペグと同じように、地面に打ち込む方向を尖らせましょう。
はい、完成しました。右側の方はマジでペグっぽい形になりましたね。
しかしうってつけの枝が見つからないことも想定して、左側のパターンもつくってみました。切れ込みを入れ、そこにロープを引っかけるタイプです。
ちなみにアタマ側も多少、尖らせるというか台形に削りました。こうすることで打ち込む力が伝わりやすくなり、また割れにくくなるのだとか。ペグの自作は初体験なので、素直にネット知識を採り入れてみました。
木製の自作ペグを打ち込んでみた
それでは打ち込んでいきましょう。ペグを忘れているということは、ハンマーも忘れている可能性が高いですよね。そこで薪を利用して打ち込んでみました。
地面に恵まれ、問題なく打ち込むことができました。そしてその固定具合は、鉄のペグと遜色ありませんでした。もちろん強風で折れることはあると思いますが、ちょっと力を入れて引っぱる程度ではビクともしません。
切れ込みを入れたタイプも打ち込んでみましょう。
まっすぐな枝を利用したこともあり、打ち込みやすさは上々。さすがに太さがあるので、鍛造ペグほど打ち込みやすいわけではありませんが、薪でバトニングのように打ち込むことができました。
さきほどの自作ペグと同様、固定強度はまったく問題ありません。またしっかり角度をつけて打ち込んだことで、ガッチリと切れ込みにロープが引っかかってくれました。
ちなみに木の自作ペグは、ペットボトルや石の利用と違って、画像のペグのようにループに打ち込むこともできます。ガイロープを引っぱるだけではない……これは大きなメリットでしょう。
それではペットボトル、石、木の自作ペグ×2を使ったテントで、一泊してみます。
代用品で一晩過ごしてみた結果
はい、朝が来ました。気象条件に恵まれたこともあり、大きな問題は発生しませんでした。ペグの代用品をひとつひとつ見ていきましょう。
ペットボトルは、位置が若干ずれてしまっていました。ロープのテンションもだいぶ緩くなっていて、「2kgぐらいじゃ全然ダメ」という感想を抱きました。水の入ったペットボトルをペグ代わりにするのは、推奨できません。
そこへいくと12kgオーバーの石はさすがです。普通にペグダウンしたかのように、頼もしくガイロープを引っぱり続けてくれました。
河原サイトなら石はいくらでもありますから、ペグを忘れたときだけでなく、砂利が固くてペグが入っていかない場合や、強風対策をしたいのにペグが尽きた場合など、有効な手立てになると思います。
木製の自作ペグもまた、しっかりとペグの役割を果たしてくれました。角度がすっかり変わっていることもなく、グラグラすることもありませんでした。
逆にガイロープの自在金具の緩みが気になったくらいです。もちろん地面の状況にもよりますが、木のペグはかなり有能でした。
ビジュアル的にもかっこいいし、あえてペグを持って行かないブッシュクラフトもアリだな……などと思った次第です。まあ言うのは簡単ですが。
ペグ忘れなんてもう怖くない!
ということで今回は、ペグを忘れた場合の対応策を試してみました。おすすめは木の枝を使った自作ペグですが、実際問題として手間はかかります。あとは鍛造ペグのように石を砕いて突き進むのは不可能なので、地面によっては使い物にならないかも……。そもそも木の枝が拾えないキャンプ場もあります。
いろいろ試してみた結果、ペグ忘れはそれほど怖いものではないと思いましたが、同時に忘れないように注意したいとも思った、今回の検証でした。