記事中画像撮影:筆者
炭火をサッと起こせれば、着くなりカンパイできるのに…

出典:PIXTA
七輪で焼くツマミは格別にうまいものです。炭火の遠赤外線効果で中までふっくら焼けますし、何より雰囲気がいい(ので酒が美味い)。
できたらキャンプ場に着いてすぐ、サクッと七輪で飲みたくないですか? とはいえガス台とは違って、炭火を起こすのには時間も手間もすごくかかりますよね……。
“着くなりカンパイ”できる「魔法の炭」?!

そんな時に見つけたのが”魔法の炭”という触れ込みの「ペレ炭」なるアイテム。トーチバーナーで軽く炙れば30秒で燃焼し始め、消化もという……。

さらに、今回筆者が購入したのは、「pelletan(ペレ炭)美濃焼コンロ+ペレ炭缶2本セット」というセットアイテム。
パッケージも炭らしからぬカッコよさで、 もはやこの段階で期待値爆上がりってもんでしょう。早速このミニ七輪と共に「ペレ炭」の実力をレビューしていきます!
魔法の炭?「ペレ炭」の何がスゴイ?
まずはセット内容をチェック!

セット内容は、左上から時計回りに、「美濃焼コンロ」「ペレ炭2種」「焼き網」「敷き板」の4つ。
炭火焼きを始めるのに最低限のものはひと通り揃っており、あとは着火さえすればすぐ楽しめるという内容で、初心者にもうれしいですね。
ペレ炭2種

「ペレ炭」そのものは、いわゆる茶筒のような缶入り。青と赤の2色の缶に入った「ペレ炭」は、それぞれ燃焼時の温度が異なる2種類ということです。
写真左赤い方の「500レッド」は最高500℃、そして青い方「300ブルー」は最高300℃。
美濃焼コンロ

そして七輪は美濃焼製のしっかりとしたものですが、約φ140×H90mmと手のひらサイズなので、重量も約500gとかなり軽いですね。
ただし、「ペレ炭」を乗せるための網が内側に固定された専用品で、他の炭では使えないようです。

四角い焼き網のサイズは150×150mm。150gぐらいのブロック肉でもしっかり乗りそう。本体の熱でテーブルを傷つけないための杉板の敷台のほか、簡単な収納ポーチも付属しています。
この大きさなら1~2人で晩酌を楽しむのにちょうどよい感じ。なお、一度に乗せられる「ペレ炭」の量は30~40g程度のようです。
樹皮をアップリサイクル!ペレ炭とは?

そして気になる魔法の炭「ペレ炭」の正体なんですが……! 実は、杉やヒノキなどの国産材の製材時に発生する不要な樹皮をアップサイクルし、ペレット状にした新しい炭なんです。
この「ペレ炭」、とにかく着火が簡単という触れ込みで、トーチバーナーなどで約30秒炙れば着火できて、すぐに火が回るそう。

本来、炭火起こしというと、着火だけでなく火が回るまでにもひと苦労。
効率を優先し過ぎる筆者なんかは、ついに道路工事用の巨大トーチバーナー(新富士バーナー「パワートーチプロ」)に手を出したほど。ですが、この物騒な着火作業ともうお別れできるんですかね……。
しかも1回分の「ペレ炭」は、30分~1時間で消えるようで、消火も放置でよさそうです。
用途別に使い分けられる2種の「ペレ炭」

さらに、燃焼温度の異なる2種が選べる「ペレ炭」ですが、これは、焼く食材やシーンに合わせて最適な使い分けができるということ。
「300ブルー」は樹皮100%で温度が300℃程度までしか上がらないので、低温でじっくりと焼けるのが特徴です。
焼き鳥、魚、もち、焼き芋など、ゆっくりじっくりと焼きつつ、焦がしたくない料理に最適なよう。確かに、炭火は強火が過ぎることもあるので、この点便利そうです。

「500レッド」には樹皮に加えて幹も含まれ、約500℃までの高温になるようです。しっかりと素早く焼きたい料理、焼きそばや焼き肉などに最適とのこと。
ちなみに一般的な備長炭などの温度は500~600℃くらい。煽ったり脂を落とせば、瞬間で1000℃くらいに上がります。
そう考えるとどちらもかなり低めの温度ですが、初心者でも焦がさず、丁寧に中まで火を通しやすいように意図があるようです。
さっそく火起こし&いろいろ焼いていくぞ!

「ペレ炭」でいろいろ焼きつつ飲んでみよう! と、買い集めたツマミというか食材がこちら。
肉や海鮮などのオーソドックスなものから、焦げやすいソーセージや、火力が必要なレンコンまでチャレンジし、どれだけ酒が進むか確認しましょう。
まずは「ペレ炭」を広げてみる

まずは「300ブルー」からトライ。七輪の内側のかなり高い位置に網が固定されているので、ここにバラバラと乗せて広げます。
炭から焼き網までの距離が近く、普通ならあっという間に食材が焦げるレベル。これが「ペレ炭」のスタンダードなんですね。かなり不思議な感じです。
本当に30秒で着火できた!

着火は小型のトーチバーナーで。炎に触れたところはほんの数秒で赤くなり、赤くなったところはもう着火しています。速い!
あとは炭全体をバーナーでなぞっていけば、確かに30秒ぐらいで火が回りました。何しろ着火自体はすぐなので、もう少し時間さえかければターボライターなどでも可能だと思います。
「300ブルー」はじっくり焼くのに最適!

「300ブルー」は「焦がさずじっくり焼ける」のがポイント。なので、まずはソーセージから! ソーセージって、実は炭火との相性があまりよくなく、焦げやすいのです。
ところが、3~5分ほどで皮が破れることもなく、表面がパリッと仕上がりました。画像は少し分かりにくいのですが、これで中までアツアツの状態です。焦げ付きも皆無で完ペキ……!

お次は牛カットステーキ(漬け込みタイプ)。脂がしたたると炎が上がり、それが調味料に引火する、同じく焦げやすい食材です。
しかし、脂を閉じ込めながら焼けるのか、ジューシーに美味しく仕上がりました! そしてやはり焦げません。7~8分と時間はかかりますが、炎も上がらず、煙も少ない。これなら自宅の庭でも気軽に使えそうです。
「500レッド」は高速でしっかり火が通る!

お次は強火の「500レッド」。着火などの感覚は300ブルーと差はありませんでした。
まずはホタテバターから試します。貝類は焦げにくく、一方でしっかり火を通さないと危ないのですが、ものの5分で焼き色もつき、中までアツアツに仕上がりました。
一般的な備長炭などに比べるとやや時間がかかりますが、安定して確実に焼ける感じが、見ていて分かりやすいです。

「300ブルー」も「500レッド」も、そこまで急激に火が入らない感じは共通しており、イカなども、焼けるというより身が縮んで旨味が凝縮していく感じ。
しかし、ゲソなどの硬い部分も食べてみるとしっかり焼けているのです。私、こんなに焼くのうまかったっけ? という気がしてきます。

最後はかなり意地の悪い食材、レンコン。これを3cmほどにぶ分厚くカットしてステーキにしてみます。
焼ききれないかも……? と思いましたが、10分ほどかかったものの、中心部までホックホクに。なおかつ表面は画像の通り焦げることナシ。こんなに美味しくレンコンが焼けるとは……。
短時間で消えるから後始末もラク!

「ペレ炭」は、火力が落ちてきたら途中で追加すればOK。バーナーで炙ると火力がスムーズに復活します。
完全に使い終わったらそのまま放置。30分程度でだいたい燃え尽きました。後はそのままキャンプ場の灰捨て場に持って行ってポン。後始末も簡単です。
気になるところもなくはない
完全に「ペレ炭」専用品な七輪

食材に限りなく近いところで燃焼する「ペレ炭」を使うため、付属の七輪には中空に網が固定されています。「ペレ炭」を使うにはベストな構造ですが、それ以外の炭は使用できないんです。
せっかくデザインもカッコいい七輪なので、少し残念。
なお、この七輪を使わないで「ペレ炭」を単体で使いたい場合、他には別売りの「専用グリル」というチョイスのみ。ここもちょっとハードル高めに感じます。
コスパは決してよくはない…

「ペレ炭」は、「500レッド」と「300ブルー」2種セットの詰め替え用パッケージ320gで2,200円(税込)。一般的な炭なら5~10kgぐらいで同じ価格です。
残念ながらコストパフォーマンスが良いとは言い難い……。とはいえ、めちゃ手軽だし、少量ずつでじっくり炭火焼を楽しんでこその「ペレ炭」と、割り切って使うのが正解なんでしょうね。

「ペレ炭」なら、けしからんほど手軽&気楽にすぐ飲める!

手軽に炭火焼が楽しめる「ペレ炭」ですが、とにかく失敗しないのが魅力だと思います。誰が焼いてもふっくらとおいしく調理ができる。初めてのキャンプでも、これなら間違いなく激ウマキャンプ飯がつくれます。
そして、ベテランキャンパーになっても自宅の庭などでも使えるので、長く楽しめるのもいい。初心者からベテランまで楽しめる、なかなかにして一生モノのアイテムだと思いますよ。