アウトドア特化型のモバイルバッテリーが登場!
こちらがネストアウトシリーズのモバイルバッテリー。アウトドアに持ち出すことを前提に設計され、優秀な防水・防塵・耐衝撃性能を持っています。
2021年の秋にクラウドファンディングサイト「Makuake」で応援購入を募集し、大きな話題となりました。
超タフネスなモバイルバッテリー
公式サイトには衝撃の写真が……! ネストアウトの構造は、バッテリーの大敵である水を厳重にシャットアウト。もちろん水だけでなく土埃も通しません。防水・防塵性能は安心のIP67です。
また内部に衝撃吸収クッションを搭載しており、他ギアとの接触や落下からもリチウムイオン電池を守り抜きます。
現物を入手!ディテールを確認
どうしても現物を見てみたい! ……というわけでネストアウトのモバイルバッテリーを3つ用意しました。
容量は5000、8000、12000mAhの3種類があり、それぞれに複数のカラーをラインナップ。
それでは5000mAhのモデルでディテールをチェックしていきましょう。容量以外の仕様はほぼ共通しています。
ボタンの仕様はシンプル
まずポート部分がこちら。しっかりと頼もしく締められたキャップを開けることで、2つの穴が姿を表します。
ポートはUSB Type-Cを1つ、USB-Aを1つ搭載。自身の充電はType-Cの方、接続機器への給電はどちらのポートからも行えます。
側面には、バッテリー残量を表す発光インジケータが。写真では5つのLEDランプのうち3つが点灯しており、60%未満の残量があることを示しています。
操作は楕円形のボタンで行います。
モバイルバッテリーの操作としては少々複雑かと思われるかもしれませんが、自動ON/OFF機能を搭載しているので、単純にバッテリーとして使う場合は気にする必要はありません。
本体の底には1/4インチのネジ穴が。これはカメラに採用されている規格なので、カメラ用の三脚などに固定することが可能です。
なぜそんなことを可能にしているのか……? それは別売りのオプションギアを使うときに明らかになります。
エレコム モバイルバッテリー NESTOUT 5000mAh
12000mAhモデルは給電ポート×2
12000mAhモデルのみ、給電用のUSB-Aポートが増設されています。複数のガジェットを同時充電するなど、大容量を活用することができますね。
また8000mAh、12000mAhのモデルはUSB Power Deliveryに対応していて、高出力での給電が可能です。
エレコム モバイルバッテリー NESTOUT 12000mAh
なるほどこれはかっこいい!
さっそくスマホを充電してみました。なるほど、Makuakeで大人気となったのも納得のかっこよさです。
表面のザラザラ質感、武骨カラー、ミリタリーテイストの形状……どれもキャンパーの心をくすぐってきますね。ちなみに付属のUSBケーブルは、全長約18cmと必要最低限の長さです。
ここからがネストアウトの凄いところ
さて、ネストアウトのモバイルバッテリーは、周辺ギアの充実度も魅力のひとつ。別売りのオプション製品を見ていきましょう。
賢い作りの専用ソーラーチャージャー
こちらはシリーズ専用のソーラーパネル「NESTOUT ソーラーチャージャー SOLAR-1」。折りたたみ式でコンパクトに持ち運び可能、電力の現地調達が可能となります。
2枚パネルと4枚パネルの2モデルがあり、収納時の見た目に大差はありませんが、写真は4枚パネルのモデルです。
サイズ感はこの通り。片手で無理なく持ち運べる大きさですね。重量は約765gです(2枚パネルは約535g)。
このように広げて使用します。はじっこのポケット内に接続ポートがあり、充電中のバッテリーがまるっと収まります。
写真がうまく撮れませんでしたが、接続ポートにはデジタル数字が表示されていて、現在の充電量を確認することができます。
太陽の位置に合わせて角度を調節可能
ソーラー充電では、太陽に対するパネルの角度が重要となりますが、そのへんがよく考えられていました。
背面には2本のスタンドがあり、面ファスナーへのくっつけ方によってパネルの角度を調節できるんです。これは賢い設計ですね。
いちばん端のパネルにはループが3つ。カラビナでテント側面に吊るしたり、斜面にペグダウンしてソーラー充電することもできると思います。
充電中のバッテリーもケーブルもポケットに
実際に使ってみると、ポケットの存在が天才的に便利でした。
ケーブルも充電中のバッテリーもまとめて一体化できるため、充電中にゴチャつかないんですよね。狭い場所でも、さっとスマートに広げることができました。
バッテリー残量ゼロの12000mAhモデルを実際に充電してみました。曇り時々晴れの天候で、時間は朝10時から夕方4時まで。
結果、40%未満のバッテリー残量にまで充電されていました。もちろんこれはあくまでも一例であり、ソーラー充電はさまざまな条件が絡み合います。しかし筆者が以前から使っている同サイズのソーラーパネルよりも、明らかに力強いと感じました。
エレコム NESTOUT ソーラーチャージャー SOLAR-1 (4パネル)
エレコム NESTOUT ソーラーチャージャー SOLAR-1 (2パネル)
LEDと合体させるとランタンに進化!
ネストアウトシリーズには、LEDライトがラインナップされています。そう、モバイルバッテリーと合体させることにより、LEDランタンが誕生するんです。
リリースされているLEDライトは2種、順に見ていきましょう。
優しい光の「LAMP-1」
こちらは「NESTOUT LEDランタン LAMP-1」。収納袋が付属し、ライト本体/円形の接続パーツ/ミニ三脚で構成されている製品です。
さっそく5000mAhのバッテリーに取り付けてみましょう。
バッテリーの底にあったネジ穴には、ミニ三脚を取り付けます。そしてポート部分に円形の接続パーツ、LEDライトを取り付けるだけであっさり完成。
接続パーツによってLEDライトはカチッとツメで固定され、また水に強い構造がランタン使用時にもキープされるようです。
サイドのつまみをひねるとスイッチがONになり、そのまま回すことで光が強くなっていきました。まるでガス機器のような使い勝手。明るさは10~350ルーメン、無段階調節が可能です。
発光部は全方向をやさしく照らすタイプなので、真上を向いた自立状態でも、自身の足元をちゃんと照らすことができていました。
ミニ三脚の中央にはループがあり、このように吊り下げることも可能。カラビナを使えば、ガイロープやテント内など好きな場所に吊るしておけます。
エレコム NESTOUT LAMP-1 専用ギア
MAX1000ルーメンの「FLASH-1」
そしてこちらが「NESTOUT LEDランタン FLASH-1」。大きめの発光面から1000ルーメンもの光を発する、高出力モデルです。
収納袋/接続パーツ/ミニ三脚は、先ほどのLAMP-1と共通でした。
モバイルバッテリーへの取り付け方は、先ほどのLAMP-1とまったく同じ。ここでは試しに8000mAhのバッテリーを合体させてみました。
なんだか機能美がにじみ出ている佇まいですね。かっこいい!
スイッチの操作もLAMP-1と共通で、30~1000ルーメンの明るさを無段階で調節できます。
FLASH-1の発光パネルは、このように角度を変えることができます。
のけぞったような角度を使うシーンがあるのか?……とも思いましたが、ミニ三脚のループを利用して吊り下げた場合に、余裕で真下を照らすことができますね。
エレコム NESTOUT FLASH-1
実際にソロキャンプで使ってみた
実際にキャンプに持っていき、ランタンとしての実力や使い勝手を試してみました。バッテリー5000mAhにLAMP-1を、12000mAhにFLASH-1を取り付けています。
LAMP-1の方はランタンハンガーで吊り下げ、FLASH-1はテーブルに置いて使ってみました。
眩しいほどのFLASH-1
バッテリー12000mAhには接続ポートが2口あるので、スマホの充電をしながら……が可能です。
バッテリー付属のケーブルは短いので、充電しながらスマホをいじりたい場合は、自前でケーブルを用意した方がよさそうですね。
バッテリーの持続時間を試したかったので、LAMP-1、FLASH-1ともに最大出力で使い続けました。
LAMP-1が頭上から全体を優しく照らし、FLASH-1がテーブル上を白昼のように明るくしています。おかげで肉の焼き具合もバッチリと視認でき、ハイボールの濃さもしくじることがありませんでした。
FLASH-1はテーブル上で1000ルーメンだと眩しすぎたので、普通にチルタイムを過ごす分には出力50%以下で充分だと思います。
LAMP-1はハンドライトとしても
トイレに行くときなどは、ランタンハンガーからLAMP-1をサッと外してハンドライト的に。本職のハンドライトのように遠くまで照らすことはできませんが、足元の安全を確認するには充分でした。
こうした使い方はもちろんFLASH-1でも可能。発光パネルの角度を調節するだけです。
バッテリーが切れた時間は?
午後10時2分、バッテリー12000mAhに取り付けたFLASH-1が消えました。満充電の状態で点灯させたのが午後4時50分。スマホを充電しつつFLASH-1を1000ルーメンで稼働させた結果、5時間ちょっとで消灯することに。ただしこれは、明らかに無駄な光量で使い倒した結果です。
同時刻のバッテリー5000mAh+LAMP-1は、残量が40%未満でした。23時ごろに寝てしまったため何時まで点灯していたのかは確認できていませんが、持続時間は十二分だと言えるでしょう。
気になった点がいくつか……
アウトドアで使うモバイルバッテリーとしては申し分なし。LEDランタン化できるギミックも画期的なネストアウトシリーズですが、少々気になった部分もありました。
キャップの開け閉めにストレス
キャップは紛失を防ぐため、本体とゴムのループで繋がっています。ゴムなのでグリップ力があり、キャップの回転を必ず邪魔してきました。スムーズに回すにはコツが必要で、正直なところいちいちストレスを感じてしまいました。
ゴムであることで防水性に貢献しているようでもないし、「ナルゲンボトル等と同じくポリエチレンでいいのにな」と思った次第です。
スイッチの回転方向に違和感
LEDライトの操作は、つまみを回転させて行います。これは味わいがあってかっこいいのですが、その回転方向に混乱しました。ガスやホワイトガソリンを使う製品とは回転方向が逆だからです。
燃料式のランタンが反時計回りでON~光量UPなのに対し、当製品は時計回りでON~光量UP。これはオーディオ機器のボリュームや照明のつまみと同じであり、電化製品のスタンダードだと思うんですが、キャンプ脳ではつい逆に回しがちでした。「また間違えた」を実際に何度もやりました。
ランタン使用が素晴らしく魅力的
気になる部分はあったものの、いずれも製品としての本質とはそれほど関係ない小さな事柄。この男前なビジュアルと、ランタン化できるギミックが吹き飛ばしてしまいます。もちろん防水・防塵・耐衝撃性能を備えた実力も見逃せません。
昨今のアウトドア業界ではポータブル電源の動きが活発でしたが、身軽なキャンパーに向けたモバイルバッテリーの登場こそが、待望されていたものではないでしょうか。
特にランタン化できるメリットは本当に大きく、バッテリー容量とLEDライトを好きなように組み合わせることで、自分にぴったりのLEDランタンが仕上がります。また本体底部にある1/4インチネジ穴の汎用性も高く、さまざまな使い方を実現します。
こちらは「カメラ固定ねじ」を装着してみた例。Amazonで「1/4インチネジ」で検索するとたくさん出てくるカメラ用品です。ストラップを通してもいいし、カラビナでバックパックに吊るしてもいいですね。
ネストアウトシリーズからは、これからもオプションギアが次々にリリースされると予想されます。モバイルバッテリーを抑えておくことでオプションギアの登場が楽しみになる、前途有望なシリーズです。