ソロ向けクッカーのロングセラー「チタントレック」
キャンプや登山などアウトドアでの料理に欠かせないクッカー。色々な種類がある中、ソロ・デュオ向けのミニマムなクッカーで人気アイテムといえばスノーピークの「チタントレック」です。
過去には700・900・1400と3サイズ発売されていましたが、700は廃盤に。そして現存の900と1400では容量500mlの違いがあります。
900・1400、サイズの違いって?
公式サイトではいずれも「一人用クッカー」となっていますが、実際のところ500mlの差ってリアルにイメージするのは難しいですよね。ちょっとの差のようでいて、いざどっちかを決めるとなったら意外と重要なポイントのような気も……。
結論から言うと「迷ったらどっちも買い」が持論!
「二つも要らないでしょ」と思っていたのですが、事前リサーチで後から一方を買い足している方もいるらしいと知って両方購入。結果、筆者にとってはどちらも買って正解だったな~と実感したほど優秀だったので、その詳細をレポートします。
まずは基本スペックからチェック
その名の通り、素材はチタン
チタン製の特徴としては、超軽量かつ耐久性に優れているということ。その点から10年来愛用しているソロキャンパーやハイカーも多く、数多あるクッカーの中でも長く使えることに定評のあるアイテムです。
また耐食性が高いこともチタン製品の特長で、衛生的にも安心。熱伝導率が低いので、そのまま口をつけてスープを飲んでも熱くなりにくいなど、アウトドアで使う上での快適性も備えています。
アルミ製クッカーに比べると値段は高いものの、アウトドアシーンで使うクッカーとしてこれらの特性を考慮するとそれだけのメリットはあります! ここからは各サイズの大きさを詳しく見ていきましょう。
こちらが900
クッカーと蓋どちらもチタン製で、蓋はフライパンやお皿としての役割も果たしてくれます。
500mlのボトルと比較すると、鍋型で直径が広めに作られているのがわかります。oz(オンス)表記とリットル表記のメモリが付いていて、oz表記は10・20・25、リットル表記は200・400・600mlの位置にメモリがあります。
蓋にはメモリがついていませんが、内側の線より4mm程低い位置が250mlのようです。
スノーピーク チタン トレック 900
こちらが1400
総重量210gはトマトやオレンジ1個分と大体同じ重さ。これだけのサイズのクッカーが210gと超軽量なのは、チタン製品ならではですね。
900と同様にozとリットルのメモリがあり、ozは10・20・30・35、リットルは200・500・1000mlの位置についています。
蓋だけでも500mlと十分な容量のサイズがあるので、成人男性がカレー1杯で十分満足できるくらい大きめのお皿として使うこともできそうです。
スノーピーク チタントレック1400
収納袋つき
収納袋が付属しているので、持ち運びや保管も楽々。メッシュ素材で通気性が良く、洗い物の後はこれに入れてランタンポールなどに吊るして乾燥させることができます。
さて、次はキャンプで使ってみた上でのリアルレポートをご紹介。どんな料理ができるのかを中心に、実際の使い勝手をレビューしていきます!
それぞれどんな調理ができる?
900でラーメンとスープを作ってみた
900は1人前の袋麺がぴったり入るサイズ。ラーメンはスープもあるので2人前は少し厳しいかもしれません。
簡単なスープ料理であれば、夕食時と翌日の朝に温めなおして飲める量がたっぷり。ソロでもこれだけの量が作れると、飲みたいな~と思ったとき用に作り置きができますね。
パスタであれば2人前、炊飯は2合までOKなので1~2人前のメニューを作るのにジャストなサイズ感です。
1400ではパスタ3人分!
さて、次のキャンプでは1400を使ってソースを絡ませるだけの簡単パスタを作りました。1回で3人前のパスタが余裕で茹でられ、沸騰時にフタの上で温めたソースをかけて完成です。
鍋の口が広いのでパスタを割らずに入れることができました。
ちなみに炊飯なら3合まで、スープ系であれば4人分は作れる大きさで、1400は2~4人分の料理を作るのに最適なサイズ感でした。
というように900・1400それぞれキャンプでしっかり役に立ってくれたわけですが、ここで筆者的に「両方買い」が正解だった理由を述べていきます!
どっちも買いな2つの理由
① どちらも持っておけばソロにも大人数にも対応できる
ソロ・ファミリー(3人)・グループなど色々なスタイルでキャンプへ行く筆者としては、臨機応変に使えるクッカーが理想的。
ソロで行くときは900、家族と行くときは1400、グループキャンプのときはセット使いなど、シチュエーションに合わせて使い分けられるのはかなり快適です!
「大は小を兼ねるで1400にすれば良い」という考え方もできますが、500mlの差は実際使うと結構大きいもの。こと熱伝導率の低いチタン製クッカーでは、燃料消費を考えると少人数分の調理はやはりコンパクトサイズが効率が良いわけです。
② 900は1400にスタッキングできる!
900と1400どちらも取っ手が折りたたみ式なので、1400の中に900をスタッキングすることができるんです。スタッキングによって収納サイズをコンパクトにしつつ、ソロとグループどちらにも対応できるのはかなり優秀!
縦長の形状で小物なども入れやすく、カトラリーやトーチなども入れてしまえば荷物もかなりスリム化できます。
ちなみに筆者が普段使っているプリムスのバーナーで収納性を確認してみると、900のクッカーに110のOD缶とバーナーをセットで入れても蓋が浮くことなく収納可能。
250のOD缶でも、ひっくり返して入れることでガス缶とバーナーをセットで収納できました!
とは言え決まったスタイルでしかキャンプに行かない方は、どちらかを選ぶ決め手が知りたいところですよね。900・1400の調理レビューである程度サイズ感はわかったところですが、選び方をもう少しリアルに考えてみましょう。
900か1400、どちらかひとつ選ぶなら?
900と1400の差は500mlの容量。リアルにイメージすると500mlペットボトル1本分で、スペック上は1400が直径15mm・高さ5mm・重量35g分上回っています。
数値上はあまり差を感じないレベルでピンと来ないかもしれませんが、ここに関わるのが「何人でどれくらいの量を食べるか」。
実際に料理をしてみた感じでは、900は完全ソロでも「人より1.5倍くらい食べたい」という方も満足できそうな量が作れます。デュオなら腹八分目くらいの2人分ができるイメージです。
1400はシンプルなメニューで量も多くなければ3~4人のファミリーや、グループの食事も賄えます。大人数でも食事はサクッと短時間で、その分他のアクティビティを楽しみたい! という方なら1400がオススメです。
チタントレック900・1400とも、実際使ってみた上でちょっと気になったこともあったので最後にまとめておきます。
チタントレックを買う前に知っておくと良いこと
チタン製で焦げやすい
スノーピーク製品に限ったことではないのですが、チタンは熱伝導率が低く火が全体にまわりににくいので炊飯は焦げやすいという難点が。実際に筆者も最初の炊飯時は失敗して、底部分を焦がしてしまったことも……。
もちろん慣れている方は盛大に焦がすことはないかもしれませんが、以後熱を分散させるためにクッカーとバーナーとの間にステンレス製の網を敷くことで上手く炊けるようになりました。
ユニフレーム バーナーパット S
ちなみにスノーピークにはアルミ製の「トレック」もあるので、焦がしてしまうのが心配な方はそちらにしてみるのも1つの手。同じく900と1400がありチタン製より安価ですが、耐久性などスペックにおいて劣る面もあるので使いやすさで比較検討したいところですね。
スノーピーク トレック900
スノーピーク トレック 1400
蓋が外れやすい
蓋ははめ込む形ではなく上にのせるだけなので、持ち運びのときに滑り落ちたり湯沸かしの蒸気の影響で頻繁に外れてしまうことがありました。
これについては炊飯時は石など重しをのせる工夫で対処しています。
フライパンの取っ手がスッと戻せない
フライパンの取っ手部分は折りたたみ式になっているのですが、よくある強く握って引っ掛かりから外すものと違い、こちらは広げて外すタイプ。片手だと若干操作しづらさを感じましたが、これも慣れればどうということもない程度です。
気になる点はあるものの使い方次第で乗り切れるものがほとんどだったので、今後も色々なスタイルのキャンプで一軍ギアとして活用したいアイテムです!
チタン製を生かしたソトアソビにもってこいのクッカー
熱伝導率の低さはメリットにもデメリットにも繋がりますが、どうしたら上手に使いこなせるのかを試行錯誤するのもキャンパーの遊び心をくすぐりますよね。
チタンならではの超軽量で頑丈なチタントレック、まさに“ソトアソビ”にもってこいのクッカーです!