子どもたちも一緒に塩作り
夕方、木材を担いで集まってきた子どもたち。夜通し火の番をしながら、塩を作ります。翌日には自分たちで採ってきた野草に、自分たちで作った塩をふって食べてみるという狙いです。手際よく火をおこしたら、海水を鍋に汲んできます。
11月も間近になれば、夜は寒い。塩を作りながら、暖もとります。ちゃっかりマシュマロなどを持参し、火で炙って食べる子どもたち。寝ないで火をいじることなど、日常にはなかったでしょう。朝までとなると薪も必要。となれば、せっせと鉈を使ってくべやすいサイズにしていきます。
段ボールをフル活用
まったく手伝わず、暗い浜で走り回っている子もいます。それもよし。
朝までやるために寝袋を持ってきている子もいます。持っていない子は代わりに段ボールを持参してと伝えておきました。そう、段ボールで家を作るため。
暖を取るために段ボールで寝たことがない子は、楽しそうに自分のスペースを作っていました。
火があれば落ち着く
大人たちは、火を前にして酒盛り。普段一緒になることもないパパ友が差し入れをしにきたりと、楽しい時間が過ぎていきます。子どもには危険だけは避けさせて、あとは大人も子どもも同じ空間で同じ時間を過ごします。
26時を回るころには、子どもたちも寝静まり、火の番をする大人だけになりました。火があれば、会話があってもなくても落ち着くから不思議です。
大昔からやってきたこと、身を守るため、生きるために大事にしてきたことは今でも変わらないのです。
手作りの“塩”ついに完成!
朝が来ました。海水は煮詰まり、粘度の高い水になっています。ぷくぷくと膨らむようになり、鍋の縁で結晶化が始まりました。
本来であれば、にがりも濾します。煮詰まった汁は物凄く苦いのです。が、今回はあえて、そのまま煮詰めた塩にしました。知識を持っていなかった時代の塩と言っていいでしょう。鍋には使いきれないくらいの塩ができました。
市販されている普通の塩、少し値段の高い塩、そして自分たちで作った塩。それぞれを並べてみればおもしろいかと考えたのでした。
色が違う、質感が違う、見た目だけでも全く違います。実際、手に取って舐めてみると……。
市販のとは違う複雑な味
「作った塩が一番おいしい!!!」
子どもたちからそんな声があがります。大人も舐めてみました。しょっぱいだけではない複雑な味がします。苦味、甘味、しょっぱさも強いように感じます。それに比べると、市販の塩が、しょっぱいだけだということもはっきりわかります。
これだけ味が違えば、料理をしたときに味が変わるだろうと思います。そして、自分の家の前に海さえあれば、塩が作れることもわかりました。
それにしても、一番美味しいのが自分で作った塩とは言えない気がしたのですが、子どもは素直に、そう言っていました。